風竜胆の書評

コミックスから専門書まで、あらゆる本を読みます。元エネルギー企業の専任部長。現在は、ライター・書評家を標榜する自由人w 時に書評が過激になるのは、長州人の血? 現在「シミルボン」と「本が好き!」でも活動中。 執筆依頼、献本等歓迎します。右欄のメッセージ機能にてご連絡ください。 旧ブログ名:本の宇宙(そら)

このブログの特徴

 このブログは、私の読書記録のようなものですが、感想文でも、ビジネス本の書評ブログによくみられるような定型的なものでもなく、なるべくきちんとした書評になるように書くようにしています(例外も多いですが(汗))なお、いただきものでもちょうちん持ちのような評はしません。あくまでも思った通り書きます。ちなみに、単なる精神論には厳しめかもしれませんw

 ビジネス専門、小説専門といったジャンルを限った読書ブログは多いですが、このブログの一番の特徴は「全方位系」というところでしょうか。専門書(自然科学・工学、社会科学、人文科学)、小説(名作から、ミステリー、SF、官能小説等)、ラノベからコミックスまで、あらゆるジャンルが網羅されていますので、中には「これ自分も読んだよ」というのがあるかもしれません。

 なお、★の数の意味は、一応以下の通りです。(もちろん私の趣味で独断と偏見に基づいて付けています。他の人が読んで同じ評価になるとは保証いたしません。)

★:クソ本、読む時間が無駄。めったにない。
★★:もう少し工夫が必要。あまり興味が湧かない。
★★★:普通〜面白い。
★★★★:かなり面白い、興味深い。
★★★★★:上記+どこかがツボにハマった。

 ただし、読んだ時の体調やその日の気分などで多少のブレはあるため、あくまで目安ということです。



H30.02.27追記
 本日自分勝手な妄想で人を誹謗中傷した書き込みを行うという常軌を逸した鳥頭がいましたが、私も相手をするのが面倒くさいので、そういう人間はこの世に存在しないものとして扱います(完全無視)。どうも昔から、自分の身の程を知らないバカな連中に言いがかりをつけられる体質のようです。皆さまのお目汚しになるので、現時点では公開はしませんが、しつこいようなら次からは卑劣かつ稚拙な文章を晒すことにします。なお、このような書き込みをした人間は、それをどのように扱われても、承諾しているものとします。

2021.4.2追記
 現在50肩の痛みに苦しんでおり、右手1本で入力している状態なので、長い文章を書くのが苦痛です。更新は調子のよいときになると思います。

2021.9.12追記
 50肩の痛みはほとんどなくなりましたが、左手の可動域はかなり制限をうけています。でもリハビリをかねて、パソコンは両手で打っています。

2021.10.28追記
 「本が好き!」から「ブランド」に関して、ものすごく失礼な文面のリライト要求が来たので、もうあそこにはほとんど投稿しないし、よほど読みたくない限り本のプレゼントに応募もしないことにする。そもそも、自分より読解力のないものに上から目線で審査されるというのは好きではないし本来はおかしいと思う。規約をみると、「掲載基準」うんぬんとあるが、肝心の「掲載基準」はどこにもオープンにされてないので、結局は、担当が暴走しても、利用者は分からないことになる。
 まあ、これまでも色々思うところがあったので、最後の藁になった感じだ。これは、アカデミックな世界でも、論文のレフリーに選ばれる人によってはそういうことがあると何かの本で読んだことがある。しかし、自分の文章が失礼だと気づけない奴の相手はもう沢山だということ。メッセージを読む度に腹立たしい思いが湧く。あとは自分のブログと「シミルボン」でやっていくつもりだが、自分を「シミルボン」に誘ってくれた人も退職したし、あそこも立ち上げ時と大分変ったからなあ。最悪、自分のブログだけでやっていけばいいか。

2022.7.8追記
 酷い寝違えがあったが、50肩が再発したような感じ。前ほどの痛みはないが、それでも腕が痛い。まあ、前のように、痛みで目覚めるようなことは、今のところないので、しばらく様子を見ていよう。

