いっこうに先行きの見えない我が国経済情勢だが、大前研一氏の示した処方箋が、「お金の流れが変わった!」(PHP研究所)である。




 大前氏によれば、これからの世界経済を考える上でかかせないキーワードが「ホームレス・マネー」であると言う。「ホームレス・マネー」とは、投資先を求めて、世界中をさまよっている金のことだ。最盛期には6000兆円あり、現在でも4000兆円もの巨額な金が投資先を求めて彷徨っているという。この「ホームレス・マネー」はサヤ取りだけを考えて運用されており、市場が過熱する前に、さっと引き揚げてしまうため、対応を誤れば、あっと言う間に金融危機に繋がってしまう。

 経済のボーダレス化によって、マクロ経済政策は効かなくなってきた。我が国経済が成長するためには、海外からの投資がしにくい様々な障壁をなくしていき、「ホームレス・マネー」を呼びこまなくてはならないと言うのが大前氏の基本的な主張うのようだ。確かに日本は、ルールがあるようで、実際は官公庁の裁量がかなり強い国だ。諸外国からは訳のわからない国だと見られてもしかたがないところがあるし、芯もきちんと通っていない。制約が見えにくい国には、外国からの投資が入ってこないのは当然だろう。

 氏も述べているように、日本には千四百兆円にのぼる個人金融資産がある。これだけ貯めているのは、ひとえに将来に不安があるからだろう。しかし、政府は、税金をあげる議論ばかりをして、ますます財布のひもを堅くさせるようなことばかりをやっている。まずは、これを安心して吐きださせられるような仕組みが必要だ。国内からの投資が無いものに、海外からの投資があるというのは考えにくいだろう。

 ただ、国内需要は、人口の減少や高齢化と共に先細りは目に見えている。これからは発展している新興国をターゲットにいかに戦略を練っていくかが大きなカギとなるだろう。大前氏は、新興国で成功する5つの攻略ポイントを公共事業、法人事業そして富裕層、中間所得層、貧困層の3つのコンシューマー重要に分けて述べているのはなかなか興味深い。

 ちょっと分かりにくいのは、一方では、「ホームレス・マネー」=投機的なリスクマネーという説明をしていながら、他方では、その「ホームレス・マネー」を呼びこめと言っていることだ。よく読めば、ホームレス・マネーにリスクマネーの割合が減っていると言うような記述はあるものの、読者を混乱させるのではないかと思う。

 なお、この本は「R+」さまから献本いただいたものです。ここにお礼申し上げます。



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