風竜胆の書評

コミックスから専門書まで、あらゆる本を読みます。最近、ちょっとフリーライターを気取っていますw 現在「シミルボン」と「本が好き!」でも活動中。 執筆依頼、献本等歓迎します。右欄のメッセージ機能にてご連絡ください。 旧ブログ名:本の宇宙(そら)

<「シミルボン」主催の第1回チキチキ コラム de PVバトル>参戦状況

 以下の通り、「「シミルボン」主催の第1回チキチキ コラム de PVバトル」にコラムを投稿しております。

 1月末までのpvが多ければ勝ちというシンプルなルールになっているので、もし興味がある方がおられたら覗いてやってください。

『マンガ限定。もし結婚できるなら、この作品のこのキャラクター』
  → 「理想の二次元嫁を追及する」
  → 「パンチラシーンも上品、アニメも開始!」


『お腹が空いてたまらない! 飯テロ注意!な作品』 
  → 「食欲だけでなく性欲も刺激!?」


『出勤したくない! そんな時、上司・同僚の机にこっそり置いておきたい一冊』 
  → 「有給を取るのに文句を言わさないように!」

菊池伝説殺人事件3


・菊池伝説殺人事件
・内田康夫
・徳間文庫

 「浅見ちゃん、清少納言と西郷隆盛と菊池寛が親戚だっていうの、知ってた?」(p12 「旅と歴史」の藤田編集長のセリフ)

 熊本県の北部に菊池市という市がある。ここは米どころとしても知られているようだ。タイトルの「菊池伝説」とあるのは、かってこの辺りを本拠とした菊池一族が作品に取り上げられているからだ。

 この菊池氏の出自には異説もあるようだが、本書に沿えば、始祖は藤原則隆。摂政関白であった藤原道隆のひ孫に当たる人物とされ、なんと藤田編集長の言うように、清少納言や西郷隆盛、菊池寛などもその血脈に繋がっているらしい。

 菊池一族は、その発生当事から勤皇思想の権化のような存在であり、戦前までは、国語や修身などの教科書では、楠木氏と並んで、忠義武烈の象徴として称えられていたそうである。しかし、24代武包(たけかね)の時に、肥後菊池家の正統は断絶し、その子孫は全国に散ったという。

 本書は、この菊池一族をモチーフにした「浅見光彦シリーズ」の一冊となる。今回光彦は、雑誌「旅と歴史」の藤田編集長から、菊池一族についての記事を依頼されて、菊池市へ向かった。

 旅の途中、新幹線の席が隣になった菊池由紀という美女が、なんと信州菊池氏の本家筋の女性。ところがちょっと訳ありで、父親が長野県相木村にある親王塚というところで殺され、彼女の恋人に殺人の容疑がかかっていた。由紀もその共犯ではないかと疑われていたのだ。

 おかげで、光彦は長野県警の刑事に付きまとわれるわ、由紀からも付きまとわれていたというあらぬ誤解を受けるわで、今回は散々な出だしである。

 ところで、この作品には、菊池一族を祀った「菊池神社」や菊池一族に縁のある人たちで構成する「菊池会」というものが出てくる。調べてみると、どちらも実際に存在していた。ただし「菊池会」の方は「菊池の会」となっており、また長野県の方には、「信州菊池の会」というのもあるようだ。

 内田作品には、このように実在する観光施設や神社仏閣、団体や人物が出てくるので、読者は旅を楽しんでいるような気分で、作品を読むことができる。その一方、内田氏はプロットを作らないと自ら公言しているくらいだから、謎解きを重視するようなミステリーファンには合わないかもしれない。何しろこの作品にしても、犯人が登場するのは、ほとんど終わりの方。だから絶対に、読者は、犯人を推理することなんてできないだろう。

 この作品で学べることは、予断を持って物事を見てはいけないということか。作品に登場する刑事たちは、最初から由紀の恋人を犯人と決めつけた捜査を行っており、それが真実を見えなくしている。光彦は、予断の無い別の観点から事件を眺めるため、真実にたどり着くのだ。このことは、ビジネスなどの教訓としても肝に銘じたいことだろう。

