2012年07月

2012年07月31日

8月第1・第3(金)a.m.のデイケアプログラムについて


こんにちは

カウンセラーの志保井です。毎日暑いですね

ひとつふたつ前の記事で、大久保さんがとても興味深いお話を書かれているので、まだ見られていない方は、ぜひちょっと戻って読んでみて下さいね


8月のデイケアプログラムについてお知らせ申し上げます。


・8月3日(金)a.m.「からだをほぐしてみよう」

・8月17日(金)a.m.「コラージュを作ろう」

に予定しています。どうぞよろしくお願いします。

今週のからだほぐしも、前回同様に、
らくな姿勢で、からだを労わり、
のんびりとからだをほぐしていきます。

内容は、ほとんど変わりません。しかし、からだの状態も、こころの状態も、
日々変化しています。

今の自分、こんな感じだなあ・・・

からだのメッセージを大事にしながら、
いまの自分をまるごと大事にしながら、
そして、少しでもらくになれるよう、
からだを休ませていただければと思っています

いつの間にか、最近自分に対して厳しいメッセージを送っていたなあと思う方は特に、
生活の中で、できるだけ、休む時間をとるようにしてくださいね。

頑張ることや、力むこと、努力することは、悪いことではありません。試行錯誤しながら、前に進んだり、改善、解決していけることはたくさんあります。

だけど、やりすぎな自分に気づいたら、ちょっと、おやすみ。

ゆったり息を吐いて、いまの自分に戻りましょう。

また、きもちを我慢することが続いてしまった時も、

通り過ぎず、無視しないで

立ち止まって、

ただ、自分のきもちを大事に思ってみてください。


自分を大事にして十分に休めたら、自分らしい「元気」が必ず、顔を出してきます


寝転がる姿勢が気になる方は、バスタオルやフェイスタオルなどお持ちください。
また、寝転がってもかまわない服装でいらしていただければと思います



***

去る7月20日の「コラージュを作ろう」にも、ご参加ありがとうございました。

今回で4回目になりました。これからの夢、過去の思い出、自分の大好きを集めた作品、自己像が見え隠れする作品、たどり着きたい場所、自分流にアレンジしたユニークな作品・・・

みなさまそれぞれの「らしさ」があふれていましたね。とても熱心に作られていらっしゃって、力作でした。

想いがあふれる作品には、こちらが心が揺さぶられてしまい、それを乗り越えられようとされている姿勢に、涙が出そうになりました。

コラージュは、雑誌をみながら、好きな写真を選んで切って貼るという単純作業です。自分のお気に入りを選んでいく作業だけでも、とても楽しいものです。
ご興味ある方はぜひご参加ください





magokoroclinic at 15:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0) デイケアプログラム 

2012年07月30日

おすすめの本のご紹介

こんにちは。カウンセラーの大久保です。

暑い!
とにかく暑いですね
節電も大事ですが、どうか熱中症になったり、体調を崩されないよう、いろんな方法で涼を取りながら、ここから約2週間ほどの暑さのピークを乗り越えてくださいね。



今日は、おすすめの本2冊のご紹介です。
待合の本棚に置いていただくことにしました。

1冊目は、香菜世さんという方の『ココにいるよ』。
NHKハート展で入選されたという彼女の本で、ふとした偶然から手に取ることになったのですが、
後日、知ってる方の娘さんだったということを知り、偶然のつながりにビックリしています。

悩んだり苦しんだり、時には自分を見失ったり、絶望の淵に立ちながらも、
ご家族の支えを得て、生きる力を取り戻していく姿を、
みずみずしくも、迫力のある詩で描かれています。

愛らしいピンクの本の中に、たくさんのリアルな気持ちが詰まっています。
これは、患者の皆様にも「分かる」と思う部分や、「あたたかく励まされる」部分があると思いますので、
ご興味をもたれた方は、どうぞお手にとってみてくださいね。
待ち時間の間に、数ページ読むだけでも、ぜひ


そして、もう1冊の本は、『12人のカウンセラーが語る12の物語』。
これは、十二分に経験を積んだカウンセラーが、自分たちが携わったカウンセリングをそのまま描き出すのではなく、事例報告とは違う、『事例小説』というフィクションの物語として、カウンセリングの始まりから終わりまでを、それぞれ短編小説として描いています。

