さて皆さん、蚊はおしっこをするでしょうか?上の写真ははまだら蚊(マラリアを媒介する蚊のなかま)です。ある学会のホームページから借りてきましたが、貴重な写真で、蚊が人の血を吸いながら、おしっこをしています。説明によると,沢山血を吸ったら重くて飛べなくなることと、体液の電解質や浸透圧を調整しないと蚊が死ぬため腎臓に相当する管の中で、能動輸送によりNa, k, clなどの電解質を排出しているそうで、それを司るDNAの部分まで分かっているそうです(2011年、この話は、ヒトスジマ蚊デング熱を媒介する蚊で論文がでていました)。ちなみに、蚊は人の血を吸う前に、唾液腺から唾液を出して、これが麻酔の作用をします。また、人間の血小板が固まるのを押さえる働きも有り、アジャン(先生)の説明によると、「これがないと,口の先についているproboscis吻(針の様なくちばし)がつまってしまい、次から吸血出来なくなる」とのこと。この唾液のなかに、デング熱のウイルスやマラリアの寄生虫protozoaが生きており、感染します。
今日は、蚤、ダニ、シラミ、小さな虫たちで人の血を吸うものを習いました。実習では、標本の虫たちを詳細に観察しましたが、アジャン(先生)がすごく喜んで教えてくれたのが次の写真です。
ベッドやカーペットの中に隠れている、ゴキブリに近い虫ですが、頭の部分がはっきりしているのでゴキブリとは区別され、"bed bug"と命名され、世界中のあらゆる所にいるそうで、貴方の家にもいるかもしれません。スーツケースに隠れて、どこへでも飛行機に乗って行くそうです。最初の写真はオスの全体像ですが、明らかに蚤のようですが、後ろ足が蚤の様に発達(飛ぶために太い)しておらず、のみfleaではなくbug: Heteroptera に属して、アメンボに近いものです。次の写真は、しっぽのように横に飛び出したオスのペニス、紳士としてはメスの写真は出せませんが、アジャンは顕微鏡の焦点を合わせてくれました。
午後は、隣にある王立小児科病院へ行って、タイで大変な猛威をふるっているデング熱の患者さん、7才と3才の女の子を見に行ってきました。例年今頃はたくさんの患者さんがいて、大流行の時など、一日に500人の患者が押し寄せるとのこと。そんな時は学校休みで、医者が足りずに、医学部の学生が外来、研修医は病棟、シニアドクターが集中治療室に分かれて手当をしていたとのこと。蚊のおしっこまで研究するのに研究費が投資されるのは、毎年世界中で2万人がデング熱で死亡するので、何とか蚊だけを駆除する方法を探すため(自然界への影響を少しでも抑え)、蚊の生体を詳しく研究しているためです。
次の試験まであと5日、勉強範囲が広くて困っていますが、今回は主に蚊とか蚤、動物などによって媒介される病気がほとんどです。上の質問は試験には出ないでしょう。
よっしー