「ビブリア古書堂の事件手帖」(三上延)の影響で、「たんぽぽ娘」が脚光を浴びた、ロバート・F・ヤングだが、これはそのヤングによる長編、「時が新しかったころ」(創元SF文庫)。

 人間がいるはずのない白亜紀後期の地層から発見された人の化石を調査するため、1,998年の未来から、トリケラトプスに擬態させたタイムマシンに乗ってやって来たカーペンターは、そこで、テロリストたちの手から逃げ出して来た、男女二人の子供を保護する。

 二人は、火星の王女と王子で、テロリストに誘拐されて地球に連れて来られたという。推定年令は、姉ディードレが11歳、弟スキップは9歳。それぞれ、数学の天才、機械工学の天才という設定だ。実は、これらの設定が、この物語の中で大きな役割を果たしていることが、最後に明らかになる。

 執拗に彼らを追ってくるテロリストたち、襲いかかる暴君竜ティラノザウルス・レックス、火星や地球の生命の種を蒔いたという謎の存在クー。まさに冒険に継ぐ冒険。それまでは、世継ぎの王女ということで、<直答を許さず>といったディードレだったが、命をかけて、姉弟を救ったカーペンターの世話をかいがいしくやきはじめる。スキップの「自分の姉貴がさっぱりわからないや」という言葉に、「女は謎なんだよ」と応じるカーペンター。繰り返すが、推定年令、姉11歳、弟9歳である。

 カーペンターは同僚のミス・サンズのことを好きなのだが、そのことを告白できない事に対して、ディードレは、じれったそうに、「あなたにはときどきイライラします!話しかけさえしなかったら愛してもらえるわけないでしょう!まったくもう、その人に愛しているといったら、きっとあなたの腕に飛び込んできます!」とのたまう。念のために言うが、ディードレの推定年齢は11歳である。

 姉弟を救出に来た火星の宇宙海軍の艦長は、カーペンターをいっしょに連れて行けというディードレの命令を無視して、彼を原始の地球に置き去りにしてしまう。別れ際に、推定年齢11歳のディードレは叫ぶ。「愛しています、カーペンターさん!」、「死ぬまであなたを愛します!」・・・

 物語は、カーペンターと王女たちとの、悲しい別れで終わるのかと思ったら、最後にびっくりするような展開を見せる。ヤングは、タイムリープをモチーフにして、時間だけでなく空間も、そして種族さえも越えた、美しいロマンスを作り上げた。そして、うまい具合に、カーペンターがロリコン趣味になってしまうことも回避している。「たんぽぽ娘」を読んで感動した読者なら、この作品も絶対に読むべきだ。「たんぽぽ娘」に勝るとも劣らないロマンチックな気持ちが胸に広がるだろう。

 なお本書は、「本が好き!」さまを通じて献本いただいたものです。お礼申し上げます。

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