アカデミア（心理学）
March 09, 2009
久方ぶりの「さいころじかる・らぼ」スレ♪。
で、あの、まぁね、科学的に解っちゃったんだから、もうどうしようもないやね（爆）。
…………………………
（産経ニュースより）
『他人の不幸 科学的にも蜜の味』
他人の成功や長所を妬んだり、他人の不幸を喜んだりする感情にかかわる脳内のメカニズムが、放射線医学総合研究所や東京医科歯科大、日本医科大、慶応大の共同研究でわかった。
妬ましい人物に不幸が訪れると、報酬を受けたときの心地よさにかかわる脳の部位が働くという。１３日付の米科学誌「サイエンス」に発表した。
研究チームは、健康な大学生の男女１９人にシナリオを渡して平凡な主人公になりきってもらい、ほかの登場人物に対する脳の反応を磁気共鳴画像装置（fMRI）で調べた。主人公は志望企業に就職できず、賃貸アパートに住みながら中古の自動車を所有するという設定。大企業に就職し、高級外車を乗り回す「妬ましい」人物が登場すると、身体の痛みにかかわる「前部帯状回」という脳の部位が活発化した。自分と同じく平凡な人生を歩んでいる登場人物には、この活性化が見られなかった。
次に「妬ましい」人物を襲った「会社の経営危機」や「自動車のトラブル」などの不幸を示したところ、報酬を受け取ったときの心地よさにかかわる「線条体」が強く反応。この反応は、平凡な友人の不幸では見られなかった。また、妬みの感情が強いほど、不幸が訪れたときの反応が活発だった。
放医研の高橋英彦主任研究員は「線条体はおいしいものを食べたときにも働くことが知られる。他人の不幸は文字通り“蜜の味”のようだ」と話している。
…………………………
実験の内容も内容だが、
>放射線医学総合研究所や東京医科歯科大、日本医科大、慶応大の共同研究で
…あんたら金かけて一体何の研究やってんの？？？
( ￣っ￣)
maison0163 at 02:52│コメント(0)│
March 01, 2008
さて、いろいろとこのスレで心理学小噺をやらかしていますが、一つ書いておきたいことがあります。
ぶっちゃけ、人の心の機能とか内側ってはっきりとは分からないもんです。
確かにいろんな学者やチームが実験なり調査なりをやってきて、これまでここにあげてきた内容を発表してきているのですが、結局これらは「統計値」の形で結果としたものなんですよね。
人のココロを統計値なんかで簡単にまとめあげられたくないのが本音。
そもそも目に見えない、感覚的なものを数値化しようとすることに無理があるんじゃないか？という気になります。行動の性質みたいなものは確かに分析を経て分かるものかもしれません。でも、何をどう感じるかっていうのは個人差があるわけです。個人差は個性と言い直したほうがいいかな？個性というものは、その人その人各々が別個に持ち得る貴重なもの。その個性で何をどう感じどう行動するかを決める、自らの意思や気持ちを大事にしたい。
今になって何故こんな話をするのか？
仕事や私生活、対人関係など、誰かと一緒に渡り合っていくこの世界で、自分にとってうまくいかないことや思うようにいかないことを、さも「それはこういう風になっているのだから仕方ない」と悟ったような気になって、丸投げしてしまうことが実は怖いなぁなんて思うからです。
所詮は統計値なんていうものが編み出した代物。数値は絶対のものという感覚はきっと大多数の方が持っていらっしゃるでしょう。そして、確かに数値化されたものは目に見えて「納得」しやすいものです。この「納得」をする状況が問題じゃないか、と。
更に努力するなり、汗を流すなり、持てる力を出すに出しまくって、励むことにまだまだ余地が残されていそうなものにまで、「あ、これはこうだから」と割り切ってしまい、何もしなくなるっていうのはいただけません。
