風竜胆の書評

コミックスから専門書まで、あらゆる本を読みます。元エネルギー企業の専任部長。現在は、ライター・書評家を標榜する自由人w 時に書評が過激になるのは、長州人の血? 現在「シミルボン」と「本が好き!」でも活動中。 執筆依頼、献本等歓迎します。右欄のメッセージ機能にてご連絡ください。 旧ブログ名:本の宇宙(そら)

日本映画

風立ちぬ4


・風立ちぬ
・(原作)宮崎駿/堀辰雄
・(制作)スタジオジブリ


 ゼロ戦の設計者として有名な堀越二郎をモデルに、堀辰雄の小説「風立ちぬ」の話をミックスしたアニメーション映画。

 主人公の堀越二郎は、子供のころから飛行機に憧れていたが、近眼だったことからパイロットとなることは諦めていた。ところが、少年のころ、飛行機の設計者であるカプローニ伯爵が夢に出てきて励まされたことから飛行機の設計者を目指すようになる。

 関東大震災で乗っていた列車が脱線した時に助けた、里見菜穂子と次女のお絹。この時は、彼はまだ東京帝大の学生だったが、やがて航空機メーカーの技術者として就職し、菜穂子と再会する。しかし菜穂子は、当時死病だった肺結核を患っていた。

 この物語の柱は2つ。飛行機の設計に情熱を傾けた堀越二郎の話と次郎と妻の菜穂子の愛情の物語。堀越次郎は実在の人物だが、前述のように二つの話がミックスされているので、菜穂子という妻はいないし、子孫に当たる人もいるようだ。

 二郎の上司の黒川さん。人相は悪いが、とってもいい人だ。奥さんといっしょに、二郎と菜穂子の祝言までやってくれたし。こんな上司ならいいという人も多いのでは。

 この映画の主題歌、荒井由実の「ひこうき雲」は、リリースされたのが1973年だという。この映画ができたのが2013年ということなので、よくぞ発掘したという感じだ。まるでこの映画のために作ったように思える。

 ところで、この映画、計算尺が大活躍(計算をするという本来の使い方の他、骨折の添え木代りとか)している。私の学生時代はもう電卓の時代だったが、第1種無線技術士試験を受験する際に使ったことを思い出し、懐かしい感じがした。今は、計算尺を見たこともないという人が結構いるんだろうな。そんな人が計算尺を使っている場面を見て、何をしているんだろうと思わないかな。でも、カプローニ伯爵がいろいろな場面で出てくるが、本当に必要だったのだろうか。ちょっと疑問だ。

映画:鴨川ホルモー4




 同名の万城目学氏の小説を映画化したこの作品。京都の東西南北にある4つの大学の学生たち、すなわち京大青竜会、立命館大学白虎隊、龍谷大学フェニックス、京都産業大学玄武組の面々が、オニと呼ばれる式神を使って、戦争ごっこを繰り広げるというもの。(なぜ同志社が入ってないかは、続編の小説「ホルモー六景」を読めば分かる)

 小説の方も爆笑ものだったが、映像化されるとよけいヘンさが強調されて、更に笑える。特に、吉田神社で行われる「継承の儀」。よくこれを実写でやったものだと思う。

 映画に出てきた「百万遍寮」の汚さも、私の学生時代を思い出させてくれて、とても懐かしい。もっともこのような名前の寮は京大には存在せず、モデルはおそらく「吉田寮」あたりだろうと思う。最近はどうなっているかは知らないが、私が学生時代に、住んでいた友人を訪ねていった際は、あんな感じだった(いや、もっと汚かったか?)。

 ところで、主人公の安倍の友人で同じく京大青竜会のメンバーの高村、「帰国子女枠」だとのことだが、私が学生のころには聞いたことがなかった。調べてみると、本当にあるようだが、いつからできたんだろう。

 とにかく笑えるのだが、なんだか違うなという気がするのは、メンバーがいずれも京大生らしくないせいか。自分の学生時代を思い出すと、なんとなく違和感があるんだよね。特に安倍のライバルである芦屋、あんなアブナそうな奴は、少なくとも私が知っている連中の中にはいなかったな。万城目氏のころはいたのかな?

