本書のタイトルからは、「無印良品」の経営の秘密を徹底的に分析したもののような連想をしてしまう。しかし実際に書かれていることは、そのような個別の会社のケーススタディといったものではなく、もっと一般的な内容である。すなわち、ビジネスにおける「コンセプト」というものの重要性だ。

 コンセプトという言葉も良く聞く言葉ではあるが、その意味は必ずしも明確なものではない。結構使う人によって、考えていることにはズレがあるのではないかと思う。コンセプトの重要性を解くには、著者の考えるコンセプトという言葉の内容を明確にしておく必要があるのだが、本書では、きちんと「目的を達成するための原理・原則を短く明確に表現した言葉」というように定義されている。

 本書では、いろいろな会社を例にとり、勢いのある会社のコンセプトがいかに優れているかをまず示している。例えば、タイトルの「無印良品」は7000点以上もの商品を取り扱っているにも関わらず、売っているものは「感じの良いくらし」という一点に集約される。そのコンセプトは、「これでいい」ということだ。この他、スターバックスの、自宅でも会社でもない「第三の場所」、ポルシェの「壊れないプレステージ・スポーツカー」などを例にコンセプトの持つ力が説明される。

 そして、具体的なコンセプトの作り方や使い方についてもかなりページを割いて書かれており、まさに痒い所に手が届くといった観がある。コンセプトという考え方は、企業経営や経営戦略の策定といった大きな場面だけではなく、個々のビジネスの様々な場面でも活用できるものだ。スマートな企画を生み出したい方はぜひ一読することを勧めたい。


 なお、本書はレビュープラスさまを通じて献本いただきました。お礼申し上げます。


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