先日出張の帰りに、ふと新社会人時代数年過した町を足早に歩いた。

隣県にあるのだが、町歩きという観点では離れて以来ほとんど訪ねていない。

古い町並がないから歩く機会が少なかったという、私の趣味に照らして実に単純な理由だ。

勤務先であった昭和的なビルは当時アーケード街にあった。
さすがに何度かは再訪していたのだが、今回、アーケードが外れていた。
前面と側面が露になった姿となったそれは既に、古い町並の要素になりつつあるようにすら感じられた。

歩を商店街の中心方向に進めると、商店街の一角から派生した小さな地下街。これは懐かしさとして甦った。昼食時によくその地下街に足を向けていたからである。一方、商店街南側に平行し展開する小路的な商店の連なりがあって、小売店が続いている。当時私も足を踏み入れていたはずなのに記憶には残っていなかった。
それは今の私の基準だと、明らかに昭和レトロ商店街に該当するものだ。勤務時間中であることの後ろめたさから躊躇されたが、思わず数枚カメラにその情景を収めた。

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曲りなりにも2年は過したところであるのに、町の風景、建物、町並といった類のことに全て今より興味関心が低かったことが災いして、記憶の底にも残っていなかったのだろう。もうすこしは覚えておけよというのが率直な感想だったが、既に20年以上前の情景である。改築されたりして商店街全体の雰囲気も変化していることで既視感すら湧かなかったのか。それも或る意味では無理からぬことなのだろうか。

経過した年月の長さを実感するとともに、町を見る目が変ると、これほど新たな発見だらけになるのかということを実感するひとときであった。
そして再訪すると新たな発見がある。特にこの町のように長いブランクがあると、大袈裟に言えばあたかも新規訪問の町であるかのごとくその割合が大きくなる。

そういう意味でも、再訪は大切だと痛感した束の間の町歩きであった。