2009年07月14日

サミット総括

毎度毎度、時勢に遅れ気味ですが、G8ラクイラ・サミットの記事を集めてみました。
今回のG8ラクイラ・サミットの概要は外務省のHPに詳しいので、興味のある方はご覧ください。
G8ラクイラ・サミット 概要(外務省HP)

今回も麻生首相はサミットに先駆けて、5日のフィナンシャル・タイムズ(アジア版)に「世界の持続的な生存と食糧生産に向けて(The world must learn to live and farm food sustainably)」という文章を寄稿しています。
まずはそちらからご紹介。

世界の持続的な生存と食料生産に向けて
The world must learn to live and farm sustainably
July 5 2009 20:08 The Financial Times
 今週金曜日、27か国の首脳と11の機関の長がG8ラクイラ・サミットの機会に集う際、食料安全保障は議論のハイライトとなる。私は、特に食料危機に苦しむ国々に対する援助について顕著な進展が達成されることを期待している。ラクイラで私は、責任ある海外農業投資を促進するための新たな提案を行うつもりだ。これは、いわゆる「農地争奪」−途上国の農地への大規模投資の増大傾向−を受けた提案である。
 この現象が世の関心事となってから既に1年が経つ。その間、新たな土地取引は継続的に新聞の見出しを飾った。国連特別報告者は行動原則の策定を呼びかけ、アフリカ連合(AU)は先週のAUサミットで本件について議論を行った。今必要なのは、関係者が結集し、グローバルな共同対応を形作ることである。日本は、世界最大の食料純輸入国かつ農業援助の主要ドナーとして、果たすべき役割があると考えている。
 過去数十年間、市場が安定していたおかげで、先進国への食料供給は当然視された一方、途上国地域の大部分では、食料不足が積年の課題であった。
 最近の価格高騰とそれが世界中で引き起こした社会不安は、世界の食料供給を巡る不確実性をまざまざと見せつけた。輸出規制は、輸入国において、もはや市場に頼ることはできないという不安を煽り、土地争奪を引き起こした。同時に、未曾有の価格高騰は、人間の安全保障に対して深刻な脅威を与えている。世界の栄養不足人口は近く10億人の大台を超える見込みである。
 今回の食料危機は、これまでも起こったような市場の気まぐれだろうか?様々な証拠が示唆するのは、そうではないということである。我々は、経済、気候、人口、環境を巡る新たな現実を受けた、新たな均衡点への移行の最中にある。そうだとすれば、食料安全保障はもはや飢餓救済のみの問題ではない。問題は、持続可能な生存のために、いかにして食料生産を従来の経済的・地理的な壁を超えて拡大できるかにある。
 途上国地域の農地への投資は、このような文脈の中で考える必要がある。これをゼロ・サムでなくウィン・ウィンの状況として捉えるべきである。日本とブラジルが30年かけて不毛の大地を世界有数の穀倉へと変貌させたセラード開発は、誇るべき先例である。
 規制的なアプローチは良い投資を抑制する可能性があり、望ましくない。持続的な投資は、持続可能な未来のための唯一可能な解決策であり、我々は、市場への信頼の回復、特に相次ぐ輸出規制を受けた食料輸入国の間の懸念の解消、に取り組まなければならない。慈善活動だけでは、永続的な解決にはならない。セネガルのワッド大統領は、自助努力を手助けするよう求めている。日本が主張する責任ある農業投資は、まさに同じ哲学に根ざすものであり、被援助国が産業として再生した農業を通じて経済発展を遂げることを支援するものである。
 我々は、責任ある投資及び持続可能な農地管理は法的拘束力のない原則によって促進されると考えている。この原則は以下の内容を含むべきである。
国際農業投資、特に政府が関与している場合には、透明性と説明責任が不可欠である。投資家は、地域共同体を含む主要な関係者が、適切に情報提供を受けることを確保すべきである。合意事項は公開されるべきである。
投資家は、投資計画が影響を与える地域住民の権利、特に土地に関する権利を尊重しなければならない。投資家はまた、投資によって得られた利益が、雇用、インフラ、技能・技術移転のかたちで地域社会と共有されることを確保すべきである。
投資計画は、被投資国の開発戦略と環境政策に統合されるべきである。
投資家は、被投資国の食料需給の状況を考慮に入れなければならない。外国からの投資が現地の食料不安を悪化させるようなことはあってはならない。
土地や生産物の取引は、市場価格を適切に反映すべきである。貿易措置は、WTOルールに従わなければならない。
 日本は、主要パートナーとの協力のもと、行動原則に合意し、良き慣行を取りまとめるためのグローバルな協議体を立ち上げる。我々は、9月に関係者が集うことを提案する。我々の利益は相互に関連しており、共通のビジョンを有した大連合が必要である。