 ところで、安倍が住んでいるという設定の「銀月アパートメント」、大分前に京都をバスツアーで回った際に、ここがあの「鴨川ホルモー」で使われたところだと、説明していた。今回映画を視ていて、「オー!、出てる、出てる」と感激したのは余談。


(原作)
・鴨川ホルモー(万城目学)


(監督)
・本木克英

(出演)
・山田孝之(安倍 明)
・栗山千明(楠木 ふみ)ほか

○関連過去記事
鴨川ホルモー
ホルモー六景


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映画 必殺仕掛人4




 テレビシリーズの人気を受けて、1973年に製作された劇場版「必殺仕掛人」の第一作。仕掛け人と言えば、緒形拳と林与一のコンビでしかあり得ないと思っていたが、なぜだかこの作品では梅安を田宮二郎、西村左内を高橋幸治が演じている。元締めの音羽屋半右衛門は、テレビシリーズと同じく 山村聡だ。

 今回の仕掛けの相手は、香具師の一家の跡目を簒奪しようとする元盗人の一味孫八、その愛人で、先代の後妻だったお吉、悪徳役人峯山又十郎だ。孫八は梅安の仲間を殺した男だったし、お吉と梅安の兄妹関係を暗示するシーンもあり、今回は、因果の糸がもつれにもつれた仕掛けだった。梅安も、すまきにされて川に投げ込まれるという大ピンチのシーンも。そして、一件が落着したと思ったら、それ以上のワルが・・・。

 ところで、仕掛人、この作品では、人前に、かなり顔を曝しているが、大丈夫なのか。よく捕まらないものだ。元締めも、人に依頼するだけかと思ったら、結構強かったのは意外だった。


(監督)
・渡邊祐介

(出演)
・ 田宮二郎(藤枝梅安)
・高橋幸治(西村左内)
・山村聡(音羽屋半右衛門)  ほか



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映画;怪獣大戦争4





 ゴジラシリーズの第6作目となる「怪獣大戦争」。昭和40年公開の、東宝映画だ。

 木星の新衛星Xの調査に向かった地球連合宇宙局の富士とグレンは、高度な文明を持つX星人から、彼らの星を脅かしているキングギドラに立ち向かうために、ゴジラとラドンを貸して欲しいと頼まれる。別に、ゴジラもラドンも、人類の持ち物と言う訳ではないので、貸してくれというのも変なのだが、もっと変なのは、このX星人たち。とにかく雰囲気が怪しすぎる。

 ゴジラたちを貸してくれれば、その見返りにガンの特効薬を渡すと言うのだが、案の定、うまい話には裏がある。X星人は、怪獣たちを操って、地球征服を企んでいたのだ。

 結局は、地球人類が、X星人たちの意外な弱点を突いて、怪獣たちに対する彼らの支配を解くのだが、これで、ゴジラ・ラドン連合vsキングギドラという図式になる。初めてキングギドラと対戦した際には、モスラもいて3対1だったのだが、今回は2対1でもキングギドラを圧倒している。キングギドラ、前より弱くなったのか?それとも前回の時、モスラは実はあまり戦いの役に立っていなかったのか?

 当時流行していた、「おそまつ君」という漫画に出てくる「シェー」のポーズをゴジラが行う場面がある。当時の子供たちは、みんな「シェー」をしていたことを思い出して、とても懐かしかった。

(監督)
・本多猪四郎
・円谷英二 (特撮)

(出演)
・宝田明(富士一夫)
・ニック・アダムス(グレン)
・水野久美(波川:X星人) ほか

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映画:モスラ対ゴジラ4






 昭和39年公開の東宝映画、「モスラ対ゴジラ」。台風で流れついた巨大なモスラの卵だが、これを利用して金もうけをたくらむ輩が出てくる。ところが、そこにゴジラが現れ、日本は大混乱に。主人公の新聞記者・酒井たちは、モスラの故郷の島に行き、助けを求めるのだが。

 全体を流れる昭和の雰囲気がなんとも懐かしい。この時代は、高度成長時代が始まっているが、それとともに様々な歪が生まれていた。ゴジラが、四日市の工場を壊す場面があったが、工場の煙突からはもくもくと黒煙が立ち上っていた。ちょうど四日市ぜんそくが問題になっていたころであり、ゴジラがそれを壊すというのは、一種の社会批判になっているように思える。ところが、そのゴジラにしても、誕生したのは水爆実験が原因である。ここに、毒をもって毒を制するような、アイロニーのようなものが見てとれるというのは面白い。

 しかし、昔の映画だけに、いくつかツッコミどころもある。まずゴジラの登場。いきなり土の中から現れるのだが、いかにも唐突すぎる。モスラの島の長老やザ・ピーナツ扮する小美人が日本語ペラペラなのはなぜだろう。そして現在との格差を感じるのは、タバコを吸っている場面があまりにも多いこと。オフィスでもどこでも、皆がぷかぷかやっている。私が就職したころもまだオフィス内で堂々とタバコを吸っている人間が多かったが、迷惑この上なかった。今はいい時代になったものだ。

(監督)
・本多猪四郎
・円谷英二(特撮)

