アーノルド・シュワルツェネッガー主演の「トータル・リコール」。1990年のアメリカ映画だ。フィリップ・K・ディックの短編小説「「追憶売ります」を原作とするSF映画だ。原作は、「マイノリティ・リポート―ディック作品集」(早川書房)に収録されている。

 


 舞台は、近未来。人類は、火星でも暮らしていると言う設定だ。建設労働者をしているダグラス・クエイドは、行った事のない火星の夢に悩まされていた。彼は、実際に火星に行く代わりに、リコール社で火星旅行に記憶を植え付けようとする。このころは、科学が発達し、人間の脳に、疑似記憶を植え付けることができるのである。しかし、クエイドは記憶を植え付けられる前に暴れだす。既に彼は、記憶を書き換えられていたようだ。その日から、彼は謎の一団に命を狙われるようになる。真相を求めて火星に行くクエイドだが、待っていたのは火星の支配者コーヘイゲンと反乱分子のミュータントたちとの戦いだった。

 描かれている未来は恐ろしい。記憶が簡単に書きかえられるということは、個人というくくりを曖昧なものとする。かってデカルトは「我思う 故に我あり」と言った。しかし、その我というのは、ただ「思う」だけの存在ではない。過去からの莫大な記憶という巨大なデータベースを蓄積している存在でもあるのだ。しかし、そのデータベースが、脳から脳を簡単に移動出来たり、疑似記憶を植え付けられるような世界ではどうだろう。その世界での「我」は、果たして本当の「我」と呼べるのか。

 もうひとつ考えさせられるのは、夢と現実の区別ということだ。火星で、クエイドの前に、見知らぬ男が妻のローリーと現れて、今彼はリコール社で夢を見ているのだと告げる。クエイドは敵の策略を見抜いて、その男とローリーを射殺し逃亡したのだが、本当にこれは現実だったのか。果たしてどこまでが夢で、どこまでが現実なのだろう。

 ところで、反乱組織の指導者であるミュータントのクワトーだが、これはなかなかショッキングな設定だ。彼が最初登場した時は、いささか驚いた。


(監督)
・ポール・バーホーベン

(出演)
・アーノルド・シュワルツェネッガー(ダグラス・クエイド/ハウザー)
・レイチェル・ティコティン(メリーナ)
・シャロン・ストーン(ローリー)
・ロニー・コックス(コーヘイゲン) ほか


○ランキングに参加しています(面白かったら押してください)
br_decobanner_20101123214358


○姉妹ブログ
文理両道
時空の流離人