風竜胆の書評

コミックスから専門書まで、あらゆる本を読みます。元エネルギー企業の専任部長。現在は、ライター・書評家を標榜する自由人w 時に書評が過激になるのは、長州人の血? 現在「シミルボン」と「本が好き!」でも活動中。 執筆依頼、献本等歓迎します。右欄のメッセージ機能にてご連絡ください。 旧ブログ名:本の宇宙(そら)

近未来

北斗の拳 14


・北斗の拳 1
・(原作)武論尊,(絵)原哲夫
・ノース・スターズ・ピクチャーズ

 かって少年ジャンプに連載され、圧倒的な人気を誇っていた伝説の拳法漫画・「北斗の拳」。舞台は、核戦争により壊滅した近未来。一子相伝の暗殺拳である北斗神拳の使い手であるケンシロウが、様々な拳法を使う強敵と戦っていくというのが基本的なストーリーである。

 ケンシロウの使う北斗神拳と表裏一体の関係にあるのが、南斗聖拳だ。北斗神拳が秘孔を突いて人体を内面から破壊する暗殺拳なのに対して、南斗聖拳では、外部からの破壊を極意としている。要するにこの作品のテーマは陰と陽、表と裏の二項対立の争いということだろうか。

 この第1巻では、ケンシロウが、因縁のある南斗聖拳の伝承者シンと再び相まみえるところまでが描かれている。雑誌連載中もずっと読んでいたのだが、この後物語はどんどんとものすごい展開を見せていく。

 いかにもラスボスという感じで登場したシンだが、実は南斗聖拳には六聖拳と呼ばれる六人の将がおり、シンはその中でも最強というわけではないのである。つまりは小ボスか中ボスクラスということなのだ。そしてシンの流派は作品中ではずっと南斗聖拳になっているが、他の六聖拳の流派との関連からか、後付けでやがていつの間にか、南斗孤鷲拳という流派名だということになってしまう。ところでこの作品ではいやというほど「南斗〇〇拳」という拳法を使う者が登場してくる。アニメにもなったが、そちらでは南斗爆殺拳なるものまで登場していた。これなど、ただダイナマイトを投げるだけ。どこが拳法やねん!

 ところで、この北斗神拳、暗殺拳という割には結構派手だ。それに一子相伝という割には、ラオウやトキといった実力者が同門であり、奥義を伝承されているはずのケンシロウと比べても、まったく遜色はないのである。ケンシロウ、いったい何を伝承されたんだろう。


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ハーモニー3


・ハーモニー
・伊藤計劃
・ハヤカワ文庫JA

 夭折した天才、伊藤計劃の遺した「ハーモニー」。第40回星雲賞(日本長編部門)と第30回日本SF大賞受賞を受賞した本作の内容は、いかにもSFの通を自認する人たちが好みそうなものである。

 この作品世界では、人間は「WatchMe」と呼ばれるナノマシーンを体にインストールしている。「WatchMe」は常に体内を監視し、その人間の健康状態に何か異常があれば、それと連動した個人用医療薬精製システム(メディケア)により対応が行われる。一見素晴らしいシステムのようだが、見方を変えれば、体内まで監視されているという超監視社会だろう。

 物語の主人公は、最初は女子高生として登場する霧慧トァン。彼女の友人である御冷ミァハは、そんな社会を嫌悪していた。ミァハに共感したトァンは、彼女たちの友人である零下堂キアンと3人で、体に「WatchMe」がインストールされる前に、自殺を図る。「WatchMe」は、体が成長して安定しないとインストールできないからである。

<「わたしたちはおとなにならない、って一緒に宣言するの。
<list:item>
<i:このからだは>
<i:このおっぱいは>
<i:このあそこは>
<i:この子宮は>
</list>
ぜんぶわたし自身のものなんだって、世界に向けて静かにどなりつけてやるのよ」>


 結局トァンは自殺に失敗し、成長して世界保健機構の上級監察官となる。ところが世界では自殺事件が多発し、やはり自殺に失敗していたキアンも、トァンの目の前で唐突に自らの命を絶ってしまう。事件の背後には、高校生の時の自殺事件で、ただ一人死んだと思われていたミァハの影が。

 意識があるからこそ人は自ら死を選ぶ。これ以上そんな死者が出ないような世界にするために、ミァハが目指したのは、人が意識を持たない世界。「ハーモニー」とは、人から意識を奪うプログラムのことなのである。

