「できそこないの男たち」(福岡伸一:光文社)、センセーショナルなタイトルの本である。作者は、大ベストセラーの「生物と無生物のあいだ」を書いた、青山学院大学教授の福岡伸一氏である。 内容の方も、なかなかショッキングだ。特に男子にとっては。題名の「できそこないの男たち」というのは、男の中に出来が悪い者がいるというのではない。遺伝子から見れば、すべからく、男はみんな女のできそこないと言っているのである。

 できそこないの男たち (光文社新書 371)
できそこないの男たち (光文社新書 371)


 よく知られているように、男に生まれるか女に生まれるかは、Y染色体を持っているかどうかで決まる。性染色体がXYなら男、XXなら女だ。しかし、実は、生命の基本仕様は女なのである。例えば、ヒトでは、受精後7週間までは、染色体に関係なく、女性の形で成長していく。そこから、男の場合は、Y染色体にプログラムされている通りに男性ホルモンが働き、体を男に変化させていくのである。つまり、男は、生まれながらに男ではなく、女の体をベースに改造させれて作られたものなのだ。

 でも、このことから、なぜ男が女のできそこないと言えるのか。男子諸君は、これは、男が女から進化したということだと反論したいことだろう。残念ながら、この本には、男子諸君が寂しくなるような例が示されている。アリマキ(アブラムシ)という昆虫をご存じだろうか。よく草花に、小さな虫がびっしりとついているのを見ることがあるが、あれである。植物の養分を吸って、おしりから甘い蜜を出すので、よく蟻が集まってくる。このアリマキ、ものすごい繁殖力を持っているが、増え方がちょっと変わっている。メスがオスなしで、どんどん子供を産んでいくのだ。だから、アリマキの世界は、基本的にはメスだけの世界である。しかし、冬が近づいてくると、アリマキにもオスが生まれてくる。問題は、このときのオスの作り方だ。元々オスがいないのでY染色体は存在しない。だからメスのXX型染色体の一つを除いてX型染色体(X0型染色体)にし、メスのできそこないとしてオスを生み出すのである。これは、かなり原始的な例であるが、もっと高等な動物でもそれ程事情は変わらない。Y染色体はX染色体に比べるとかなり小さく情報量も少ないのだ。やっぱり、どう見ても、男子は分が悪い。

 だから、男子諸君、「女の腐ったような」という悪口を言われても気にすることはない。結局、男はすべてそんなものなのだから。そして女性は、男性をもっといたわって欲しい。Y染色体を持つ男は、本質的には女性よりずっとひよわなのだから。

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●本記事は当ブログ本館「読書と時折の旅」の2008年11月15日付記事の写しです。
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