□ 題名:バウ・ロマンス「十二夜 またはお望みのもの」
□ 収録日・場所・時間: 1999年7月23日(水)・宝塚バウホール・136分
□ スタッフ: 原作 ウィリアム・シェイクスピア。スーパーアドバイザー 小田島雄志。脚本・演出 木村信司。
□ 組・主な出演者: 月組・大和悠河。
□ 製作・販売:株式会社宝塚クリエイティブアーツ
□ 税抜価格: 8000円(別途消費税がかかります)
□ 記号: TCAV-113


□ あらすじ: (VHSビデオケース裏面より)
誰が誰に恋をしてもおかしくない?! シェイクスピア随一のロマンチック・コメディ「十二夜」に大和悠河が挑戦! 魅力的な脇役も数多く登場し、原作に沿って繰り広げられる華やかな音楽劇。


小田島雄志氏の解説:
笑って、笑って、その果てに胸がキュンとして--シェイクスピア喜劇の最高峰「十二夜」には、ロマンティックな恋もあれば美しい兄妹愛もある。とんでもない思い違いもあれば抱腹絶倒のいたずらもある。伯爵令嬢に夢のような恋心を抱く公爵、彼を愛する男装のヒロイン、彼女の男姿に一目惚れする伯爵令嬢、という一方通行的恋愛三角形を見ると、シェイクスピアは宝塚のために「十二夜」を書いたのではないか、とさえ思われてくる。


□ 感想: 「夢・シェイクスピア-夏の夜の夢- 1999年星組」でもご紹介しましたように、1999年にバウホールで8つのシェイクスピア作品が様々な趣向で上演されました。当時は、二番手未満のスター主演の作品もVHSビデオとして発売されていましたので、マダムはちょうど本作品のVHSビデオを、2019年末の宝塚アン半額セール(「宝塚アン 半額セール中」「歳末半額セール 宝塚アン」参照)で買ったところです。また、本年2020年のゴールデンウィーク前に、スカイステージでほとんどの作品を放映してくださいまして、ステイホームでシェイクスピア三昧と相成ったわけです。


 大和悠河さんが、宝塚歌劇のコスチューム物の醍醐味と言える、マントを翻したオーシーノー公爵として登場。このあまりにも美しい公爵が、片思いをして悩んでいる、という設定から始まります。「十二夜」は、シェイクスピア劇の代表的な喜劇作品、とのことですが、1999年の宝塚バウホール公演は、演出家の解釈によって、原作と全く異なる作品にしてもよいというルールで作られていたとマダムは理解しており、「シェイクスピア劇」という宝塚歌劇の中でも堅苦しい部類に入る作品が、美しすぎる公爵の悲恋で始まったので、深刻な思いで見始めました。ところが、片思いの相手オリヴィアが、黒いベールから顔を出すと、なんと、夏河ゆらさんではありませんか! これでは絶対に、悠河さんと結ばれるはずがありません!! それで一気に、これはコメディーだ!!! とスイッチが切り替わり、ハッチャメッチャな怒涛の展開に引き込まれて行ったのでありました。この役に、可憐な娘役二番手さんなどが配されていたら、意図がわかりにくかったと思いますので、ここは夏河ゆらさんで大正解です。

 本作品は、出演者の人数が他の作品に比べて少なく、お一人お一人の役割が、非常にはっきりと打ち出されています。オリヴィアの執事マルボーリオ役の立ともみさん、道化のフェステ役の真山葉瑠さんなどです。そして、研5の大和悠河さんという若くて清く正しく美しい男役スターを、ドタバタコメディーの中でただ一人、美しすぎる悲劇の公爵として、一貫して別の時空に旅をさせ、その周りで組長さんをはじめとするツワモノどもが、抱腹絶倒の喜劇を繰り広げるというところに、宝塚歌劇としての「十二夜」の面白さが結実したと思います。


 何といいましても、大和悠河さんが、マントを翻したり、片膝立てて座ったり、小姓だと思って弱い心を打ち明けたりするのを見るのは、もう、溜め息しか出ません。ここでは、マダムも、お小姓になった気分でドキドキです。サー・トービー役の大空祐飛さんが二番手格で、カッコよさと面白さを、活気あふれる演技で表現しています。花瀬みずかさん演じる美しい心根の娘ヴァイオラが、逆境を乗り越え、一途な愛を成就させ、公爵と相思相愛になる最後は、雲一つないハッピーエンドで、本当に晴れやかな気持ちになりました。


 さて、VHSビデオケースの右上には、宝塚歌劇団85周年のマークとともに、バウ・シェイクスピア・シリーズのマークが載っています。これは、シェイクスピアの時代を象徴する「羽根ペン」がマークになっています。ケースの背表紙には、大理石調の背景に「SHAKESPEARE SERIES Ⅳ」と記載があり、このシリーズの背表紙を並べると、シリーズ化されたVHSビデオであることがわかる仕掛けになっています。VHSビデオ本体のラベルは鮮やかなピンク色で、十二夜の月をイメージした三つの丸のデザインが、これらの印刷物の他、本編の映像の中にも出てくるなど、編集が凝っているビデオでもあります。人気の大和悠河さん主演作品なので、復刻版DVDも発売されていました。


 そして、なんと、月組次回大劇場公演作品『ピガール狂騒曲』が「十二夜」を基にしたものなのですね。珠城りょうさん、美園さくらさん、月城かなとさん、鳳月杏さん、 暁千星さん、風間柚乃さんらが、原田諒先生の演出によってどのようなご活躍をなさるのでしょうか。シェイクスピアの原作に比較的忠実な本作品で予習をなさった後に、原田諒先生の世界観をお楽しみになるのもよろしいかと思います。


□ 勝手に評価: ☆☆☆☆☆ 美しすぎる悲劇の公爵の周りで繰り広げられるドタバタコメディー。最後は雲一つないハッピーエンドです




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