風竜胆の書評

コミックスから専門書まで、あらゆる本を読みます。元エネルギー企業の専任部長。現在は、ライター・書評家を標榜する自由人w 時に書評が過激になるのは、長州人の血? 現在「シミルボン」と「本が好き!」でも活動中。 執筆依頼、献本等歓迎します。右欄のメッセージ機能にてご連絡ください。 旧ブログ名:本の宇宙(そら)

絵本

「一緒にいたい」と思われるリーダーになる。 人を奮い立たせる50の言葉4



・「一緒にいたい」と思われるリーダーになる。 人を奮い立たせる50の言葉
・サイモン・シネック、(イラスト)イーサン・M・アルドリッジ、(訳)こだまともこ
・ダイヤモンド社

 著者のサイモン・シネックは2009年にTEDに登場して以来その再生回数が4000万回を超えているという。なお、知っている方も多いと思うが、TED(Technology Entertainment Design)とは、色々な分野の専門家を招いて講演会を開いている非営利団体のことで、その様子はネットで公開されている。

 本書の内容を一言で言えば、大人の絵本というようなもので、公園が舞台だ。その公園には王様がいる。要するにガキ大将なのだが、端的な言葉(アフォリズム(aphorism)と言ってもいいかもしれない)とイラストで読者に大切なことを示してくれる。書かれている言葉は短いが深い。いくつか紹介してみよう。

<リーダーシップとは、争って勝ち取る階級や地位のことではない。リーダーシップとは、仲間のために奉仕することを言う。>(p019)

<素晴らしいアイデアじゃないか。だったらおしゃべりをやめて、とにかく動いてみないか>(p025)

 本書から学べることは次の二つだろう。まず、本当のリーダーとはどんな人かということ。多くの人はメンバーをぐいぐい引っ張るようなことをリーダーシップだと思ってないだろうか。これは学校や企業などでそのような教育が行われることが多いことも影響しているように思う。しかし本当のリーダーとはメンバーが生き生きと活動することに対して環境を整えるのである。

 もう一つは、いいと思ったらとにかく初めて見ること。どんなに良いアイデアでも、考えているだけでは何も生まれない。まずは試行してみて、そこから改善点などを見出すことが大事だろう。

 なお、本書はダイヤモンド社さまからの頂き物です。ありがとうございました。

1964年の東京オリンピック開催を情熱で実現した人 フレッド和田勇 (世のため人のため絵本シリーズ1)4






 「世のため人のため絵本シリーズ」の第1巻となる「1964年の東京オリンピック開催を情熱で実現した人 フレッド和田勇」(松岡節/文 さかいしん/絵:出版文化社)。

 若い人は、東京オリンピックと言えば、2020年に開催予定のものを思い浮かべるだろう。しかし、ある年代以上の者になると、1964年に開催された東京オリンピックを懐かしく思い出すものと思う。

 男子体操、レスリングや柔道、そして女子バレーなどでの日本勢の活躍。外国勢も、裸足のアベベのマラソンでの力走、女子体操のチャフラフスカの華麗な演技などは、多くの人の感動を呼んだ。しかし、この東京オリンピック開催の裏で、一人の日系アメリカ人の活躍があったことはあまり知られていないのではないか。

 その人の名は、フレッド和田勇。実業家として成功をおさめたが、家が貧しくて、4歳から9歳まで、和歌山の祖父母の家に預けられたり、太平洋戦争が始まったために、厳しい生活を強いられたりと、大変な苦労も経験している。

 彼は、日本のために、世界各国を巡り、オリンピック招致に尽力した。1964年の東京オリンピックは、和田さんがいなければ幻に終わったかもしれないのだ。まだまだ日本がそれほど豊かではなかった時代。東京オリンピックの開催は、多くの人に夢と希望を与えた。

