孫さんのあれこれ雑記

カテゴリ: 気象・季節の話題

昨日、桜前線が根室と稚内でゴールを迎えたというニュースがあった。

いかにも地味な話題で、ニュースでも他の記事の後で、ちなみにといった取り扱いにも見え、ネット記事のトピックもすぐに消えた。

桜の話題。
本州以南では何日に桜前線が上陸するか、そして東京ではいつ開花して見頃を迎えるか、それらが春先の一大ニュースとして取扱われ、その時期はメディア全体が浮き立った感じになる。
それに反して、何とも寂しい終わり方ではないか?

競技場に一番に戻ってくるマラソンのトップランナーは確かに華々しい。
メディアの取材もインタビューも受ける。
一方、最後の選手がゴールする頃には、報道陣はおろか場合によっては観衆の多くが帰ってしまっているかもしれない。
そういった違いを、桜の開花報道には感じる。

それは毎年のことだろうし今年に限ったことではないのだが、あえて話題にしたのは、春が来ることに対する感慨・感動というのは北ほど強いものがあるのではという思いを、実際この時期に北日本に足を向けたことで再認識したからだ。桜の開花に対する感慨というのも、また特別なものがあるのではと。

GW連休前半に東北北部を訪ねたところ、下北半島などではまさに桜が見頃を迎えていた。
日本の南部に住んでいては、全く知ることもなくまた関心外にあることだろうが、この桜をはじめとした早春らしい風景は美しかった。山間部では残雪も堆いところもあるのに、その際からはフキノトウが芽吹き、木々は淡い緑を纏いはじめていた。
北日本では氷雪の冬がようやく過ぎ去らんとする間もなく、春が駆け足でやってくる。

日本の南部に住んでいる私自身、春の北日本を訪ねたのは数えるほどだが、その美しさに息をのむことが何度もあった。それは花の風景でもあり、残雪の山を背景とした田園風景でもあった。
それらが実際、毎年当り前の自然風景として展開する。

冬が厳しい分、劇的で美しい春の到来を感じることができる。
わざわざ報道してもらわなくとも、この美しい春を味わえるのは北日本在住者、そして訪ねたものの特権ではないかと。
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連休前半に見頃を迎える下北半島・陸奥湾沿いの桜
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会津盆地の田園風景(5月中旬)

20部屋はあると思われる老舗の温泉旅館に、客はたった4人。
「連休はもちろん、5月中はお客さんが多かったのですが、6月になると途端に少なくなった」とのこと。

前回記事の旅館での状況。

やはり、「6月は雨が降る」というイメージが根強いことが、その大きな原因だろう。旅館の方も言われていた。
実際、今日の天気図を見ても日本列島の南岸に沿って長々と梅雨前線が描かれており、これを見ただけでもう一切の活動意欲を削がれるみたいな感触にはなる。

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(気象庁HPより)

しかし、わたしは梅雨の後に猛暑の日々が待っていることを思うと、6月に祝日がないことに不満すら感じる。
梅雨の後半は蒸し暑い日も増えてくるし、もちろん快適な時期ではない。しかし暑いのが嫌いな私は、真夏の猛暑の時期よりはまだ良いという思いだ。災害級の大雨さえなければ、梅雨もまた可なりと、この時期常に思っている。
それに梅雨というと、それこそ連日雨に降り込められるという印象を持たれがちだが、実際は雨の降っている時間の割合は少ないものだ。晴れの日の少ないのは確かとはいえ、じっと耐えてこの雨の時期の過ぎるのを待つといった思いを抱いたことは、私の記憶する限りは余りない。
梅雨は四季の気候の変移のなかで、マイナスイメージの象徴のようではあるが、メリットに眼を向けると、何だかもったいない。
冒頭に触れたように、旅を例に挙げても旅館をはじめ各所は空いている。サービスの質も高くなる。

盛夏の盆休みなどに汗と雑踏に紛れるよりは、よほどストレスは溜らない。

普段、樹木や草花など余り関心を向ける事は正直少ない私も、秋は多少例外がある。
初秋の彼岸花、その後の金木犀の香り、そして晩秋の紅葉だ。

紅葉に関しては、ほぼ毎年定点観測的に足を向けている場所がある。今日そこに行ってきた。

毎年同じようなものだろうと思われるかもしれないが、紅葉の状態は毎年異なっていて、秋になってからの気温や降水量の条件によって随分違ってくる。実際、昨年は色づき始めたかと思うと落葉し、見頃がなかったようだが、今日は堪能することが出来た。

その一方、去年に比べて、何年前よりはと思いをめぐらせるうちに、いとも簡単に1年、そして数年が過ぎ去るものと思い知らされて愕然とする。

紅葉が終われば冬枯れになる。
1年の終り、時の経過の速さを感じるものとしては象徴的なものだから、もしかすると、やがては忌まわしきものと感じるようになってしまうのだろうか。

