風竜胆の書評

コミックスから専門書まで、あらゆる本を読みます。元エネルギー企業の専任部長。現在は、ライター・書評家を標榜する自由人w 時に書評が過激になるのは、長州人の血? 現在「シミルボン」と「本が好き!」でも活動中。 執筆依頼、献本等歓迎します。右欄のメッセージ機能にてご連絡ください。 旧ブログ名:本の宇宙(そら)

2011年11月

砂冥宮4




 泉鏡花の代表作のひとつである「草迷宮」と言えば、亡くなった母の歌っていた毬つき唄を求めて旅をする青年が、辿りついた荒れ屋敷で、数々の怪異に出会うという怪しく甘美な話だ。この作品をモチーフにした浅見光彦シリーズの旅情ミステリーが「砂冥宮」(内田康夫:実業の日本社)である。

 今回の物語は、光彦が、「草迷宮」の取材で三浦の旧家である須賀家を訪れたところから始まる。光彦が取材をした須賀家の当主智文が「金沢に行く」と言って家を出たまま、勧進帳で有名な「安宅の関」で死体となって発見された。金沢は鏡花の生まれた地だ。光彦は事件を調べ始めるのだが、そこには、砂丘の町・内灘での50年以上も前の思いもよらぬ因縁が関係していた。

 内田作品は、事件の原因として、戦時中や終戦時の因縁を使うことが多いが、光彦は永遠の33歳。さすがに時代が開きすぎてだんだんと苦しくなってきたのか、今回は、原因となる出来事の起きた時代が、少し現代に近づいている(笑)。

 この作品の見どころは、「内灘闘争」という埋もれた歴史を発掘して、我々に見せてくれたところだろう。内灘闘争とは、昭和20年代の終わりから30年代の初めにかけて、内灘砂丘が米軍の特需砲弾試射場として接収されたことに対する反対闘争のことである。本書で初めて、そんな出来事があったことを知り、とても興味を惹かれた。また、全国的にはあまり知名度はないだろう河北潟や内灘砂丘を取り上げているので、旅好きとしてはうれしい。

 ところで、内田氏は、以前の作品で、宗教の持つ欺瞞性を批判していたが、この作品では、イデオロギーに染まった活動家と言う者に対して疑問を呈しているように思える。イデオロギーを追い求めるものと、地元で暮らさなければならない者との間の断絶といったものが良く描かれていたように思う。

 残念なことに、いつものあの場面がなかった。光彦を散々犯人扱いしていた刑事が、兄が刑事局長と分かったとたんにペコペコし出すという、ある意味このシリーズの定番とも言う場面だ。やはり、浅見光彦シリーズは、あの場面がないと少し寂しい(笑)。


○関連過去記事
草迷宮

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天使のテディベア事件  4


天使のテディベア事件 (創元推理文庫)
  • ジョン・J・ラム
  • 東京創元社
  • 1050円
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書評



 元腕利き刑事のブラッドリー・ライオンとその愛妻アシュリーが「おしどり探偵」として活躍するシリーズ第2弾「天使のテディベア事件」(ジョン・J・ラム/阿尾正子:東京創元社)。

 ブラッドリーは、アシュリーといっしょにテディベアを作ることに精を出しています。今回は、苦心して作った自慢のテディベアを、ショーに出品するために出かけるのですが、「天使のテディベア」を出品した人気のテディベア作家・ジェニファー・スウィフトが会場で殺害され、その容疑が、ブラッドリーにかけられてしまいます。

 実は事件の前、ブラッドリーはジェニファーがDV夫のトニーに暴力を振るわれているのを助けたのですが、なぜかジェニファーはブラッドリーのことを憎悪の目で見るのです。実は、話が進むと、このジェニファーもろくでもない人物だということがはっきりするのですが、その話は、作品を読んで確かめてください。

 ブラッドリーに容疑をかけたサラ・マルヴェイニーという女警部補が、無能な上に権威を笠に着ているといやなタイプなのですが、ブラッドリーはさすがに元敏腕刑事、役者が違います。相手のまずいやり方を逆手にとって、結局は捜査のリーダーシップを握ってしまうのです。引退したと言っても、刑事魂と言うのは、簡単には無くならないのでしょう。最後には、このネジが外れたような女警部補と結構信頼関係を築いているのですから、さすがに昔取った杵柄です。年の功です。