2023.12.16追記
 何とか頑張って、2日に1回の更新を心がけてきましたが、忙しいのでとうとう限界となりました。当分の間、不定期更新になります。落ち着いたら、元のペースに戻したいと思います。




放課後ていぼう日誌 134

・放課後ていぼう日誌 13
・小坂泰之
・秋田書店

 これが「放課後ていぼう日誌」の今のところの最新刊。熊元県立海野高校の謎の部活「ていぼう部」の活動を描いたものである。主人公は都会から越してきた1年の鶴木陽渚がどんどん釣りの愉しさに目覚めていくというものだ。ちなみにこのていぼう部、部員は陽渚を含めて4人しかおらず全員が女子なのだ。

 この海野高校別に女子高というわけではなく、ちゃんと男子学生も在籍している。ていぼう部の面々は、部長で3年の黒岩悠希、魚屋の娘で釣りに関する知識が豊富な2年の大野真、そして1年は陽渚の幼馴染の帆高夏海と陽渚の二人。顧問は養護教諭の小谷さやか。さやか先生が実家の稲刈りのために参加できないので、代わりに前部長の湯浦しずくが引率する形だ。

 今回行くところは同じ町内にある海釣りランド。狙うはカワハギ。問題はこのゆらさんがカエルやヘビなんかを食べるサバイバーというところ。今回もアジの口の中にいる寄生虫・ウオノエを揚げると美味しいと言って陽渚に引かれている。

 さて、カワハギの釣り方についてネットで予習する陽渚だが、果たしてその結果は?

古代史の秘密を握る人たち4

・古代史の秘密を握る人たち
・関裕二
・PHP文庫

 古代史は面白い。なぜなら当時の出来事と現代の間には深い谷が横たわっており、なかなか本当のことが分からないからだ。もちろん分かることもあるが、それはかなり偶然の要素が強い。古代史の謎を解き明かすには、想像力は不可欠なのだが、もちろん客観的な証拠が見つかることは少ない。

 古代史というと日本書紀や古事記等を思い起こす人が多いだろう。しかしあれには色々な疑問点がある。いずれにしても神話から始まっているようなものがまともな歴史のはずがない。おまけにあの歴史書は勝者によって書かれたもの。自分達に都合の悪いことは消されるか改変されているおそれがある。しかし書かれたものに拘る人にはあれらを金科玉条のように扱っている人が多いのも確かだ。
だいたい『日本書紀』は、嘘を嘘で塗り固められていながら、これまでだれも嘘を見抜けなかったのだから、嘘の宝庫といってよく(p102)

これが著者の立場だろう。まあ戦前ならともかく、今の世に神話の部分を信じ込んでいる人はそういないと思うが。

 著者の推理を少し紹介すると、そもそも乙巳の変から始まる大化の改新について、討たれた蘇我氏こそが改革を進める側で、クーデターを起こした中大兄皇子と中臣鎌足こそが守旧派ではなかったのか。

 この他にも、古代史に関して色々な疑問が提示されている。どこまで関さんの推測が当たっているのかは分からないが、自分の頭で色々な謎を考えてみるのも古代史ファンには面白いだろうと思う。

軽井沢迷宮 須美ちゃんは名探偵!?4


・軽井沢迷宮 須美ちゃんは名探偵!?
・内田康夫財団事務局
・光文社

 タイトルにある須美ちゃんとは吉田須美子、浅見家のお手伝いさんである。本書は故内田康夫さんによる浅見光彦シリーズの番外となる。ただ主役はあくまでも須美ちゃん。光彦は一応出てくるが、この作品では割と重要な役割をこなしてはいるものの、どちらかといえば脇役のような扱いである。本編のように殺人事件など出てこない。でもミステリーらしく、謎解きは出てくる。

 今回須美ちゃんは、歳の離れた友人である花屋・花春の主人小松原育代といっしょに1泊2日のミステリーツアーで軽井沢を訪れる。このミステリーツアーに応募するには、ちょっとした謎解きが必要である。