皆様もご存知だと思いますが、私たちには守秘義務があります。
ですから、かかわった事例をそのまま発表することはしません。
そういう意味で、この本は完全にフィクション(虚構の世界)です。
でも、実際に多くの患者様や相談者の皆様にお会いしてきた私たちにとって、非常にリアルで「そうそう。こういうことは実際によくあるし、悩んでしまうんだよね」と驚くほど、本物のカウンセリングを反映してします。

商業小説にありがちの「過去に原因があって今の症状がある。それを解き明かせば相談者は完全にハッピーになる」とか、カウンセラーがこういう助言をしたから相談者の悩みが解決したという分かりやすい構図ではなく、

じわりじわりと作り上げられたカウンセラーとの関係の中で、
様々な話が語られ、表現されていく、
その意味と、相談者の置かれている状況や苦しみを、
それぞれのカウンセラーが、それぞれの相談者との間で、どんなふうに共有していくか、
その時、どんなふうにカウンセラーは、自分自身の心を使って、感じ取っていくか。

そのことを研究論文などではなく、「物語」として描いたところに意味があるんだろうなと思います。
なぜなら、論文では知り得ない、細かなエピソードや心の動きが、現実と比べても遜色ないか、それ以上に鮮やかに描き出されていると思うからです。


「カウンセリングって、何?」

「話すだけで、何が起きるの?」

「相談者のことを、カウンセラーはどう考えてるの?」

…など、カウンセリングや心理療法に興味や疑問を持っていらしゃる方に、ぜひ読んでいただきたい1冊です。

カウンセラーが綺麗事ではなく、生身の自分の「こころ」と「からだ」を使って、全身で相談者の方の苦しみを分かろうとしていく様を、少しでも「そういうものなんだ」と興味を持っていただければ幸いです。



そうそう。前回の記事の『Born This Way』について、院長から、「あの前ふりの『橋を渡るっていうエピソード』の、オチはないの?」というご指摘をいただきました。

その時は、「ないでーす!」なんて笑ってましたが、
自宅に帰り某家電メーカーのCMで、「この木何の木、気になる木 見たこともない木ですから〜♪」と流れているのを見ながら歌っていたところ、その映像の背景に「虹」がかかっていて、ようやく気づきました。


「橋」って、こちらから、あちらの世界へ渡っていくものですが、非常に勇気の要るものです。
死生観の中でも語られる、「三途の川を渡る」に象徴されるように、自分の中の越えられなかったものを越えていくと、下手をすれば帰ってくることができなくなるものです。
でも、映画『スタンド・バイ・ミー』のように、それが成長のワンステップを上がる、ひとつの大きな関門(でも大きな危険と隣り合わせの)とも言える訳で。

その後、『虹』に関して、ケルンでの体験を踏まえていろいろと思うことを書きましたが、
『自分が、自分であるために』、越えなければいけない橋や、ステップというのは必ずあると思うのです。


虹は、カラフルで、たくさんの色をはらんでいて、雨上がりの空に、私たちの心を和ませてくれますが、
『虹』も、空の『橋』なんですよね。

そのことに気づいた時、「おおっ!院長先生、分かっててコメントされたのかな?」って驚きました。

『虹』を渡って、自分の色を見つけに行く時。
おそらく、『これが自分だ』と自信を持って言えるまで、本当に怖くてたまらないものだと思います。

轟々と流れる河川の上を、細い金網張りの床の整備員用の通路を歩いていった私たちのように。

(思い返せば、私たちの前に数人歩いている方々がいらして、線路に上がって歩きだした私たちを見て、たくさんの方々が、勇気を持って後に続いて歩き出されていたのを、振り返った時に見た記憶があります)

でも、怖くてたまらなくても、それしかないと思ったら、前だけ見て、お互いに声を掛け合いながら進むことができた。

あの体験は、二度としたくはないけれど、私の中で「誇り」にも似た体験です。

だって、弱虫の自分の中に、こんな危機に立ち向かい、ゴールまでたどり着く勇気があったのだと驚きましたもの。


『橋』と『虹』。
不思議ですね。
完全に余談だと思っていた話と本題に、こんなに大きな共通のイメージがあったということに、記事を書いた私自身が一番驚きです。


今日は、本のご紹介と雑談まででした。


magokoroclinic at 09:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ちょっとしたお話 

