2002年01月29日

コフィディスのベルギー人ニコ・マッタン。特に痛みや自覚症状もないのに、4年前、彼は自分に心臓疾患があることを知った。1998年、半年間競技生活から遠ざかった末、彼は再びサドルにまたがることを決意した。自転車はそれまで15年間、情熱を傾けてきた競技だったから。でも、心臓自体の変形が原因だったため、疾患はなおったわけではなく、今も死の危険と隣り合わせであることに変わりはない。時々、彼の近親者はマッタンに聞くことがある。「どうしたら、そんなに強い意志を保ち続けられるのか?」。マッタンの答えは乱れることがない。平常心でこう答える。「毎日が、運命と死に対する勝利の連続なんだ。」と。

レースの個人タイムトライアルで、心拍数が
200を超えても、彼は死を恐れない。けれど、逆に、何時間も何時間も、たったひとりでトレーニングしている時、彼の心は恐ろしい想像に包まれてしまうことがある。このまま、心臓が鼓動を止め、路上でたったひとり出口のない闇の中へと引きずり込まれて息絶えるのではないか、と。でも、サポーターたちが、故郷フランドルのロードにマッタンの名を白いチョークで刻む時、希望に満ちた生という名の未来へと、力いっぱい彼の背中を押してくれるのだ。

 

上記は、Velo Magazine20017月号からの抜粋です。この号では、ツールで期待されるライダーたちを何人かクローズアップする記事が掲載されていて、なかなか読み応えがありました。