せいぜい、考えるにも値しないようなくだらないことで怒りを覚えたり、感情が沸騰する熱湯のごとくムラムラきて、どうにも自分の感情のコントロールがきかなくなった時にだけ、「あ、これはこうなんだ」っていう感じで利用するのがベターだと思います。
時には反省し、自分の言動を振り返ってみる。そして失敗したことがあれば、それを繰り返さないように／せめてもっといい（マシ？）な結果にもっていくことが出来るように学習する。そういう意味合いでの「自己否定」って大事なもんです。そうでなきゃ傲慢になってしまう。傲慢と前向きな姿勢っていうのは紙一重なのだから。そして、謙虚さと前向きな姿勢とは決してアンチテーゼな関係じゃない。
個性を大事にしつつ、エゴを楽しみつつ、そして謙虚さも忘れずに、感謝の気持ちを常に持ちながら、のびのび気楽にいこうじゃないですか。統計値の結果なんてものは、ほんの時々だけの隠れ蓑程度にしておいたほうが良さげですよ。
(｡･ω･)ﾉﾞ
maison0163 at 07:01│コメント(0)│
December 23, 2007
今回のTOP画はハル・ベリー。だからと言って本題とは関係ございませんｗ。…………………………
１）吊橋の実験
デートスポットとしては既に定番化している鼠王国とUSJ。だって楽しく過ごせますもんね。ありきたりなどと馬鹿にはしないでくださいね。特に恋愛初期とか友達以上恋人未満なんて言う状態の時には、二人の仲にいい影響をもたらすと言われているんですから。
このことって、「情緒の二要因説」（「生理−認知要因説」）なるもので説明が出来るとのことです。これを唱えるのはカナダの心理学者ダットン、アロン御両名。
これ、男性の視点からものを言っているようなんですが…。
「恋心は『生理的興奮』と、目の前にいる女性が魅力的なので自分が好意を持っていると言う考え（『認知』）の２つによって決まる。」
と言うものです。この実証実験として、ダットンらはカナダはバンクーバーの渓谷、キャピラノ川にかかるキャピラノ大吊橋にてこんなことをやりました。
大きく揺れる吊橋の中央で、一人で渡ってくる若い男性を見た目の可愛らしい女子大生が待っています。その男性が被験者となりました。彼が橋の中央まで来ると、その女子大生が声をかけます。
「すみません、今、心理学の研究で環境と創造性のリサーチをしているのですが、ご協力いただけませんか？」
たいていの男性がＯＫしましたｗ。
彼女はそこで一枚の絵を男性に見せます。そこには頭を手で押さえ、嘆いているように見える一人の女性の絵でした。男性にはその絵を元に創作文を書いてもらいます。終わると、
「実験の詳しいことをお知りになりたい時にはここに電話してください。」
と、彼女の自宅の電話番号を渡します（今ならこんなにイージーに電話番号を見知らぬ人物に教えるなんてことしませんってｗ。なのでこの話は一昔前のことだったのでしょうね）。
これで実験は終了。
後で彼女のところに何人の男性が電話をしてくるか？、恋心の指標としたわけです。そして同じ実験を、吊橋ではなくしっかりと固定された橋でも行ったのですが、結果電話をしてきた男性の数は、同じ女子大生だったにもかかわらず、吊橋のときよりもかなり少なかったんだそうです。
この差はなぜ生じたのか？
「吊橋の興奮が恋心に変わったからだ」と言う結論に至りました。
ａ）生理的興奮→行為増大→恋心→電話をかける （吊橋）
ｂ）生理的興奮無し→通常の行為→電話をかけない （固定橋）
ｃ）吊橋の上の男性は、吊橋の揺れによる興奮が目の前の可愛い女子大生への興奮と思い、恋心を高めた。
ｄ）創作された文章は、吊橋での実験の方が固定橋より性的なイメージがより高く含まれていた。
★ａ）〜ｄ）の点より、「情緒はその時の生理的興奮状態と状況認知で決まる。」
…僕には何となく強引な実験に思えてならないんですけどね。結論そのものには納得いきますから、まぁいいやｗ。
２）大切な人と会う時には、場所選びが大事！！