 たしかに、感覚的なところでは、この作品が「すごい!」とか「傑作だ!」といった評価につながるのも頷けるところだ。熱烈なファンが存在するのも分かる。

 しかし、一旦自分のスイッチを感覚側から理性側に切り替えてみると、哲学的ともいえるような大きな疑問を感じざるを得ない。「意識」とは何かということである。

 そもそも「意識」をどのように定義して使っているのか。言葉というのは、感覚や勢いで使われるようなことが多いが、そこをはっきりしておかないと、議論はそこから先には行けない(行っても仕方がない)のである。

 よく会社などでも見かけないだろうか。何かで議論をしているのはいいのだが、傍から見るとどうも噛み合っていないようなことを。お互いに、使っている言葉の定義をしないまま議論を進めているので、それぞれが頭の中には勝手なイメージを描きながら、自分の主張を繰り返しているというのが大きな原因だろう。

 ところで、「意識がない」というのは、人事不省に陥った際にもよく使われるが、この作品で使われているのは、少なくともこの意味ではない。ここで言われる「意識」とは「意思」とか「自我」に近い意味のように思える。 「意識」をそのように定義すると、果たして人が「意識」を持たない世界というのは本当に存在できるのだろうか。

 例えばアリなどには、社会生活をしているにも関わらず、「意識」というものはなさそうに見える(アリになったことはないので分からないが)。しかし、人間の場合はどうだろうか。果たして「意識」なくして、まともな生活が送れるかどうかは疑問だ。

 映画などには、「ゾンビもの」といったジャンルがある。あれならたぶん「本能」だけで動いており、ゾンビたちには、「意識」といったものはなさそうだ。しかしゾンビたちがちゃんと生活できているかというと頭の上に「?」マークがいくつも飛び回ってしまう。(ここでも「生活」という言葉をどう定義するかの問題が出てくるのだが。)

 この作品でいう「ハーモニー・プログラム」というのは、人間をゾンビやアリのような存在に変えてしまうということなのだろうか。そうだとしたら、それは究極のデストピア。そこに住む人間は、もはや「人間」と呼ぶに値しないだろう。(ここでも更に「人間」とはどう定義すればいいかという問題が出てくる。)

 そして人から「意識」を無くするための「WatchMe」は、大人になってからでないとインストールできなかったはずだ。そうだとすると、「WatchMe」をまだインストールされていない高校生までの子供たちは、ゾンビやアリのようになった大人たちを見て、どう行動するのだろう。そんな世界をすんなりと受け入れるのか。いや、このような世界はいやだと戦うか、それとも絶望して自殺するのかではないか。もし後者が多ければ、世界から自殺を無くするという本来の目的に反することになってしまう。

 また人間は「意識」だけを持っているわけではない。フロイトやユングは、意識の下にある、それよりずっと広い無意識の領域に注目した。人間は果たして「意識」していることだけで動いているのか。「意識」が無くなった場合に、この「無意識」の部分はどうなってしまうのか。本書では、そのような「無意識」についての疑問に対しては何も語られていないのだ。

 そもそもミァハは、意識を持たない種族の出身であり、幼少時におけるロシア軍の売春基地での悲惨な体験が、彼女の脳に「意識」をエミュレートさせたという設定である。だが、「意識」がなければ、どんな体験をしても何も思わず、感じもしないはずなのに、なぜ脳がわざわざ「意識」を作り出すのかというのがよく分からないところだ。

 しかし、このように、読者に対して、答えの出そうにない問いを考えさせるのだから、やはりこの作品は名作と言ってもいいのかもしれない。まあサイエンスの世界ではなく、フィクションの世界なので、あまり疑問をもたずに楽しめば良いというのが正解なんだろう。

 そんなことを考えていると、たまたま「物理学はこんなこともわからない」(川久保達之:PHPサイエンスワールド新書)の中で、「ゾウリムシにも心があるか?」という章があるのが目に留まった。ここでいう「心」とは、この作品における「意識」と同じような意味だと思うが、この本にはこう書いてあった。

<では結局のところ、ゾウリムシは心をもっているのでしょうか、いないのでしょうか?それにはまず何をもって「心」とするのかを定義することが必要です。>(p095)

 私の言ったように、まず言葉を定義しなければならないというのは、理系世界では常識なのだ(笑)。もちろん結論は、何をもって、「心」(≒{意識」)とするかは、物理学では定義づけはできないというものだ。着実に世界の深淵を解き明かしつつあるようにに見える「物理学」の世界でも難しいのだから、私がいくら考えても答えが出ないのも当たり前か。



※本記事は「シミルボン」に掲載したものです。

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未来化する社会 世界72億人のパラダイムシフトが始まった4



