今の日本の地方都市はどこも衰退の一途である。私の故郷なども過疎化が進み、出身高校は、近くの高校と統合されて廃校になってしまった。しかし、これは日本だけでなく、世界中で進んでいることのようである。そんな都市縮小の現状をよく描いているのが「「都市縮小」の時代」(矢作弘:角川書店)である。




 本書によれば、世界の多くの都市が人口を減らしており、1990年から2000年の10年間で人口を減らした人口10万人以上の都市は4分の1以上にものぼると言う。著者は、その原因として「産業の衰退」、「出生率の低下」、「居住の郊外化」、そして日本独自の原因として「東京への1極集中」をあげている。いずれも妥当なものだろう。それでは、衰退を続けている地方都市が、再び繁栄することは可能なのであろうか。繁栄が、人口を増加させることというなら、それに対して本書は必ずしも肯定的ではない。地方都市が再び人口を増やそうという夢を捨てて、都市が縮小することを否定的に考えずに、良い面を積極的に活かし、賢く縮小していこうというのがこの本の主張だ。

 伝統的な経済学では、成長することを前提に議論が行われる。つまりは、拡大は善であり、縮小は悪なのだ。しかし、どの都市もどこまでも発展できる訳はない。経済成長といっても、所詮は同じパイを争うねずみ講のようなゲームだ。パイの大きさがよく分からないと言うのが救いではあるが、地球という閉じた系に中で行われている限りは、結局はどこかで行き詰らざるを得ない。賢く衰退するというのは、そのような時代の有力なオプションであるように思える。

 それでは、どのように都市は衰退するべきだろう。本書には、具体例として、米独日に渡っていくつかの都市の取り組みが紹介されている。行われている施策は様々で、共通の方程式など導け出せそうにないし、これらの都市の取り組みが将来に渡り実を結んでいくかも実際のところ良く分からない。しかし一つ言えるのは、自分たちの都市の強みを活かして、課題を解決していこうと言う努力が大切だということだろう。都市の強みというのは、それぞれに違う。他の都市に真似をしても、成功すると言う保証はどこにもないのだ。自分たちの都市には何もないというのは、見ようとしていないだけではないか。本当に何もなければ、何もないことを活かすことを考えれば良いのだ。


○ランキングに参加しています
人気ブログ


○姉妹ブログ
文理両道
時空の流離人
(本記事は、「時空の流離人」と同時掲載です。)


○関連ブログ記事
花崗岩のつぶやき
ハイテク屋 山崎規史のブログ
武雄市長物語