 ところで「おしどり探偵」と銘打っているだけあって、二人はラブラブです。例えば、この会話。アシュリーはミステリー好きなのですが、ブラッドリーの方はあまり好きではない。ブラッドリーがアシュリーから「ミステリーがどんなに嘘くさいかなんて話はしないで」と釘を刺された時のものです。

「ぼくにはそれくらいの楽しみも許されないのかい?」
「あら?じゃ、昨夜は楽しくなかったわけ?」
「昨夜のあれは”楽しい”という言葉ではいい足りないよ、奥さん」


 結構際どいです。ちなみに、ブラッドリーは、小太りのオヤジで48歳。既に、結婚27周年だそうです。日本なら、とっくにお互いが空気のような存在になっているころです。さすがに肉食の国です。

 上の会話からも想像がつくように、ブラッドリーはしょっちゅう軽口、減らず口、オヤジジョークを飛ばしています。これが、なかなか楽しい。最初から最後まで、ニヤニヤしながら読んでいました。

 なお、この本は、「本が好き!」さまを通じて献本していただいたものです。お礼申し上げます。


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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない5




 異形を抱えた少女を描かせたら並ぶものがない桜庭一樹の「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」(角川書店)。最高に衝撃的な作品の一つだ。

 主人公は、山田なぎさという鳥取県境港市に住む中二の少女。9月の初めに、なぎさの通う中学校に、美少女の転校生がやってくる。芸能人の海野雅愛を父に持つその美少女は藻屑というとんでもない名前だ。自分のことを人魚だという藻屑は、左足を引きずるようにして歩き、何かあるごとに、持ち歩いてるペットボトルからミネラルウォーターをぐびぐびと飲む。そんな藻屑が転んだ時に、なぎさは、彼女のスカートの下に隠れた、たくさんの殴打の痕を見てしまう。

 なぎさの家は貧しい。兄は引きこもりで、母親のパートと生活保護で生計を立てている。母親が明るいのが救いだ。だからなぎさは、中学を卒業したら自衛隊に入ろうと思っている。なぎさが興味あるのは「実弾」、生活に打ち込む本当の力だ。だから、藻屑がのべつまくなしに撃ちまくっている「砂糖菓子の弾丸」にはいらついていた。

 しかし、藻屑が「砂糖菓子の弾丸」を撃ち続けていたのには、哀しい事情があった。この物語は、藻屑が転校してきて、悲劇的な結末を迎えるまでの1か月を描いたものだ。

 友達になろうという藻屑に、「死んじゃえ」なんて言うやつとは友達になれないというなぎさ。藻屑は、「あれは愛情表現」と言う。彼女は、愛情表現と憎しみの区別がつかないのだ。藻屑に対して、金持ちの幸せな娘だと反発していたなぎさだが、彼女が自分よりずっと不幸だと知った時に、初めて藻屑の事を友達と思う。しかしそれは、自己嫌悪となり、なぎさをさいなむ。

<ぼく、おとうさんのこと、すごく好きなんだ>
<好きって絶望だよね>


 静かな田舎町に起きた異常な事件、それはなぎさの心に忘れ難い記憶を遺した。ひたすら「砂糖菓子の弾丸」を撃ち続けた少女の哀しさ。自分を人魚だということで、現実をごまかし、虐待を続ける父親に絶望的な愛情を示す。

 藻屑が撃ち続けた砂糖菓子の弾丸。それは決して甘くなんてない。打ち込まれるのは、なんとも言えない切なさ、苦さ、あまりにも辛い心の痛みだ。


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リオの蝶殺人事件2


リオの蝶殺人事件 (夏光一郎警部シリーズ)
  • 瀬川久志
  • 文芸社
  • 1575円
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書評



 「磯の香りの謎殺人事件」に続く「夏光一郎警部シリーズ」の第2弾、「リオの蝶殺人事件」(瀬川久志:文芸社)。「リオの蝶」とは、明らかに、カオス現象を端的に説明する際の例えとして使われる「バタフライ効果」のことである。これは、初期値のごくわずかの変動が、結果として無視できないくらいの大きな差となって現れてくることだ。