女性は大方、デートの当日のロマンチックな感情に憧れるもの。で、男性はそのためにそんな雰囲気に浸れるようなデートコースを考えたりします。今どきなんか、ね。前々から用意周到（！）に準備しておいたクリスマス・デートコースが成功か失敗か、その効果を表しつつあるんぢゃないでせうか？
世の男性がんばれ〜！俺は仕事だ〜！
( ´_ゝ`)ノ
…ところで、その場の雰囲気がよければ二人の気持ちも盛り上がり、行為…もとい（核爆！）、好意も増すことになるのは何故なのでしょうね？
心理学者グリフィットは、これを「フィーリンググッド効果」によるものだと言っています。
「良い感情はその場を同じ雰囲気で包み、対人関係にも良い感情を生む。」
つまりは好意を生むと言うんです。
またまた実験。手短にしまよう。
被験者二人に、ある人が記入した意見調査表を元に、その人の性格を判断するように支持します。そのうち一人は快適な部屋にて、もう一人は高温多湿の不快な部屋で作業してもらいます。
これを５組１０人の被験者で行ったのですが、同じ意見調査表の人に対する性格判断をしたにもかかわらず、環境条件が悪い時は、意見が自分と異なる人には嫌悪感を示しました。そして環境条件がよい時には、自分と意見の異なる人には中立的な反応をしたのです。そして意見が同じ人には高い好意が示されました。
快適な環境では嫌悪感は抑えられ、好意が促進される…フィーリンググッド効果が見られたわけです。
★快適刺激、快適環境のもとでは気分も快。よい気分で人を評価するので、相手に好意を持ちやすくなる。
★不快刺激、不快な環境のもとでは気分も不快。そんな気分で人を評価すると、相手に嫌悪感を持ちやすくなる。
最初のデートは、多少無理をしてでも雰囲気のいいところに行くのが良いわけですね…。
ところで、このことは恋人同士うんぬんだけでなく、良い雰囲気の人には人が集まりやすい、悪い雰囲気・ネガティブな雰囲気の人のところには人が集まりにくい、と言うことの証明にもなるんですよね＾＾。
むすっとしていて、不平不満や人の悪口ばかり口にする人のそばになんかいたくないですもんね〜♪。
maison0163 at 09:22│コメント(0)│
December 16, 2007
あい、来たよぉ。今回のTOP画はペネロペ・クルス。１）見た目の魅力さと好意との密接な関係
あの〜、え〜、何だかんだ奇麗事言ったって、綺麗だったり可愛いコって好きだよね？イケメ〜ンやキュートなメンズって好きよねぇ（何故にオネエ言葉）？それにいくら否定したところで、外見のいい人に憧れるもんねぇ？恋人にはやっぱり外見が綺麗で魅力的な人を望んだりするもんです。
いや、別に卑屈になってるわけじゃないですよ（笑）。でも、そういう心理ってあると思うんですわ。誰にもね。ま、中にはフェチなりマニアな方もいるかと思いますが（爆！！）、それでも好みの違いがあるだけで、彼らにとっての外見的魅力を持つ人も好まれるっていうことも…（←何様だコイツ？！）
で、実は「人は魅力のある外見の人に対して、単に好意を持つわけではない。」と言っている学者がいまして。アメリカの女性心理学者ウォルスターは、
「人は見た目に魅力のある人を確かに求めるのだけれど、しかし自分より美しい人と恋人になったりすると自己評価を低められるために自尊心が傷つく。よって、自分より魅力のある人を敬遠し、恋人には自分と同じくらいの魅力の人を求めることになる。」
と言う仮説をあげました。
何だか…何様？みたいなイメージを持たないでもありませんが… ( -д-)ﾉ。
このウォルスターさん、実証実験のために、大学の新入生を対象にしたCOMによるデートパーティーを開催しました。あらかじめCOMに情報を入力しておくと、主催者側がパーティー当日に、自分にぴったりの異性の相手を紹介するという設定です。
どこぞの結婚相談所の主催するお見合いパーティーと似てますな♪。
