昨年は、小惑星探査機はやぶさが、イトカワの探査を終えて7年ぶりに地球に帰りついたというニュースで世界中が湧いた。回収された岩石質微粒子の大半がイトカワのものであるということで、太陽系創世の謎の解明にまた一歩近づくことが期待される。その一方で、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により、私たちは足元の地球のことも良く分かっていないことを思い知らされてしまった。地球の謎を解明するための手段の一つが、海底を掘削して得られたサンプルを調査することである。「地球の内部で何が起こっているのか」(平朝彦/徐垣/末廣潔/木下肇:光文社)は、この海底掘削計画について紹介するとともに、地球科学の現状について解説したものである。
それではなぜ、地上ではなく海底を掘るのか。地球を知るためには、マントルに達するまで地殻を掘り進める必要がある。しかし、大陸地殻は厚さが30〜50kmもある。これに比べると、海洋地殻の厚さは5〜8kmしかない。だが、水深数千mの深海を掘るのであるから、いずれにしても容易な技術ではない。この海底掘削のため、2002年に我が国で建造された地球深部探査船が「ちきゅう」である。「ちきゅう」を用いた深海掘削計画は、我が国が初めて主導する大型の国際共同研究だという。この「ちきゅう」以前にも「グローマー・チャレンジャー号」や「ジョイデス・レゾルーション号」により国際深海掘削計画が進められており、プレートの運動により地震、火山、地殻変動などが説明できるというプレートテクトニクスの創生に大きく貢献した。
更に、掘削により、地球環境の変化、恐竜の絶滅の原因になったとも言われる天体の地球への衝突、地球深部の生物圏の状況などが分かるのである。本書では、掘削によりどのようなことが分かったかが分かりやすく述べられており、地球科学に対する興味を掻き立てる。探査船による海底掘削技術に関する話も書かれているので、技術的な事に興味がある方は一層面白く読めるだろう。
東北地方太平洋沖地震のような巨大地震を予知するためには、まだまだ十分な知見が揃っていない。しかし、深海掘削は、この知見を積み重ねていくために有効な手段であると思える。深海を掘るのであるから莫大な費用がかかるだろう。しかし、先般の地震のような痛ましい出来事を考えれば、世界中が協力して、もっと我々の住む地球についての研究が進んでいくことを願ってやまない。
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更に、掘削により、地球環境の変化、恐竜の絶滅の原因になったとも言われる天体の地球への衝突、地球深部の生物圏の状況などが分かるのである。本書では、掘削によりどのようなことが分かったかが分かりやすく述べられており、地球科学に対する興味を掻き立てる。探査船による海底掘削技術に関する話も書かれているので、技術的な事に興味がある方は一層面白く読めるだろう。
東北地方太平洋沖地震のような巨大地震を予知するためには、まだまだ十分な知見が揃っていない。しかし、深海掘削は、この知見を積み重ねていくために有効な手段であると思える。深海を掘るのであるから莫大な費用がかかるだろう。しかし、先般の地震のような痛ましい出来事を考えれば、世界中が協力して、もっと我々の住む地球についての研究が進んでいくことを願ってやまない。
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