そして上記に関する記事が、同じくフィナンシャル・タイムズの6日の朝刊の1面と4面に載っていたのですが、残念ながら日本語訳を見つけられず。
G8 shifts focus from food aid to farming
Poor nations look for help to feed themselves
仕方がないので、G8で話し合われた食料安全保障について、日本の動きを報じている英紙の報道を報じた日本の報道(ん?合ってる?)をご紹介します。

G8、途上国農業支援へ=日米主導で120億ドル超−英紙
2009.07.06 11:40 時事ドットコム
 6日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)によると、イタリア・ラクイラで今週開催される主要8カ国(G8)サミット(首脳会議)で、開発途上国の農業開発を支援する「食料安保イニシアチブ」が発表される見通しだ。期間は3年間で、総額は120億ドル(約1兆1500億円)を超える。
 途上国向け農業支援の手法が、従来の食料援助偏重から、長期的な農業開発支援にシフトする傾向を裏付けることになりそうだ。

えー、偉く短い記事になっちゃってるんで補足します。
・米国と日本が負担するのは、それぞれ30億から40億ドル。
・従来の農業に対するODAや財政支援の削減傾向を修正するものとみられる。
・米国では国内の農業生産者からの反発を招く可能性もある。
・日本は、長期的な農業への投資を強調している。
・食料価格の高騰により、飢餓に苦しむ人々は10億人を突破した。
・国連も国際援助の削減は飢餓や疫病の増大に繋がるとして警告を発する予定。
・国際農業開発機構(IFAD)はこの転換を歓迎。
大体、こんな感じでしょうか。
とりあえず、途上国への食料支援を短期的なものから長期的なものにすべきだ、と日本とアメリカが主張して、その方向をG8、国連、IFADも歓迎する、とこういうわけですね。
日本のテレビや新聞は「日本、存在感発揮できず」と言い切っていましたが、これらを読む限り、何を根拠にそう言い切るのかちょっと聞いてみたい感じがします。

続いては、安全保障の件について。
まずは北朝鮮についてですが、外務省のG8のページにはこう書かれています。
麻生総理より、北朝鮮による弾道ミサイル発射及び核実験は容認できず、北朝鮮の核保有は絶対に認めないとの国際社会の姿勢を明確に示すべきことを強調した。これに対し、各国よりも同趣旨の発言を行い、宣言では最も強い表現で北朝鮮を非難し、安保理決議1874の完全履行に各国が取り組むことの重要性を確認。また、拉致問題についても麻生総理より取り上げ、各国よりの支持の下、首脳宣言に盛り込まれた。
この件に関しての産経の記事をご紹介します。