 世界で初めて、物理現象としてのカオスを鉄共振回路で発見したのは、京都大学工学部(当時)の上田士疾萓犬任△襦上田先生がカオスを発見したのは、アナログコンピュータによるシミュレーションからであったが、そのコンピュータを開発、制作したのが私の恩師の安陪稔先生だ。カオス現象というものは面白いもので、初期値が決まればその後の挙動が決まってしまうという確定論的なもののはずの非線形微分方程式の解が、僅かな初期値のゆらぎにより予想できないような動きになる。

 余談はさておき、この作品についてである。東洋学園大学教授の広尾省吾が、学会出席のため訪れていたシンガポールで毒殺された。更に大学事務員の松本美鈴が鳥羽市の小浜漁港で、車毎海に転落し死亡する。これらの事件を夏警部たちが解き明かしていくというのが基本的な筋書きだ。

 前作と同様、やはり、この作品にもいくつか気になることがある。

 まず、この夏警部、いつの間にか前作の静岡県警から愛知県警に所属が変わっている。警視正以上なら国家公務員となるそうなので、不思議はないかもしれないが、警視庁から静岡県警に出向(移籍?)し、50歳までずっと静岡県警小百合署で過ごしていたのに、今更どうして愛知県警に変わるのだろう。おまけに、部下の青山刑事と一緒になんて、まずありえないだろうと思うのだが。

 次に、本の帯には「さまざまな職種のキャラクターたちのそれぞれが主役級の活躍をして事件を推理・捜査していく知的ミステリー」と書かれているのだが、私の受ける感じは、皆でワイワイガヤガヤと井戸端会議をしているうちに事件が解決してしまったというもの。そもそも、刑事が捜査情報を、民間人に喋りまくって、皆で解決していくといったストーリー自体があり得ないと思う。井戸端会議に加わる人数も多すぎるので、それぞれのキャラの存在感が薄まる。夏光一郎警部シリーズと銘打っている以上は、彼にもっと存在感を持たせて、ちゃんと主役を張らせることが必要だろう。

 一番気になるのは、帯のこの部分だ。
「ニュートン力学の因果律ではなく複雑系のカオス理論で事件の真相を解明。
大学教条としての専門知識を活かし、科学捜査の手法を大胆に取り入れた意欲作。」
 
 
 確かに最後の方で、付け足したようにカオス理論についての説明は出てきて、こじつけたような推理は紹介されてはいるものの、別にそれを応用して事件を解明した訳ではない。科学捜査らしいこともどこにも出てこないし、そもそも推理というよりは違法とも思える強引な力技による捜査の方が目立つ。

 ただ、大学の統廃合の時代に入って、大学人も色々と大変なんだろうなといったことについては伝わってくるのだが。

 なお、この本は、「本が好き!」さまを通じて献本していただいたものです。お礼申し上げます。


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磯の香りの謎殺人事件―夏光一郎警部、巨大地震と闘う2


磯の香りの謎殺人事件―夏光一郎警部、巨大地震と闘う
  • 瀬川久志
  • 1365円
Amazonで購入
書評



 静岡県警小百合市警察署に勤務する夏光一郎警部と娘の蜜柑が、仲間と共に、小百合港で死体となって発見された若い男の死の謎に挑む、「磯の香りの謎殺人事件」(瀬川久志:文藝書房)。

 全体としてはまあまあ面白く読んだのだが、残念なことに未完成な部分がかなり目立つ。まずは人物設定についてだ。

 主人公の夏警部の設定はなかなか面白い。理系の大学院博士課程を修了して警視庁の刑事として社会人生活をスタートしたが、官僚機構にいやけがさして、小百合市警察署に都落ちをしたという設定だ。この設定から期待する事は、その科学知識を活かして、見事な推理で事件を解決して見せるということだろうが、そんな場面はどこにもない。せっかくの設定を活かしきれていないと思う。

 娘の蜜柑の方も、せっかく変わった名前といいキャラ設定をもらいながら、気が強いところばかり前に出ているようだ。むしろ名探偵ぶりは、「蜜柑が真相を解き明かす」と信じている、友人の松原留美の方が目立っている。

 作者は、一体誰に探偵役をやらせたかったんだろう。誰もがキャラが薄く、少しずつ探偵をしているという感じだ。一番探偵らしいのが、サブキャラの一人留美というのは少し奇異な感じがしないだろうか。

