ぞくっとくる表紙イラストに目を惹かれるのが「作者不詳 ミステリー作家の読む本」(三津田信三:講談社)。三津田氏のデビュー作である「忌館 ホラー作家の棲む家」にも出ていた、「迷宮草子」という同人誌を巡るホラー・ミステリーだ。

   


 こちらも、「忌館 ホラー作家の棲む家」と同じく、主人公は作者自身。奈良県杏羅市杏羅町で見つけた古本屋。そこで、三津田氏の友人である飛鳥信一郎が購入した「迷宮草子」。これが恐ろしい事件の始まりだった。

 「迷宮草子」は、7つのミステリーが収められている。収録されているミステリーは、どれも不気味な話ではあるのだが、合理的な解釈をつけることができるものばかりである。ところが、読んだら最後、それぞれの話の謎を解かないと、怪異現象が起こるのだ。この「迷宮草子」、古書業界でも有名な本であり、忘れた頃に市場に出回っているらしい。恐ろしいのは、元の持ち主はいずれも行方不明になっているということだ。

 本書は、「迷宮草子」に掲載されている話と、その話の謎を解く主人公と信一郎の話が交互になるように構成されている。つまり、「迷宮草子」の中と外の話が裏表の関係を保ちながら、一つの謎解きを終えると次の話と言った具合に進んでいくのである。「迷宮草子」の中の話は、心霊とか妖魔とかいったような怪奇臭は感じられないのに対して、外の話は、そういったものが満載の怪奇物語という対比が面白い。


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