孫さんのあれこれ雑記

カテゴリ: 食と酒

この春からまた何度か旅館に泊る機会があった。多くは温泉旅館で2食付の、主に観光客向けの旅館だ。
共通しているのは高級旅館ではないということくらいで、部屋も温泉も、それから食事も様々だった。
今思い出すと、各旅館での食事の印象は随分異なったものだった。その中で突出して強い印象として残ったのは、下北半島の小さな温泉旅館だ。

旅館での食事。多くでは会席料理風の献立で、前菜、汁物、焼物などと続き、鍋物か陶板焼のようなその場で加熱していただく一品がある。そういった構成がほぼどこも似た形になるのはある意味やむを得ないだろう。
あとはやはり、食材がどうかということになる。
ややもするとそれらは全国で調達し易いものに傾き、美味であり豪華に見えても、結局は町中のその辺の店で少しだけ贅沢をすれば食せるメニューになってしまう。

さてその下北半島の旅館、津軽海峡に注ぐ大間川の渓流沿いにある「薬研温泉」の小さな、そして外見はとても地味な旅館だ。
海岸沿いの町からそれほど距離は無いが、旅館の周囲は既に深山の趣で私が訪ねようとした時もカモシカに遭遇した。女将によると熊、猿も見かけるという。
後で知ったが全国紙も取材に訪ねたことがあるようで、「薬研温泉のカモシカ女将」とも称されている、ちょっとした名物女将なのだそうだ。

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この映像に写っている夕食の品々の中で、山菜やキノコ類は全て女将自らが周囲の山々で採取してきたものだという。
例を挙げるとカタクリと海苔の和え物、山菜・キノコ10品の小鍋。付け加えると刺身もとても新鮮で、マグロなど醤油に浸すと脂が染み出すほど乗っていた。

これを大型旅館でやったらどうか。山菜類の採取には人を雇い相当な人件費を計上し、宿泊費は高騰するだろう。ちなみにこの旅館の宿泊費は1万円未満。

最近はネットの口コミもあって、事前情報を随分詳しく得ることも可能になったが、やはり実際泊ってみないとわからない事も多い。
その辺りが、当たり外れということになるわけだが、この旅館は相当な当たりだった。

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旅館はややもすると宣伝や建物の外観・設備に良い印象を得ようと注力し、実際が伴っていないことが少なくない。しかしこの旅館は、逆に良い方に騙されるわけである。

近くに大型のビル旅館が廃墟をさらしているそばで、私が泊った当日は満室だった。

この時期にネット上をはじめささやかな話題になるのが、雑煮の地方性のことである。

この話題が出始めると、最近は年末になったなと思うようになった。

大まかに分けて餅の形は西日本では丸餅、東日本では角餅と分けられるが、こと味付けや具になってくるとそれこそ都道府県によって様々で、さらに地区によっても異なるものだと。
広島県では名産の牡蠣が具に入るのが一般的だが、福山市辺りでは鰤を入れるのだと、先日あるローカル番組で言っているのを見た。

雑煮は現在でも各家庭での手作りが基本なので、地方性・地域性が残ったままなのだろう。

今やコンビニや複合型商業施設に象徴される全国画一化された店舗網のなかで、食の地方性などなくなっているようにも一見感じられるが、実際はまだまだそうではない。

例えば麺類の店も、私などは東京などで蕎麦屋の多さに驚くように、東日本ではそばが中心であるのに対し、西日本ではうどんが優勢で、店のうたい文句も西日本では「うどん・そば」とうどんが先に立つ。出雲そばなどが名産の山陰地方や九州などは違っているのかもしれないが、少なくとも近畿から山陽、四国については間違いないところだろう。

またカップめん等にしても東西に出荷するものでは若干味付けを変えているものもあると聞く。

そのような地域ごとの小さな特徴は、意識しなかったら全く気付かないものなのかもしれないが、少なくとも旅をする際には地方性を感じる重要な要素となる。

地方の旅の味も、大きな収穫になりまた土産ともなる。
今一度意識してみたい。

今日昼休みにたまたま寄った店で「あけび」が売られているのを眼にし、思わず求めた。

その店は町中にありながら地元産の農漁業産物を手軽な値段で販売していて、気が向いたら時々寄るようにしている。町中版道の駅といった雰囲気の店である。

買おうと思ったのは、先日山陰地方の山間部に仕事で赴いたときこのあけびの実を眼にし、その光景から小学生のとき、クラスメイトの一人が持ってきたあけびを口にした記憶が甦ったからだ。

果実の中には種が水分の多いゼラチン状のものに覆われていて、その部分が甘く味わえる。
他の木々の陰のようなところに自生しているのだから目立たないし、実際あけびといってもどのようなものか、想像できない人も少なくないかもしれない。

