2023春〜秋

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    2023年春〜

  ひさ〜しぶりのブログになってしまいました。

  その分、田んぼに行き、汗をかき
  イネの事などに思いを巡らせておりました(笑)


  春からの話になりますが・・・

  雪がやや少ないので種まきをいつもより遅らせました。

  雪が少ないと春の天気のが荒れて、
  寒の戻りが強かったり
  長かったりする傾向があるように感じます。

  でも、準備は早めに。

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  まずは苗代づくり。

  品種ごとに列を分けていて
  山水を一度暖めて、その水を各列に 
  流せるようにしています。


  土を起こし、草を除き

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  水を張り、また起こし、平らたくしながら草を石を除き
  トロリとくるまで、繰り返し。



  苗代をきれいに美しくしていきます。

  草などがあると、苗箱を敷いたときに凸凹ができて
  高低差ができ、水深が変わり
  苗にムラが出来てしまいます。

  これを昔、というか、一言で
  子どもたちにも、ずっと先の誰にでも
  わかりやすく言うとすると
  
  「田の神がいらっしゃる所だから
   綺麗にして清め、お迎えする」

  になるのかな、なんておもいます。
  昔から言うように。

  こうして行えば、きっと苗代の出来上がりの姿は
  具体的な説明がなくとも、とても良いものになると
  思います。



  今年もきれいに迎えの準備が出来ました。


  手をかけて、綺麗に仕上がると
  とっても気持ちが良く、いつ見ても、
  毎度でも気持ちいい。


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  空気中にも水の中にも、ヒトの体内にも
  そして種にも常在菌がたくさんいるようです。

  ほかの生きものと同じで、種もストレスだったり
  環境が悪かったりして弱っているとその辺に
  普段からいる菌で病気になったりします。

  そこで、種についている繁殖してほしくない菌を
  お湯で消毒します。
 
  酒蔵で働いている方とお話していて、
  お酒の「火入れ」の話になりその温度と浸ける時間が
  種の温湯消毒のそれとピッタリおなじだったので、
  どこまでいっても、米は米なのだなと、なるほど納得。


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  すべての品種、収穫の早い順に
  (粒の小さい順でもあります)

  農林1号、豊年早稲(ほうねんわせ)、
  初錦(はつにしき)ササニシキ、コシヒカリと、
  湯に浸けてその後10日ほど、水に浸けておきます。

  秋、穂が出て実って、地に落ちても
  秋に芽が出ないよう、ちゃんと春に芽を出せるように
  水に浸かって積算で大体100℃
  (一日の平均気温が10℃なら10日)
  にならないと発芽しないので、そのために。

  でも実のところは、品種ごとに積算温度が微妙に違い
  温度のかかり具合によっても、発芽までの温度
  は違うので、毎年違います。

  水も水道水の場合、カルキが入っているので
  汲み置きし、カルキを抜き、たっぷりの水に浸けて
  水中の酸素を意識しながらまた、汚れないように
  何度も水を取り替えて、発芽準備。

  種も生きているので
  できる限り快適に過ごしてもらえるように。


  今年はそれほど寒くもなく、暑くもなく
  穏やかに過ぎていく。


  田植えの準備。

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  暖かくなってきて、オタマジャクシも泳ぎだし
  コウノトリも舞い降りてきました。

  田んぼにコウノトリが来ると
  生き物たくさんいるんだなっと、なんだかうれしい。


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  そして、いよいよ種まき。

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  品種ごとに粒の大きさも違うので、芽が出て
  その後、葉を伸ばしても窮屈すぎないよう
  それぞれ快適に過ごしてもらえるますように。

  土の上に芽が出てくれると、
  うれしいやら、ほっとするやら、とにかく、めでたい!

  舞い降りたようなめでたさ。

  それまでも生きていたのだけれど
  目で見える生命の誕生。


  
  苗代に並んでいく。

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  今のところ、きつく冷え込まないけれど
  通気するシートもかけて
  夜の寒さと、寒の戻りを和らげてもらう。

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  その後、きつめの寒気もおりてきて
  苗はそれほど伸びずに、やや小さい。

  肥料をいれないので、
  天候と環境と種の生命力で
  苗の出来がちがう。

  いつもの時期に種まきをしていたら、田植えの時期に
  寒気に当たっていたので、
  少し種蒔きを遅らせて良かった。

  田植えで切れた根を土に伸ばせるように
  種の胚乳の養分が少し残っている間に田植え!