で、当日になって、学生は未知の理想の相手を紹介されて、ダンスパーティーが開かれたのでした。休憩時間に学生はそれぞれに、主催者から当の相手への好意がいかほどのものか、そして今後デートしたいかを訊ねられまして…。
この実験、実は理想の相手でも何でもなく、デタラメに男女の学生をその場で会わせただけのものだったんです（これを知って激怒した学生、いたんじゃないかな？特に男子学生あたりに…）。そして裏手で彼らの身体的魅力をチェックしておいたわけです。この辺り、さすがに「ふざけやがって」とめぞん自身も感じたりしちまいましたがね（笑）。
で、この身体的魅力と、学生が答えた相手に対する好意度やデート希望との関係を調べたのです。…やっぱり納得いかないわ。
結果、外見的魅力度と好意度は見事に一致！
ルックスのいい人は好意を持たれ、デートを希望されたのです。
「人は自分の身体的魅力には関係なしで、身体的魅力のある人に好意を持ち、デートしたいと思う。」このことは男性女性、共に顕著に見られたんだそうです。
そして…、ルックスのいい人はそうでない人とのデートをしたいとは言わなかったんだそうです（嘆）。
★好印象を持たれる外見的特徴：
【好まれる顔型】 最も大きな影響力があるのは目。目尻が下がっている顔、目が丸々としている顔は相対的に好まれる割合が高い。口は逆“へ”の字が好まれる。顔の形は大きな影響力はないが、丸型〜四角型〜逆三角形型の順で好まれている。
【体型と性格的特徴】 印象に最も大きく関わっていたのは「横幅×身長」と言う体全体の大きさ。横幅が広く身長が高くなるほど「落ち着いた」印象を与え、横幅が広く丸顔であるほど、「暖かい」印象を与える。
（齋藤、1981）
２）見た目よけりゃ性格もいい？？
人は見かけで判断してはいけないって言いますが、それでもやはり見かけで判断してしまうものなんです。特に初対面の相手の場合。
…だって、初対面の相手なんてどうにも判断する材料がないのだから、性格や知性みたいな内面的な事柄についても、人は外見から判断しようとしてしまうのです！
となると、美人さんや可愛い人、風格のある人やイケメ〜ンは得をしていることになっちゃうんですよね。その外見のよさや身体的魅力から「内面もよい」とされてしまうのですから。
アメリカの心理学者ディオンは次の実験で、
「身体的魅力の威力は子供の性格の判断に大きな影響を与えている。」
ということを証明しました。
被験者は教師になることを希望している大学生。彼らは、「子供の行動について書かれた教師の日誌から、その子供の性格をどのように判断するかという調査です。」と聞かされます。
日誌の内容は、小学校二年生の子供のいたずら行動について。例えば、氷のかけらを入れた雪のボールを作り、それを他の子供にぶつけて、出血するような傷を負わせてしまった、と言った行動が書かれています。そして、書類の上にはいたずらをしたその子供の名前が書いてあり、名前の横に小さな顔写真が貼ってあります。
この用意された写真は二種類。とても可愛らしくて魅力的な子供の顔と、そうでない子供の顔（笑）。
ここがキーポイントとなっているんです。
被験者の学生は、この子供は日常的にどんな態度をとっていると判断できるか？と問われます。その結果、魅力的でない子供（何だかいいのか、こんな言い回しをして？）の写真の場合、日常的にこのような行動を繰り返していて、素質的に反社会的性格を持った子供であるとされました。
で、同じ資料であるにもかかわらず、件のとても可愛らしくて魅力的な（笑）写真の子供のほうは、このいたずらは一時的なもので、素質的に反社会的性格を持っている子供とは考えられないとされてしまったんです。
たとえ悪いことをしても、可愛い子供の性格は悪くない…。そんな判断が下されてしまったんです ( -д-)。
人は「見かけ」が決めちゃうんです…。
★【身体的魅力あり】→【よい性格】→《いたずらなどのマイナス行為》→【よい性格と不一致】→【いたずらは一時的】