・未来化する社会 世界72億人のパラダイムシフトが始まった
・アレック・ロス、(訳)依田光江
・ハーパーコリンズ・ ジャパン

 本書は、インターネットとグローバル化により、世界を変えていく産業について書かれたものだ。著者は、ヒラリー・クリントンが国務長官時代に、イノベーション担当上級顧問を務めた人物である。

ここで取り上げられている産業は、次の5つ。.蹈椒謄クス、▲薀ぅ侫汽ぅ┘鵐后↓D眠澆離魁璽媛宗↓ぅ汽ぅ弌璽札ュリティ、ゥ咼奪哀如璽拭これらの産業は、私たちの生活を大きく変えていくことは間違いない。現在においてもその兆しは見えている。

 しかし、それは必ずしも明るい面だけではないのだ。光あるところには影が存在する。本書はそんな産業の現状と今後どのように進んでいくのかを光だけでなく影の側面も含めて私たちに示している。

 例えばロボティクスについてだ。かっては人間しかできないと思われていたことが次第にロボットに委ねられはじめている。ロボティクスの発達により、人間はもっと生産的なことに向かえるものの、その反面人間から多くの職を葬ってしまうという。ロボットのもたらす変化に対して、人間は必ずしも対応できるわけではないのだ。

 ライフサイエンス分野については、正常な細胞とガン細胞のゲノムシーケンスを比較することにより、どこに原因があるか突き止められるという。その一方では人が遺伝以外の原因に目を向けなくなるおそれもあると警告している。

 通貨のコード化というのは、例えばビットコインだ。これは、管理機構が信用を保障するという従来の秩序をひっくり返して、アルゴリズムと暗号を駆使した新しい金融システムをつくるということだが、影の部分としてはマウントゴックス事件を上げれば十分だろう。

 サイバーセキュリティについては、既にこの話題を聞かない日はないくらいだ。戦争においても、既に直接的な戦闘ではなく、コード戦争の時代に入っている。サイバー攻撃は敵を大混乱に陥れられるのだ。更に何でもネットに繋がるIoTの時代が近づいているため、この分野はますます重要になるだろう。本書には、いずれ、トースターボットネットのようなものが出現するかもしれないと、ユーモラスなのだか、不気味なのだかよく分からないようなことが書かれている。

 最後にビッグデータだ。データ収集量の増加と、コンピュータ能力の増大により、データの山の中から、有用な情報を掘り出せるようになった。金融や農業など、様々な分野への応用が期待されている。しかし、プライバシーの問題あったり、誤った相関が出てくることがあったりとこれもバラ色の未来だけではない。

 これらの産業は、全てコンピュータ技術の発達があってのことだ。大きな特徴は、物理的な場所の制約を受けなくなるということだろう。本書は、そのような可能性についても書かれているが、果たしてこれからは、東京周辺への一極集中を緩和する方向へ世の中が進んで行くのか。

 もうひとつ本書で主張されているのは、女性と若者が活躍できる世界の重要性である。もうおじんが大きな顔をしているような時代ではない。これからは、これまでとは違った感性で、イノベーションを進めていかなくてはならないのだ。

 コンピュータ技術の発達とグローバリズム化に伴う光と影。本書は、そんな近未来を予想させる一冊である。

 なお、本書は、「フロンティア・エンタープライズ」さまを通じてのいただきものです。ありがとうございました。

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忘却のレーテ4


・忘却のレーテ
・法条遥
・新潮文庫NEX

 両親を交通事故で亡くした女子大生・笹木唯は、父が重役をしていた製薬会社オリンポスで記憶薬「レーテ」の被験者となる。父が横領をしており、実験に参加すれば、賠償額を半分にするというのだ。

 7日間の間、他の5人の被験者と共に、夜になれば「レーテ」により、1日の記憶をリセットされる。この作品は、その7日間の毎日の出来事を描いたものだ。

 読者は読んでいるうちに違和感を感じることになるだろう。例えば、死んだはずの人間が、また登場してきたり、唯は、被験者になるための面接で落ちたはずなのに、実験に参加していたりといったところだ。この他にも本書の中には、辻褄の合わないところが、いろいろとでてくるのだ。

 実は、これが驚くような結末に繋がっていくである。最後には、一気にそれまでの謎が解き明かされていくのだ。きっとあまりにも意外な内容は、読者の想像の域を超えているのではないかと思う。

