2018年09月20日

災害後のこころのケア2~北海道胆振東部地震を経験して~

こんにちは。まどかレディースクリニック心理士の竹原です。今日の札幌は雲一つない青空が広がっています。9月中旬の日照時間は過去50年で最も長いとのことですよ。

 

前回から引き続き、災害後のこころのケアについてもう少しお話しさせてください。

 

前回は、人と比べないこと、焦らないことが大切ですとお話しさせていただきました。今回は地面が揺れる、家が揺れることのこころへの影響。そしてその後のケアについて。

 

自分が立つその地面が揺れるということは、心理的に自分自身の基盤が文字通り揺らぐということです。これはとても大きな恐怖です。そこは揺れるはずのない、安定したものであるはずだったのに、ある時急に揺れて、安心できる空間だったはずの家が危険な場所になってしまう。これは心理的にとても大きな影響を与えます。自分自身でコントロールができない無力感、安心できる空間を奪われた不安感が一気に押し寄せます。感じ方、強さは人それぞれですが、少なからず影響があるのが自然なことです。

 

こういう不安な状況の中で、テレビなどで衝撃的な映像を繰り返し見ることは大きな負担になります。必要な情報を得ることは大切ですが、繰り返し映像を見るうちに、意識する以上にこころの負担がかかっていることがほとんどです。特に小さなお子さん、感受性の強い方はこうしたテレビ番組などを避けることをお勧めします。どうしてもニュースだけは…という方も、時間を決めて、繰り返し同じ映像が流れ始めたらテレビを消しましょう。(もちろんいつも楽しみにしているドラマを見たい!という時は消す必要はありませんよ♪)

 

テレビの代わりに…というわけではありませんが、お勧めしたいことの一つは人と話すことです。話したくないことを話す必要はありません。でも、自分が話したいなと少しでも思うことは話してみましょう。こんなことくらいで…と思わずに気持ちを表すことが、心の整理につながることは前回書いた通りです。

 

言葉のやりとり以外の方法もあります。自分をきちんと支えてくれる人、モノがあるということをきちんと味わうことです。難しいことはありません。まず安心できる空間で楽な姿勢になります。座っても寝転がっても。好きな姿勢を見つけてゆっくりと呼吸します。そして自分のからだがどうやっていすやソファ、床などに支えられているか味わってみてください。足の裏が床にきちんとついて支えられていることを味わいます。最初、感覚がわかりづらかったら、ゆっくりと足を下に押し付けてみましょう。床は揺らがず、そこにあり続けます。壁に背中を持たれかけて、背中で押してみてください。壁は固く、あなたの力を受け止めて支えてくれます。この感覚を味わってみてください。もし嫌な気持ちになってきたらすぐ中止してください。でもそこでふっとした安心感が得られたら、支えられていることを味わいながら、呼吸を続けて安心感を味わってください。一日の中で5分でも、安心感を実感できることが役に立ちます。

 

もし可能なら、誰かと一緒にやってみましょう。信頼できる相手と、背中あわせに体育座りをして背中同士の感覚を味わいます。そして、その感覚を共有してみてください。あったかい、ごつごつしている、大きな背中。なんでもいいんです。くすぐったいな~って笑ってしまうこともあるかもしれません。でもそういう触れ合いもこころを元気にしてくれます。

 

これは子供の遊びの中で活かすこともできると思います。「地震後のこころのケアです!」と気張る必要はありません。「お母さんと一緒に背中でこんにちは遊びしてみよう!」と声をかけて、背中を合わせてみてください。「お母さんの背中どうかな~?」「○○の背中はあったかいね~」と声をかけて遊んでください。「お父さんの背中大きくてびくともしないね~」「なんかふわふわしているね~」。子供が感じたことを言ってもらえたらいいですね。お子さんが嫌がったらやめてください。でも背中、お腹、おでこ、手、足、どこでも合わせて温かさを感じあうってお互いに安心するものです。お友達同士でやってみるのもいいですよね。

 

味わうというのが少し難しいなと思ったら、感じたこと、思ったこと、からだやこころに怒った変化を自分の頭の中で実況中継してみてください。感じていることありのままをリポートする感覚です。自然と意識がその部分に向いて、その場にある安心感を育てる資源に気づくことができますよ。

 

子供騙しみたいに感じられるかもしれません。でも自分を支えている地面、床が揺らぐという経験をした今、支えられている感覚に意識を向けることが安心を取り戻すのに役立ちます。

 

もし気が向いたら、試してみてくださいね。

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オータムフェスタが始まりにぎわっている大通公園です




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2018年09月18日

災害後のこころのケア~北海道胆振東部地震を経験して~

こんにちは。まどかレディースクリニック心理士の竹原です。

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6日に北海道を襲った大地震から10日あまり。今も避難所での生活をされている方もいらして、不安な日々を過ごされていることと思います。少しずつ生活が落ち着いてきたという方の中にも、精神的疲労感を抱き始めた方、お子さんのこころのケアについて悩む方が増えているように感じます。

 

そこで、今日は災害後のこころのケアについて少しお話ししたいと思います。

 

