風竜胆の書評

コミックスから専門書まで、あらゆる本を読みます。元エネルギー企業の専任部長。現在は、ライター・書評家を標榜する自由人w 時に書評が過激になるのは、長州人の血? 現在「シミルボン」と「本が好き!」でも活動中。 執筆依頼、献本等歓迎します。右欄のメッセージ機能にてご連絡ください。 旧ブログ名:本の宇宙(そら)

ビジネス書

3秒決断思考 やるか、すぐやるか。3



・3秒決断思考 やるか、すぐやるか。
・金川顕教
・集英社

 本書の内容を端的に表せば、「思い立ったが吉日、迷うような時間があったらまずやってみよう。失敗してもいいじゃないか。何かをそこから学べるから。」ということだろうか。

 著者は、大学は2浪して立命館に入ったそうだ。ちなみに、著者が通った高校で過去20年間で立命館に通ったのは自分だけだということである。しかし、大学入学と同時にダブルスクールを初めて、大学在学中に公認会計士試験に合格したという。このあたり、若干自慢になっているようなそうでないような・・・。

 著者は「考えるな」という。どうせ天才以外は考えても無駄だからというのがその理由だ。「下手の考え休むに似たり」という諺もある。これは、ウジウジ迷っているくらいならまず手をつけなさいという意味だろう。最初はそうでなくともやっているうちに同時どんどん興味が湧いてくることもある。しかし本当に自分の頭で考えなくなってはいけないと思う。それは単なる前例踏襲主義になってしまうからだ。

 「守破離」という言葉があるが、最初は先人を模倣しするのが効率的だが、いつの段階からはそこから離れて自分で考えていかなくてはならないのだ。

 44ページにある<「やらない」ことを決める>というのは賛成だ。人生は短い。これは自戒もあるのだが、あれもこれもと手を出していると全部中途半端で終わってしまいかねない。やりたいこと全部ができるわけではないのだ。

 100ページにある「うまくいったら他人のおかげ、うまくいかないのは自分のせい」というのは多くの人が心にとどめておくべきだと思う。失敗したことを、他人のせいにしてもそこからは何も生まれない。それよりはそこからなにかを学んで少しでも前に進んだ方が建設的だというものだ。

 なお、本書はオトバンク様からのいただきものです。ありがとうございました。


誰でもすぐ使える雑談術 ―初めのひとことがうまく言えるコツ3


・誰でもすぐ使える雑談術 ―初めのひとことがうまく言えるコツ
・吉田幸弘
・さくら舎

 実は私は雑談というのが苦手である。元々口数は少ないが、何か話す目的があればともかく、あまり世間話というものはしない方だ。別にそれで困ったことはなかったが、職種によっては、雑談を行うためのテクニックは身に着けておいた方がいいだろう。例えば営業職などは、ある程度の雑談ができた方がいいと思う。

 本書は、「雑談は元々のセンスではなく、トレーニングと思考次第でうまくなれる」(p3)ということについて詳細に解説したものだ。雑談の糸口は色々ある。本書の教えるところによれば、例えば相手と交換する名刺でも雑談のネタになるのだ。その他雑談のための注意事項がいっぱい詰まっている。たかが雑談と軽んじてはいけない。雑談の内容ひとつで相手の受けとり方はかなり違ってくるのである。

 ただ、本書を読んで得られるのは、様々なヒントや注意事項である。雑談名人になろうと思えば、色々な場面で実践あるのみだろうと思う。一冊本を読んだからといって、すぐにその道の名人になれるというような虫のいい話はどこにももころがってないのだ。

 ただ、雑談も時と場合による。これは私の経験したことだが、郵便局の窓口で、待っている人がいるにも関わらず、延々と雑談のような話をしている。これなど、他の人の迷惑にしかならない。このような場合は、必要なことをさっさと済ませるべきだろう。

 なお、本書はさくら舎さまよりにいただきものです。ありがとうございました。

心を休ませるために今日できる5つのこと マイクロ・レジリエンスで明日のエネルギーをチャージする4


・心を休ませるために今日できる5つのこと マイクロ・レジリエンスで明日のエネルギーをチャージする
・ボニー・セント・ジョン、アレン・P・ヘインズ、(訳)三浦 和子
・集英社

 本書は、マイクロ・レジリエンスについて述べた本である。マイクロ・レジリエンスという言葉は聞きなれないかもしれないが、そのまま日本語に訳した通り、「小さな回復法」という意味になる。要するに、本書に書かれている回復法を使えば、もっと心が活性化され、効率的な知的活動ができるというのである。具体的な話については、以下の5つになるが、それぞれ1章を割いて、詳しく解説している。

