テレビドラマ「新参者」で阿部寛の演技が光った加賀恭一郎シリーズの第7番目の事件を扱った「赤い指」(東野圭吾:講談社)。事件的な設定は、加賀刑事が日本橋署に異動する前で、まだ練馬署に在籍していた時代となっている。




 幼女の死体が、住宅街にある公園のトイレで発見され、その真犯人を加賀が追い詰めると言うのが基本的な筋書きだ。この作品は、ミステリーに分類されるのだろうが、実は、加賀が真犯人を探し出すと言ったものではない。実は真犯人は早い段階から分かっている。加賀が明らかにするのは、犯人の家族に隠されていた秘密であり、そこがこの作品をミステリーたらしめていると言っても良いだろう。

 私は、以前、湊かなえの「告白」のレビュー記事に、「現代社会は、父性喪失の時代だ。」と書いた。この作品にも、「告白」程ではないが、「父性」の弱さが現れていると思う。本来は父親のロゴスと母親のパトスのバランスが必要なのだ。しかし、今の日本は、あまりにもパトス優位が目立つのではないだろうか。犯人であるわが子の犯罪を警察に通報しようとする父親。しかし、母親はヒステリックに子供の罪を隠そうとする。結局父親は、母親の論理を超えた感情に負けて、隠ぺい工作を行ってしまう。ところが、肝心の犯人の方は何の反省もないように見える。その結果、親子共々犯罪者となってしまうのだ。 この作品は、日本の家族システムに潜む問題点や福祉の貧弱さといった問題点を浮き彫りにしているように思える。


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