2009年08月25日

今週の六十余州 その56「63. 肥前 長嵜 稲佐山」

63図 肥前国は九州西北部に位置し、長崎、佐賀の二県を領し、また前海という筑紫海は一大内海となって、肥前、肥後、筑後の三国に深く接入している。
 稲佐は長崎浦上渕村といわれ、森崎大波戸の真西にあたるところで、西に稲佐山、東南に港湾をいだく。長崎中の小長崎と異名があり、繁華の街として船主海客の泊まる地として知られる。

 稲佐山は「世に聞こえし高き兀山にて」(長崎案内)とあるので、図中「宝山」と記す中央の山がそれと思われる。
 (この図には山の名前が書かれており、向かって左奥が「漁渚山」、右奥が「苗神根山」。宝山の右手前の小さな丘は「亀山」と記されている。)
 稲佐山上は「常に煙雲軽飛し、奇峻雄秀にして」(地名考)とあり、このような表現が、すやり霞を入れた理由でもあろう。山下は岸が廻り、渚も入りくみ、四時の変態極まりないともある。崎陽第一の勝景の地である。
 前方にはらませた帆と波のうねるさまを描きこみ、近景、中景、遠景の画法を巧みに描出してまとめている。ちなみに鳥居は村の西北に渕神社があるというのでこれを示したものであろう。


歌川広重「六十余州名所図会」完全復刻版 別冊解説書より
mainichi_art at 11:04│Comments(0)TrackBack(0)今週の六十余州 

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