 通常、和田さんのような人は、伝記では、なかなか取り上げられないだろう。しかし、小さいうちに、このような、世のため人のために働いた人がいたことを知ることは、子供たちの心を豊かにするためには有益に違いない。現代のように、世の中がギスギスしてる時代にこそ、本書のようなものが求められるのではないだろうか。

 また、本書は、絵本ではあるが、文章の方もしっかりしており、使用されている語彙の数も割と多い。絵本でありがちなように、本来漢字で書くべきものを、無理やりにひらがなで記述したりというようなことはもされていないが、漢字には、最初に出て来たときに、ふりがなが振ってあったりするので、何度も読んでいけば、知らず知らずのうちに語彙が増えることも期待できるだろう。一人で読むのなら、小学校中学年くらいが良いと思うが、低学年でも、お父さんお母さんといっしょに読めば大丈夫だろう。

 なお、本書は、出版文化社さまより献本していただきました。お礼申し上げます。

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すてきなおかし作り (ひとりでできるもん!)3






 子供のためのお菓子作りのレシピ集、「すてきなおかし作り (ひとりでできるもん!)」(平本ふく子監修・料理指導:金の星社)。

 紹介されているのは、定番ともいえる、ホットケーキ、ドーナツ、蒸ケーキを初めとした、合計16種類のお菓子。できあがりの美味しそうな写真と、イラストを活用した作り方が、お菓子毎に、見開き2ページを使って記載されている。最後に、おいしいお茶の入れ方(緑茶、紅茶共)なども書かれており、まさに至れりつくせりといった内容だ。

 小さな女の子というのは、たいていがおしゃまさんだから、きっと、「ひとりでできるもん!」と言ってやりたがることだろう。しかし、うっかりそれに乗ってはいけない。普段から、我が子の料理の力量をしっかり把握しておかないと、かなり悲惨なことになるかもしれないからだ。火を使うので、やけどをしてもいけない。一人でやらしてみるにしても、しっかり見守っていた方が無難だろう。

 うまくできたら、大げさなくらい褒めた方がよい。調子に乗って、色々つくりたがるようになったらしめたもの。子供は作る人、私は食べる人と、美味しい生活が待っている(かも?)。

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きんたろう 世界名作ファンタジー583





 「マル金マーク」の腹がけが特徴の「きんたろう」(平田昭吾:ポプラ社)。考えてみれば、きんたろうの格好って、不思議ですね。腹がけは、基本的に、お腹を隠しているだけですから、下半身は完全に隠せません。でも、あのかっこうで、くまと相撲を取ったりしています、パンツも履いていないようですから、動けばあれが見えてしまいますし、おしりなんかは、最初から丸出しです。

 試しに、あの恰好で、そこらを歩いてみてください。きっとすぐ、おまわりさんに、公然わいせつ罪で捕まってしまうでしょう。子供だからいいのでしょうか。いや子供だって、補導されてしまうのではないでしょうか。結局山奥だから、誰も気にかける者がいなかったということでしょうか。でも、この本の絵では、みなもとのらいこうのけらいにスカウトされた時も、ちゃんちゃんここそ羽織っているものに、その下は腹がけだけという恰好で、都に旅立っています。おかあさん、せめて、パンツくらい、履かせてやったらどうなんでしょう。

 ところで、きんたろうの腹がけの「マル金」マークですが、あれは本当は、「マル禁」だったのではないのでしょうか。

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ごんぎつね (日本の童話名作選)3




 我が家で見つけた昔の絵本、「ごんぎつね」(新美南吉/黒井健:偕成社)。

 きつねのごんは、いたずらものです。ある日村人の兵十がせっかく捕まえた魚を、いたずら心からだいなしにしてしまいます。その中には、兵十が病気の母親に食べさせようとしていたうなぎがいたのです。

 ごんは、いたずらものですが、けっして悪いきつねではありません。償いとして、毎日、栗や松茸などの山の幸を兵十のもとにこっそり届けるのですが、ごんの気持ちは彼には伝わりませんでした。そして、悲劇的な結末を迎えてしまうのです。

 本当に、自分以外の誰かと心を通わすことは難しいことなのです。ましてや、人間と狐の間ではなおさらでしょう。自分の思い込みだけで相手を判断するのではなく、しっかりと本当のところを見るということが大切なのですね。

(独り事)
・兵十が川で採っていた魚はうなぎときすのようだが、「きす」って、川で採れるのだろうか?