しかし、そんなことはないだろう。なぜなら紅葉はそんな感慨を抱く前に、まずは美しいからだ。そしてその美しさの質は、色んな条件により左右される繊細なものだ。
その奥ゆかしゆえに毎年定点観測せずには居られないのだろう。

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現在台風16号が九州南部に向けて接近中で、今日のトップニュースはこの話題だ。

上陸が予想されるものとしては今シーズンでは最も勢力が強く、影響が大きくなりそうなので、接近・上陸が予想される地方の方は厳重な警戒をしていただきたい。

そう云いながら、こういうときいつも感じることがある。主に二つだ。

台風が本土に接近してくると、上陸するかどうかが一番の関心事となり、その確率の高い地域にレポーターが続々と向い、ヘルメットを装着し危険を冒して中継をするという姿が映し出されることになる。
この段階になると、台風の勢力などは度外視され、上陸の可能性があるかどうかでニュースでの取り上げ方が大きく違ってくる。弱い台風でもいざ上陸の可能性があるとなると、その取り扱い方は大変なものである。大騒ぎである。

上陸するかどうかというのが、そんなに重要なことなのだろうか?

台風の中心が陸上に上がってしまえば、台風のエネルギー源である水蒸気の供給が少なくなり、台風は衰弱する。
むしろ海上をそのまま進んだ方が被害が大きくなる場合もあるともいえるのだ。

後一つは、台風であるということに滑稽なほど過敏なこと。「台風は熱帯低気圧となった」といういいまわしを聞くと思うが、そうなると一気に気象情報はトーンダウンする。
台風と熱帯低気圧は性質は全く同じもので、熱帯低気圧のうち中心付近の最大風速がある一定の基準以上のものを台風と言うだけだ。「熱帯低気圧」でも発達した雨雲を持ち大雨をもたらすことも少なくない。

また「温帯低気圧」に変ったと報道される事もあるが、この場合も同様に安心してください的な予報になる。
ただこれは低気圧としての構造が変ったことを示す。熱帯低気圧は暖湿気の塊で水蒸気の供給により発達するが、温帯低気圧は、暖気と寒気のぶつかり合いで発達する。なので温帯低気圧になると、寒気に触れることにより再発達することがある。
しかも、同じ中心気圧の場合、熱帯低気圧よりも温帯低気圧の方が強風の範囲が拡大するため、より荒天に注意しなくてはならない。また、前線を伴って広い範囲に大雨をもたらす事もある。

災害を未然に防ぐために注意喚起をすることは大切だ。台風関連の場合、その切り札が台風、上陸という単語なのだろうけど、そればかりに捉われた予報や報道を行うと、それに隠された危険に足をすくわれることもあることを、一言添えておきたい。

とはいえ、今はさしあたり目前に接近した16号に対しての万全の対策を・・。

上は2013年、下は今年の、ほぼ同じ位置から撮影した紅葉の画像である。

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もちろん、光線状態など撮影条件の違いはあると思う。
しかし、2013年をはじめ、条件の整ったときのこの場所の紅葉は本当に見事なものだ。

私はほぼ毎年ここに紅葉を見に出向く。手ごろな場所にあるからだが、そのことで紅葉をベストの状態で見ることの難しさを実感している。
今年は、今月に入って異常な高温が続いているものの、10月前半や下旬~11月頭に朝晩の冷え込みを受けているので、今年は鮮やかな紅葉が見られると思っていた。
でも話によると、10月の降水量が非常に少なかったことで葉に水分が少なく、紅葉が始まる(葉への養分の供給が止まる)と同時に落葉してしまうのだと。
事実、この写真をみても紅葉している樹は見頃を過ぎたようになっている一方、まだ青葉も目立つ。

木々から感じられる季節の風景として、春の桜と晩秋の紅葉が双璧といったところだろうが、私は後者により魅力を感じる。
春の訪れを象徴する華やかな桜は、気持が浮き立つものである。しかしそれよりも、散り行くものの美しさを感じ、奥ゆかしい紅葉の方が好きだ。
古い町並にも共通するものがあるからだろうか。

桜の花は、気温などの条件で開花や見頃が前後することはあっても、必ず満開の見頃がある。
ピークの時に立ち会うことが出来れば、毎年満開の見応えある姿を眼にすることが出来る。

ところが紅葉はそうではない。
初秋に長雨が続けばくすんで鮮やかでなくなる。逆の場合も今年のように上手く持ってくれない。
さらに訪ねたときの天候、時間帯にも左右される。

紅葉は、その年の秋の気候条件の成果が表れるわけである。一つとして同じ年はない。鮮やかでないからと言って、落胆する事もない。同じ場所を定点観測していることで、奥ゆかしくも気まぐれなものなのだと、紅葉とはそういうものだ、と思えるようになった。

華やかなものよりも奥ゆかしいもの、それも出会えるかそのときになってみないとわからないもの。だたそれに接したときの感銘は代えがたいものがある。
私が一番好きな季節の風景であることは間違いない。

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