(出演)
・宝田明(酒井市郎)
・星由里子(中西純子)
・小泉博(三浦俊助博士)
・ザ・ピーナッツ(小美人) ほか

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映画 のぼうの城4




 和田竜の同名小説を映画化した「のぼうの城」。「のぼう」とは「でくのぼう」の略で、北条氏の出城・忍城の城主一門である成田長親に付けられた渾名だ。しかし、長親は、けっして馬鹿にされている訳ではない。暇があれば、身分に関係なく、百姓らと交わるような飄々とした人柄は、皆から愛されており、百姓衆さえも、彼のためなら喜んで命を投げ出すほどである。

 天下を統一せんとする豊臣秀吉の北条攻めで、忍城にも石田光成率いる豊臣の大群が迫る。城主・成田氏長は、豊臣家に内通しており、城を明け渡すように言い残して北条の陣に加わる。しかし、軍使・長束正家の横柄さに怒った長親は、勝手に豊臣軍と戦うことを決めてしまう。どう考えても勝ち目はなさそうな戦いだが、「のぼう様の言うことならしかたがない」と百姓衆までが武器を取って立ち向かっていくのだ。

 一見ただのアホだが、不思議な人望を持った「のぼう様」の魅力を野村萬斎が良く引き出している。抵抗する忍城勢に、光成が行ったのが水攻め。水が城に迫るシーンは迫力満点だ。絶体絶命になった長親が、「わしは悪人になる」と言って行った起死回生の策が、なんと敵の面前での田楽踊り。長親につられて、敵の兵が踊り出したのには笑ってしまった。しかし、この作戦にあんな意味があるとは。領民たちを信じている、いかにも「のぼう様」らしい作戦だろう。それにしても、長親に心を寄せていた甲斐姫は、ちょっとかわいそうだった。

(原作)
・和田竜:「のぼうの城」



(監督)
・犬童一心
・樋口真嗣

(出演)
・野村萬斎(成田長親)
・榮倉奈々(甲斐姫)
・上地雄輔(石田三成) ほか


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映画:三大怪獣 地球最大の決戦4






 昭和39年公開の東宝映画、「三大怪獣 地球最大の決戦」。ゴジラシリーズの5作目に当たる。

 実はこの映画に出てくる怪獣は、ゴジラ、ラドン、モスラとキングギドラの4匹。つまりは四大怪獣が登場するのだが、キングギドラは宇宙怪獣なので、地球の三大怪獣が力を合わせてこれを迎え撃つということから、このタイトルが付けられたのだろうか。

 この映画は最凶の怪獣・キングギドラが登場する初めての作品となる。モスラはともかく、ゴジラもラドンも、元々は人間の敵として登場した怪獣だ。それがこの作品では、最初こそ暴れていたものの、途中からはうって変わって人間の味方となる。

 かって金星文明を滅ぼしたというキングギドラの来襲に、なすすべのない地球人類は、なんとモスラ(幼虫)に他の2匹を説得してもらい、これを迎え撃つという起死回生の手段に出るのだ。モスラがキュルキュルという鳴き声で、他の2匹を説得している様子がなんとも可愛らしいのだが、もちろんゴジラもラドンもすぐには味方にならない。彼らの言い分は、「人間は自分たちをいじめる」だそうだ。「どうみても、いじめているのは、あんたらの方や!」と思わず突っ込んでしまう。

 説得に応じないゴジラたちを残して、モスラはただ一匹でキングギドラに立ち向かっていく。その姿に打たれたゴジラたちも、遂にはモスラと連携して戦うようになるのだ。地球三大怪獣の連携プレーがなんとも面白い。キングギドラの凶悪さを引き立てるためか、地球怪獣たちがどこかユーモラスになっている。それにしてもラドン、改めて見ると、記憶の中にあったかっこいいイメージとは大分違っていた。

 見事にキングギドラを追いj払って、インファント島に帰っていくモスラを見送るゴジラとラドンはとってもキュート。怪獣の間にも友情が芽生えたのだろうか(笑)。

(監督)
・本多猪四郎
・円谷英二(特撮)

(出演)
・夏木陽介(進藤刑事)
・星由里子(進藤直子)
・小泉博(村井助教授)
・ザ・ピーナツ(小美人) ほか

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2019.2.23.「本が好き!」×「書店フェア」で「あなたの街で本と出会う Vol.2」に「こころを彩る徒然草」のレビュー掲載

2019.04.28.【本が好き!×カドブン】コラボレビュー!第4回『皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。』の書評が掲載

2020.01.24.「貧乏大名“やりくり”物語 たった五千石! 名門・喜連川藩の奮闘」が「新刊JP」に掲載

2020.02.04.『どんなことからも立ち直れる人』の書評が「新刊JP」に掲載
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