★【身体的魅力なし】→【性格不明確】→《マイナス行為》→【性格の明確化】→【性格が悪い】
★【マイナスのルックス】→【悪い性格】→《マイナス行為》→【悪い性格と一致】→【性格が悪い】
…悲しみのゴールデン図式♪。
(´；ω；`)
maison0163 at 19:25│コメント(0)│
November 30, 2007
さてさてさて。忘れた頃にやってきました、最凶スレ（自爆）。最後にやらかしてからおよそ３…４ヶ月近く経ちましたが。ぼちぼち再開しちゃいます♪。今となっては唯一これだけが「似非アカデミア・ブログ」の名残を残す続き物となっておりますが(´−д−；`)。で、今回もまた意味なく扉画にこんなものを持ってきております。えっと…アン・ハサウェイだったっけ？「プラダを着た悪魔」に出演されていた、お目目のでっかい方でございます。
一応、色のないスレなのでせめて綺麗処をｗ。
…………………………
１）好きな人とはうまくいき、嫌いな人とはうまくいかない。
…当たり前だよね、そりゃあ。
人から嫌われたいなんて思う方はいないでしょう？一部の根性曲がりさんぐらい？いや、それでも本心から嫌われたいなんて思う方なんて…ね？また何やかんや言ったって、結局誰からも好かれたいって気持ちはあるでしょう。特に自分が好きな人からはね♪。
ところが、誰からも嫌われていない方なんていません。人を嫌いになりたいなんて心底から思う方もいらっしゃらないでしょう。でもやっぱり、誰にも嫌いな人はいるものです。
この感情がうまくいきさえすれば、要は「好意的人間関係」がうまく築きあげられさえすれば、そりゃあ人生楽しいでしょう。大抵のことなんてうまくいくものです。気持ちさえいいもんです。ハッピーです。そういや芸人のハッピーハッピーは結局、離婚のごたごたを乗り越えてハッピーになれたんでしょうか？でもそんなこと知りません（素）。
( -д-)ﾉ
で、この感情がうまくいかないと、互いに嫌い合ってしまう。こうなるとうまくいくはずのものもいかなくなる。どんなことをしたってグッシャグシャ。
『人は、好意を持っている人に対しては親和的・援助的行動をとり、嫌悪の感情を持っている人に対しては逆に、攻撃的・拒否的・回避的行動が引き起こされやすい。』
そりゃそうだ。こんなにややこしい言い方をしなくたって…。
「好き嫌いに理由なんてない。理由は後からついてくるものだ。」
なんて言い回しがあったりしますが。確かに好きだと言う感情が芽生えると、どこが好きなのか、何が好きなのかなんていっくらでも出てきたりします。で、それは先ず先に「好き」と言う感情があっての話だ、って言うんですよね。で、逆もまた然り。「嫌い」と言う感情が芽生えて、その理由としても次から次とあらゆる罵詈雑言が出てきたり。
ところが心理学的に見ると、好き嫌いの理由と言うものが実はあるんだということになっているんです。
２）好き嫌いを決める要因５つ
じゃあ、どんな時に人は相手に対し好意を抱いたり、嫌悪感を持ったりするのか？、と。これについては対人心理学の分野では次の５要因を挙げているんです。
Ａ：相手要因（他者の特性）
要は、相手が自分にとって魅力的だと感じたら、そこで好意が生まれたりするものです。自分達が好意を感じるような魅力を相手が持っている場合。そこには「見た目・外見」も十分に入ってきます。また、相手が優しいと言った、望ましい性格の特性があれば、そこで好意が芽生えたりします。
【好まれる性格、身体的魅力、同一視的（尊敬的）特性、欲求充足的特性】
Ｂ：自己要因（自己の固有特性・心理状態・行動特徴）
自身が持っている性格の特性、自身がおかれた状態、または自分の興奮の度合いのような、自分の状態や特性が相手への好意に影響を与える場合。例えば自分自身が興奮状態の時、美人なりイケメ〜ンなりがちかくにいると、その相手に対して好意を抱いていると思い込んでしまうと言うんです(=ﾟωﾟ)人(ﾟωﾟ=)。また誰か他の人に恩恵を施すことでその人に好意を持ったり、逆に相手に害を与えることによりその人を嫌いになることがあるんです。
