風竜胆の書評

コミックスから専門書まで、あらゆる本を読みます。元エネルギー企業の専任部長。現在は、ライター・書評家を標榜する自由人w 時に書評が過激になるのは、長州人の血? 現在「シミルボン」と「本が好き!」でも活動中。 執筆依頼、献本等歓迎します。右欄のメッセージ機能にてご連絡ください。 旧ブログ名:本の宇宙(そら)

椋本夏夜

表紙イラストでご飯3杯はいける

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ロストウィッチ・ブライドマジカル25





 椋本夏夜による、表紙イラストが最高に素晴らしい、「ロストウィッチ・ブライドマジカル」(藤原祐:電撃文庫)の第2巻。この少女は、早良坂人魚。銀髪、赤眼で、超絶美貌。正に、ど真ん中ストライクの美少女キャラなのだが、残念ながら敵側である。それも強大な力を持った魔女だ。どうも、ラスボスくさい。

 魔法の国の女王が死に、「女王の器の欠片」が、鍛冶目山氏周辺に住む女の子たちに宿った。その少女たちは、魔法の国の住人と契約することで、魔女となりお互いに殺し合う。最後のひとりが女王となるまで。しかし、主人公咲森水菜とその仲間たちは、そんな魔法の国の勝手な事情に反発し、別の方法でこの戦いを終わらせようとしていた。

 今回は、水菜の通う雉子野中学で、不思議なおまじないが流行する。呪いたい相手の名前を書いた紙を、硝子玉といっしょに桜の木の下に埋めれば、「硝子玉の魔女」がその願いを叶えてくれるというのだ。噂の真相を調べ始める水菜たちだったが、狂信的な魔女集団、「バーバ・ヤーガの小屋(十二月会)」の魔女たちと戦うことになってしまう。

 この巻では、前作では分からなかった色々なことが明らかになる。水菜の仲間、関耶麻音の色っぽい魔女装束とその力。その妹で、まだ9歳の関栞の驚くべき能力。耶麻音と栞は、それぞれ父親の愛人の娘と本妻の娘という複雑な関係だ。二人は普段はあまり馬が合わないようだが、心の奥底では、互いのことを思いやっている。そして、人魚のとてつもなく強力で、敵に対しては無慈悲な力。

 魔法の国には、その強大な力で恐れられていた「七匹の大罪の獣」と呼ばれる者たちがいた。この巻では、そのうちの5匹までが明らかになる。残りの2匹の力とはいったいどのようなものか、どう物語に関わってくるのか。まだまだ先の展開は読めない。

 藤原祐の作品は、登場人物たちがなんとも魅力的である。味方だけでなく、敵キャラの設定もすばらしい。この人魚などは、これまでの藤原作品でも最高傑作だろう。どれを椋本夏夜のイラストが見事に表現している。二人は、藤原祐のデビュー作である「ルナティック・ムーン」からの名コンビだ。前作の、「煉獄姫」では絵師が変わっていたが、この作品で再びコンビ復活というのはうれしい。


○関連過去記事
ロストウィッチ・ブライドマジカル1


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ロストウィッチ・ブライドマジカル15




 藤原祐の新シリーズ「ロストウィッチ・ブライドマジカル」(アスキー・メディアワークス)の1巻目。久しぶりに、絵師・椋本夏夜とのコンビが復活だ。魔女の力を持ってしまった少女たちの戦いを描いたものである。

 魔法の国の女王が死に、「女王の器の欠片」が、鍛冶目山氏周辺に住む女の子たちに宿った。しかし、彼女たちは、それだけで魔女になる訳ではない。「女王の器の欠片」を追ってきた魔法の国の住人が、彼女たちと契約して「体現者(マスコット)」となることにより、初めて魔法が使えるようになるのである。

 魔法の国の住人たちは、飛び散った「女王の器の欠片」を再び一つにして、強い女王を復活させるという目的を持ってこの世界にやってきた。「女王の器の欠片」を一つにするということは、魔女同士が殺し合うということだ。勝った方が、負けた者の「女王の器の欠片」を奪い、最後に残った者が魔法の国の女王となる。しかし、この物語の主人公咲森水菜とその仲間たちは、別の方法で、この戦いを終わらせようとしていた。