【サミット】北朝鮮の核・ミサイル実験を強く非難
2009.07.09 09:24 産経ニュース
 【ローマ=今堀守通、比嘉一隆】主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)は8日夜(日本時間9日未明)、主要8カ国(G8)が政治問題を討議し、北朝鮮の核・弾道ミサイル発射実験を強く非難し、国連安全保障理事会決議1874号の制裁規定を「完全かつ透明性をもって履行することを国際社会に要請する」とした首脳宣言を取りまとめた。核不拡散では、6日の米露首脳会談での核軍縮に関する合意を歓迎、「核兵器のない世界の状況を作ることを約束する」とした。
 北朝鮮問題では、麻生太郎首相が核・ミサイル実験に対し「国際社会の声を無視するものだ。断固とした立場で臨むべきだ」と主張。各国首脳からは「北朝鮮の問題はアジアだけの問題ではない」と首相を支持する発言が相次いだ。
 首相は拉致問題も取り上げ、首脳宣言には「北朝鮮が、拉致問題を含む人道上の問題に対する国際社会の懸念に直ちに取り組むことを要請する」との文言が盛り込まれた。
 イラン問題では、大統領選後に市民の行動(デモ)規制、言論抑圧、英国大使館員や報道関係者などの拘束・逮捕が相次いでいる現状に、各国首脳が強い遺憾の意を表明した。ウラン濃縮活動を継続していることにも深い懸念を示し、G8として、連帯してイランに即時停止を強く求めることで一致した。
 政治問題の前には、地球温暖化や経済問題にかかわる首脳宣言を発表した。温室効果ガス排出削減の長期目標について、世界全体で「2050年までに少なくとも半減」という昨年のサミット合意を再確認。新興国も支持することを前提に、先進国全体で「50年までに80%、またはそれ以上削減」との新たな目標を掲げることで合意した。
 地球温暖化では、産業革命以前の水準から世界全体の平均気温が「2度」を超えないようにすべきとの認識を共有。先進国が負う「80%」のガス排出削減の目標の基準年を、日米と欧州の意見の相違を踏まえ「1990年または、より最近の複数年比」とした。
 一方、新興国は数値目標を課せられることに反発していることから、G8に新興国を加えた17カ国が9日午後(日本時間9日夜)に開く主要経済国フォーラム(MEF)の首脳宣言で、数値目標が盛り込まれるかは不透明だ。
 アフリカを中心とする途上国支援をめぐっては、G8が誓約した、開発支援の実施状況を確認する作業部会設置が盛り込まれた。
 世界経済については、「危機克服」に向けた雇用の維持・促進を進める政策の重要性を確認した。財政出動や金融緩和を伴う積極的な景気刺激策を、平時の状態に戻す「出口戦略」の必要性の認識でも一致した。

首脳宣言に「拉致問題に取り組む」旨が入ったのは喜ばしい限りですが、残念ながら鍵を握る中国の胡錦濤氏はウイグルの問題で先に帰ってしまったので、中国がどのくらいこの問題に本当に&どれくらい協力するかは未知数です。

安全保障に関しては、他にもいくつか記事を見つけたのでご紹介します。

【サミット】露大統領、領土問題で具体的提案せず
麻生首相と会談

2009.07.09 19:38 産経ニュース
 【ローマ=今堀守通】麻生太郎首相は9日午前(日本時間同日午後)、主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)が開かれているイタリア・ラクイラ市内のサミット会場で、ロシアのメドべージェフ大統領と会談した。焦点の北方領土問題では、問題解決に向けて電話会談などを通じて首脳レベルの協議を加速していくことで一致した。しかし、大統領は「独創的なアプローチ」でのあらゆる解決策を用意していることを表明したものの、具体的な提案は行わず進展はなかった。
 領土問題について日露双方は今回の会談で、「問題解決に向けたあらゆるオプションが議論される」(プーチン首相)ことになっていた。その点を踏まえ、大統領は麻生首相に対し「あらゆる解決策」は双方が受け入れ可能なものであり、「建設的な形で話し合う用意がある」と述べた。
 一方で「対話を続ける上では環境整備が必要だ」とも強調。首相が5月の国会答弁で「ロシア側の不法占拠が続いている」と発言したことや、3日の参院本会議で北方領土を「日本固有の領土」とする改正北方領土問題解決促進特別措置法が成立したことに「ロシア側は議会を中心に厳しい反応がある」と述べ、日本側が環境整備を阻害していると不快感を示した。
 これに対し首相は、「ロシア側が関心を持つアジア太平洋地域での経済分野の協力と並行していく必要がある」と強調した。その上で、「領土問題で具体的な進展を図る用意がないのであれば、アジア太平洋地域のパートナーとしての関係を構築することにはならない」と反論した。「不法占拠」発言には、「北方四島がロシアに不法占拠されている法的状態は、日本からすれば国際法上根拠のない占領だ。日本政府の一貫した立場だ」と指摘した。
 会談ではこのほか、日露両国と米国を交えた3カ国がアジア太平洋地域の安全保障について協議していくことを決め、専門家による会合を早期に発足させることで一致した。北朝鮮問題では、検証可能な非核化を実現すべく引き続き連携することを確認した。