 このミステリーツアーの企画者は多田光羽(おおたみつは)という女性。この光羽さんのまだ見ぬ父を探すというのが全体の大きなテーマである。

 光彦は電話の向こうで須美ちゃんにいろいろとヒントとなることを話しているが、これを謎解きに活かせるのは、さすが浅見家で鍛えられた?須美ちゃんというところか。でも出てくるパズル、よほど好きな人でなければ解けないだろうなあ。

仕掛人藤枝梅安14

・仕掛人藤枝梅安1
・武村勇治、(原作)池波正太郎
・リイド社

 テレビの必殺シリーズの顔といえば、故藤田まことさんの中村主水を連想する人が多いと思うが、実は故緒形拳さん、林与一さん主演による「必殺仕事人」を嚆矢とする。調べてみると1972年9月から1973年4月に放映されていたので、若い人には知らない人が多いと思うが、その後映画もつくられたので、もしかしたらそちらの方で知っているかもしれない。

 藤枝梅安とは故緒形拳さんが演じていた殺し屋である。殺し屋というのは裏の顔で表の顔は腕はいいが不愛想な針医者である。この梅安の手口というのが針で延髄を刺すというもの。ただしこの第1巻ではかならずしも延髄というわけではなく、心臓を狙ったものもいくつか見られる。

 テレビドラマの仕掛人の方はどうだったか覚えていないが、この作品では仕掛人は「蔓」と呼ばれる顔役からの依頼で殺しを行うのだ。顔役に依頼する者は「起り」という。

 仕掛人には「起り」の情報は知らされない。誰から頼まれたのかは分からないのだ。ただどこのだれを仕掛けてくれと言われるだけだ。だから仕掛ける相手が善人か悪人か分からない。確か中村主水たち仕事人は、背景を調べて相手を選らんでいたと思う。つまり隠れたテーマとして勧善懲悪があったように思う。一方この仕掛人の方は、依頼を受ければ相手かまわずという感じだ。結果として悪人が多いが、善人を手にかけることもある。それが第1話によく表れている。

 絵柄はいわゆる「劇画調」で最近の主流と比べると若い人はちょっと違和感を感じるかもしれない。しかし、そのタッチが梅安さんとよく合っていると思う。

鉄鉢と魚籃と――其中日記から――3

・鉄鉢と魚籃と――其中日記から――
・種田山頭火
・青空文庫

 山頭火は昭和7年から13年まで小郡(現山口市小郡)にある「其中庵」ですごした。そこで書いた日記が「其中日記」である。私は小郡(現新山口駅)にはよく行くのだが、残念ながら其中庵を訪れたことはない。地図で見ると、それほど新山口駅から離れていない。後学のために一度訪れてみたいものだ。

 さて本書であるが、本書は副題に「其中日記から」とあるが、日記に書かれたものをそのまま載せたものではない。日記を元に書き直したエッセイであり「層雲 昭和十年十月号」に掲載したものだ。層雲とは自由律俳句の俳誌で荻原井泉水の経営・編集で創刊したものだ。

 「其中日記」は青空文庫で全16巻(13巻、14巻は、(十三)と(十三の続)となっているので、「其中日記」としては十五まで)もある。この作品は「其中日記」のどれに当たるのだろう。色々調べてみるとこの作品は昭和10年に書かれた「其中日記(八)」に当たるようである。

 描かれているのは9月3日から5日の3日間。別に大きな出来事がある訳でもなく、今で言うスローライフの毎日。貧乏暮らしだが、山頭火の日常が伺えるようである。

砂の薔薇1-35

・砂の薔薇1-3
・新谷かおる
・グループ・ゼロ

 最近新谷かおるさんの漫画がマイブームだ。新谷さんは1951年生れで現在73歳らしい。ちなみに奥さんは漫画家の佐伯かよのさんである。なんと少女漫画家志望だったらしく、デビュー作も少女漫画である。残念なことに2017年に休筆宣言をしたというからもう新作は読めないかもしれない(一応一時休筆と言うことにはなっているようだが)。

