レビュープラスを通じて献本いただきました。まずはお礼申し上げます。

 「COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)」は、フランスの国際ニュース週刊誌「クーリエ・アンテルナショナル」と提携して、世界中のメディアの中から記事を厳選して翻訳・編集している、講談社の発行する雑誌だ。掲載されている記事は、どれも知的刺激に満ちて興味深いが、ひときわ興味深く読めたのは、12月号の特集記事・「世界をミステリアスに魅了する! ”宇宙人的” NIPPON」である。

COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン) 2009年12月号


 東洋の小さな島国ながら独自の文化を発展させてきた「NIPPON」は、マルコポーロの昔から外国人にとってはミステリアスな魅力を持った国に見えるようだ。例えば、19世紀後半のヨーロッパで、日本の美術が「ジャポニスム」として大きな影響力を持っていたことは有名である。ゴッホやモネを初め、この時代の多くの画家は、ミステリアスな「NIPPON」の影響を受けた作品を制作していた。

 そして現代、我がミステリアス「NIPPON」は、政治や経済面では精彩を欠きながらも、世界に新たな「ジャポニスム」の影響を与えているように思える。現代の「ジャポニスム」は美術面だけに留まらない。大別すると3つに区分できるだろう。世界に冠たる「モノヅクリ」の技術、独自の文化を反映した数々の「コンテンツ」、そしてこれらの底流を流れる「オモイヤリ」や「セッキャク」などの心の分野だ。今月号の特集では、これらの「NIPPON」の秘密が、18の記事によって紹介されている。

 ”宇宙人的”と言うタイトルは、特集記事のトップを飾る鳩山首相の記事から来ているのだが、そういえば、表紙に描かれた首相のイラストは、現代の「ジャポニスム」の象徴として、写楽や歌麿の役者絵のようにも見えなくもない。

 記事には、案外日本人でも余り知らないようなことも書かれており、外国から日本がどう見られているかが垣間見えるような気がして興味深く読める。特に、カルロス・ゴーン氏へのスペシャル・インタビューは、経済学者やエコノミストたちの言葉に振り回されているように思える我が国だが、その原点はやはり「モノヅクリ」の力であることを確信させてくれるだろう。しかし、ひとつ苦言を呈するとすれば、「カワイイ」の視点が抜けていたことだ。「カワイイ」は、日本発の文化として、世界各地で大きな影響を持ちつつある。これに関連した記事がなかったことは残念であった。

 もうひとつ興味深く読んだのは、「ウォール街の崩壊から1年 金融危機とはなんだったのか?」という特集記事だ。この中で、ポール・クルーグマンの、「経済学者たちはなぜ間違えたのか」という記事は、現在の経済現象に対応できなくなった経済学者たちの混迷ぶりを表しているように見える。「不況や恐慌といったあまりにも人間的な問題に取り組むためには、誰もが合理的で市場は完全だということを前提とする、きれいに整っているが間違っている解決法を捨てなければならない。」いう彼の言葉は傾聴に値するだろう。ところで、記事中に「通貨主義」と「通貨主義者」という用語が使われているが、これは通常は「マネタリズム」、「マネタリスト」と書くのが一般的である。「通貨主義」というと別の意味にとられる場合もあるようなので、一般的な用語の使い方にすべきだろう。

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