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  苗を田んぼに運んで

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順に。

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  すべての田んぼに苗が植わりました。

  最初に植えた田んぼはもう根が張っているので、
  すぐに中耕。

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  はじめは小さな苗が泥に埋まらないように
  やさしく土に空気と水と温度を混ぜていく。


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  すべての苗を見て、すべての苗の多数決によって
  田んぼの水位を決めていきます。

  植わった場所と苗の長さで
  「水が多いよ!」「水もっと欲しい!」
  「このままがいいんだけど!」
  と、それぞれ。

  個別に対応してあげられれば
  一番良いのだけれど
  そうもいかず、ほんとうに田んぼ全体を
  もっともっと均平にしたいと
  毎年つくづく感じます。


  この時期は、朝から夕方まで毎日
  田んぼを混ぜて、
  土の中の菌類の営みによる恵みをイネにお届け。

  日を追うごとに、葉の色、大きさ、艶がよくなり
  とっても気持ちがよさそうなので、中耕作業は
  気持ちよく進んでいきます。

  1周、7500坪を6周で、45000坪。
  40日ほどかけて歩いて行って
  新品の足袋は毎年、穴だらけ(笑)

  苗の生長を感じて、オタマジャクシがカエルになり
  トンボも羽化がはじまり、ツバメが飛び回り、
  そして羽化のピークが過ぎてくると、
  苗も苗と呼ぶにはちょっと大きいほどに
  育ってくれます。

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  肥料がないなら、何でイネは大きくなるのか。




  水中、土中、田んぼのまわりの菌類。
  雨に含まれる海の塩分、世界中の珍しい菌類。
  光合成細菌、バクテリア、嫌気好気菌、微生物
  虫や動物の営み山水に含まれる森の営みによる恵み
  大気の流れ。

  この星の営みによる恵みを余すところなく含んだ流れ。

  この流れに根を伸ばし、根を張れていれば
  イネはきっと肥料を与えられた以上に大きくなることが
  できると感じています。

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  苗がイネと呼べるよくらいになったら
  もっと中耕したくても(笑)
  中耕はおしまいです。

  (この時期、イネは根を横に伸ばすので
   イネの間を歩いても
   根を切ってしまう音を足から感じてしまいます)


  これからは水加減。


  田植えの日から、雨の日以外は毎朝4時ごろに
  すべての田んぼに水を入れ、
  9時ごろには水を止めて回ります。

  早朝だと気温より水温のほうが暖かく、
  9時にはお日様のエネルギーも力強くなるので
  薄く張った田んぼの水を暖め、その光で
  田んぼに住む菌類の活動を活発にしてくれます。



  それでも、雨がないと大きくはならない。



  横から山の営み豊富な水を当てても
  やっぱり上からくる雨とは違います。

  雨には海が入っていて、世界中の菌類が入っていて
  田んぼにはきっと、それを待っているものも
  数多くいて、雨の恵みは山の恵みと全く違う。

  そんな風に感じます。
  

  今年は去年と違って、7月中頃までは
  よく雨が降ってくれて

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  とても大きく育ってくれた。

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  のに・・・

  突然に雨が降らなくなった。

  

  穂が出る準備をする前から
  穂が出揃って穂が垂れるまでの
  とっても大事な時期に
  雨が一か月以上降らない。

 
  田んぼには常に水があり
  数日おきに新鮮な水にしていても
  やっぱり雨とは違います。


  穂が出てみると、一粒は大きいけれど、
  体のわりに、ひと穂につく数が少ないものが多い。



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   それでも美しい。


   初錦の穂の先が赤くって今年もうっとり。


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  さあ!


  バインダーでイネを刈り束ねていきます。



  刈っている時におおよそ豊作かそうでないかが
  いろいろなところでわかります。

  早稲の農林1号は、あれほど雨が降らなかったのに
  ややたわわ。

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  早稲は種まき後、外に出てからの数日、
  寒暖の差が激しかったことなどで、
  苗が小さかった。
 
  さらに田植前後にも寒気がおりてきて
  気温が低かったので
  田植え後、新しい葉が伸びて大きく広がるまでに
  時間がかかった。   
  
  その後はよく晴れて、よく雨が降って
  ほとんどの田んぼで良く育ったけれども
  雨がなくて、なかなか土の菌類たちの活動が
  活発にならず、イネにとって大切な時期に
  その恵みを十分には受けられなかった。

  豊年早稲、初錦はそれが如実に現れて
  少ない。

  ササニシキも少ない。  

  農林1号は粒が小さいので
  そのあたりが今年は幸いしたのかな?

