風竜胆の書評

コミックスから専門書まで、あらゆる本を読みます。元エネルギー企業の専任部長。現在は、ライター・書評家を標榜する自由人w 時に書評が過激になるのは、長州人の血? 現在「シミルボン」と「本が好き!」でも活動中。 執筆依頼、献本等歓迎します。右欄のメッセージ機能にてご連絡ください。 旧ブログ名:本の宇宙(そら)

2016年10月

地理 2016年 10月号4



・地理 2016年 10月号
・古今書院

 「本が好き!」で頂いた雑誌「地理」がなかなか興味深い内容だったので、最近はすっかり地理づいてしまっている。10月号の特集は「熊本地震」。あの地震に対して、様々な視点からのアプローチを行ったものだ。

 「被災〜避難生活の体験と教訓」は、自宅で地震を体験された福本惟信さんの体験記録だ。直接体験された方による記録だけあって、地震発生直後から、2ヶ月後までの状況がよく分かる。

 「熊本地震による観光への影響」によれば、熊本でも地震の被害以上に風評被害の方が大きいようだ。悪意のないデマから、嘘を広めて喜んでいるやつらまで。とくにネット世界では、知りもしないことを得意になって言っている輩が多いので注意しないといけない。

 ただ、観光施設へ行くための交通への被害は重大のようだ。しかし、周遊ルートを工夫すれば十分に観光は可能だというから、機会があればぜひ九州の観光地を巡って欲しい。

 この他、熊本地震の特徴やメカニズム、災害対策本部における組織対応体制と地図利用、熊本城の被災状況、九州産業への影響など、地震国日本に住む者としては知っておきたい記事ばかりである。

 話は変わるが、まだこの号を読みきらないうちに、私がかって住んだことがある鳥取県でも大きな地震が起きた。私の携帯が、緊急地震速報を知らせたのは、熊本地震以来だ。(恥ずかしながら、携帯にそんな機能があることは熊本地震のときに、初めて知った)

 こちらでも、第一波の、ガクンとした揺れが感じられて、少し肝を冷した。あれで震度4だったのだから、地震のあった地域の方は、さぞかし大変な思いをされただろう。

 熊本、鳥取、どちらの地域も、一日も早い復旧を願いたいと思う。


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大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア―序章―2


・大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア―序章―
・J.D.サリンジャー、(訳)野崎孝、井上謙治
・新潮文庫

 本書は、グラース家の7人兄妹を描いた、グラース・サーガとも呼ばれる一連の物語のうちの2作を収録したものだ。両作品とも、兄弟姉妹の中で上から2番目となるバディを語り手にしている。全体に、コミカルだが、かなりシニカルな語り口で話がすすんでいく。

 まず「大工よ、屋根の梁を高く上げよ」の方だが、これはグラース家の長男であるシーモアの結婚式の時の話だ。家族それぞれの事情から式に行けるのはバディだけ。肋膜炎の病み上がりで、横隔膜の辺りを絆創膏でがんじがらめにされての出席である。

 彼は、ひょんなことから、花嫁側の関係者と同じ車に乗りこむのだが、花嫁の介添役の婦人から、さんざんシーモアの悪口を聞かされる。もっともシーモアの方にも悪口を言われてもしかたのない部分もかなりあるのだが。パレードによる渋滞で車が動かなくなり、皆でバディとシーモアのアパート(二人が軍隊に入ったので、実際に住んでいるのは妹のブーブーだが)に行くことになる。そんなドタバタを描いたものだが、ここに出てくるのは、まさに俗物とでもいうような人々ばかり。

 このタイトルの由来は、ブーブーが浴室に残した次のメッセージである。

<大工よ、屋根の梁を高く上げよ。アレスさながらに、丈高き男の子にまさりて高き花婿きたる。(以下略)>(p89)

 これを読んで、シーモアはどれだけ背が高いんだと思ったが、次の「シーモア序章」でバディが述べているところによれば、彼の身長は、5フィート10インチ半。当時のアメリカの基準では、背の低い男の中では高い方に属しているらしい。

 そして「シーモア―序章―」だが、これは40歳になったバディが書いたシーモアの思い出話のようなものだ。シーモアは31歳で自殺をしている。この作品は、ひたすらシーモアを礼賛するような内容だろう。

