現在台風16号が九州南部に向けて接近中で、今日のトップニュースはこの話題だ。

上陸が予想されるものとしては今シーズンでは最も勢力が強く、影響が大きくなりそうなので、接近・上陸が予想される地方の方は厳重な警戒をしていただきたい。

そう云いながら、こういうときいつも感じることがある。主に二つだ。

台風が本土に接近してくると、上陸するかどうかが一番の関心事となり、その確率の高い地域にレポーターが続々と向い、ヘルメットを装着し危険を冒して中継をするという姿が映し出されることになる。
この段階になると、台風の勢力などは度外視され、上陸の可能性があるかどうかでニュースでの取り上げ方が大きく違ってくる。弱い台風でもいざ上陸の可能性があるとなると、その取り扱い方は大変なものである。大騒ぎである。

上陸するかどうかというのが、そんなに重要なことなのだろうか?

台風の中心が陸上に上がってしまえば、台風のエネルギー源である水蒸気の供給が少なくなり、台風は衰弱する。
むしろ海上をそのまま進んだ方が被害が大きくなる場合もあるともいえるのだ。

後一つは、台風であるということに滑稽なほど過敏なこと。「台風は熱帯低気圧となった」といういいまわしを聞くと思うが、そうなると一気に気象情報はトーンダウンする。
台風と熱帯低気圧は性質は全く同じもので、熱帯低気圧のうち中心付近の最大風速がある一定の基準以上のものを台風と言うだけだ。「熱帯低気圧」でも発達した雨雲を持ち大雨をもたらすことも少なくない。

また「温帯低気圧」に変ったと報道される事もあるが、この場合も同様に安心してください的な予報になる。
ただこれは低気圧としての構造が変ったことを示す。熱帯低気圧は暖湿気の塊で水蒸気の供給により発達するが、温帯低気圧は、暖気と寒気のぶつかり合いで発達する。なので温帯低気圧になると、寒気に触れることにより再発達することがある。
しかも、同じ中心気圧の場合、熱帯低気圧よりも温帯低気圧の方が強風の範囲が拡大するため、より荒天に注意しなくてはならない。また、前線を伴って広い範囲に大雨をもたらす事もある。

災害を未然に防ぐために注意喚起をすることは大切だ。台風関連の場合、その切り札が台風、上陸という単語なのだろうけど、そればかりに捉われた予報や報道を行うと、それに隠された危険に足をすくわれることもあることを、一言添えておきたい。

とはいえ、今はさしあたり目前に接近した16号に対しての万全の対策を・・。