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ねないこだれだ3




 家のどこかからでてきた幼児向けの絵本、「ねないこだれだ」(せなけいこ:福音館書店)。そう言えば、この本をうちの子が小さい時に、よく読んでやっていた。

 書かれていることは、単純明快。「夜いつまでも起きていると、おばけに連れていかれてしまうよ」ということだ。そう言えば、昔の親は、言うことを聞かない子供に、鬼だの、お化けだのが来るよと脅かしていたものである。しかし、この表紙絵のように、毛の無いQ太郎かと思うようなお化けを怖がるのも、せいぜい幼稚園に入るくらいまでだろうか。

 この本を読んでやると、うちの子はきゃあきゃあ言って怖がっていた反面、なぜか喜んでもいたようである。その証拠に、何度も何度も読んでくれと頼んでくるのだ。こちらもその反応が面白いので、つい読んでやることになる。そういったことも、今となっては思い出の一ページ。さすがに、大人になったうちの子に、この本を読んでやっても反応はないだろうなあ。

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へっぴりよめご4




 日本の昔話を集めた「ワンダー民話館」シリーズのなかの1冊、「へっぴりよめご」(剣持弘子/赤坂三好:世界文化社)。もうタイトルからしてヘン本の香りがぷんぷんしているのだが、中身も期待に違わずヘンな本だ(笑)。

 ある男が、可愛らしくて気立てが良く、よく働く娘を嫁にした。嫁の顔色が悪いのを心配した姑が、どうしたのかと聞いてみると、実はへをひりたいが、我慢しているという。へくらいぶっぱなせばいいと言った姑だが、嫁のへがあまりに凄くて、天井の梁まで吹き飛ばされてしまう。まるでバズーカ砲のような威力である。

 さすがにこれでは危険すぎると、里に帰される途中で、そのへが意外なところで役立ち、米俵をいっぱい積んだ荷車が手に入った。そんなに役立つへなら、家にいても良いということになり、めでたしめでたしという話である。

 気になるのは、臭いの方だ。これで臭いまであれば、まさに殺人兵器、人間殺傷石である。一里四方は、地獄絵図になるだろう。しかし、臭いのあるへは、俗にすかしっぺというような、こっそり放つ音のしないへの方で、音がする奴は意外に臭くない。この場合、かなり豪快にぶっ放しているので、家がふるえるくらい凄まじい音がしたに違いない。だから、この嫁のへには、化学的な威力はなく、物理的な威力だけだったのだろう。つまりは、人間空気砲だった訳である。

 それにしても、この嫁さん、いくら、柱につかまっていろと注意したとしても、それだけ威力のあるへを、姑に向けて放つことはないと思うのだが。表面上は、うまくやっているように見えたこの家でも、実はどろどろとした、嫁姑関係が・・・。


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H25.10.26発売の図書新聞(3132号、2013年11月2日号)に「泥棒は几帳面であるべし」の書評掲載

H26.6,28発売の図書新聞(3165号、2014年7月5日号)に、「市場主義のたそがれ―新自由主義の光と影」の書評掲載

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H30.7.26.「シミルボン」にインタビュー記事掲載

2019.2.23.「本が好き!」×「書店フェア」で「あなたの街で本と出会う Vol.2」に「こころを彩る徒然草」のレビュー掲載

2019.04.28.【本が好き!×カドブン】コラボレビュー!第4回『皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。』掲載
本が好き!免許皆伝レビュアー風竜胆
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