 一神教の国では、シーモアは神にはなれないが、シーモアもバディも中国や日本にものすごく興味を持っていたようだ。本書のそこかしこに、道教の話や俳句の話がちりばめられているのである。だからこれは、あたかもバディがシーモアという神に捧げる祝詞のようなものだと思えば、当たらずと言えども遠からずか。

 シーモアは、兄弟姉妹が優秀なグラース家の中でも飛び抜けた天才のようだ。何しろ15歳でコロンビア大学に入り、18歳から大学で教えていたらしい。しかし天才だからだろうか、彼には病的な危うさがある。

 例えば彼は、子供の頃シャーロットという美少女に9針も縫うような大けがをさせているが、その理由は、「ブーブーの猫を撫でていた姿が美しかった」からだという。完全にアブナイやつだ。

 また、シーモアの日記に書かれていた、結婚相手のミュリエル評もすごい。

<事物を貫いて流れている、万物を貫いて流れている太い詩の本流。これに対する理解力をも愛好心をも、生涯ついに恵まれることのなかった人間。むしろ死んだほうがましかもしれないが、それでも彼女は生き続けていく>(p98)

 よくこれで、ミュリエルと結婚しようなどと思ったものだが、そこが天才の天才たるゆえんか。しかしこれでは、俗物だらけの世の中、生きにくいだろうなあ。

 「大工よ」の方はまだいいが、「シーモア」となると、うだうだと回りくどい文章が続くので、文学読みの人たち以外は、この本を途中で壁に叩きつけるかもしれない。私は文学読みではないので、しばしばそんな誘惑に襲われたのだが、それに耐えながらも、一応最後まで読んだ。そんな私を誉めてやりたい。偉いぞ、自分!

 なおひとつ気になった部分がある。「禅宗のある修道院」(p65)という表現が出てくるが、もちろん仏教宗派たる禅宗に修道院なんてものはない。原文は、どうだったのだろう。原文がどうあれ、日本語に訳すなら、ここは「寺院」としたいところなのだが。

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プロの学び力2


・プロの学び力
・清水久三子
・東洋経済新報社

 本の整理をしていると、奥のほうから出てきた本書。長らく積読状態にあったが、もったいないので、ざっと目を通してみた。

 まず引っかかったのがタイトル。「『プロ』ってなんのプロ?」読んでみると、著者はコンサルタントを仕事にしているということで、これはコンサルタントの勉強法のことらしい。しかし、コンサルタントがプロだといわれると「う〜ん」と思ってしまう。

 要するに、コンサルタントは、クライアントのニーズに応えるために必要な知識を仕入れることを、「常人の3〜6倍の速さ、場合によっては、1週間から10日ですることを求められる」(p3)ので、そのための勉強法ということらしい。

 このコンサルタントの学び方を説明するために、本書では冒頭で、「チャイルド・エデュケーション」と「アダルト・ラーニング」という概念を導入している。このあたり、やたらと新しい言葉を使いたがるコンサルタントらしいと思うのだが、前者は学生のお勉強、後者は社会人の学びということで、コンサルタントに必要なのは、もちろん後者の方だということだ。

 確かに読んでみると、学ぶためのロードマップを作ったり、会アウトプットが重要だといったりと、初心者には役立ちそうなことが書いてある。しかしそれで本当に「稼げる」かは疑問だ。

 しかし、そもそも、10日程度では、徹夜で勉強したところで、ごく表面的な知識しかインプットできないだろう。ある程度の実務経験がないと、どうしても浅薄なことしか言えないのではないか。本当に大切なのは、何かに精通したうえで、これをベースにして周りを関連知識で固めていくことだろう。

 コンサルタントが必要な理由は二つだろう。まず、サラリーマンという人種は、意外ときちんと勉強している人間は少ない。前例踏襲で、業務をこなしている例が案外と多いのだ。だから、表面的とはいえ、一応関連分野を勉強しているコンサルタントが役に立つこともある。

 もうひとつは、経営者側の問題である。外の人間から言われないと動こうとしない経営者って結構いるのではないか。本当はそんなことは社員のほうはとっくに知っているのに、言っても聞いてもらえないということはないだろうか。

 私自身は、直接コンサルタントと仕事をしたことはないが、他部門が雇ったコンサルタントの相手をしたことは何度かある。残念ながら、これまで、「この人はすばらしい!」という思いを抱いたことはなかった。なんでこんなの金払って雇ったんだというのが正直なところ。


