2007年03月08日

武侠小説の金庸についてネットで調べていた所偶然発見した
オタクについて論じているサイト
OTAPHYSICA(オタフィジカ)
「燃えは萌えに優先する」
と熱いことを言ったり
『武装錬金』を強力に推したりしていて
非常に好印象なのですが
(ウチの漫画は酷評されてました(笑

その中のベタの正義論成長のドラマとヒーローの論理辺りが大変面白かった

作品が『燃える』作品となるためには
「作品内の『正義』と『悪』はベタでなければならず
 物語の中の『正義』や『悪』について『これは本当に正しいのか?」』
 などと読者に深く考えさせてはならない」
との主張ですが、なるほど慧眼です、耳が痛い(笑


さらに
「ヒーローはレベルアップ、パワーアップはしてもいいが成長してはならない」
との主張も素晴らしい
全くその通りだ

ヒーローたる者は物語が始まった最初の段階で既に
人格形成が終わって完成されていて
それ以上成長することはない
と言うコトだ

作品を企画する人間ならまずこれは考えることだと思う
主人公が「完成された人間」か「いまだ発展途上の人間」か
非常に重要な分岐点だ

ヒーローはその意味で最初から完成されているべきで
物語の途上でその生き様、信念を変えてはならない
自分の信念を疑ったりうじうじ悩んだりしてはいけない
信念を試されることはあるだろうがそこで決して屈しない

人間的成長とパワーアップ、レベルアップを峻別しているのが
明快でわかりやすい



さらにこの成長のドラマとヒーローの論理では三浦建太郎『ベルセルク』、内藤泰弘『トライガン』、荒川弘『鋼の錬金術師』を挙げて





どれもヒーローになった過程、覚悟を決めるに至った過程を描いてはいるが、どの作品に於いても、その成長過程を過去の回想として描いていることを指摘している
これは鋭い

考えてみると最近のジャンプ他少年誌の新連載の多くの第1話がこの過去回想と同等の機能を果たしていることが多いことに気づく

有名なところではワンピースか
ワンピース第1話はガキの頃の主人公が憧れの男に命を救われ
それを契機に10年間の修業の後、既に成長し完成した男(ヒーロー)となって
旅立つシーンで終わる(海賊王に俺はなる!)



第1話が主人公の過去を描写し
第2話以降は成長したヒーローの物語が綴られる訳だ
これは既に成長を終えた大人であるヒーローに
子供読者の感情移入を促すための装置で
大変素晴らしい発明だと思う

結界師なんかも同パターンですね
それにしてもジャンプの新連載に限らず
ここ最近はホントにこのタイプが多いので
時代的なものがあると思われます





悩んで成長する(あるいは成長できない)キャラクターは
『燃え』と相性がよくないと言う訳だ
そしてそれは正しい

ルフィが悩んでるシーンなど見たことがない
ハンタのゴンもやはり悩んではいないと思う

この論旨に従えば
ガンダムのアムロ、エヴァの碇シンジはヒーローではない
シンジは納得、アムロはどうだろう?
アムロは正直後半部分、十二機のリック・ドムやらア・バオア・クー辺りでは完全な戦闘マシーンになってて黙々と戦闘をこなす姿に燃えるものがあるのだが確かにヒーローの燃えとは違うのかも知れない、うーん、どうだろ




そしてウチとこの主人公のネギ君はどう考えてもあからさまに
アムロ、シンジの系譜にあり、ヒーローにはどうがんばってもなり得ないし
『燃え』もないと言う訳だ
申し訳ない…だが、がんばれ(笑





注意を付け加えておくと
「ヒーローは悩まないが苦悩する」と言う点だ
うじうじ悩むことと苦悩は違う
ヒーローは自らの信念が招いた結果に苦悩するだろうが後悔はしない
「悩み」と「苦悩」は分けておこう


さてさてこの方はオタクとして『燃え』を楽しみたいと
きっちり御自身のスタンスを明示して論旨を組み立てられているので
その主張は非常にわかりやすく参照しやすい
今後いろいろ考えたりする上での基点となり得ると思い引用させていただきました

まとめると




「ヒーローは苦悩はするが悩まない」
「ヒーローはパワーアップはするが成長しない」

そんなヒーローを効果的に描くために

「物語内の『正義』と『悪』は疑いなく明確なもの=ベタでなくてはならない」
「『正義』と『悪』はヒーローの『燃え』を描くための『手段』に過ぎない」




うーん明快だ
素晴らしい
これは今後何度も参照したい理念です
(参照させていただきます→OTAPHYSICA




さらに今ひとつ注意を促すとすれば
同じサイトの中でも言及していらっしゃいますが
この
「物語内の『正義』と『悪』はベタでなくてはならない』
と言う理念が最もうまく実現されるジャンルは
子供向けのヒーロー番組であろう、と言うことです

そして
「『正義』と『愛』が最終的には『悪』に勝ちました」
「最後はみんな幸せに暮らしました」
と言う物語をまず子供に聞かせると言うのは全く正しい
「悪」はなんか知らんけどとにかく「悪い奴」でいい
わかりやすく村人を容赦なくブッ殺したり
幼稚園バスをジャックしたりする人でいい(笑

子供向けの話は絶対にそうあるべきです
子供にはまず世界をそういったものとして認識してもらう必要があるのです
何が「正義」なのかとか言うメンドクサイ話はその後
こまっしゃくれたませガキになった後で勝手にやればいいと(笑


『ワンピース』は見事にそう言った作りになってるのでやっぱ凄いですねー
そしてやっぱり『武装錬金』は真の少年漫画、ヒーローモノであったと再確認

武装錬金 (10)


(07:54)

トラックバックURL