2008年01月09日

寝ながら学べる構造主義

<本日の1冊>
■ブックデータ
・書名:『寝ながら学べる構造主義』
・著者:内田樹
・出版社:文芸春秋
・ISBN:4-16-660251-9
・価格:¥690
・初版発行日:2002年6月20日
・アマゾン:寝ながら学べる構造主義

■著者紹介
内田 樹(うちだ たつる)

1950年東京生まれ。東京大学文学部卒。東京都立大学大学院人文科学研究科
博士課程中退。同大学助手を経て、現在、神戸女学院大学文学部総合文化学科
教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。
著書に『映画は死んだ』(共著)、『現代思想のパフォーマンス』(共著)、
『ためらいの論理学』、『レヴィナスと愛の現象学』、『「おじさん」的思考』
訳書にエマニュエル・レヴィナス『困難な自由』他。

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<ブックレビュー>

構造主義って何じゃらほい、と思って読んだ本です。
ちょっと長めですが、引用してみます。

>>
 構造主義とは、ひとことで言ってしまえば、次のような考え方のことです。
 私たちはつねにある時代、ある地域、ある社会集団に属しており、その条件が私
たちのものの見方、感じ方、考え方を基本的なところで決定している。だから、私
たちは自分が思っているほど、自由に、あるいは主体的にものを見ているわけでは
ない。むしろ私たちは、ほとんどの場合、自分の属する社会集団が受け容れたもの
だけを選択的に「見せられ」「感じさせられ」「考えさせられている」。そして自
分の属する社会集団が無意識に排除してしまったものは、そもそも私たちの視野に
入ることがなく、それゆえ、私たちの感受性に触れることも、私たちの思索の主題
となることもない。
 私たちは自分では判断や行動の「自立的な主体」であると信じているけれども、
実は、その自由や自立性はかなり限定的なものである、という事実を徹底的に掘り
下げたことが構造主義という方法の功績なのです。(P.25)
<<

この本は、構造主義以前の「地ならし」を行った
マルクス、フロイト、ニーチェの功績をまず解説し、
構造主義の「始祖」であるソシュール、そしてその「四銃士」と言える
レヴィ=ストロース、バルト、ラカン、フーコーたちの仕事を
それぞれダイジェストで紹介することで、「構造主義とは何ぞや?」
という命題に迫る「構造」でできています。

「まえがき」にもあるように、
本書は入門者のために平易に書かれた解説書です。
本気で哲学をやってる人には物足りないかもしれません。
ですが、なんとなく「ざっくりとつかみたい」人にはうってつけです。

どうやら今を生きるの私たちの「考え方」は、自覚していようがしていまいが
ほぼ構造主義の影響下にあるような雲行きで、
では、それがどういう風に私たちの考え方に影響しているのか、
ということを解説することがこの本のキモなようです。

内田氏はこの本の発行当時(今もかな?)「meets」という
関西のリージョナル誌に連載を持っていて、
その言説を見てこの本を読んでみたのですが、
実は、当時の私にはそれほどピンと来ませんでした。

で、最近読み直してみたんですけどね。
なんとなんと、昔ピンとこなかった、
彼の(いや、構造主義者たちの)言ってることが
スルスルと脳に届くのです。あら、面白い。

その件についても、ロラン・バルトの章で、見事に解説してありました。

>>
例えば、非常にインパクトの強い本の場合、最後まで読み終えたあと、そのまま間
をおかずにもう一度はじめから読み直すことがあります。そして、その二度目に、
私たちは一度目には気づかずに読み飛ばしていた「意味」を発見することがありま
す。なぜ、最初は見落としたこの「意味」を私は発見できるようになったのでしょ
う。それは、その本を一度最後まで読んだせいで、私のものの見方に微妙な変化が
生じたからです。つまり、その本から新しい「意味」を読み出すことのできる「読
める主体」へと私を形成したのは、テクストを読む経験そのものだったのです。
(P.126)
<<

なのだそうです。たまには二度読むのも大事ですね。
こんな感じで脳の風通しが良くなる気がするので
「何故、私はこんな風に考えてしまっているのだろ」
などと、ぐるぐるになってしまった時に読むのも良いかもしれません。

そして、あとがきにあるこの言葉、

>>
レヴィ=ストロースは要するに「みんな仲良くしようね」といっており、バルトは
「ことばづかいで人は決まる」と言っており、ラカンは「大人になれよ」と言って
おり、フーコーは「私はバカが嫌いだ」と言っているのでした。(P.200)
<<

「四銃士」の項など、本文内容をきちんと読んでから
もいちど読むと
「ああ、そういうことなのね」
と思います。
たしかに「みんな仲良く」で「バカが嫌いだ」ですわ、そう言ってますわ。

この本は「実用書」ではないけれど、
世界の構造の一部を(なんとなく)把握したような気持ちになれる、
そこまでは行かなくても脳の知的トレーニングはなりそうな、
スッキリできる一冊でした。

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◆そのオビ書かせろ! 〜私なら、オビをこう書きます〜

「脳に風が通ります。」

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◆こんな人に 〜こんな人に読んでほしい、または読まなくていい。
 読んでほしい:「だから結局何なのさ!?」と思っている人。
        全体像をざっくり把握したい人。
 読まなくていい:ダイジェストだけじゃ消化不良を起こす人(→専門書へ)。

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◆本日の格付け
☆☆☆☆★
私は読み返して「おお!」と思った派なので、星4つとさせていただきました。
つまみ食い的にちょいちょい読んでても楽しめる本です。
なんせ「寝ながら学べる」ですもんね。

・アマゾン:寝ながら学べる構造主義

※格付け基準※
☆☆☆☆☆:とりあえず今読んでる本は横に置いてでもコレを!
☆☆☆☆★:買って読んで、そして読み返して!
☆☆☆★★:押さえとくが吉。
☆☆★★★:時間があれば。または立ち読みでもいいんじゃ?
☆★★★★:読まずに死んでも悔いはない。
★★★★★:ある意味、こう、逆に、読むべき本なのかもしれない…。

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■編集後記
占いに行きました。
9月から私の運はどうやら開けてきているらしいのですが、
とにかくいらんモノを捨てろ掃除をせえ、ということでした。
というわけで、かなりのモノを捨てることに。
古本屋に段ボール5箱分を送りつけ、着ない服、
使わない食器、冷凍しっぱなしの肉……。
捨てる雑誌を括って積み上げたら、股下の高さになりましたよ。
全部捨てたら本気でスッキリです。



mainichishohyou at 08:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!☆☆☆☆★