 次に、ストーリーの流れである。この作品では表題の「磯の香り」と、もう一つ「ガイア」というのがキーワードだろうと思う。しかし、「ガイア」の方は、結局何が言いたかったのか分からなかった。途中で大地震の話が挿入されていて、これとの関係が想定されているのかもしれないが、最初にこの言葉が出てきたのは地震の前であるため、よく分からない。地震のほうも、事件の解明とは何の関係もなく、唐突に出てきた観がある。 

 更に、ストーリーの細部にも色々と不自然なところがある。こういったものがありすぎると、ストーリーのリアリティが失われてしまう。以下に列挙してみよう。

 被害者が遺したとみられる暗号文を留美がすぐに解いてしまった。暗号文の7行に西暦の生年月日が対応するのではということが閃いたようだが、西暦の生年月日は最大8ケタなので矛盾している。

 夏は次期署長の話を辞退したということだが、刑事課長でもない夏が、警視正か警視の階級が必要な警察署長にいきなり推薦されるというのは不自然だ。そう言えば小百合署は、総務課長や交通課長は出てくるのに刑事課長が出てこないのも不思議だ。

 県警の警部補が、警視正または警視である沢口署長や警部の夏を「君」づけで読んでいる。階級が下から数えた方が早い警部補が、仮にバックがいたにしても、階級がずっと上の署長に対して、偉そうに君付で呼ぶことなどあり得ないだろう。

 被害者が派遣で働いていた会社に夏の部下青山たちが聞き込みに行った際に、人事課長が役職が上の研究部長に対して、応接室に来るように「命じ」たり、自分が目上的な口のきき方をしているのも不自然だ。

 磯の香りの成分である硫化ジメチル(ジメチルスルフィド(CH3)2S )がまだ人工的につくられていないと書かれているが、化学式自体が単純な物質だ。今はかなり複雑な構造の化学物質も合成されているので、変だなと思いネットで検索してみると、工業的に生産されているということが出ている。また、この作品では、磯のいい香りがしたというのが、手がかりの一つになっているが、犯人が純粋の硫化ジメチルを持ち歩いていたら、いい香りではなく悪臭がするのではないかと思う。

 せっかく夏警部や蜜柑にいいキャラ設定をしているのだから、彼らを中心にストーリーを回していけば、もっと面白くなると思うのだが。

 なお、この本は、「本が好き!」さまを通じて献本していただいたものです。お礼申し上げます。



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シャドウハンター 灰の街4




シャドウハンター 灰の街
  • カサンドラ・クレア
  • 東京創元社
  • 903円
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書評



 妖魔と戦う者たちを描いた「シャドウハンター」(カサンドラ・クレア/杉本詠美:東京創元社)の第2弾「灰の街」。

 主人公は、ジェイスというティーンエイジャーのシャドウハンター。ジェイスがシャドウハンターの組織の反乱者ヴァレンタインの息子であることを知って、育ての親のメイリスは動揺する。荒れるジェイスは、ヴァレンタインとの関係を疑われ、審問官によってサイレント・シティの牢に繋がれてしまう。ところが、そこにヴァレンタインが現れ、天賜の宝の一つソウルソードが奪われてしまった。ヴァレンタインは、ソウル・ソードを魔転換させ、妖魔の軍隊を組織しようと企てていた。

 出てくるのは、妖魔だけでなく、魔法使い、妖精、狼人間に吸血鬼と、まさに西洋のホラーファンタジーの世界の住人が勢ぞろいだ。なぜか狼人間と吸血鬼は出ているのに、同じ3大モンスターのひとつであるフランケンシュタインは出てこない。狼人間や吸血鬼ほどポピュラーでないのか。本書中に「NARUTO」や日本刀が出てくるので、作者は日本には詳しいようだ。もしかすると「怪物くん」と似たような設定になるのを避けたのか(笑)。

 ところで、この作品は、シャドウハンターと妖魔の戦い、すなわち光と闇、正義と邪悪、天使と悪魔の闘争がメインテーマであるが、その他にも色々な要素を絡めている。例えば、ジェイスと妹のクラリーとの関係。お互いに男女の愛を感じていたようだが、兄妹と分かり二人は悩んでいる。そこにクラリーの親友サイモンが絡んで微妙な3角関係を形作っている。また、ジェイスは父のヴァレンタインに対して、トラウマのようなものをもっているようだ。

