[カザリとヨーコ]
[SEVEN ROOMS]
[SO・far]
[陽だまりの詩]
[ZOO]

という5つの短編からなる短編集でした。
とにかく読みやすいです。全編、僕や私という一人称主観が語り手で、なんというか私小説風です。語り手に合わせて話を理解していけばいいだけで、読む方としてはすごく楽です。
この語り手たちは置かれている環境が酷かったりするのですが、自分のささやかな才覚で酷い状況をできるだけ克服しようとします。ですから、どの話もある意味若干ポジティブな内容となっていて、辛気臭い内容をえんえん読まされてウンザリするということはないです。

[SEVEN ROOMS]が一番出来が良かったです。ただこの短編は、「ミステリーアンソロジーⅡ 放課後の殺人者」というアンソロジー集に書き下ろしで採用され文庫化されていています。私はこの短編は再読になってしまい、出来のいい短編だけにちょっと損したような気持になりました。

[陽だまりの詩]が私的にはいまいちでした。アンドロイドか主観形式で語るのですが、設定に無理があると思います。いい話だと言えなくもないのですが、感情を持ったアンドロイドが主観的に語ってしまっては人間中心主義の世界観が強烈で、逆にアンドロイドが可哀そうになってしまいました。

トータルで悪くない短編集でした。ただZOO〈1〉1は250ページほどの薄い文庫本です。この後にZOO〈2〉があります。これ、二冊に分ける必要があるのかという疑問は残りました。

magamin1029