 これまでの藤原作品は、高校生くらいの年代の少年、少女が主役を務めていたのだが、これは年代が少し下がって、中学生が主役となっている。本作品に登場する魔女たちには、その力に溺れてしまう者も多い。そういった役を演じるのは、理性がまだ十分でない、中学生当たりが、一番ふさわしいということだろうか。

 この作品の見どころのひとつは、椋本夏夜が描く魔女たちの衣装だろう。水菜の衣装は、ウェディングドレス風のものでなかなか可愛らしい。今回お披露目する味方の衣装も、ネコ耳フードにバニーガールと、色々な趣味の方に対して、しっかりサービスしている。しかし、バニーガールの衣装を着た魔女(おまけに中学生)というのは、少しサービスのしすぎか(笑)。また、敵方の魔女の衣装も、なかなか素晴らしく、次巻以降に、どのような衣装を纏った魔女が登場するのか楽しみである。

 今回見せた、水菜の恐るべき魔法。魔法の国の住人たちを震えあがらせる七匹の大罪の獣。そして、水菜の幼馴染の魔女・早良崎人魚の謎の行動。これからの展開がどうなっていくのか。まだまだ物語は始まったばかりだ。
 

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銃姫 -Phantom Pain- 34






 高殿円原作、椋本夏夜絵による「銃姫 −Phantom Pain−」(講談社)の3巻目。月刊少年シリウスに連載中の作品である。主人公は、魔銃使いの半人半霊(ヘスペリアン)の少女マテリアと体に強力な精霊ヴァサーゴを宿した青年コジ。彼らは、伝説の魔法書、「天啓文書」を求めて旅を続けている。立ちふさがるのは、精霊を狩り、利用しようとする東方星教会の福音修士団。

 この巻では、冒頭からコジと因縁のある東方星教会の一員シド―によって、二人は危機に陥っている。この敵役のシド―だが、どう見ても、線が細くて、マテリアたちを追い詰めるほどの実力者にも見えず、いかにも三下といった感じがする。女の子を描くと、抜群に可愛いキャラを描く椋本夏夜だが、男については、主人公クラスは良いのだが、敵役については、もう少し工夫の余地がありそうだ。

 コジの体を浸食し、暴走するヴァサーゴだが、コジのことを好きなシド―の妹ネネの助けで、マテリアは、なんとか暴走を食い止める。ところが、マテリアは、ネネから、「コジくんを頼みます。いずれ・・私がっ 迎えに来ますから・・・・!」と宣言される。表向きは無表情だったが、ツンデレのマテリアのこと、きっと心の中は、かなり複雑な感情が渦巻いていたに違いない(笑)。

 ところで、この巻には、また新たな美女が登場する。福音修士団の1隊を指揮するグリントだ。素面の時は、ちょっとおどおどした感じの気が弱そうな女性だが、酒が入ると、別人のように凶悪になる。彼女もコジとは何らかの因縁があるようだ。それにしても、コジ、どうしてそんなにもてる?でも、この巻の最後では、グリントがコジに向けて銃弾を発射。いったいどうなるのか!?
 

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銃姫 −Phantom Pain−24



 高殿円原作、椋本夏夜絵による「銃姫 −Phantom Pain−」(講談社)の第2巻。魔銃使いの半人半霊(ヘスペリアン)の少女マテリアと共に旅をする青年コジ。彼も久遠神殿(ドミニオン)のキメラという訳ありの存在だ。

 旅の仲間となった猫の精獣(ヨルム)であるジュゲムは、マテリアに対して、コジは危険すぎる、いずれ破綻する時がくると警告する。しかし、マテリアはコジが怪物にならないように守ることが契約だと言う。しかし、マテリアの態度を見ていると、その気持ちには、契約以上のものがあるように思えるのだが。いったい、二人の間には、どんな秘密が潜んでいるのか。

 ただコジへの言葉は、「たわけ」とか「へたくそ」とかかなりきつい。まさに典型的なツンデレの見本と言ってもいいだろう。この話には、まだまだ謎が多い。いったいこれから、どのような展開を見せるのか楽しみだ。

