・難しいことはわかりませんが、統計学について教えてください!
・小島 寛之
・SB新書

 本書の特徴は、数式を使わないで、統計学のさわりを分かりやすく解説していること。 面白いと思ったのは、遅れずに学校につくためには、何時何分のバスに乗ればいいのかを統計学的に検討した話。これは、バスの到着する平均時間と、標準偏差を求めて、いつのバスに乗ればいいかを検討するものだ。

 この他に、ミスキャンパスのファイナリストのプロポーションを統計学的に見てみたり、年齢不詳の女性の年齢を推定してみたりと、統計の意外な使いかたが書かれている。

 ただ、平均、標準偏差とくれば、あの数字だけ独り歩きしてる「偏差値」というやつにも触れて欲しかった。そして、いかにナンセンスな使われ方をしているかということを言って欲しかった。

 偏差値とは、特定の母集団の中でどの位置にいるかを示すものなので、母集団が変われば意味をなさない。例えば国立A大学の偏値が60、私立B大学の偏差値が65と、ある受験産業が言っているとする。一見B大学の方が、難しそうなのだが、私などはそうは思わない。

 そもそも、受験生の母集団も試験科目も全く違うA大学とB大学を比較することなどできないと思ってしまうのだ。しかし普通の人は、偏差値の意味も分からず、数字だけを比べてしまう。統計的なことを解説するのなら、この数字のナンセンスさをもっと伝えて欲しかった。

 この他、仮説検定の話や、相関関係、回帰分析(単回帰、重回帰)の話を数式を使わずに説明しており、あまり、この方面になじみがないものでも、本書を読めば、基本的な概念を理解できるようになるだろう。

 これはよくあるのだが、相関関係があれば、いかにも因果関係があるように報道されることがある。しかし相関関係はあっても因果関係があるとは限らない。相関関係は因果関係と違うということは、もっとはっきり書いた方がいい。


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