1.脳の使い方を切り替える
2.原始的な恐怖をリセットする
3.思考のクセを見直す
4.体をリフレッシュする
5.心を活性化する

 そして章としては扱われてないが、最後に「すべてをまとめて実践する」ということで纏められている。

 書かれていることは、実行するために難しくはない。ちょっとした時間に、ちょっとしたことを行うだけで、活力が回復するというのである。例えば、活動の合間にちょっとした運動を挟むとか、腹式呼吸による瞑想をするとか、水分や糖分をうまく摂ろう、適度な休憩を取れといったようなことだ。行うには大した手間もかからないし、お金もかからない、ましてや壺を買うようなこともない。書かれていることを、実際に試してみても損はないものと思う。

 なお、本書は「オトバンク」さまからの頂き物です。ありがとうございました。

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失敗を生かす仕事術4



・失敗を生かす仕事術
・畑村洋太郎
・講談社現代新書

 本書の名前を一言で言えば、「失敗に学べ」もしくは、「失敗を活かせ」ということだろうか。もちろん致命的な失敗をしてはいけないが、致命的ではない失敗の中には、多くの学ぶべきことがあるという。

 今までは「成功例」に学んでいた。しかし、それが行き過ぎると極度に失敗を恐れるようになり、前例踏襲ばかりをやって、新しいことにチャレンジしなくなる。これでは世の中の発展は望めない。

 失敗をしないように作られるのがマニュアルだ。マニュアルを別に否定するわけではないし、何事も初期段階においては、マニュアルに従うというのも重要だろう。しかしどこまでもマニュアル通りでは、創意工夫もないし、進歩もしない。本書にはこのマニュアルに関して面白いことを言っている。対象は某ファーストフード店だ。

<そこにはレストランで働く料理人に観られるような工夫、創造、仮想演習などはないに違いありません。想像力などは必要とされないので、当然〇〇〇〇〇〇でハンバーガーを何万個焼いても料理人になれません。(〇部は評者置き換え)>(p175)

まあ、ファーストフード店で働いている人で、料理人になろうと思っている人は、そもそも少ないだろうが・・・。

 それはさておき、最近は、昔に比べて、失敗に許容性が無くなってきたように感じる。とにかく社員は失敗しないようにするという前提で教育が行われる。しかし、人は失敗してこそ大きく成長するのだ。もちろん致命的な失敗はしてはならないが、そうでないような失敗は、その原因を自分で考え、同じ失敗を二度としないように工夫する。これこそが、何かを確実に身につけるための最も効果的な方法だろう。そして小さな失敗に対する創意工夫の積み重ねが、致命的な失敗の予防にも繋がるのである。しかし現在はそういった余裕が日本社会から失われている。一度失敗すればそれっきりなのだ。まるでどこかの悪の組織化が進んでいるようである。

 また、本書には次のようなことも書かれている。

「組織に属していると、ときに上司から法律違反のような不正を半ば強制されることもあるから困りものです。「いざとなったら会社が全部責任を負うから」などと言葉巧みに説得され、実際に問題が発覚したときは、「下の者が勝手な判断をした」と偽ってトカゲのしっぽ切の問題解決が行われることも珍しくはありません。」(p119)

 典型的な例は、時折テレビなどで報道されている談合問題だろう。談合は完全な独禁法違反なのだが、業界によっては、またかと思うくらい摘発される。あれで逮捕されるのは大体が直接関係したもの(せいぜいが担当役員クラスまで)で、社長まで逮捕されたというのはあまり聞かない。でもあれは絶対にトップ層まで関係しているのではないか(もしくは黙認している)と思うのだが。


 本書に紹介されている「思考展開図」というのは、なかなか興味深い。シナリオを分かりやすく図の形に展開していくものだが、色々応用が多そうな気がする。




知的戦闘力を高める 独学の技法2


・知的戦闘力を高める 独学の技法
・山口周
・ダイヤモンド社

 知的戦闘力を高めるためと副題付きの本書。私も何かを学ぶのなら基本的に独学しかないと思う。人から教えられたことはなかなか身につかないし、応用も効きにくいのである。自分で勉強して徹底的に考えたことこそ、真に自家薬籠中のものとなるのである。

 本書で面白いと思ったのは、本書で紹介されている2つの本の読み方。すなわち、メタファー的読書とメトノミー的読書である。前者は初学者向けの本から初めて、横にどんどん読書領域を広げていくという幅の読書であり、後者は、次第に専門的なものを読んでいくという深さの読者である。
 
 しかし私は第3の読み方があるのではないかと思う。特に何かを独学するにあたっては必要になるのではないか。それは一冊を徹底的に読み込むのである。何かを学び始めた際に、基礎になることをあたかも塗り物を何度も塗り重ねるように読み込んでいくのだ。これは、一種のフレームワークを身に着けるということであり、これによって基礎的な知識を身に着けたうえでないと著者の言うような読み方をしても効果は薄いだろうと思う。もちろん基礎となるものなので、あまり通俗的なものは避けた方がいいだろう。

 最後に知的戦闘力を高めるためにリベラルアーツの各分野なるものが紹介されている。自然科学も一応掲載されてはいるものの、なんだか生物学関係に偏っているような気がしないでもない。まあ著者の経歴を見るともともと哲学系の人みたいだし、根っからの文系人が入るには生物学関係が敷居が低いのかもしれない。工学関係のものは一冊も入っていないし、そもそもジャンルさえ設定されていないというのはかなり気になるところだ。

