風竜胆の書評

コミックスから専門書まで、あらゆる本を読みます。元エネルギー企業の専任部長。現在は、ライター・書評家を標榜する自由人w 時に書評が過激になるのは、長州人の血? 現在「シミルボン」と「本が好き!」でも活動中。 執筆依頼、献本等歓迎します。右欄のメッセージ機能にてご連絡ください。 旧ブログ名:本の宇宙(そら)

ビジネス書

21世紀型「のれん分け」ビジネスの教科書2



・21世紀型「のれん分け」ビジネスの教科書
・高木悠
・自由国民社

 「のれん分け」自体は昔からある。そして多くの人は「フランチャイズ」と言う言葉を聞いたことがあるだろう。フランチャイズとは、本部と契約を結ぶことで、経営ノウハウや商品・サービスの提供を本部と同じ看板で行うものだ。

 21世紀型「のれん分け」とは、フランチャイズの1種だが、通常のフランチャイズは、本部とは直接的な関係のない第3者と契約をするが、「のれん分け」は、本部で働いていた社員が経営者となる点が異なる。つまり、功績のあった社員を関係会社の社長として送り出すようなイメージを持てばいいだろう。ただ、店舗を持つためには自分で資金を出す必要がある。この点、通常の関係会社の社長なら、極端な話、裸一貫で行けばいい。

 いくつか疑問がある。この方法だと単に本部の経営者の劣化コピーが広がるだけだ。本部の経営者よりのれん分けされた方が優秀なら、今す直ぐ役割を交換した方がいい。順調に行っているときは、劣化コピーを増やしてもいいのだろうが、いざ何かあった時には全滅しかねない。生物が色々な遺伝子を取り入れることにより、環境に適応して生き延びてきたことをどう思うのだろうか? 今回のコロナ禍のように、いつこれまでに経験したことのないような事態を迎えるかもしれないのだ。その時こそ色々な考え方の人がいた方がいいと思う。どこにブラックスワンがいるか分からないのである。更に本部の経営者が変わったときはどうなるのだろう。経営者が代替わりして、経営に対する考え方が変わり、新旧経営者間でトラブルになっているという話は時折聞く。

 本部の経営者は、のれんわけした会社にリスクを移転できるし、のれん分けされた方は宮使えから1国1城の主となるのだ。一見Win-Winの関係のようだが、読んでいると、全体的に本部の経営者の視点で書かれているように見える。著者の職業からは仕方ないのだろうが、当然のことながら、のれん分けされた方が数としては圧倒的に多い。次に本を出すときはそちらの視点で書かれたものを期待したい。

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「向いてる仕事」を見つけよう「人の役に立つ12の資質」から自分の強みがわかる4


・「向いてる仕事」を見つけよう「人の役に立つ12の資質」から自分の強みがわかる
・トム・ラス、(訳)児島修
・ダイヤモンド社

 タイトルを見ると、本書は自分に向いた具体的な職業をいかに見つけるかを説いているように誤解するかもしれない。しかし、書かれているのは、副題に、「人の役に立つ12の資質」とあるように、どのようにすれば、自分が社会に貢献できるかということだ。

 人は、仕事を通じて社会に貢献していると感じることによって健康と幸福を得ることが出来る。それでは、どのよう自分の資質を活かして社会に貢献すればいいのか。本書には、そのためのヒントが沢山詰まっているように思える。

 本書にある、弱みを克服するより強みを伸ばした方がいいという考え方には賛成したい。これが入学試験とかだったら、伸びしろが大きな弱みを克服するという戦略の方が有利になるだろう。なぜなら、得意科目をいくら伸ばしても、上限(満点)が定められており、元々得意なのだから、現状から上限いっぱいまで伸ばしたとしても、それほど伸びしろはないだろう。しかし、社会に出ると上限なんてものは無いのだ。自分の強みを伸ばしていけば、その分野における権威として認められるかもしれないのである。

 なお、本書はダイヤモンド社様からの頂き物です。ありがとうございました。



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一流の人は知っている ハラスメントの壁4


・一流の人は知っている ハラスメントの壁
・吉田幸弘
・ロングセラーズ

 今は何でも○○ハラということを言われる。でも、何がハラスメントになるのかという境界が曖昧なものだから、扱いが難しくなる。例えばセクハラを例にすると、恋人とそうでない人から同じことをやられても後者の行動だけがセクハラと言われることがある。私が研修会などで聞いたのは、受け手がどう思うかが重要だということだ。このように○○ハラには明確な基準はないのである。

 残念なことに、中には調子に乗って、明らかに違うのに自分の気に入らないことにはなんでもハラスメントではないかと言ってくる輩がいる。その場合にはこちらも断固とした対応を取る必要がある。しかし、何がハラスメントになるかよく理解していないと、なかなか難しいだろう。