  でも、粒の大きなコシヒカリは
  こんな年でもいつもどおりに
  たわわに実っています。

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  今年は豊かで穏やかな佇まいのコシヒカリ。

  
  環境の変化に寄り添うのが
  ほかの品種と比べると上手なように感じます。

  福井県生まれの品種ですし
  きっとこの地のこの気候にあう
  品種なのだと思います。
  

  (豊年早稲も初錦も福井生まれの品種です。
   豊年早稲は全国的に栽培されたようですが、
   初錦は太平洋側の千葉県で多く栽培されていた
   ようです。)


  それでもその年の天候によって
  品種ごとにさまざまです。

  
  


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  天然の栄養、恵みで育ったイネのお米は一粒づつが
  それぞれ完結しているように感じます。

  かりに一穂に一粒しかお米がついていなくとも
  その一粒はブリッとりっぱな一粒。

  栄養が途中で上手くまわらず、黒くなったり
  高温で白くなったりするお米はあるのだけれど
  途中で生長が止まってしまって
  「米」になれなかった米がほとんどない。

  無いわけではないけれど、
  肥料で育ったイネと比べると
  驚くほど少ない。


  皆、条件がとっても悪くても「米」には
  なっている。

  どんな形であれ完走する。

  完走できる。

  その割合が高い。




  この星のリズムにのれば、当たり前なのかもしれない。


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  これを丸ごと口にできるということは
  それとひとつになれるということかもしれない。

  また、それがおいしい。

  おいしいはひとつの答えのように感じます。


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  イネの育てたお米。


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  稲刈りの終わりごろには

  集落のお祭りでした。

  数年ぶりに響く奉納の太鼓と笛。そして掛け声。


  のぼり旗が風に鳴って

  秋が深まっているようです。



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2023年 春

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若狭の今年の菜の花も
おいしかった。

爽やかで、勢いがあって
春の祝いのような風が吹く。


よく噛んでいくと
苦みはなかなかに強かった。



しっかり雪が降った年は、
苦みはあるものの、なんだか
雪で割られて涼しくて、すがすがしい味がする。


今年の菜の花は
「まあ、比較的に楽な冬だったかな」
といっているように
なかなかに大きく太く強い味がした。
ような気がした(笑)

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おっしゃる通り、
今年は雪が少なかった。

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北陸若狭の降雪量はヒマラヤの降雪量と
深く関係があるらしい。

ヒマラヤの雪が融けて冷たい川になって
インド洋に注ぎこまれ、海水温を下げて
偏西風がうねって、その凹にある
列島に寒気がおりてくる。

雪が少ないとインド洋が暖かく
うねりが凸になって寒気が降りられないらしい。

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雪が降ると、その重みで大地を押し固めて
ゆっくりゆっくり、シトシトと山に浸み込んでいくのだとおもう。

雨だと、少しは含むだろうけれど大半は流れてしまう。

やっぱ雪だと思う。

雪が少ないと、山に浸み込む量も少なく、
地も締まらない。
山土も柔らかいと含水率が落ちるのかな。
水が抜けやすいのか。

一冬雪が少なくても、全く降らなくても
すぐ山水が枯れることはない。
でも、夏の山水の水量が雨量で割り切れないのは、
雪の要素が大きいとおもう。

具体的にはわからないけれど、たしかに繋がっている。
切れ目なく。

過去と現在と未来という繋がりは
きっと流れている川のごとくで
切ることができない、
ならば冬と春も、また土地の歴史も
先祖と自分との繋がりも
断つことはできない。

たしかに繋がっている。
はっきりも細かくもわからないけれど
たしかに、この冬の先に春が続く。


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雪がなかったり少なかったりすると
必ずというわけではないけれど、
春が荒れることがある。


時季外れの、厚みのある寒気が張り出してきて
可愛らしい春に似合わぬ冷えになったり、
やわらかな春に似合わぬ暑さになったり様々ですが、
どちらも、種苗には強烈。

霜に当たれば苗も枯れてしまうし
暑すぎても妙に伸びてバランスを失う。

もし気候が合わず、イネが少なく、小さくなっても
田んぼの中でじっと機会をうかがっていた、
今まで小さく、少なくなっていたモノ(雑草と呼ばれる)の中で
待ってましたというモノが
繁栄繁殖していくのがみえる。

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それはその営みを終えて
土を形づくる菌の海に融けて
来年の多彩な養源となるので
イネの事だけ考えても
やっぱり、いいことばかりはありはしないし
悪いことばかりもありはしない。

