障害者の息子   < 40 >

   

    (15) 女としてのお仕事

   女としてお勤めをして、早くも3か月を過ぎました。

 施設では、以前男性としてお勤めをしていた時とちっとも変わりません。変ったことと

 言えば、事務服が男性用から女性用の事務服に変ったぐらいです。

 女物の事務服は上衣が薄い紺色のベストで、白いブラウスを着ています。冬はそれに

 やはり紺の上衣を身に着けます。下は紺色のスカートです。

 以前から私のお仕事は、午前中は経理の川本さんのお手伝いをしまして、午後は施設の

 見回りをして、切れた電球などを取り換えたりして、それが終わると後は施設にいらっ     

 しゃるお子さんたちのお母さん達とコミニケーションを図ることでした。

 

  朝出勤をしますと、おトイレで女性の事務服にお着換えをいたします。

 まだ小さいながら男性器が付いておりますので、女子用の更衣室は使うことが出来ま

 せん。男性は施設長さんと2人だけなので、男性用の更衣室はありません。

 パートさんの中には、私を女性として認めてくれているのでしょうか、「更衣室を使っ

 てもいいわよ・・・」と言って下さる方もいますが、私は波風は立てたくはありませ

 んので、「ありがとうございます」とだけ言っております。

 

  午前中は川本さんのお手伝いの伝表などの整理をしまして、お昼休みのちょっと

 前におトイレで今度は男物の作業衣に着替えます。

 そして、施設内の壊れたり、電球を取り換えたりするのです。草取りをすることも

 あります。

 別に男の作業衣に着替えなくとも修繕ぐらいは出来るかと思いますが、ベストにスカ

 -トではそう云う作業に不向きなのです。

 約2時間から3時間ぐらいは男に戻ってお仕事をします。

 それから又、女性の姿に戻って、お母さん達の相談のお相手をして、報告書を作成

 するのです。

 これが大体の私のお仕事なのです。

 

  施設にいる子供さん達も、父兄さん達も、最初は戸惑った見たいです。

 ある日突然に、私が女の姿で面会をしましたので、吃驚されたことだと思うのです。

 「息子の為に、女になりました」

 私がお話をすると、大概は判ってくれたよです。そして容認してくれました。

 中には、「息子さんのオンナになったの・・・?」とあけすけに聞いてくるお母さん

 もおりましたが、「ええ・・・まあ・・・」と言葉を濁しますと、「大変だわね。頑

 張って・・・ね」等と言われたこともございます。

 そのお母さん達も息子さんや娘さんの性の問題を抱えているのだと思うと、噂話は

 控えてくれることでしょう・・・(続く)