 話が少し脱線してしまったが、本当にその道の「プロ」になろうと思ったら、長い時間が必要だというのは言うまでもない。そのような覚悟で、勉強法のテクニックのひとつであると思って読めばよいかもしれない。


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探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに5


・探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに
・東川篤哉
・実業之日本社文庫

 本書は、恋ヶ窪にある鯉ヶ窪学園高等部を舞台にした「鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ」の一冊であり、直接的には「放課後はミステリーとともに」の続編に当たる。

 ヒロインは、二年生の霧ヶ峰涼。探偵部副部長、一人称は僕だが、ヒロインなのだから男でも男の娘でもない。ましてや決してエアコンなどではない。16歳の花も恥じらう乙女である。

 美少女名探偵を自認するが、推理のほとんどはミステリマニアの探偵部顧問である生物教師に丸投げ。特技は、野球部の1年生を相手にした「鯉の滝登りノック」のようだ。

 彼女が副部長を務めている探偵部は、教師も生徒も変な人が多いこの学園でも一際ユニークな存在だ。ミステリの研究などを行うのではなく、実際に探偵活動をするのだから。ただし、部室なしの流浪の部らしい。部員は、霧ヶ峰の他には3年の多摩川部長、八橋先輩、そして同級生の赤坂君。

 探偵部があるくらいだから、この学園ではヘンな事件がよく起こる。だから、本が何冊も書けるくらい、探偵部の出番があるのだ。

 今回霧ヶ峰が挑む事件は、大きくは、誰かが襲撃されて、その時に使われた武器を解き明かすものと、密室トリックの解明との2通りに分けられる。

 前者の被害者は、「鯉ヶ窪学園の陸の王者」を自称する桁外れの天狗男・足立俊介。三年男子の中でも有数のモテ男、大島敦史。強面体育教師の柴田幸三。そして学園関係者ではないが、恋ヶ窪教会の神父さん。神父さんはともかく、後はあまり関わりあいになりたくない人ばかり(笑)。

 後者は、探偵部へのミステリ研究会からの挑戦である密室殺人事件2件と映画部の部室のテレビが、実質密室状態の部室から持ち出され壊された事件。

 この巻の最大の特徴は、霧ヶ峰涼にライバル出現というところか。ミステリ研究会部長の大金うるると、その双子の妹で出来がいいため早実に通っているというさらら。そう「ダイキン工業」のエアコン「うるるとさらら」である。つまりは霧ヶ峰v.s.うるる&さららのエアコン娘の対決が一つのテーマなのだ(なんのこっちゃ!?)。

 コミカルでテンポよく話が進んでいくので、とても読みやすく面白い。ただし、著者が広島出身のため、「どれだけカープ好きなんや!?」と思うくらい関係する話題がそこかしこに出てくるのはちょっと・・・(野球まったく興味ないねん)。

 それにしても、この学校、3月1日が卒業生の御礼参り解禁日らしい。いったいどんな学校や(笑)。

〇関連過去記事
放課後はミステリーとともに


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土曜プレミアム・特命指揮官 郷間彩香4

 警視庁捜査二課知能犯第二係の敏腕警部補、郷間彩香の活躍を描いたドラマ。彼女は、電卓を扱うのが得意なので「電卓女」と呼ばれているようだ。

 ある日、新世界ファイナンスという会社が何者かに襲撃され、人質を取って立てこもる。犯人は國井哲也という、かっては郷間の先輩刑事だった男。彼は、警察の現場指揮および交渉は、すべて郷間彩香に執らせるように要求する。いったいなぜ彩香が指名されたのか。

 背景には、権力の中枢に潜む大きな闇があった。彼女の父親が彼女と母親を捨てた理由、その父が、何者かに殺された事件。すべては、その闇と関わりがあったのだ。

 警察庁からやってきた吉田警視正の不審な動き、意外な人物の裏切り、最後に明らかになるのは、意外な真実。

 松下奈緒演じる女刑事・郷間彩香がなかなかいい。強くて美しく女子力の高いヒロインというのはある意味男子の理想像だろう。しかし、新聞のテレビ欄では「女子力」という言葉があったのに、作品の中ではそれほど「女子力」を発揮していなかったような。記憶に残っているのは、電卓を扱っている場面というのは少し残念(笑)。