【低・自己評価、高・自己評価、性格、感覚的快感状態、生理的興奮状態、自己評価の低い時】
Ｃ：お互いの要因（相互的特性関係）
二人の間での態度が一致していたり、好みが一緒だったり、性格が一致していると行為が芽生え安いと言います。まぁ、僕的に言わせれば違うもの同士の性格が一致していることなんてあり得ないので、互いに共通点があったり、それが多かったりしたときに好意が芽生えやすいと言い換えさせていただきます。
【態度の類似性（性格）、身体的魅力度のマッチング、性格の相互補完性】
Ｄ：相互作用
二人が一緒にいる回数が増えれば、それだけで好意が増すと言われています。相手から褒められれば好意が生まれたりすると言います。もちろん嫌い合っている二人が一緒にいる回数が増えてくると…あれ？どうなるんだろう。単純に嫌いな感じが増幅されるかと思いきや、そうも言い切れないようです(((( ;ﾟдﾟ)))。
【単なる接触の効果、好意的評価、非言語的好意的身体動作、同一行動選択（同伴）、援助・欲求充足的行動、自己の援助行動、一体感獲得状況（恐怖・喜び）】
Ｅ：環境的要因
物理的、地理的環境が対人好意を決める要因となります。雰囲気のよい場所では好意が生まれやすいのがそれ（逆もまた然り）。また遠くにいる人よりも近くにいる人ほど仲良くなりやすいとも言います。遠距離恋愛が難しいのは実はこれが原因でしょ( -д-)ﾉ？
【低人口密度、快適気温、よい景観、静寂、物理的接近性、災害。獲得困難度】
てなわけで、人から好かれる心理学的アプローチってことで関心のある方はお試し下さい。ただこれはあくまでも一般的な話なので、このまんま誰にでもやらかして好意を得るなんて言うと、かなり微妙な部分もあるかと…。
３）会うほどに好意が増す？…単純接触の効果
知らない人や初対面の人に対しては、人って大概緊張したりするものです（中には「人見知りしません」と言って初めてにもかかわらずいろいろ話しかけてくる人もいますが、それでも初対面の人と顔なじみの人とでは態度に差が出たりするものです）。でも何回か顔を会わせているうちに警戒心や緊張感が解け、しまいには親近感まで抱いたりしちゃう。つまりは安心するわけですよね。
「お互いに話し合ったり、理解し合ったりせずとも、人は何回か顔を会わせているだけで、相手に対し好意を持つようになる。」
これはアメリカの心理学者ザイヤンスの言ったもので、「単純接触の効果」と呼ばれるものです。そして、接触の回数が増えれば、それに応じて好意も増す単純な比例関係にある、ともしています。
彼はこれを次の様な実験で証明しています。
12人の顔写真を用意し、そのうち10人の写真をアトランダムにスライドで映写して、被験者にそれを記憶するように言うわけです。このうち2人は一度だけ、次の2人は二度だけづつ映写されます。さらに次の2人は5回、次の2人は10回、そして最後の2人は25回づつ映し出されていきます。合計で86個の顔写真を見た被験者は映写終了後にその記憶をテストします。それと同時に確認テストをします。更に合わせて、それぞれの人物に対しての好意を訊いてみてみるのですが、この時に映写されていない人物2人も合わせて、合計で12人に対する好意度を調べたのです。
結果、スライド回数が多ければおいほど、好意度が高くなることが証明されたのでした。
でもこれって、嫌いな相手に対しての嫌悪度となるとどうなんでしょうか？
「相手から好意を得ようと思うなら、とにかく相手に自分の顔を見せるべし！」
と言う営業マン向けの言い回しは、どうやらあながち嘘やハッパではなかったようです。
(=ﾟωﾟ)人(ﾟωﾟ=)ぃょぅ！
…………………………
次回は、「何だかんだ言ったって、人は見かけで相手を判断しちゃう」と言うお話。
ｺﾞ━━━(#ﾟДﾟ)=○)｀Д)､;'.･━━━ﾙｧ!!