 本書には、ハラスメントにならないようにするには、どんなことに気をつければ良いのかということを教えてくれるだろう。社会人、特に管理職は自分の行動が、○○ハラではないかと言われたときに、違うと思えば根拠ある否定をしないといけない。

 なお、本書は著者様からの頂き物です。ありがとうございました。



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非常識に生きる3


・非常識に生きる
・堀江貴文
・小学館集英社プロダクション

 本書は、「ホリエモン」として知られる堀江貴文さんの語録といったところか。それまであたりまえだと思っていたことがつぎつぎにひっくり返っていく。なお、言い方が非常にストレートなので、人によっては苦手と思うかもしれない。本書を読んでいると次の言葉が私の頭に浮かんだ。

 人の行く裏に道あり花の山

 ただ、本書に書かれていることを全部そのまま実行しても、うまくいくとは限らない。むしろ失敗する確率の方が大きいだろう。それはその時々や各自置かれているシチュエーションが、人によって違うからだ。それを無視して真似をしてもうまくいかないだろう。全部真似できたとしても、ミニホリエモンができるだけである。それは、堀江さんの言っていることから外れてしまうだろう。要は、内容をよく咀嚼して取り入れられるものは取り入れたらいいということだ。ただ常識に捕らわれないことは大切だと思う。常識に捕らわれていては、常識的な成功しかやってこない。

 なお、本書は、小学館集英社プロダクションさまからの頂き物です。ありがとうございました。続きを読む

世界のグローバルリーダーが使いこなす交渉の秘訣4


・世界のグローバルリーダーが使いこなす交渉の秘訣
・竹村和浩
・自由国民社

 本書は、世界で使われる交渉術を集めたものだ。日本の中で行う交渉だったら、これまでと同じようなやり方が通用するだろう。しかし、グローバル化した現代は世界が相手だ。「所変われば品変わる」といった諺もあるように、交渉術も色々なやり方がある。日本式のやり方では限界があると思った方がいい。

 そうは言っても、心情的に日本人には合わないものもあるだろう。だからこちらがそのような交渉術を使う必要はない。孫子の言葉に「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」というものがある。

 そうなのだ、どんな交渉術があるのかを知っておかないと、その交渉術を使われ、相手のペースに巻き込まれて知らないうちにこちらが不利な契約を結ばされる恐れがあるのだ。だが、相手がこのような交渉術を使っていることが分かれば、対処の方法はあるだろう。

 誠意を持って対応するという日本人のやり方は大切だが、相手が必ずしも同じようにしてくれるとは限らない。よく、日本での契約書はあれほど簡単な反面、外国相手だと、細かいところまで決めて置かなくてはならないので膨大な量になると聞く。これは文化が違うので仕方がないことなのだが、日本式しか知らないと、大失敗をする可能性がある。

 本書を読んで、世界ではどのような交渉術を仕掛けられるのかを知っておくと、世界を相手にビジネスをする人には役立つに違いない。

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大人も知らない夢の見つけ方 女子高生と魔法のノート3


・大人も知らない夢の見つけ方 女子高生と魔法のノート
・角谷ケンイチ
・ディスカヴァー・トゥエンティワン

 このタイトルを見て、最初はノートをいかに効果的につかうかについてのノウハウが綴られているものかと思ったが、どうも主人公が自分のやりたいことを見つけるというストーリーの方が中心のようだ。

 主人公は、紫藤結月というダンスに夢中な星桜高校の2年生。彼女はダンス部に所属しているが、その部は実力主義でダンスの上手い人が学年に関係なく、センターで踊れる。ところがある時、次の大会は3年生がセンターで踊るので、1,2年生はバックやサポートを宜しくと言われた。どうもセンターで目立つと大学の推薦や奨学金などで有利になるらしい。対立する3年生と1,2年生。

 それを解決するのが、振り付けを任された結月というわけだ。ストーリーは結月がフィンランドからやってきたというブルーベリーの妖精・ブルブル君に教えを受けるという形で進んでいく。果たして結月は3年生も1,2年生も満足できるような解決策を見つけることができるのか?