 果たして、「レーテ」の開発者の小野寺エリスの狂気に、同情するようになるのか、それとも恐怖を抱くのか。さてあなたはどちらだろう。


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スワロウテイル 人工少女販売処5





 男女が分離され、それぞれが人工妖精を伴侶に暮らしているという、近未来世界を描いた「スワロウテイル」(藤真千歳:早川書房)。

 人類を襲った、「種のアポトーシス」という謎の病。それは男女の交わりによって感染し、重篤化する。大発生を防ぐために、感染者は、自治区と呼ばれる人工島に男女別に隔離されている。そこで異性の役割をするのが「人工妖精(フィギア)」と呼ばれる人工生命体。ナノマシンで構成された人工妖精は美しく、成長をしないことと、背中に翅を持つこと以外は人間とほぼ同じだ。感情も持っており、人間のように悩み、愛し、そして苦しむ。こんな驚くような設定にまず目を見張ってしまう。

 人工妖精たちは、造られたときに、容姿を含めて四段階にランク付けされる。ところが、この物語の主人公である人工妖精揚羽は、格付けがされなかった規格外の五等級だ。容姿が他の人工妖精たちより劣る訳ではない。会話をしていても異常性が見られる訳でもない。なぜ揚羽が格付けを得られなかったのかというのは、実は、この作品で大きな意味を締めているのだが、そのことは、彼女にとってコンプレックスになっている。

 揚羽には、真白という双子の姉妹がいる。翅の色が黒と白と正反対であることを除けば、容姿は全く同じ。しかし、真白は目覚めれば1級の格付けが約束されているのに対して、自分は等級外の扱いである。なぜ、目覚めたのは美しい真白でなく醜い自分だったのか。考えてみれば真白が美しいのなら揚羽も美しいはずだ。しかし、揚羽は、自分はバカで醜く、取り柄もない存在だと自分を卑下し、人間に害なす狂った妖精を始末する事こそが自分の存在価値だと思いこむ。彼女は自分の意思で、人間や他の人工妖精を殺傷できる唯一の人工妖精でもあったからだ。
 
 揚羽の本当の姿は、自分が思っていたような卑小な存在ではなかった。彼女の翅は、何者も染めることができない漆黒のスワロウテイル。それは彼女の気高さの表れ。これは、未来を舞台にした「醜いアヒル子」の物語だろう。もちろん容姿については、揚羽が醜い訳はない。しかし彼女が等級外であることや漆黒の羽に対するコンプレックスは自分自身を「醜いアヒルの子」として縛りつけていたのだ。しかし、最後には、心に課した鎖が解け、蝶が蛹から羽化するように、本当の自分としての新たな一歩を踏み出す。これは、そんな物語である。揚羽の可愛さ、いじらしさに読者はドキドキ、ハラハラすることは間違いないだろう。表紙イラストは揚羽、描くのは”文学少女”でおなじみの竹岡美保。とっても可愛い揚羽の魅力が良く出ている。


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積読を重ねる日々

迷宮百年の睡魔4




 「女王の百年密室」に続く、森博嗣の「百年シリーズ」の第2弾、「迷宮百年の睡魔」(幻冬舎)。表紙イラストがなかなか魅力的で、ほとんどジャケ買いなのだが、長く積読状態になっていたものだ。

 舞台は近未。、既に人類はエネルギー問題を解決し、かってない豊かさを手に入れている。それにより、所有権争いは鎮静化した反面、人類は、他人に対して無関心となり、それぞれのまとまったサークルの中で、小さくまとまった綺麗な文化と洗練された歴史を作ろうとしていると言う設定だ。主人公は、サエバ・ミチルというジャーナリスト。このシリーズは、ミチルが相棒のウォーカロン(人造人間のようなもの)・ロイディと訪れたところで、不可思議な事件に巻き込まれてしまうというもののようだ。

 今回訪れるのは、イル・サン・ジャックという島。モン・ロゼという宮殿に住む美しい女王メグツシュカの統治する国だ。ミチルは、死んだ恋人・クジ・アキラの記録を整理しているうちに、彼女がこの場所を訪れていたことを知り、取材を申し込んだ。モン・ロゼ外界との接触を一切拒否していたのだが、意外にもその申し込みは受諾された。ところが、宮殿で、僧侶が、砂で描かれた曼荼羅の中央で首なし死体で見つかるという事件が起こり、その容疑がミチルにかけられてしまう。

 前作で、ミチルは、ルナティック・シティというところを訪れ、そこの女王・デボウ・スホを愛するようになっているのだが、モン・ロゼの女王メグツシュカは、なんとデボウの母親であるという。デボウ自身もかなりの年齢のはずだが、低温睡眠により活動時間を制限しているため、外見は20代である。メグツシュカはデボウの母親なので、本来ならかなり高齢な訳だが、やはり低温睡眠により、ひに数時間程度しか起きていないため、若く美しい。

 美しい女王の支配する島での物語らしく、物語の方も美しい透明感のある文章で、淡々と進んでいく。この作品は、映像化に向いているのではないかと思う。アニメ化されれば、さぞかし美しい作品に仕上がることだろう。

