ホラーとミステリーの融合を目指す三津田信三のデビュー作「忌館 ホラー作家の棲む家」(講談社)。元々は、副題の「ホラー作家の棲む家」という題名で発表されたようだが、文庫化の際に「忌館」と改題されたとのことだ。




 ストーリーは、作者自身が主人公を務める話と、その主人公が「迷宮草子」という同人誌に書いた「忌む家」という題名の作中作が交互に繰り返す形で進んでいく。その作中作は、主人公が東京に越してきた際に、何かを感じて、借りて住むようになった洋館からインスピレーションを得て書いたものであり、やはり洋館を舞台としたかなり不気味な話である。ところが、その作中作の登場人物名で、何者かが、日本ホラー小説大賞に応募してきたという。そして、主人公も次第に家にとり憑かれたようになっていく。

 実は、この家は、タイトルからも連想できるように、かなり訳ありの家だ。表紙イラストの、どこか不気味な感じを受ける美女は、主人公のファンといって、彼に近づいてきた稜子という人物なのだが、実は、この家とも因縁があり、驚くべき秘密を抱えている。

 話が進んでいくにつれて、最初は別々の話のようだった本編と作中作が「家」を媒体に、次第に不気味な一体化を進めていく。そして迎える想像を絶するような結末。ミステリーとして、ある程度は謎解きをされる部分があるが、真偽の分からない部分も多く、ホラーの部分は、最後まで謎のままで残っている。そして、謎と一緒に恐怖もまた残っているのだ。


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(本記事は、「時空の流離人」と同時掲載です。)

 
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