 そもそも文系人にとって、一番敷居が高いのは物理学なんだろうか。そのこともあって明らかな間違いが書かれている。なんでもファラデーがマクスウェル方程式を導いたとか。

<典型例が物理学で、たとえばファラデーは電磁気学の研究において流体力学からの類推を用いてマクスウェル方程式を導いていますし・・・>(p172)

 ファラデ−が偉大な科学者であり電磁気に関する各種法則を見出したことは間違いないが、彼は高等教育を受ける機会がなかったこともあり、数式の扱いといったことはあまり得意ではなかったようだ。これを定式化してマクスウェル方程式を導いたのはもちろんマクスウェルである。こういった記述を読むと、文系人が自然科学を軽視している実例を見るみたいでちょっとがっかりする。

分断した世界 逆転するグローバリズムの行方4


・分断した世界 逆転するグローバリズムの行方
・高城剛
・集英社

 本書によれば、現在は再び分断の時代を迎えたという。書かれているのは、持てる者と持たざる者の分断。そして、アメリカファーストやイギリスのEU離脱という国の分断。深刻化する移民問題。これと対応するように台頭する極右政党のことなど。

 本書は前後編に分けられ、今回は前編に当たるという。時間のレンジとしては1989年から2019年まで。後編は今後30年後の再び一つになる世界が描かれるようだ。

 しかし、ここにひとつ疑問がある。国の分断だが、世界から孤立して、果たしてやっていけるのだろうか。いま世界は好むと好まざるに関わらず、グローバル化が進んでいる。

 アメリカのトランプ大統領は日本からの自動車や部品に対して、25%の関税をかけると息巻いているが、グローバルな部品調達が当たり前となっている現代で果たしてそれがうまくいくのかは疑問である。おまけに目新しいものは、たいてい特許で守られているのではないだろうか。

 関税を大幅に上げれば、コストプッシュによるインフレを呼び、製品は古臭くなり、アメリカ経済を混乱させるだけの結果に終わるだけのような気がしないでもないのだが。

 面白かったのは、トランプ旋風の原因は、よく言われているようにラストベルト(Rust Belt)の人々ではなく、本質はアメリカにおける「百姓一揆」であるという指摘だ。

 この他にも興味深い話題が満載。実際の現場を見てきた著者による渾身のルポだろう。

 なお、本書は「オトバンク」さまからの頂き物です。ありがとうございました。
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Wait, What?(ウェイト、ホワット?) ハーバード発、成功を導く「5つの質問」3


・Wait, What?(ウェイト、ホワット?) ハーバード発、成功を導く「5つの質問」
・ジェイムズ・E・ライアン、(訳)新井ひろみ
・ハーパーコリンズ・ジャパン

 本書はハーバード大学教育大学院長の著者が卒業式に行ったスピーチを基にしたものだという。卒業式のスピーチが動画でインターネットに公開され、それがハーパーコリンズの編集者の目に留まり、本として出版されたとのことだ。それは「良い質問」をするための5つの鍵。言い換えれば、何か質問をしようとする時に、効果的な質問をするための5つの問いである。

 語られるのは次の5つ。

1.Wait,What?(待って、それ何?)
2.I Wonder・・・?(どうして〜なんだろう?)
3.Couldn't We at Least・・・?(少なくとも〜はできるんじゃないか?)
4.How Can I Help You?(何かできることある?)
5.What Truly Matters?(何が本当に大事?)

 これらについて各一章を割いて、例を交えながら詳しく語っている。通常の質問をするような場面のみならず、交渉のときなどにも使えるものも多い。

 私はよく講演会を聴きに行くが、最後に質問の時間があることが多い。質問される内容で、これはいい質問だと思ったことはほとんどない。質問のための質問のようなものも結構多く、中には質問と言いながら、自分の意見を長々と述べる人間もいる。いい質問をするというのは本当に難しい。本書を一読すれば、効果的な質問を行うためのフレームワークのようなものが形作られるのではないかと思う。

 なお、本書は「(株)フロンティア・エンタープライズ」さまを通じての頂き物です。ありがとうございました。
 
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H25.10.26発売の図書新聞(3132号、2013年11月2日号)に「泥棒は几帳面であるべし」の書評掲載

H26.6,28発売の図書新聞(3165号、2014年7月5日号)に、「市場主義のたそがれ―新自由主義の光と影」の書評掲載

H28.8頃より「シミルボン」への投稿開始

H29.7.4「彗星パンスペルミア」の書評が「新刊JP]に掲載

H29.10.19「ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者」の書評が「新刊JP」に掲載

H29.11.24「ペンギン・ハイウエィ」の書評が「新刊JP」に掲載

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H30.1.18.「問題解決大全――ビジネスや人生のハードルを乗り越える37のツール」の書評が「新刊JP」に掲載

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H30.7.26.「シミルボン」にインタビュー記事掲載
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