 彩香が格闘に強いかどうかは分からなかったが、吉田の壁ドンに対して壁ドンで返すのだから気が強いのは確かだろう。キャリア組の吉田と、なかなかいい関係になっていきそうな感じだから、もしかするとこれ裏設定は彩香の婚活だったりして(そんなわけないか・・・)。

 しかし、あの終わり方は、ちょっとフラストレーションが溜まりそうだ。これが2週連続というのなら1週目はあの終わり方でも良いが、そうでないのなら、続きが気になってしょうがないし、もし放映された場合に、前回どうだったか忘れてしまう。

 ところで原作者の梶永正史。私も本読みだが、初めて聞く名前なので、調べてみて驚いた。なんと私が通っていた高校と同一地域にある高校の出身なのだ。そのうえ、少子高齢化の影響で、私の母校と彼の母校は合併し、今では同じ高校になっている。ということは私の後輩か?いや同窓会は別々だから、合併前の卒業生は後輩にはならないんだろうなど、つい変なことを考えてしまった。

〇原作
・梶永正史:「警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官」(宝島文庫)



〇主な出演者
・松下奈緒(郷間彩香警部補)
・鈴木亮平(吉田透警視正 警察庁から来た男) 
・稲垣吾郎(國井哲也 立てこもり犯)
・高嶋政伸(後藤剛警部 警視庁特殊犯捜査第一係(SIT)係長) ほか

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となりの婚活女子は、今日も迷走中3


・となりの婚活女子は、今日も迷走中
・大西明美
・かんき出版

 著者は、婚活アドバイザー兼結婚相談所所長だという。そんな著者が語る婚活悲喜こもごも。

 女子は幾つになっても色々と男に対する注文が多い。自分はアラフォーでも年下と結婚したい。年上だと、子供が成人する前に、旦那が定年になるからだそうだ。

 学歴だって、年収だって、地位だって、ちゃんとそろっていなきゃだめよと、よくこれだけ条件を付けられるものだと感心する。でも、自分勝手な条件は、相手に見透かされるぞ。

 呆れるのは、女性のお見合いの断り理由の第二位が「割り勘にされた」だそうだ。おごってもらえると、自分が大切にされていると感じるらしい。なんと我儘な。でも男の方だって、ちゃんと見ている。男性5位の断わる理由は、相手が「レジで財布を出さない」なのだ。別に割り勘にしたい訳ではない。相手の振る舞いを見ているのである。

 趣味の欄に「読書」と書いた人は、プロフィール全体の4割だが、1年以内に結婚を決める人の8割が「読書」と書いてるそうだ。結婚したいなら、女子は相手のことをきちんと理解できるように、本を読まないといけないのである。決して男は自分を楽しませるための存在ではないのだ。

 面白かったのは、フェイスブックは、婚活の大敵らしいということ。見合い前に名前検索されて不快な思いをする場合があるという。しかしインスタグラムは婚活に使えるそうだ。自分が作った料理の写真を掲載すれば男の胃袋を鷲掴みにできるのである。これをフェイスブックと組み合わせて、インスタグラムの料理写真のみ一般公開するという手もあるらしい。

 本書から読み取れる婚活成功の秘訣をいくつか挙げてみよう。まずはあまり条件を厳しくしないこと。もし高年収の相手を狙うなら、かなり年上までをレンジに入れる必要がある。相手のことをあまり詮索してもいけない。交際のなかで信頼関係を築いていくのである。考え方も大切だ。相手の襟元が汚れている場合、それを拒否する人と、自分が変えてあげようとする人では、どちらが幸せを掴みやすいかは言うまでもないだろう。

 大切なのは、女性は、どんな辛いことがあっても笑顔を絶やさず、まわりに福を運ぶこと。そして男性は、女性の辛さをシェアし、支えるということなのだそうだ。

 それにしても、結婚相談所というのはなかなか大変だ。好きなことをいう女子に対して、なんとかそれなりの相手を探さないといけないのだから。今は、昔のように世話焼きおばさんがいなくなった。出会いを求めるには、結婚相談所のようなところを利用するしかないのだ。少子高齢化をストップさせるという意味でも、著者にはがんばって欲しいと思う。

