この世に一つのINDEX

「では・・・卒業式を始めます・・・」
「卒業式?」
 真っ先に声を発したのは麗沙だった。 その直後、最前列、麗沙の四列前の安岡が突然倒れ、左の阿久津の机に頭を打つ、後席の松本が
「大丈夫?・・・」
と声をかけた瞬間、阿久津を含む最前列の四人が倒れた。
「えっ・・・?」
 そう言い松本は教室のドアに向かって走る。ドアノブを握り、松本は
「先生、ほ・・・」
と、何かを言い、それ以降何も言わなかった。いや言えなかったのである。
 それと同時に松本と同列の者達が倒れ、それを仕切りに次々と生徒達は倒れていく。まるでドミノ崩しの様に。
「次のれ・・・」
 それは竜牙も麗沙も同じことだった。









「竜牙!!ねぇ起きてよ!!ねぇ!!起きてよ!!」
 竜牙の頭の中に麗沙の声が流れる。そして光が見え、竜牙はひんやりと何か水気を感じた。そこにはぐしゃぐしゃになった顔の麗沙がいた。
「麗沙、泣くな、他のことで泣け」
 そう言い、竜牙は麗沙の顎に軽くアッパーをくらわせる。
「し、舌が・・・」
 麗沙はわざとヤバイ雰囲気を竜牙に感じさせる。数秒経った頃、
「麗沙・・大丈夫・・?」
 麗沙は左手をマスクのように口にあて、右手は人差し指を竜牙に向けている。
「竜牙!そんなことする男はモテないんだよ!こう頭をなでなでして『ありがとうな』ってい・・・」
「俺はモテなくていい!」
 麗沙は表情を変え、
「もしかしてちゃんとしたらモテるって自分で思ってるぅ竜牙ぁ?」 
 竜牙は反論しようとする。
「お、お前こ・・・」
「ははぁぁんその顔は絶対そう思ってるね。うん!絶対思ってる!」
 麗沙はにやけににやけまくっている。竜牙は何か納得したようにうなずいた。
「なぁ一体、なにが起こったんだ」
「あ!今、話ずらそうとしたでしょ! 」
 ドアが開き、教師が入室し、教壇に上がった。
「体育館に集合して下さい遅れないで下さい」
言うだけ言って、教室から出ていく教師。

 ここは折裂(おりざき)高校。生徒数一四〇以上、一六〇未満の高校である。
 折裂高の男子生徒、須藤竜牙(りゅうが)はいつもどうり、折裂高への道を下を見て歩いてく
「おっはよ━━━━!!竜牙!!」
 何者かが後方から前方に回ってきて姿勢を低くし、竜牙と目線を一方的に合わせた。
「そこどけ」 
「きょーーーーーひぃぃぃ~~!!」
「早くどけ」
「きょーーーーーひぃぃぃ~~!!」
「じゃあ仕方ねェし無視してやるか」
 竜牙は先程の体制になり今回は小走りで電信棒の真横を歩いていく。だが、影は小走りでこっちへ向かってくる。次は横から話しかけてくる。
「無視すんなよぉぉ、りゅうがぁぁ」
「なんだよ麗沙(りさ)、朝っぱらから付きまといやがって」
 竜牙の横にいるのは竜牙の幼馴染で同級生、自称『竜牙のことは一番私がよく知ってるもん!!』(一番知りたい所は知れていない)な十七歳、阿巳綴(あみとじ)麗沙という名の少女である。
 二人は似たような会話を何度か繰り返し、三年E組の教室のドアを竜牙が横にスライドさせる。
「あ、須藤だ・・・。」
 ざわざわざわと部屋中全体が小声によって排出される二酸化炭素で埋まる。
 竜牙がバックを肩から外して、そのままバックは真下にダンッ!!!という効果音を出し、落とした。
「・・・・」
 溜まった二酸化炭素が素早く換気される。数秒経った時、麗沙が竜牙の二つ右、麗沙の一つ右の席で今の状況を一切理解していない、絶賛ライトノベル読書中の中野に声をかけた。
「その本、なんていう本?」
 麗沙は表紙に目を向けて言う。
「BLOODOFSHINEだけど」
 中野はわざとらしく英語らしく言う。
「ぶりっこOF車輪?」
 麗沙の勘違い(まぁわざとかもしれないが)に笑う者、ちょっとツッコミたくなる者、自然と二人が入室する前の状態に戻っていく 。麗沙は中野とのお喋りを続行中である。
 竜牙は一旦ため息をつき、肘を机について掌を顎につけ、
「余計なことしやがって」
と、一番左隅から窓から見える風景を眺めながら声を放つ。その時の竜牙の表情は誰も知らない。
ガラガラガラと教室のドアが開く。そして教員は教壇に上がり、
「では・・・

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