 ところで、事件の真相はもとより、ミチル自身やウォーカロン・ロイディ、死んだ恋人クジ・アキラとの関係、ミチルが愛するデボウ・スホやモン・ロゼの王シャルル・ドリィに関することなどには意外な秘密が隠されていたのだが、それが後半一気に明らかになる。人間の本質とは何かといったことまで考えさせられるような、驚くような種明かしである。この辺りは、いかにも森博嗣らしいといったところか。

 ところで、ミチルたちは、結局無事にイル・サン・ジャックを出ていくのだが、ロイディの彼女?とも言える女性型ウォーカロンのパトリシアがいっしょに付いて来ることになった。別にロイディの押しかけ女房と言う訳ではなく、メグツシュカに命じられた貯めなのだが、なかなか面白いキャラになりそうだ。あと一作、最終章が予定されているようなので、期待感を高めてくれる。


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APPLESEEDアップルシード5





 前々から観たいと思っていた「APPLESEEDアップルシード」。「攻殻機動隊」などで有名な士郎正宗の同名コミックスを原作とするアニメ映画だ。劇場公開は2004年。最近新シリーズの「アップルシード XIII」がブルーレイ、DVDでの発売がスタートした他劇場用リミックス版も公開されている。

 主人公は、デュナン・ナッツという女性。典型的な戦闘派美少女だ。オープニングは戦闘シーンで始まる。敵に追い詰められ絶体絶命に追い込まれたデュナンだが、突然現れた一団によりオリュンポスへと連れて行かれる。作品世界では、世界大戦が終わっても、そこかしこで人々が戦闘を続けていた。オリュンポスは、戦火で荒廃した世界に作られた人工の楽園のような場所だ。そこは、人口の半分を、遺伝子捜査をされたクローン人間のバイオロイドが占めていた。バイオロイドは、人間の緩衝材として、オリュンポスを管理するための重要な役割を担っていた。その一方で、生殖能力を持たず、定期的に延命措置を受けなければならない。彼らが生殖能力を取り戻し、新人類となるための鍵が「APPLESEED」なのである。デュナンは、「APPLESEED」を巡る争いに巻き込まれていく。

 最初は、てっきり、バイオロイドたちが、新人類となることを目指して、人間たちを殲滅するような話かと思っていたらだいぶ違った。この作品では、問題を起こすのは常に人間の方だ。バイオロイドは、物事を偏見なしに見ることのできる理性的な存在として描かれている。互いに争わなくてはならない、人の「業」のようなものを、理知的なバイオロイドと対比させることにより表しているようだ。

 画面がものすごくきれいなうえ、人物の動きがとてもリアルだ。モーションキャプチャ技術を使って作られたということだが、その動きには思わず見とれてしまう。メカの動きも、ものすごい迫力である。私にとっては、これまで観たアニメの中でも最も気に入ったものの一つになるだろう。


(原作)
・士郎正宗

(監督)
・荒牧伸志


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H23.3:書評コミュニティ「本が好き!」より「免許皆伝」称号を受ける

H23.3.16:読売新聞朝刊“読者のホンネ”に「カラスと髑髏―世界史の「闇」のとびらを開く」の100字書評掲載

H25.10.26発売の図書新聞(3132号、2013年11月2日号)に「泥棒は几帳面であるべし」の書評掲載

H26.6,28発売の図書新聞(3165号、2014年7月5日号)に、「市場主義のたそがれ―新自由主義の光と影」の書評掲載

H28.8頃より「シミルボン」への投稿開始

H29.7.4「彗星パンスペルミア」の書評が「新刊JP]に掲載

H29.10.19「ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者」の書評が「新刊JP」に掲載

H29.11.24「ペンギン・ハイウエィ」の書評が「新刊JP」に掲載

H29.12.26.「ニッポンの奇祭」の書評が「新刊JP」に掲載

H30.1.18.「問題解決大全――ビジネスや人生のハードルを乗り越える37のツール」の書評が「新刊JP」に掲載

H30.4.26.「メゾン刻の湯」の書評が「新刊JP」に掲載

H30.7.20.「極道ピンポン」の書評が「新刊JP」に掲載

H30.7.26.「シミルボン」にインタビュー記事掲載

2019.2.23.「本が好き!」×「書店フェア」で「あなたの街で本と出会う Vol.2」に「こころを彩る徒然草」のレビュー掲載

2019.04.28.【本が好き!×カドブン】コラボレビュー!第4回『皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。』掲載
本が好き!免許皆伝レビュアー風竜胆
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