3回目の研修旅行はUbol Rachatani,上等なバスでしたが、満席で10時間走ってたどりつきました。
よっしーです。
先週は、Ubol rachataniというカンボジアとの国境地区にある中央病院に行ってきました。バスで10時間、高速道路を突っ走って長旅でした。
途上、カンボジアに支配されていた頃の、宗教的な遺跡Phnom Rung Historical Parkに立ち寄り、観光地化されていない古いお寺を見ることができました。10世紀から13世紀までの建造物です。古代から、天文学は、歴を作るために必要で、太陽、月の観測が農業の種まきなどの時期を知る大きな役目を持っています。石を積み上げて出来ているお寺の中心には、一直線に伸びた廊下が有り、年に一回だけ、太陽がまっすぐにここを通して見られるそうです。この日を、太陽歴の一年を計算する時に使うのでしょう。
太陽光が貫ける回廊
訪れた町は、Ubol rachataniの中心病院、1000のベッドが有りますが、稼働率は130%ということで、廊下や階段室までストレッチャーに乗った患者さんがあふれていました。地方では、各村の中心にクリニックが有り、そこには保健師さんが居ます。そこで扱えない人は、更に医師のいる地方病院に行きますが、重傷になると、この県庁所在地の病院へ移送されます。NICU新生児集中治療室の風景を見てもらうと、日本とあまり変わりませんし、先生方は、英語で最先端の勉強をしてきた人たち。看護婦さんもレベルが高いと思われましたが、患者さんが多すぎて、とても大変そうでした。病院不足、そこが一番の問題かもしれません。
未熟児集中治療室、ベッド数が10ほどありました。
この病院ではマラリア、デング熱はもちろん多いそうですが、交通事故も多いそうです。病院の手術件数のなかで一番多いのが、事故と帝王切開だそうです。癌の患者さんも多く、抗がん剤治療や放射線治療を行っていると言いますが,手術はそれほど多くないようです。
この場所で肺炎の一番の原因になる菌は、Melioidosis日本語では類鼻疽です。地中、水の中に常在し、東南アジアには多く、アフリカ、オーストラリア北部にも多い菌です。日本では聞いたこともありません。農業などで土と接触する機会の多い職業の人に見られますが、土煙を吸い込んだり、けがの傷から進入し、全身の臓器に感染して死亡率も高い怖い病気です。ベトナム戦争の時、米軍のヘリコプターが土埃を巻き上げ、それを吸い込んだ兵士たちが大勢この病原菌で死んでいます。アジアを代表する怖い病気の一つです。土に汚れた場所で怪我をしたら、すぐにきれいな水で洗い、イソジンで消毒しましょう。怪我の基本処置ですね、これを怠るだけで死ぬ病気が世界中にはいっぱい有り、破傷風もその代表です。類鼻疽にはワクチンがありませんが、早期に診断すれば抗生物質が良く効きます。破傷風にはワクチンが有り、日本人やタイ人は全員ワクチンを子供の頃に受けていますが、もっと貧しい途上国の子供たちは受けていない子が多く、単純な怪我だけで命を落としてしまいます。アフリカの超貧しい国では、ほとんどの人がワクチンを受けておらず、母親が破傷風のワクチンを受けていないと、生まれた赤ちゃんがへその緒を切るときに感染し、死んでしまいます。破傷風での死亡者の半数は新生児だそうです。へその緒を切るための清潔なナイフさえ無い世界がまだあるのです。