本書は、成功を目指す人が、そのためのモチベーションを身につけ、維持していく方法を、どうやって他人から学ぶのかということについて述べられたものである。

 その方法とは「演じる」ということだ。まずはプロフェッショナルをロールモデルとして演じることから始め、最終的には、「モノマネ」から脱出して、自分なりの方法を工夫していく。つまりは、俗に言われる「守、破、離」ということだ。心と体の間には密接な関係がある。役を演じていれば、それが次第に、本来の自分と区別がつかなくなってくる。一言で言えば、自分で自分を洗脳していけということなのだろう。しかし、気を付けないと、単にモデルにした人の「劣化コピー」ができるだけである。大切なのは、「破」から「離」に移ることだ。

 本書の性質からは当然なのだろうが、全体的に、帰納法的な、「誰々がこうだったから」といった論調が多いのが気にかかる。こう言った論調は、一見説得力があるのだが、必ずしもその正当性を証明しているわけではない。私などはへそ曲がりなので、つい、この後ろには、同じようなことをやったのに上手く行かなかった人がどのくらいいるんだろうなんて考えてしまうのだ。成功した人は記録が残るが、失敗した人は時代から消えていく。もしかすると、それらはタレブの言う「まぐれ」の産物なのかもしれないのである。

 諸手を挙げて賛成したいのは、負けを認めるためには、「サンクコスト」と「スイッチングコスト」の2つを払う必要があるということだ。世の中には、これができない経営者が多いのではないだろうか。最近損失隠しが発覚して世の中をにぎわせている某光学機器メーカーなども、経営者にこのコストを払う覚悟がなかったんだろうなと思う。経営とは、流動的で永続的なものだ。ここで負けても次で勝てば良いのである。「サンクコスト」も「スイッチングコスト」も病気で言えば治療費だ。適切なタイミングで治療を行わないと、どんどんと傷を悪化させて、「次」の機会も無くなってしまいかねない。

 なお、この本は「R+」さまから献本いただいたものです。ここにお礼申し上げます。 



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