 相変わらず、椋本夏夜の描く美少女の絵は魅力的だ。絵を見ているだけでも楽しい。


○関連過去記事
銃姫 −Phantom Pain−1


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幕末魔法士4


 
 幕末に西洋から入って来たのが、西洋文明ならぬ西洋魔法という、面白い設定の 「幕末魔法士供(田名部宗司:アスキーメディアワークス)。幕末ということで、勤皇だ佐幕だと色々と物騒な時代なのだが、その物騒なことに使われるのが剣だけでなく魔法という訳である。つまりは、日本版の剣と魔法の物語、ヒロイックファンタジーである。





 主人公は、久世伊織という適塾に学ぶ17歳の魔法士。実は美少女なのだが、事情があって、男に見える魔法が掛けられている。その相棒が、シーボルトの孫という設定の同じく17歳の失本冬馬という少年。実は魔王の力を秘めているが呪紋により真の力は封印されている。こちらは剣の達人だ。この2人が、魔法を使った陰謀に立ち向かうというのが基本的なストーリーである。なお、冬馬には、男に見える魔法が効かないため、伊織の本当の姿が見えており、彼女に気があるようだ。伊織の方もまんざらではないようなのだが、男として過ごしているため、時には衆道の気があるのかなどというあらぬ誤解を受けたりする。この巻では、伊織が冬馬に対して凄いやきもちを焼く場面もあり、ますますラブコメ度が高くなってきたようである。

 今回伊織らが巻き込まれたのは、人がオーク(西洋鬼)にされてしまうという事件。薬種問屋・武州屋の娘が鬼になって、人を喰い殺して逃げた。心臓に病のある武州屋の娘に魔法薬を与えていたのが伊織の適塾での同窓だった来青だったことから、関与を疑われて、適塾は閉鎖、伊織も追われる身になってしまう。

 実は事件の後ろには、討幕を企む雄藩や禁術を使う東方聖堂会という組織が絡んでいたのだが、伊織たちはなんと新撰組と手を組んで、この事件に立ち向かうことになる。もちろん、こう言った設定なので、新撰組も剣だけではない。土方歳三は火の魔法を、沖田総司は氷の魔法を使う魔法剣士だ。

 ところで、この沖田総司、実は美少女で土方のことが好きだということになっている。確かに、映画、ドラマなどでは美少年に描かれることが多いが、どうも脳裏にあの有名な下膨れの肖像画が浮かんで来て、なんだかなあと思ってしまう(笑)。

 イラストは、1巻と同じく椋本夏夜。こちらもなかなか素晴らしい。

○関連過去記事
幕末魔法士


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銃姫 −Phantom Pain− 14

 凛とした美少女を描かせたらぴか一だと思う椋本夏夜作画による「銃姫 −Phantom Pain−」の第1巻。原作は、高殿円だ。「銃姫」は、以前、一文字蛍の絵で「銃姫 -Sincerely Night-」としてコミック化されているが、今回のものは副題が違うので、別の物語となっているようだ。





 主人公はマテリアという半人半霊(ヘスペリアン)の少女。魔法を封じ込めた銃弾を撃ち出すことで魔法を使うという魔銃使いである。もちろん美少女であることは言うまでもない。彼女に付き従っているのがコジという青年。口の悪いマテリアに、二言目には「ヘタレ」だの「体力バカ」だのと言われているが、こちらも色々と訳ありのようである。二人は、教会と敵対しつつ、潜りの葬儀屋をしながら旅を続けているが、目的はこの巻ではまだ良く分からない。この世界では、人間たちの戦いの結果、行き場を無くした精霊たちが、人間の死体にとりついて災厄をもたらすため、魂を切り離してあの世に送ってやるという「輪葬(ブレイジング)」という手続きが必要とされている。それは、本来教会の役目だが、金持ちしか相手にしないため、マテリアたちのような潜りの葬儀屋が求められている訳だ。

 口が悪く、人間は嫌いだと言いながら、優しいところもあるマテリア。普段はクールなのに、ドーナツのことになると眼の色が変わるという彼女は、とても魅力的なキャラクターだ。考えてみれば、この本一冊、椋本夏夜さんのイラスト集のようなものだ。カラーイラストは、表紙カバーしかないのが残念だが、椋本ファンなら揃えておきたい一冊だろう。


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