 さて本書の方だが、主人公は真理子・ローズバンク(マリー:純粋の日本人だが、米国人の夫と結婚してローズバンクという名字になった)テロ専門の民間傭兵組織CAT(Counter Attack Terrorism Tactical Organization)のディビジョンMの美貌の指揮官である。この組織の実行部隊は女性部隊のセクションFと男性部隊のセクションMに分かれており、それぞれいくつかのディビジョンと呼ばれる部隊に分かれている。

 彼女は「薔薇のマリー」と呼ばれているが、それは左胸に薔薇を彷彿させる傷跡があることによる。この傷跡は夫と息子を亡くしたときについた。

 マリーは、最愛の夫ハロルドと息子ティミーに囲まれ幸せに暮らして居た。しかし、テロによって夫と息子を奪われる。これが彼女がCATに入った理由だ。テロを憎むのは分かるがテロ専門の傭兵部隊に入ろうというのはあまりいないだろうと思う。

 マリーの舞台は女性だけからなっており、テロ組織に立ち向かう。アマゾネスという連中もいるくらいだから、強い女性ばかりなのだろう。こういった強い女性が好きな人も結構いるのではないかと思う。

 新谷さんは少女漫画から入ったようだが、絵柄の方もそんな感じだが。松本零士さんのアシスタントをしていたこともあり、メカニックの描き方もすばらしい。こう書くと人物とメカニックがミスマッチのように思えるが、実際にはそんなことはない。一度読めばハマってしまう人も多いだろう。
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H23.3:書評コミュニティ「本が好き!」より「免許皆伝」称号を受ける

H23.3.16:読売新聞朝刊“読者のホンネ”に「カラスと髑髏―世界史の「闇」のとびらを開く」の100字書評掲載

H25.10.26発売の図書新聞(3132号、2013年11月2日号)に「泥棒は几帳面であるべし」の書評掲載

H26.6,28発売の図書新聞(3165号、2014年7月5日号)に、「市場主義のたそがれ―新自由主義の光と影」の書評掲載

H28.8頃より「シミルボン」への投稿開始

H29.7.4「彗星パンスペルミア」の書評が「新刊JP]に掲載

H29.10.19「ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者」の書評が「新刊JP」に掲載

H29.11.24「ペンギン・ハイウエィ」の書評が「新刊JP」に掲載

H29.12.26.「ニッポンの奇祭」の書評が「新刊JP」に掲載

H30.1.18.「問題解決大全――ビジネスや人生のハードルを乗り越える37のツール」の書評が「新刊JP」に掲載

H30.4.26.「メゾン刻の湯」の書評が「新刊JP」に掲載

H30.7.20.「極道ピンポン」の書評が「新刊JP」に掲載

H30.7.26.「シミルボン」にインタビュー記事掲載

2019.2.23.「本が好き!」×「書店フェア」で「あなたの街で本と出会う Vol.2」に「こころを彩る徒然草」のレビュー掲載

2019.04.28.【本が好き!×カドブン】コラボレビュー!第4回『皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。』の書評が掲載

2020.01.24.「貧乏大名“やりくり”物語 たった五千石! 名門・喜連川藩の奮闘」が「新刊JP」に掲載

2020.02.04.「どんなことからも立ち直れる人」の書評が「新刊JP」に掲載

2020.04.28.「半自伝的エッセイ 廃人」の書評が「新刊JP」に掲載

2021.01.12.『「池の水」抜くのは誰のため?~暴走する生き物愛』の書評が「新刊JP」に掲載

2021.02.12.「龍は眠る」の書評が「新刊JP」に掲載

2021.06.07 【本が好き!×カドブン】に「傷痕のメッセージ」の書評が掲載
本が好き!免許皆伝レビュアー風竜胆 グッドレビュアー 100作品のレビュー 80% サトシン絵本まるっとレビューキャンペーン NetGalley.JPベスト会員2022
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