この領土問題の件は、以前の自由と繁栄の弧、鳩山(兄)故人献金、山拓の末路、etc...でご紹介した、「ユーラシア・クロスロード構想」と関連があるようです。(※サラダさん、教えてくださってありがとうございました。)
つまり麻生総理がロシアに提示しているのは、どうやらこういうことみたいです。
(゜゜)「ユーラシア・クロスロード構想」でロシアの裏庭である中央アジアを発展させてやる。
(゜゜)中央アジアが発展すれば、ロシアから今よりもっと資源を買うぞ。
(゜゜)そうすれば中央アジアのロシア依存はもっと高くなるぞ。
(゜゜)その代わり、それをやるならそれ相応の態度を示して貰わないとね♪
と、まあこんな感じでしょうか。
いやはや、うちの首相も中々どうして、怖い怖い(笑)

因みに、日本のマスメディアでは、ロシアから提案がなかったことだけを取り扱って、如何にも「麻生ダメじゃん」みたいなノリで報道していました。
あの朝鮮日報でさえ「麻生首相、ロシア大統領と激しく口論 G8首脳会談で直截的発言」と報じていたのにも関わらずです。
ちょっと、いよいよ捨て置けないくらいヒドイ感じになってきた気がするのは編集長だけでしょうか。

さて、もうそろそろ文字数が入りきらなくなってきたので、最後のニュース。

日印首脳会談:シン首相、対日関係最優先と表明
2009.07.13 インド新聞
 麻生総理大臣とインドのシン首相は10日午後1時20分から約20分間、G8ラクイラ・サミットの機会を利用して首脳会談を行った。概要は以下のとおり。
1.二国間関係
 麻生総理は冒頭、「先週の日印外相間戦略対話は大変有意義であったと承知している、今後とも日印間の戦略的グローバル・パートナーシップを安全保障や経済など様々な分野でさらに発展させたい」と述べた。
 シン首相はこれに対し、「インドは日本との二国間関係の強化に最高の優先順位をおいており、特に安全保障分野での協力を強化したい」と述べるとともに、インドが最大の受取国となっている日本からのODAに対する感謝を表明した。また、両首脳は、日印の基幹プロジェクトである「貨物専用鉄道建設計画(DFC)」や「デリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)」実現に向けた協力を確認した。また、シン首相が、「経済連携協定(EPA)は日印の経済面でのパートナーシップの強化に極めて重要であり、前進させなければならない」と述べたのに対し、麻生総理は、EPA交渉の早期妥結に向けたシン首相の積極的関与を要請した。
2.気候変動等
 シン首相は、東アジア首脳会議(EAS)等における麻生総理の指導力や今回のG8サミットでの気候変動に関する麻生総理の前向きな姿勢を評価するとともに、COP15に向けて日印で協力していきたいと述べた。麻生総理はこれに対し、「気候変動問題は技術の要素が大きく、途上国であっても気候変動問題に一緒に取り組んでいこうという国に対し、日本は資金や技術を提供していきたい」と述べた。シン首相は、麻生総理の提案に賛同すると表明した。

さて、次回は都議選敗北を胸に、皆さんに編集長から提案があります。
どうぞお楽しみに。






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この記事へのコメント

記事のUPおつかれさまです

うーん、サミット系の記事はもういつでも総じて「大した成果はなかった」っていうのが予定調和の流れになってるみたいなんで、今回の報道もまたか…って感じですね

でもそうした報道の合間を見てみてもサルコジは麻生総理に一定の評価をしてるなっていうような場面が何度か出てきました。やはり麻生総理を外交の舞台から去らせるのは惜しい…と切に思います。

民主党では世界と対等に渡り合えるのか非常に疑問ですし
例え、長嶋や前原であっても正直頼りない…というのが感じるところです
1. Posted by akira at 2009年07月14日 03:17
はじめまして。
トラックバックありがとうございました。
マスコミが伝えない、ラクイラサミットにおける麻生首相の努力と戦いを詳述くださって感謝します。
知りたかったことも多くありましたのでよく読んで勉強させていただきます。ありがとうございました。
2. Posted by shoko011 at 2009年07月14日 18:36
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