September 19, 2006

14%の貧困層の捉え方

05f54c1b.jpg【吉田繁治 】メルマガ ビジネス知識源2006.9.6

吉田氏の有料メルマガです。 週1回の発行で、月630円ですが、その価値はあると思います。 マクロ的な内容を、非常にわかりやすく説明してくれます。 その分、展開が極端なこともありますが、本質は外していないと思います。

9月6日号は、最近の景気回復の特徴が、以前のものと大きく違う点を挙げています。
・企業の経常利益合計が劇的に増えた(2001年28兆円 ⇒ 2005年52兆円)
・しかし、平均賃金は増えていない(名目賃金指数 2001年を100 ⇒ 2005年95.5)
・雇用形態において正社員数が減っている(2001年3640万人 ⇒ 2006年直近3440万人)
・全製造業の海外生産比率が上昇(2000年13.4% ⇒ 2005年20%を越える、推定)

・景気回復の牽引だった輸出産業は、海外生産比率を上げ、業績を伸ばすが、国内正社員はほとんど増やしていない
・他産業でも業績が拡大しても、正社員を拡大せず、パートアルバイトで対応する傾向 (2001年1360万人 ⇒ 2006年直近1663万人)
・ゆえに、全体として賃金が増えない

・マクロ数字は拡大しても、個人世帯の所得環境は良くなっていない景気回復

と結論付けています。

また、上記の影響がどこまでかわからないが、数字として低所得者の割合が増え、貧困層の相対的な割合の高さが問題になるようになったと述べています。 総務省調査によると、総世帯数4800万のうち、
・500万世帯が年収200万未満
・1900万世帯が年収500万未満
となり、合計2400万、つまり総世帯数の半分は500万以下で、準貧困層以下だと。

(夫婦二人で年収400万でも地方では充分という考え方もありますし、子供二人いて都市で年収600万では大変という考え方もありますが、統計的にはバサッと、500万以下で切るみたいです)

この準貧困層は、
・その半分強が、60歳以上のいわゆる無職&年金層
・そして、残りの半分が有職の、低所得層
に分けられ、社会的な問題は、この後者の低所得層。 特に世帯主40歳以上60歳未満の12%(総世帯数の12%=580万世帯)は、無視できない。
また、若い世帯主の場合も、年齢が上がるにつれ、所得も上がるので一般的には問題ないが、正社員でない場合、この層から抜け出せず、潜在問題層が百万の単位でいるか?

高齢者の無職&年金層も、約200万世帯は年金が200万以下で、フロー的には厳しい状態。

このように見ると、単純に、4800万世帯のうち、680万世帯(=14%、今後拡大の可能性大)は、フロー的に苦しいわけで、この数字を社会的にどう捉えるかが、政治の大事なところだと思う。

maigc_logic at 01:29│Comments(0)TrackBack(0) 書籍、論文批評 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