パッケージには手作りの食べ方マニュアルのようなものが添えられていて、色々紹介されている。
種子を囲むわずかな部分よりも、周りの果実?皮?の調理法も色々あるのを知った。恐らく山間部の人は、この紫色に熟す果実に貴重なものを感じ、色々と工夫して食に取り入れていたのだろう。

とにかく小学生時代以来、実にウン十年ぶりとなるあけびである。

淡い記憶と同様に、多くが種で占められながらも、その間に充填された果実は、ほのかな甘さとゼリー状の食感を持っていた。

当時のかすかな記憶そのままだった。

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余り言いたくないことだが、私は普通の人の平均より体重が多めだ。

そのこともあってか、健康診断でしばしば指摘を受ける。

一部は治療も受けているのだが、さすがにこの歳で本格的な成人病にはなりたくないので、私なりに気にしている。この1年、それなりに意識してきた。

具体的には、

・職場からJRの駅までバスなどを使わず早足で30分かけて歩く。少なくとも週3回。
・それに加えて、休日は時間が取れる限り近場を最低60分歩く。
・夕食時は、米の飯を食べない。そのかわり水溶性食物繊維を摂取する。

この3項目はこの1年間、ほぼ守ることができた。
しかし、体重は多少の増減はあっても、平均的にはほぼ水平移動。

まあこれは意識していなかったら、どんどんメタボ、中年太りが進行していたのかもしれないと慰めることにする。

やはり、禁断の一手に手を加える必要が出てきたようだ。
それはずばり、「晩酌」にメスを入れるということだ。

わたしは典型的な「辛党」だ。

辛党という言葉の意味は、単に甘党の反対で辛い食べ物が好きというのではなく、酒好きという意味合いの方が強いようだ。
辛いもの好きという意味に誤解していたのだが、私は実際どちらの意味でも当てはまるので、そういう意味でも典型的と思っているわけだ。
私は個人的には、いや最近は飲み会などの機会があっても大量の飲酒はしないし、二日酔などとも長らく無縁な身ではあるのだけど、ほぼ連日酒を欠かしたことがない。
実際今も酒を帯びた状態で書いているので、少々乱筆かもしれない。

昨日は、意識してアルコール類を1滴を飲まなかった。そしてPCにも向わなかった。
どうも一旦酒を飲んでしまうと、TV画面、PC画面を眺めながら漫然と過してしまいがちで、その時間は確かにもったいない。もっと有効なことに使えないかなと。最初は週1回でよいが、できれば3回くらいまでに増やせないかな、と。

そうなると、恐らく体重も落着いて、体の動きも良くなって、健康診断で指摘される事も少なくなるかな、と。

ここに書くことによって、自戒の機会としたい。

最近、ふと数年前に愛媛県で味わった鯛めしの味を思い出した。
鯛めしというと、一般的には鯛の身が入った炊き込み御飯風のものを思い浮かべるだろう。
しかしこの鯛めしは、鯛の刺身を米飯の上に載せ、そこに醤油ベースの出汁をかけ、卵黄と絡めていただくものであった。店で出てくるものを見たときは、一見刺身定食かと思わせる。
愛媛県でも南部の方、通称南予地方での食べ方であるため、南予風鯛めしいう名でネット検索しても多くヒットする。何でもこれは南予地方の漁師飯が発祥なのだという。私はある本を読んでいて、この地域では鯛めしとは言いながらイメージとは異なるものが食されているという知識はあったが、実際出てきたものを目にして、わが地元にはない食べ方に興味深さが増した。
新鮮な鯛の刺身をわざわざ海鮮丼のようにして食べるのはもったいないと私も少し思った。確かに夜に刺身をネタに酒をというのならそうだろうが、この鯛めしに関してはここが絶妙だった。秘伝の出汁と卵黄もお互いが絶妙な調和を持って鯛の刺身の美味さを引き立てる。

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南予風の鯛めし(店舗で出される一例)

ご当地で食してみたい郷土食。筆頭は秋田のきりたんぽ鍋だが、この鯛めしもそれに匹敵する。
秋田はそう簡単には行けないが、愛媛であればその気になればこの鯛めしの為に日帰りしても良い。
ネットを見ると、色々事細かいレシピが紹介されている。問題は出汁の調合だろう。酒や味醂を使うものは、僅かな比率の違いでも大きな味の違いが出る。我が家で再現するのはまず不可能だろう。やはりこうした郷土料理は、現地に赴き食すに限る。

鯛めしを食べた日の晩、宿泊した旅館でも「ひゅうが飯」という名のぶっ掛け飯もいただくことになるのだが、こちらは更に漁師飯的なイメージを抱いた。
鯛めしの原点ともいわれ、鯛以外の具材を用いたものを指すともいわれる。
一説には日向(現在の宮崎県)から伝わったものともいわれる。

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ひゅうが飯。これを米飯にかけていただく。

少し有名になると、すぐに大都市を始め各地で味わえるようになるが、それはどうかと思う。郷土料理の価値は、その土地で味わってこそ価値のあるものではと。

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