※本記事は、「シミルボン」に掲載したものです。

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姉の結婚



 「姉の結婚」に対するレビューをシミルボンに掲載しました。アラフォーで静かなプチ老後を送ろうと考えていた女性に、突然現れたイケメンの昔の同級生。波乱万丈の物語が幕を開けます。→「いきなり、「今日は排卵期ですか?」って・・・」

両性具有の美3


・両性具有の美
・白洲正子
・新潮文庫

 本書は、若干タイトルに齟齬があるかもしれない。「両性具有」とあるのに、書かれているのは、ほとんど男色に関する話題だからだ。著者が言うには、

<十三、四から二十前後の男の子には、誰が見ても人間離れした美しさがある>(p20)

らしい。「いや、そんなことあらへん。ピンキリやで!」と思うのだが、「ホモが嫌いな女子なんかいません」という「げんしけん」(木尾士目)の名(迷?)科白があるくだいだから、やはり、あの「風の男 白洲次郎」の奥様である白洲正子さんでも、BLに興味があったということなのだろうか。

 正子さんは、先祖代々薩摩隼人の末裔だということだが、彼女が言うには、昔の鹿児島では「菊花の契り」を結ばない男は一人前扱いされなかったという。「菊花」とは、もちろんアソコのこと。つまり、ホモホモを体験して初めて大人扱いされたというのだから、ちょっと怖い。若き日は、私も美少年だった(信じる者は救われる)ので、つくづく昔の鹿児島に生まれなくてよかったと思う。生まれていたら、常時鉄のパンツを履いて防衛しなければならなかっただろう(笑)。もっとも、私が大学時代に住んでいた学生アパートには、どうも私を見る目つきが怪しい男が、若干1名いた(鹿児島出身という訳ではなかったが)ので、いつの時代も用心に越したことはないのではあるが。

 面白かったのは南方熊楠の話。熊楠が親交のあった和歌山の旧家には、5人の息子がいたが、とりわけ長男と次男が「美人」で熊楠の心を捕らえて離さなかったそうだ。男でも「美人」というくらいだから、どんな美少年なのかと思ったが、当時の基準は今とはだいぶ違うらしい。

 実は熊楠とその家の次男がいっしょに写っている写真が掲載されている。熊楠の若いころは、目鼻立ちのはっきりした、いわゆる縄文顔の男前だと思う。しかし、美人の次男の方は、のっぺりとした弥生顔。こういった基準だったら、私がこの時代に生まれたとしても、鉄のパンツは不要だっただろう(爆)。

 ところで、この方面については、トランスジェンダーの研究者で、自らもトランスジェンダーである三橋順子さんの書かれた「女装と日本人」(講談社現代新書)に詳しい。西洋文明に毒された現代では想像もつかないことだが、女装や男色が、いかに日本の文化として栄えていたかがよく分かる。

○関連過去レビュー
「風の男 白洲次郎」
「女装と日本人」

※本記事は、シミルボンに掲載したものです。

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キュピコ!〜ふしまつ天使のミスマネージメント〜5


・キュピコ!〜ふしまつ天使のミスマネージメント〜
・山下文吾
・小学館

 「シミルボン」に「キュピコ!〜ふしまつ天使のミスマネージメント〜」の書評を掲載しました。落ちこぼれ天使とその被害者高校生の繰り広げるとっても楽しいエロラブコメです。興味があれば覗いてみてください。
 → 「俺が変質者扱いされるのはお前のせいか!」

初対面でも話しがはずむ おもしろい伝え方の公式4



・初対面でも話しがはずむ おもしろい伝え方の公式
・石田章洋
・日本能率協会マネジメントセンター

 元落語家という異色の放送作家が教える、話を面白く伝えるための公式。私などは、どちらかと言えば口下手で人見知りの部類に入るので、初対面の人とでも楽しく話せる人たちをすごいなあと思うことがある。

