□ 題名:バウ・オペレッタ「ヴェロニック」
□ 収録日・場所・時間: 1998年3月27日・宝塚バウホール・124分
□ スタッフ: 作曲 アンドレ・メッサジェ。脚本・作詞 アルベール・ヴァンルー、ジョルジュ・デュヴァル。訳詞 戸田邦雄。翻訳 岡田正子。演出 三木章雄。
□ 組・主な出演者: 花組・愛華みれ、千ほさち。
□ 制作・販売:株式会社宝塚クリエイティブアーツ
□ 税抜価格: 8000円(別途消費税がかかります)
□ 記号: TCAV-65

□ あらすじ: 19世紀中葉のフランス。独身を謳歌しているフロレスタン・ド・ヴァランクール子爵であったが、ついに国王陛下から、王妃付きの令嬢エレーヌ・ド・ソランジュと結婚するよう命ぜられる。国王に決められた結婚相手など、どうせ長いズロースをはいた「イモ娘」に決まっている、と悪態をつくフロレスタン。それを偶然耳にしたエレーヌは、悔しさのあまりフロレスタンを見返してやろうと一芝居打つことに。

□ 感想:ケースに「宝塚バウホール20周年」のマークがあります。同じ20周年の他の作品(イカロス 1998年雪組嵐が丘 1997年雪組)と同様、リーフレットは同封されておらず、主な配役などがケースの裏側に記載されているタイプのVHSビデオです(その理由は「ワン・モア・タイム 1997年月組」参照)。

タイトルロールのヴェロニックを、花組トップスター真矢みきさんの相手役であるトップ娘役 千ほさちさんが演じ、男役の主演は愛華みれさんが演じています。その点からは、千ほさちさんも主演の作品と言っても良いようですが、愛華みれさん主演です。

オペレッタというと、「こうもり 2016年星組」が記憶に新しいですね。こうもりは、北翔海莉さんと紅ゆずるさんのだまし合いが主軸の豪華絢爛な大劇場作品でした。本作品も愛華みれさんと千ほさちさんとのだまし合いですが、こじんまりしたバウホールでのかわいらしい作品になっています。

千さんは初めて拝見しましたが、あまりのアニメ声にびっくり仰天しました。でも、ロバに乗って歌っている所のかわいらしさは格別で、この声でしか表現できないと思います。千さんの迫真の演技に、見ている方はすっかり千さんに感情移入して、終盤の展開には本当に胸が痛くなって、エレーヌと一緒に臥せってしまいそうになりました。
愛華さんは、育ちの良い貴族そのもの。もっと濃い男役の方が好きなマダムとしては、物足りない印象ではありますが、トップスターになられてからの愛華さんは、別人のように濃い印象の舞台も多いので、乞うご期待です。
春野寿美礼さんも、後年の歌のうまさに比べると、本作品では、オペレッタを牽引するほどの歌の実力は全く発揮していません。
一方、大鳥れいさんが、「カナリア 2001年花組」と同様、すばらしい存在感です。大鳥れいさんって、宝塚娘役としては類を見ない存在ですよね。すばらしい美貌を持ち、この先トップになる、という明らかに路線の娘役さんなのに、毎回体当たりの演技を見せてくれます。
研2の彩乃かなみさんは花嫁役での大抜擢ですが、主な配役には、まだお名前はありません。同じ研2の愛音羽麗さんは、フィナーレのご挨拶でだけは判別できました。

そういうわけで、後年にはすばらしい才能を発揮されるスターさんも、若い頃の本作品ではまだ実力を発揮していらっしゃらず、見終わって楽しい気分にはなりますが、バウホールで上演された発展途上の作品と割り切って見た方が良いと思います。その中で、磯野千尋組長だけが、きわどい品の無さで、ねっとりとした宝塚らしい男役の演技を見せつけています。好き嫌いが分かれるとは思いますが、マダムは磯野千尋さん大好きです!

□ 勝手に評価: ☆☆☆ 発展途上のオペレッタ