2012年07月22日

「Born This Way」

こんにちは。カウンセラーの大久保です。
雨が降ったり止んだりですね。
しかも、梅雨の終わり頃には必ずといっていいほど起こる集中豪雨…。
大きな被害の出ている地方の方々に、心からお見舞い申し上げます。
関東地方でも、これ以上激しい豪雨が降ったりしないといいですね。


むかーし。若かりし頃に、朝の通学時間帯に集中豪雨に遭いまして、
無事、学校の最寄駅までたどり着いたのに、そこに待ち受けていたのは、ほぼすべての学校の臨時休校のお知らせ…。
仕方なく、帰りの電車に乗ったのですが、再び集中豪雨に見舞われ、地元まで残り10kmというところで、JR自体が運休になり、制服のスカートをたくし上げながら、水に浸かって延々と幹線道路を歩いて帰った覚えがあります。

そして、あと1駅で地元だ!というところで、その間にある1級河川及びその直前の幹線道路自体が数キロに渡って完全に水没し、大人の男性の胸元以上の水かさがあるという情報がもたらされました。

女の子たち数人で励まし合いながら歩いて帰宅していた私たちは、半ば絶望的になりながらも、何とか帰宅する方法と情報を探しました。


すると、JRの車掌さんが、『今後数時間は少なくとも電車の復旧の見込みはない。おそらく今日は無理。だから、唯一この先に進む方法があるとしたら、ここから線路に上がって、それに沿って歩いていき、途中の100mほどの幅のある河川にかかる、JRの整備員用の徒歩通路を歩いていけば、向こう岸に渡れて、そうすれば全員が自宅に帰れるはずだ』と教えてくれました。


早く家に帰りたい一心で、私たちは線路を歩き始めましたが、なんと歩きにくいことか!
泣きたいのをこらえながら、徐々に近づいてくる河川にかかる大きな橋に向かっていきました。

近づいてくるに連れて、その整備用の通路の正体が明らかに。

手すりはある。少なくとも簡単に落ちるような構造にはなってないんです。
でも、なぜか通路の床は金網で、20〜30mほど下には、轟々と流れる濁流が透けて見えるんですね…。
とにかく、怖いんです。

全員が、一瞬、無言になりましたが、ここに留まっていてもどうしようもないと腹をくくって、なるべく下を見ないように、前だけを見て、1歩1歩が、安全な場所に近づいているんだと自分に言い聞かせて渡り切ったのでした。

渡り終えて、みんなで「がんばった。怖かった。でも、がんばったね」と口々にホッとした気持ちを分かち合いました。

今でこそ、「映画の『スタンド・バイ・ミー』みたいに、私は線路を歩いたことがあるのよ」って笑えますが、その時は、とても笑えませんでしたよ





さて。余談はこれくらいにして。
(余談だったのか?!というツッコミは、勘弁してください…)


今日のタイトルの「Born This Way」ですが、知る人ぞ知る、Lady GaGaの歌のタイトルですね。

直訳すれば「こんなふうに生まれた」ですし、意訳すれば「これが私」みたいな感じ?
もっともっとすっごく意訳すれば、「これが私よ、文句ある?」みたいな
たぶん、これくらい迫力ある感じで訳してもいいような気がする


今回は、数年前の7月の始めに、私が、とある場所で経験した、私自身の世界を根底から覆すかのような出来事に出逢ったエピソードを、少し文章にしてみたいと思います。




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magokoroclinic at 04:50|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 「こころ」の話 