今回は広範囲にわたって地震による影響を受けました。その結果、被災の程度にかなりのバラつきが見られたように思います。停電復旧に関してだけみても、同じ札幌市内ですらかなりの時間差がありました。こういう中で、人は自分より被害状況がひどい人もいるのに…と不安や辛さを口にすることを我慢しがちです。「もっと大変な目にあっている人がいるのに」と考えることで自分自身が精神的に受けたダメージを過小評価してしまうのです。

 

けれど、それはやめてほしいと思います。

 

他の人と比べるのではなく、自分自身があの日起きたことについてどう感じ、何を考えたのかが大切です。人と比べて自分は大したことないのに…という考えは危険なのです。

 

自分自身がどの程度のダメージを受けたのか正確に認識しましょう。同じことを経験しても感じ方が違うのは当たり前です。あの人はもうすっかり元気なのに…と比べることはやめてください。

 

疲れたな、不安だなと感じるのは時間が経ってからということも多いものです。時には1年、2年と経ってからなんらかの症状を感じることもあります。それは決しておかしいことではありません。早く前を向かなくてはと焦る必要はありません。自分自身のペースで、自分自身が感じたことを大切にしてください。

 

そして、嫌じゃなければ誰かに話してみてください。誰に対してでもいいのです。あなたが安心して話すことができる相手に伝えて、受け止めてもらう、共有することが大事です。

 

それは子供にとっても同じこと。小さな子供がごっこ遊びの中で地震や停電を取り入れる場面がみられるかもしれません。それは彼らが体験した大きな出来事を消化していくために大事なプロセスです。不健康なことではありません。自由に語ることができる場、表現することができる場を大人が守ることが大事です。「早く忘れちゃいなさい」なんて言わないでください。「こう感じたんだね、怖かったんだね」と声をかけてあげるだけで十分です。

 

もしあなたのお子さんが不安そうにしていたら、抱きしめて「怖かったんだね」と声掛けしてください。早く乗り越えさせなくてはと焦る必要はありません。怖いことが起こった時、怖いと言えることはとても大事なことです。そしてそれを親が「怖かったんだね」「不安だったんだね」と受け止めることで子供は安心感を取り戻していきます。「お父さん、お母さんはこんな風に感じたな。」と自分がどう思ったのかをありのままに伝えることもいいと思います。怖かったのなら「お母さんも怖かったな。でもあなたが怪我しなかったからほっとしたわ。でもちょっとまだ不安だから夜は手をつないで寝たいな。」とか「お父さんも地震は怖かったけど、仕事休みでお前と過ごせたのはうれしかったな」とか。親だから強くなきゃ、安定しているところを見せなくちゃと親が頑張りすぎないこと。一緒に体験したことを共有してみてください。「怖いと思う自分はおかしくないんだ」と思えることも子供にとって救いになります。そしてゆっくりと消化していきます。時に、大人よりもずっと早い回復力を見せてくれたりもします。

 

とはいえ、子供は大人程まだ上手に言葉で表現できないことも少なくありません。次回は、言葉を使わないやりとりのなかで安心感をとりもどす方法の一つをご紹介したいと思います。

 

生活が落ち着いてきた頃こそ体調に異変が出てきやすいものです。ちょうど季節の変わり目で朝夕はずいぶん涼しくなっています。からだとこころをいつも以上に大切にしてくださいね。

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2018年07月09日

想いを上手に伝えられていますか?

こんにちは。まどかレディースクリニック心理士の竹原です。

大雨被害の様子をニュースで見るたびに心が痛みます。被害にあわれた方の生活、心に平穏が早く戻られますよう祈るばかりです。

 

今日は当院で行っている心理士のプログラムの一つ「アサーションプログラム」についてご紹介いたします。これは自分の気持ちを相手に丁寧に伝える方法を考えるプログラムです。「アサーティブトレーニング」の本はたくさん出版されているので、ご存知の方も多いでしょうか。近頃では女性誌でもアサーションについて取り上げられているのも目にします。

 

日本人は自己主張をするのが苦手だと言われます。「察する力」が求められますし、「我慢する」ことが美徳とされがちです。けれど、本当は言いたいこと、相手に伝えたいことがあるのにうまく言えない、言ってはいけないと我慢し続けるのは心に大きな負担を与えます。

 

アサーションにはいくつかのスキルがあります。けれど、アサーションプログラムを受けていただく方々とお話しをしていていつも感じることは、スキルを身に着けることよりももっと大切なことがあるということ。それは、それぞれの方が何を伝えたいと思っているのか、どんな気持ちでいるのかをまずご自身が感じ取り、理解するということ。皆さんプログラムを通じて、ご自身の気持ちを大事にするという感覚を取り戻されて、すっきりとされていくように思います。つい自分以外の方の気持ちを優先しすぎがちな現代人。たった4回ではありますが、プログラムの時間内で、自分自身に向き合い、自分の感覚を大事にするという経験をされることでもう少し楽に生きていくヒントを一緒に探していければと思っています。

 

ご興味のある方は診察時にご相談くださいね。

 

※心理士プログラムのみの実施はお受けしておりません。

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まどかレディースクリニックは女性のからだとこころをサポートする婦人科です。

http://madoka-lc.com

 




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