 なお、本書は、レビュープラスさまからのいただきものです。ありがとうございます。 

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くらべる東西4


・くらべる東西
・(文)おかべたかし、(写真)山出高士
・東京書籍

 日本の東西のちょっとした文化の違いを写真と共に紹介した本書。読んでると、「こんなところも違うんかい!」という意外な発見がありますなあ。

 食べ物の文化の違いも結構掲載されてますが、この関係は殆ど西の勝ちや(東日本の方、スマン)。(笑)やはり食文化は西日本ですなあ。

 いなり寿司はまだしも、その次のおでん。「関東のおでんって、出汁真っ黒やんけ!こんな体に悪そうなもん、食えるかい!!」と、思わず言うてしまいましたわ。

 ところで、出汁が真っ黒なのでで有名なのは関東のうどん。残念ながらおでんのところで文章で触れられているものの、写真がなかったのが残念やなあ。

 ぜんざいも東西でまったく違う食べ物や。写真を見た瞬間、東のぜんざいに対して、「えっ、これぜんざい?餅の上にあんこ乗せただけやん!」と思ったいうんが正直なところ。

 まさか、縄文式土器まで東西で違いがあるとは、驚きました。西の方がシンプルで実用的や。東の方が複雑な理由について、<西に比べて東の方が人口も多く、通念的な定住生活が行われたために社会が複雑化しており、それに伴って呪術的などの精神的文化がより発達したためと考えられている>(p74)と書かれてますけど、著者は京都やし、写真は三重県とどちらも西のお方。口が裂けても、こんなこんなこと言うてはあきません。

 もっと進んだ時代の弥生の土器はさらにシンプルでっせ。複雑やから精神的文化が発達しとるとは、何言うてますの。これ、絶対東の方の人間が唱えた説やと思います。

 そうは言うても、ここに掲載されとるんを、単純に東西比較と思ってはあきません。今はかなり文化が混ざって、どこがどこの文化かよう分からんようになっとります。それに、西というと京、大阪を言うことが多いけど、そこが必ずしも西を代表している訳ではないですし。

 わても西京(山口)から京までをうろうろしとった西の人間やけど、京扇子なんか使ったことはないし、西のダルマやいう頭にハチマキをしたやつなんかも見たことおへん。実家の近くにおった野良猫は、東に多いという尻尾の短いやつばかりでした。

 線香花火も元々は東西で違うんですなあ。紙で巻いた東のものと藁を使った西のものですか。今では両方ともこちらでは売られてますが、元々はそんなルーツがあったとは驚きです。西のものは、火先を上向きにするらしいですが、わては、普通に下向きでやっていました。

 ちょっと、もの足らんところもあります。「東京一年生に伝えたい「東京の勘所」」(p120)というんを入れるんなら、「関西一回生に伝えたい「京・大阪の勘所」」なんてのも入れて欲しかったなあ。(関西では、大学生は○年生ではなく、○回生といいます)。

 この他、「もんじゃv.s.お好み焼き」とかもあったら面白かったかもしれません。

 散々ツッコミを入れたようですけど、本書の「おわりに」のところにこうあります。

<キッパリと東西に線を引くのは難しい物もたくさんあった。頷いたり、ツッコミを入れたりしながらページをめくり、「俺の田舎では」と生まれ故郷の自慢話に花が咲けば幸いです>(p173)

 ということで、すっかり著者の思惑通りに、楽しませてもろうたようです。

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H25.10.26発売の図書新聞(3132号、2013年11月2日号)に「泥棒は几帳面であるべし」の書評掲載

H26.6,28発売の図書新聞(3165号、2014年7月5日号)に、「市場主義のたそがれ―新自由主義の光と影」の書評掲載

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H30.7.20.「極道ピンポン」の書評が「新刊JP」に掲載

H30.7.26.「シミルボン」にインタビュー記事掲載

2019.2.23.「本が好き!」×「書店フェア」で「あなたの街で本と出会う Vol.2」に「こころを彩る徒然草」のレビュー掲載

2019.04.28.【本が好き!×カドブン】コラボレビュー!第4回『皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。』の書評が掲載

2020.01.24.「貧乏大名“やりくり”物語 たった五千石! 名門・喜連川藩の奮闘」が「新刊JP」に掲載

2020.02.04.『どんなことからも立ち直れる人』の書評が「新刊JP」に掲載
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