テレビ朝日系列で12日に放映された「トリック新作スペシャル3」。映画の「トリック劇場版 ラストステージ」の公開に合わせて作られたものだ。映画で本当の最後だそうだから、長年観ていたファンには寂しいが、テレビドラマも併せて新作が作られたのは歓迎したい。

 トリックの舞台は、変な名前の辺境の村とい言うのが多いが、今回もそれに違わず、その名も「尾古溝(おこみぞ)村」。モチーフとなっているのは、その村で権勢を誇る水神(みずがみ)家の3姉妹のドロドロとした遺産相続争い。水神家の当主が亡くなった際に、時価数百億の財宝の存在を遺言で示唆したからだ。しかし、その財宝の隠し場所のヒントを収めた箱には呪いがかけられており、開けた者には災厄が降りかかるという。その予言の通り、水神一族の者たちが次々と殺されていった。

 このドラマは、村や一族の名前、3姉妹の相続争いなどから見当がつくように、横溝正史の「犬神家の一族」のパロディになっている。だから、マスクを被った怪しげな男もちゃんと出てくる。これに加えて、登場人物の演技やセリフの端々に、トリックらしい小ネタの数々がこれでもかといった具合に出てくるのだ。いかにもトリックらしさが溢れているのはうれしいが、これが最後と思ってがんばりすぎているようなところも感じられた。小ネタはもう少し控え目でも良かったと思う。

 矢部刑事の、髪の毛と温泉ネタは、シリーズ鉄板だと思っていたが、この村のいかにもという「生毛温泉」は閉鎖になっていたのは残念。

 久しぶりの新作ということで十分に楽しめた。最近は、昔の作品も再放送されているが、比べてみるとやはり時代の流れを感じる。主演の仲間由紀恵さん、トリックが始まったころの、時折見せた、ドキッとするような美少女ぶりはさすがに見られない。まあその代わりに、円熟した美しさがあるのだが。他の登場人物も、まだしばらくはだいじょうぶだろう。今回の映画で最後と言わずに、もう数作は作ってほしいものだ。


(演出)
・堤 幸彦

(脚本)
・蒔田光治

(出演)
・仲間由紀恵(山田奈緒子)
・阿部 寛(上田次郎)
・生瀬勝久(矢部謙三)
・野際陽子(山田里見)
・飯島直子(水神華絵) ほか


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