 ジェイスは最初のころは、嫌な奴といったイメージが強かった。しかし、話が進んでいくうちに次第に逞しくなっていく。新たな力に目覚め、微妙な関係にあったサイモンの命を、驚くべき方法で救う。父親の恐怖を打ち破り、育ての親との絆もより堅固なものとなったようだ。この作品は、ジェイスの成長の物語にもなっているのである。

 なお、この本は、「本が好き!」さまを通じて献本していただいたものです。お礼申し上げます。


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悪魔の種子 浅見光彦シリーズ424


 フジテレビ系の浅見光彦シリーズ第42弾、「悪魔の種子」。場面は日本三大盆踊りの一つである秋田県の西馬音内(にしもない)盆踊りで、茨城農業研究所の研究員・窪田一彦が毒殺される場面から始まる。この盆踊り、ちょっと変わっていて、女は「端縫い」というパッチワークのような着物を着て踊るのだが、男は、「彦三頭巾」という被り物を被って踊るので、このドラマで使われるようなトリックにはうってつけなのである。この場面は、当然原作の方にもあるが、さすがは内田センセ、よくこんな作品にうってつけの盆踊りを探して来たものだ。ちなみに、日本三大盆踊りの残りの2つは、阿波踊りと郡上八幡盆踊りということらしい。

 この事件の容疑をかけられたのが、岩手農業研究所に勤める西見文明と言う研究員。西見の恋人の諏訪由紀子が、浅見家のお手伝いの須美ちゃんの友達だったため、光彦が事件の真相を調べることになる。今回は、雪江未亡人のお墨付きをもらった光彦は、「旅と歴史」の藤田編集長を、宮沢賢治を取り上げてみたいと、いつものようにうまくいいくるめて取材費を確保して、岩手に向かう。

 ところが、窪田といっしょに西馬音内盆踊りに行く予定をキャンセルしていた、つくば農業生物進化研究所の研究員上村浩が霞ヶ浦で殺害され、西見が逮捕されてしまう。調査の果てに、光彦がたどり着いた先には、「花粉症緩和米」を巡る、醜い欲望が渦巻いていた。

 日本のほとんどの都道府県には、一度は足を踏み入れたことがあるが、東北は茨城県以外は、私にとって未踏の地だ。それだけに、西馬音内盆踊りや、岩手県の宮沢賢治記念館など、激しく旅情を誘われる。今回の地震と津波で、東北は未曽有の被害を受けたが、今回、東北を舞台にしたのは、完全復旧への応援と言う意味合いもあったのだったのだろうか。本当に、1日も早い完全復旧を願っている。

 今回は、光彦はいつものようにヒロインに振られてしまう場面はなかった。そもそも、ヒロインには初めから恋人がいたので、光彦は、最初からかすりもしなかったという訳だが、毎回振られてしまう光彦に、いっそ須美ちゃんを嫁にもらってしまえと思っている人は多いのではないだろうか(笑)。


(原作)
・内田康夫:悪魔の種子




(出演)
・中村俊介(浅見光彦)
・遠藤久美子(諏訪由紀子)
・榎木孝明(浅見陽一郎)
・野際陽子(浅見雪江)
・藤田瞳子(お手伝いの須美子) 他


○関連過去記事
悪魔の種子


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H25.10.26発売の図書新聞(3132号、2013年11月2日号)に「泥棒は几帳面であるべし」の書評掲載

H26.6,28発売の図書新聞(3165号、2014年7月5日号)に、「市場主義のたそがれ―新自由主義の光と影」の書評掲載

H28.8頃より「シミルボン」への投稿開始

H29.7.4「彗星パンスペルミア」の書評が「新刊JP]に掲載

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H29.11.24「ペンギン・ハイウエィ」の書評が「新刊JP」に掲載

H29.12.26.「ニッポンの奇祭」の書評が「新刊JP」に掲載

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H30.7.20.「極道ピンポン」の書評が「新刊JP」に掲載

H30.7.26.「シミルボン」にインタビュー記事掲載

2019.2.23.「本が好き!」×「書店フェア」で「あなたの街で本と出会う Vol.2」に「こころを彩る徒然草」のレビュー掲載

2019.04.28.【本が好き!×カドブン】コラボレビュー!第4回『皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。』の書評が掲載

2020.01.24.「貧乏大名“やりくり”物語 たった五千石! 名門・喜連川藩の奮闘」が「新刊JP」に掲載

2020.02.04.『どんなことからも立ち直れる人』の書評が「新刊JP」に掲載
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