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調和。
この調和は何が担うのか。

イネだけの田んぼでは
それほどイネが豊かになったり
しないのではないか。

田んぼの中でも外でも
一種の永続的な繁栄なんて
あるわけがない。

多彩さ。稀な要素。
大事な要素。
きっと稀だから大事な要素。

持ってきたり引っこ抜いたりするんじゃなくて、
イネの営みで山水が田んぼでより豊かになって、
川を海を豊かにして、雨になって、
また山を潤し豊かになって田んぼに廻ってきて。

625一号


















山に、田に、川に、海に、星にすむ命たちの営みの
流れの中のイネ。


過去、現在、未来を繋げる、田んぼのイネ。

気候に、星の営みに、その揺らぎにピタリと寄り添い
境い目のないひとつの動きにしていきたい。
そのイネの育てるお米が食べたい。

9.2 (4)












何の話かわかりませんが(笑)

菜の花がやや苦いので
今年は種まきを少しだけ遅らせます。






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新米のご案内

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  2022年度の新米のご案内をメールにてさせて頂きました。

  もし、ご希望で届いておりませんでしたら、お手数ですがご連絡ください。

  
  農家 Made In Earth

  責任者 平岡 貴志









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農家 Made In Earth

sicne 2005

福井、若狭で農薬も肥料も
一切使わないイネを
田んぼに植えています。

田んぼに意識的に入るものは
種と水だけ。

自然の流れの中で
山の木々や畔草や
あたりの生きものと一緒に
育った、活力に満ちたイネを
できる限り天日干しで
お米にしています。





おいしいお米が食べたい。
おいしいってなんだろう。
(2002)

肥料分が米粒に残ると
味がおちるらしい。
(2003)

育つための栄養分と
お米一粒づつは
確かに通じている。
農薬も通じているのだろうか。
(2004)

何で育った米粒なんだろう。
肥料って
何でできてるんだろう。
どっからきたどんな育ちの
肥料なんだろう。
(2005)

水って大事。
(2010)

肥料がないなら
何でイネは育つのだろう。
(2015)

それってどうやって生まれる
エネルギーなんだろう。
いつから続いていたんだろう。
(2016)

自然の流れって
どうやって大きくなって
いくのだろうか。
(2017)

雨と海って
つながってるのだろうか。
どうしたら
たとえば海や山の養分を
イネの根に贈れるだろうか。
(2018)

田んぼでクジラが
跳ねたように
感じたけど気のせいかな(笑)
土が鼓動したように
感じたけど気のせいかな(笑)
(2019)

イネが
とっても生き生きしている。
ぶっとい生命力。

葉っぱの色は
日に透けると
香るような透明感。

葉の色は境のない
緑の濃淡。

田んぼは
まるでイネの森。

日を浴びると
葉っぱで営まれている
光合成の音
が聞こえてきそう。


迷いなく
真っ直ぐ空に
茎を伸ばしている。


朝の涼しさの中
山の土産のような
澄んだ水が
田んぼに流れていき
うるおし、満ちていく。

日が当たり
みるみる暖まってきた。

土の表面の
ふわふわした誰かのフンと
土の混ざったのを
おたまじゃくし が
パクパクと吸って吐いて
ばしゃばしゃ動いて
かき混ぜている。

それがイネの根元に
ふわふわと降り注ぐ。

土に
びっしりと張りめぐらした
イネの根の絨毯。

土の下で
イネの根に宿る根菌類も
新鮮なそれを待っている。

葉っぱで生み出した
光合成なエネルギーと
根から取り込んだ
そのエネルギーをまぜて
爆発させているかのよう。

耳じゃないとこで
蒸気機関車のような
イネの育つ音がする。

イネの根の隙間で
根を伸ばし
葉を広げようとする
たくさんの雑草たち。

イネの上に
葉っぱを伸ばすことは
並みじゃないだろうけど
みんなみんな
生き生きしている。


なんだこれ。
すごいな。
肥料ってリミッターなのかな。

このイネの根っこ。
どこと繋がって
どこまで続いているんだろう。

何とひとつになってんだろう。

いつから流れているんだろう。

それと関係してないものなんて
あるのかな。


すべての海と空と大地と
つながってて
まるで星のリズムで
踊っているような
田んぼのイネ。

そのイネの育てたお米は
星の味がするだろうか。

食べたら
星とひとつになれるだろうか。

(2021〜)



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