 しかし、学力でなくダンスで入学できる大学って本当に大学と言う名に値するのだろうか? 就職にしても体育会系が有利だという事も聞く。私などは、それが大学本来のあり方を歪めているのではないかと思う。素朴な疑問がある。どうして女子(全部とは言わないが)はダンス系が好きな子が多いんだろう。



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地域の未来・自伐林業で定住化を図る ―技術、経営、継承、仕事術を学ぶ旅4



・地域の未来・自伐林業で定住化を図る ―技術、経営、継承、仕事術を学ぶ旅
・佐藤宣子
・全国林業改良普及協会

 本書は林業専門月刊誌の「現代林業」に、2016年から1019年まで40回連載した「自伐林業」探求の旅シリーズを書籍として纏めたものだ。北は北海道から南は九州熊本県まで、いろいろな林業への取り組み例が紹介されている。ところで、この「自伐林業」とは、主に家族の自家労働力によって行われる小規模の林業だが、これに加えて近年「自伐「型」林業」という新しい形が各地で見られるようになってきたという。

 この「自伐型林業」というのは自分で山林を所有していなくとも、私有林を借りたり、所有者から受託を受けたり請け負ったりして、小規模な林業を行うもののようで、最近は、農山村への移住・定住促進の施策として位置付けている自治体が増えているらしい。ただし、税金を考えると自伐林業の方が大分有利のようである。

 日本の4分の3は山地である。それなのに安い外材に押されて日本の林業は、振るっていない。日本の家は木造が多いにも関わらずだ。私も昔、林野庁のやっている緑のオーナーになったことがあるが、満期になった時の払い戻しは、出資金の三分の一しかなかった(つまり三分の二は損をしたことになる。期間を考えるとそれ以上)。このことからも、林業経営がいかに苦しいか分かるだろう。しかし、紹介されている地区は色々な工夫をして林業に取り組んでいる。本書を読めば、林業の経営、間伐材の利用、安全対策、人づくり、木質バイオマスへの取り組みなど、参考になるものが多いと思う。

 山には、昔植林された針葉樹が溢れているのをよく目にするが、スギ花粉症の増加などの問題を引き起こしている。また、林業の不振と共に手をかけてない山も増えている。しかし、山は海とも結びついているのだ。山の荒廃が海の貧困化にも繋がるのだ。しかし、本書には広葉樹による林業の例も紹介されているのである。シイタケの原木や薪、木炭としての利用など、林業の一つの方向性を示しているのではないだろうか。

 私が気に入ったのは、鳥取県の智頭町編にあった「半林半X」というコンセプトだ。これは林業を仕事の中心にしながら、自分の好きな時間の「X」を大切にするというものだ。この「X」は人によって違うので、色々なことが考えられる。

 雑誌に連載されていたこともあり、どこからでも読むことができる。そして現代の林業を行っていくためのヒントが沢山つまっているだろう。
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H23.3:書評コミュニティ「本が好き!」より「免許皆伝」称号を受ける

H23.3.16:読売新聞朝刊“読者のホンネ”に「カラスと髑髏―世界史の「闇」のとびらを開く」の100字書評掲載

H25.10.26発売の図書新聞(3132号、2013年11月2日号)に「泥棒は几帳面であるべし」の書評掲載

H26.6,28発売の図書新聞(3165号、2014年7月5日号)に、「市場主義のたそがれ―新自由主義の光と影」の書評掲載

H28.8頃より「シミルボン」への投稿開始

H29.7.4「彗星パンスペルミア」の書評が「新刊JP]に掲載

H29.10.19「ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者」の書評が「新刊JP」に掲載

H29.11.24「ペンギン・ハイウエィ」の書評が「新刊JP」に掲載

H29.12.26.「ニッポンの奇祭」の書評が「新刊JP」に掲載

H30.1.18.「問題解決大全――ビジネスや人生のハードルを乗り越える37のツール」の書評が「新刊JP」に掲載

H30.4.26.「メゾン刻の湯」の書評が「新刊JP」に掲載

H30.7.20.「極道ピンポン」の書評が「新刊JP」に掲載

H30.7.26.「シミルボン」にインタビュー記事掲載

2019.2.23.「本が好き!」×「書店フェア」で「あなたの街で本と出会う Vol.2」に「こころを彩る徒然草」のレビュー掲載

2019.04.28.【本が好き!×カドブン】コラボレビュー!第4回『皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。』の書評が掲載

2020.01.24.「貧乏大名“やりくり”物語 たった五千石! 名門・喜連川藩の奮闘」が「新刊JP」に掲載

2020.02.04.「どんなことからも立ち直れる人」の書評が「新刊JP」に掲載

2020.04.28.「半自伝的エッセイ 廃人」の書評が「新刊JP」に掲載

2021.01.12.『「池の水」抜くのは誰のため?~暴走する生き物愛』の書評が「新刊JP」に掲載

2021.02.12.「龍は眠る」の書評が「新刊JP」に掲載

2021.06.07 【本が好き!×カドブン】に「傷痕のメッセージ」の書評が掲載
本が好き!免許皆伝レビュアー風竜胆 グッドレビュアー 100作品のレビュー 80%
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