著者は、常々次の3つのことを不思議に思っていたという。「.汽薀蝓璽泪鷂けの本は、時代と共に著者は変わっても、その内容、構成がほとんど変わっていない」、「「ああしなさい」、「こうしなさい」方式の指導が本当に機能しているのか」、「なぜ「営業そのもののやり方・考え方」を記述した本がないのか」

 本書「サラリーマンの本質」(綾小路亜也:文芸社)は、著者のそんな問題意識から生まれたものである。3つめ疑問については、タイトルからは、少し異質な感じを受けるが、著者がずっと営業畑を歩いてきたことによる。

 植木等が、「サラリーマンは気楽な稼業」と歌っていたのはもう半世紀も前のこと。今の職場には、どこにもそんな牧歌的雰囲気はなく、現実のサラリーマンは、悩み苦しんでいる。本書は、そんなサラリーマンや組織が救われるように、現実的な「解」を探しに行こうとする。

 確かに、読んでみると色々と示唆に富むことが書かれている。例えば、トラブルが多いのは、「問題並列解決型」の組織だというのだ。このような組織だと、抱えている問題が片付かないままに、次から次に新たな問題が増えていく。普通なら、重要な問題から片付けろといいそうなところだが、著者は。まず簡単な問題から解決して、身軽になることを勧めている。この辺りも通常のビジネス書とは一味違うところだろう。人間の特性として、あまり多くの問題を抱え込むことはできない。まず数を減らせというのは理にかなっていると思う。さらに、現場の指導は3つだけで良いとか、サラリーマンは「Aグループ」、「Bグループ」、「Cグループ」に分けられるといったような興味深い話が続いていく。

 私はあまり、経営者やコンサルタントが書いたようなビジネス書は読まない。面白くないうえに精神論的なものも多いからだ。朝は一番に会社に行って静かなうちに仕事を始めようとか、夜は一番最後に帰れなどと書かれていると、もうこいつはだめだなと思ってしまう。本書は、サラリーマンとしては成功した部類に入るだろう著者が、サラリーマン目線で書いた、そんなビジネス書とは一線を画するものである。サラリーマン諸君は一読しておいて損はないだろう。

 なお本書は、「本が好き!」さまを通じて献本いただいたものです。お礼申し上げます。


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