 人とコミュニケーションをとるための最大の武器は、ユーモアだろう。ユーモアあふれる会話というのは、人を引き付けるものだ。しかし、ユーモアに溢れた会話を行うには、何か特別な才能が必要なのだろうか。著者は、それは持って生まれた才能ではなく、誰にでもマスターできるものだという。

 それでは、面白い話し方をするためには、どのようにすればいいのだろうか。本書に紹介されているのは、「キンカンの法則」というものだ。「キンカン」というのは、果物の名前でも、薬品の名前でもない。まず相手を緊張させて、それを緩和するということだ。それこそが相手をひきつける最大の方法だというのが本書の主張である。そして、そのための様々な事例を解説している。

 それらの事例を読んでみると、なかなか役に立ちそうだ。話をする場合だけではなく、文章を書くような場合にも応用が利きそうである。

 しかし、いくらこういった本を読んでも、普段から心がけて使わない限りは、なかなか効果は得られないものと思う。これからは、話したり、何かを書いたりするような場合には、せいぜい意識してみたいと思った。

※本書は、レビュープラスさまからのいただきものです。

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領主館の花嫁たち3


・領主館の花嫁たち
・クリスチアナ・ブランド、(訳)猪俣美江子
・創元推理文庫

 舞台は、19世紀前半のイギリス。本書はアバダール屋敷に住むヒルボーン一族にかけられた呪いを描いたゴシックホラーである。

 そもそもの始まりは、250年前、アバダール屋敷の主である郷士サー・エドワード・ヒルボーンのバカ娘であるイザベーラの不行状から始まった。彼女が宮廷で、将来を誓ったはずのリチャード。ところがイザベーラは、あれは一時の遊びよとばかり、地元に帰るとあっさり彼を袖にしてしまったのだ。

 姉のレノーラと共に、イザベルと結婚できるとばかり思ってアバダール屋敷を訪れたリチャードは、絶望のあまり自殺してしまう。レノーラの怒ること、怒ること。未来永劫、この家に続く呪いをかけたのである。そう、その後にも幽霊としてリチャードとレノーラはいっしょに出てくるのだが、この家にかかった呪いはレノーラによるものなのだ。それにしても、このレノーラ、なんというブラコンぶりだろう。

 そして、時代は1840年に飛ぶ。アリス・テターマン(テティ)は、愛らしい双子の姉妹の家庭教師として、アバダール屋敷を訪れる。やがて彼女たちの継母となるテティは、その可愛らしさにいっぺんに夢中になってしまった。

 しかし双子とはいえ、二人の性格は相当違っている。姉のクリスティーンはおっとりとした優しい娘なのに対して、妹のリネスは奔放なバカ娘。そう呪いの元凶となったイザベルの性質をもっとも受けて継いでいるといってもよいだろう。そして、このバカ娘、姉が持っているだけで、それを欲しがるという困ったところがある。周りももっと厳しくしつけろよと思うのだが、その見かけの愛らしさに振り回されてしまうのだ。

 そして二人がお年頃になった頃、その性格から、リネスは姉が好きだった幼馴染のローレンスを横取りしてしまった。アバダール屋敷の呪いは、ヒルボーンの血を引いているいないに関わらず、花嫁に対してかかってくる。つまり、今度呪われるのは、リネスとなるわけだが、優しいクリスティーンは、リネスが呪われるのを防ぐためにある企みを実行に移したのだ。

 ところがバカ娘のリネスのこと、ローレンスは退屈だから別れて、元カレのアーサーといっしょになるなんてことを言いだすのだ。そりゃ、クリスティーン怒るわな。レノーラの呪いを自分が引き継いでリネスに祟りをおよぼすとまで言い出すのだ。

 読み終わった時には、クリスティーンがとっても可愛そうで、リネスのアホ娘ぶりが腹立たしくなる。いっそ「リネスのバカ」とでも名付けたくなるような作品だった。

※本記事の初出は「本が好き!」です。

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