2002年03月18日

すでにインプット済の通り、昨年UCPのツールメンバーからはずされたセドリック・ヴァスールは、ツール開始前に、USPは自分をないがしろにした、ツールに選出されなかったのは不当、と弾劾する記者会見を勝手に開いた。批判の矛先は、ランスが以前賞金を分けなかったことや、ランスが雇ったボディガードにも及び、ファンとの接触という伝統をないがしろにしている、とまで述べた。

いざツールが始まると、グランデパールのダンケルクがヴァスールの故郷に近かったせいもあり、アンチ・ランスが一気に噴出。どうやら先の弾劾が一気にフランス人ファンのUSPに対する敵対心をあおったようだ。ツール初日プロローグの会場は一時騒然となったほど。

ヴァスールが行ったこのランス批判、ランス自身は、あっさりと受け流すかとも思われたが、
Cyclingnewsの電話インタビューで、反論を行った。ヴァスールの言ったことは、随分腹に据えかねたと思われる。特に、下記の点は興味深い。もしそれが本当なら、ランスが黙っていられなかったのがよくわかる。


ランス「ヴァスールが、僕が雇ったボディーガードの件で、
USPや僕を批判をしたのは、実に皮肉なことだ。(注:ボディガードなんかつけて、ファンと距離をおくのは、ヨーロッパのレース精神では考えられない、といったヴァスールの批判を指す。)というのも、ヴァスールこそが、ボディガードをつけなくてはならなかった要因なんだよ。彼がフランスのファンに、USPのことを弾劾したばかりに、我々は、電話、ファックス、Emailでフランス人のファンから様々な脅しを受けるはめになった。「アームストロングにはプロローグを完走させない」とかいった脅しをね。だから、家族や自分らを守るためにボディガードの措置を考えたんだ。あれしか手立てはなかった」と。


ジローナ(スペイン)に住むランスとの電話インタビューの抜粋は下記。(注:彼はフランスのマスコミがドーピング疑惑などで騒ぐため、ニースの自宅を引き払い、スペインに移住した。):

 

ランスが強調したのは、「(ヴァスールが指摘していた)ツール2000での賞金の分け前については、実際はヴァスールにもシェアが払われている。ツールの慣習からいうと、例えば、インデュラインやレモンの場合は、ツールで勝っても 自分で賞金はとらなかった。この慣習に僕も敬意を表しているから、賞金を選手たちに分け、スタッフにも多少分け前が行くようにした。更に、僕はポケットマネーから、選手たちのために追加で支払ったんだ。これは前例がないことだと思う。だから、ヴァスールが僕のことをケチと呼んだこと、これは許しがたいし、僕は傷ついた。」

また、ツール2001に選出されなかったことについて、ヴァスールに対し 理由が明らかにされなかったことについては、「ツールを勝つために、一番強い布陣を引いたらこうなったということだ。22人選手がいて、うち13人は出られなかったんだよ。セドリックはフランス人だから、ひどくがっかりした。しかも、スタートのダンケルクは彼の故郷のそばで、もう二度とそんな近くでスタートするなんていうチャンスがないだろうからね。でも、誰でも連れて行くというわけには行かない。」

「ツール出場選手の選出は僕がやっていると思っているらしいが、僕はライダーで、ボスではない。無論、僕はアドバイスはするけど、最終判断は僕の仕事ではない。ヴァスールは、僕の個人的な悪意のようにとっているが、そうではない。彼はチームにとっては重要な人物として迎え入れられたし、給料も十分に支払われていた。彼には期待にこたえてくれるよう、みんな望んでいた。但し、彼の出身地がダンケルクに近いからという理由だけで、ツールメンバーに入れるわけにはいかないんだ。」

また、ブリュイネール監督も、スペインのオフィスからこの件についてコメントを寄せた。「実際ツールの候補選手は11人いた。この中から9人が実際に最終メンバーになり、ヴァスールとホワイトは居残り組みになった。難しい決断だったよ。フランスでは、僕がルビエラを選んでヴァスールを落としたことに批判が相次いだ。というのも、ルビエラは怪我で、1ヶ月レースから遠ざかっていた。でもドクター判断で、ツールの前半おとなしくしていれば、後半には上向きになるだろうとわかっていた。実際ルビエラは前半15分ロスしたが、後半頑張ったよ。」

また、ヴァスールが、ツール2001開始前に、ツールプレスセンターでUSPの批判会見を単独で行ったことについては、驚いたと述べた。ツール2000の賞金をもらえなかったという発言に対しては、「彼は、賞金を受け取っている。ランスは、賞金の全てプラス自分のポケットマネーを賞金基金に払った。そして、ヴァスールら選手には、シーズン最後に、この賞金基金からそれぞれ支払いが行われている。」と。

USPチームとしては、ヴァスールがツール2001直前に勝手に開いたUSP弾劾記者会見だけでもヴァスールの「ファール行為」だったのに、更に今、ランス批判まで展開されて、黙ってはいられなかった、そんな印象を受けた今回のインタビューだった。