2012年07月18日

デイケア『私の取扱説明書を作ろう』休止についてのお知らせ

こんにちは。カウンセラーの大久保です。

第2・第4金曜日に行われておりましたデイケアプログラム『私の取扱説明書を作ろう』を、諸事情のため、休止することになりました。

残念ではあります。
再始動のめどは、今のところ立っておりません。

少しずつ、皆様と何かを積み重ねていけたらと思っておりましたが、
積み重ねる以前の部分で、もっと必要なものがあったのかもしれないと、はがゆく思っております。

いろいろな期待を寄せてくださっていた皆様もいらっしゃると思います。
ご期待に添えず、本当に申し訳ありません。

プログラムの中で聴き足りなかったことなどありましたら、デイケアスタッフまでお伝えくださいね。


本当に、申し訳ありません…。



magokoroclinic at 12:47|PermalinkComments(0)TrackBack(0) デイケアプログラム 

2012年07月17日

14日(土)はお休みをいただいて申し訳ありませんでした。

こんにちは。
カウンセラーの大久保です。

凄まじい集中豪雨があったかと思うと、今度は猛暑日(35℃以上の暑さ)が、日本全国を襲っております
皆様、大丈夫ですか?
睡眠を十分にとったり、冷たいものを食べ過ぎたりしないで、リラックスの時間をたくさん持ってくださいね。


さて、14日(土)は本来、大久保の勤務日なはずなのですが、
終日お休みをいただくことになり、大変申し訳ありませんでした
最近、定期的にお会いできている方が非常に増えてきたので、そのリズムを崩したくなかったのですが、
どうしても参加しておきたい日本臨床心理士会の定例研修会が北陸であり、帰省も兼ねて行ってまいりました。
(気を遣う立場での帰省でしたので、私以外の家族はのびのびでも、私はちょっとぐったり…かな


「被害者支援」がテーマで、その中でも「グリーフケア(悲しみや喪失についてのケア)」の分科会に出ていたのですが、同じ臨床心理士同士で、ちょっとしたワークが行われました。

同じ文章を読み、同じ状況を理解していても、たった5人のグループの中なのに、各人が大事にする価値観というのは全く違うということに、参加者全員が、もう、ビックリ
他のグループからも驚きの声が上がっていたので、おそらく、結果は同じだったのでしょう。

非常に面白い講師の先生でもっとお話をうかがいたかったのですが、
これだけは繰り返し、強く訴えられていらっしゃいました。

カウンセラーが、自分の中にどういう価値観を持っているか、どういう人が苦手で、どういう場面になると逃げたくなるのか、それに気づくことが大事だと。

そうしないと、せっかく、だんだん関係性ができてきて、「実は、こういう思いを持っていて…」と被害者の方が話し出された時に、受けとめきれないカウンセラーは逃げてしまうこともよくあるのだと、その講師の先生はおっしゃってました。

そうなると、被害者の方は、二次被害(大切な人やものを亡くした上に、自分の中に密かに抱いていた気持ちを否定された悲しみを抱くことになる)を受けてしまいます。
二次被害をうけると、「もういい。二度と他人には話さない」と心の奥深くに鍵をかけて、痛みや苦しみ、悲しみを閉じ込めてしまわれるのです。

1年経ったら忘れられる、5年経ったから、10年経ったから…そんなたやすいものではない。
誰かの命や、大切なもの、思い出のものが失われるということは、心の奥深いところに、傷と、ぽっかり空いた寂しさの空洞を作るのです。

それが消えることは、まず、ない、と講師の先生はおっしゃってました。
回復という言葉が当てはまるかどうか、怪しいと思うと。

でも、いつか、その傷とうまく付き合える時期が来る(注:『付き合い方』ではないそうです)と信じて、
グリーフケアに当たっていこう、その際には、カウンセラーの無神経な「根ほり葉ほり訊く」というやり方での二次被害、三次被害を、できうるだけ減らしましょう…という研修でした。

また、生き残ってしまった遺族の方の深い悲しみと共に、根深く残る罪悪感にも気を付けていかないと、せっかく元気に生き残った方が、今度はこころの病に倒れてしまうということも珍しくないのだそうです。


決めつけてしまわないで、じっくり話を聴くこと。
そうすることで、他の誰でもない、「自分自身のことを分かってもらう」…。

その時の気持ちがどんなに醜い気持ちでも、ありのままでいることが一番だと思うんだけど。
…どうかな?

本当にダメなことは止める。
でも、そこまで追い詰められた気持ちは、大事にしたいんだよなぁ…と思うのでした。

そのことが、誰かののこころを、再度「復興」していく鍵なのかもしれませんね。。




magokoroclinic at 06:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ちょっとしたお話