っていいっこなしで♪。
ではでは〆。
maison0163 at 22:57│コメント(0)│
August 03, 2007
今回は趣を変えて番外編。画像は引き続き外♀タレ括りで、シャーリーズ・セロン♪。…………………………
「セックスをするには237種類もの動機がある」とする、アメリカはテキサス大学オースティン校の心理学者らの研究が、“Archives of Sexual Behavior”誌８月号に発表されたとのことです。
(/*・・)o…｛しかしスゴいタイトルの専門誌だね、コレ。
研究チームは学生や大学関係者400人を対象に、セックスする動機を調べてリストを作成、そのリストを使って学生1500人に対して調査を行いまして。で、その結果として、セックスをする理由が237種類もあるということに相成りました。
研究を主導したシンディ・メストン准教授は、「研究結果は、男性は肉体的理由で、女性は愛情が理由でセックスするという通説に反し、男女差は殆どなかった」としました。何だか男性がセックスマシーン松○し○るのように感じられますが。実際、トップ25のうち20の理由は男女で共通しているとのこと。この237種類の動機は、
・肉体的欲求型
・感情型
・不安型
・目標達成型
の４タイプに分割されているそうです。
男女を通じて最も多かったのは「魅力的だったから」。よくある「欲求不満だった」、「酔っていた」、「愛していた」の他に、変わったものでは「神に近付きたかった」、「相手がかわいそうになった」、「自分を許したかった」などが入ってきているそうです。更には「仕事を得るため」や「昇進するため」という、色気も素っ気もないビジネスライクなものもあれば、「利用されたかった」、「堕落したかった」という自虐的なものも。
少数意見には、「性病をうつしたかった」、「安眠のため」、「頭痛治療に」、「子供が欲しかった」などという回答があがってきているとのことです。「子供が欲しかった」が少数意見…何かが歪んでますわ、アナタ(´・＿・`)。
ちなみに男性の間では45位に入った「相手の瞳が美しかったから」（さすがアメリカン！）という理由は、女性側では人気がなかったそうな。ぷっ。
メストン准教授は、この研究はあくまでも学生の性習慣であって、中には「お金を稼ぎたい」、「恋人を傷付けたい」など、社会的に容認しがたいものもあるとして、注意を促しているそうです。同准教授はこの調査を行った動機として、「安全なセックスを推奨する計画を効果的に実施するには、セックスをする理由を理解する必要があるからだ」と語ったとのこと。
（AFP通信）
…………………………
安全なセックス推奨とか言う以前に、色々と突っ込みどころ満載な話ですがね( ゜Д゜)y─~~。
心理学って領域じゃあ、ホント！、いろんなことをやらかしていますな。今回は、研究をしている当人たちの心理や精神を分析したくなるようなお話でした♪。
＼● ＜●＞♪
/＞♪ -｜
＜＼ ／∨
maison0163 at 19:01│コメント(0)│
July 14, 2007
ぎぃやぁぁぁ〜！濃ゆい画像の“対ターミネーター・ターミネーター：T-X”こと、クリスタナ・ローケンでし(゜益 ゜;)。…………………………
今回は余談めいた話。
小学校のせんせーの「予測の自己実現」の心理的メカニズムが実は、子供の学力の伸びに大影響を持つんです。この効果は「ピグマリオン効果」と呼ばれています。ちなみにピグマリオンとは、ギリシャ神話に出てくる神様の一人。自分の理想の女性の像を全ての愛情を注いで彫刻し、美と愛の女神ビーナスに頼み、それに息吹を与えて理想の女性を得たとやら。なんとまぁ…(｀∀´)y-~~~~。
この「ピグマリオン効果」を明らかにしたのが心理学者のローゼンバーク。どういうものかと言うと、「この子は伸びるぞ」という教師の子供への熱い期待感が、無意識のうちに教師の声や表情、態度によって子供に伝えられると、その子供はそれをキャッチし、それに応えようとするので、「この子は伸びる」という教師の予測が実現するというもの。
ただ…
その期待感が子供の気持ちを無視して一人歩きし、その結果どんどん子供を追い詰めていくという事態もありまして…。
「人に期待するとピグマリオン効果が現れる」という論は、期待感そのものの質と、子供の精神状態や心理とのバランスがとれて初めて発動するもののように思えてなりません。期待感を他言しまくっても逆にプレッシャーになりかねないし、子供が教師に不信感を持っていても…ね。今の小学生は、ローゼンバークがこの効果を明らかにした当時と比べたら…なんて考えになっちまいます(ρ_-)o。
なので、今回はピグマリオン効果なるものがあったんだよ、という話で止めておきましょ。
〆♪。
…………………………
「“私はこんな人間です”」スレはこれにて終わり。次の連チャンもの…いつのことだか分かりませんが…は、好き嫌いの感情について触れてみたいと思います。
そんじゃ(・ω・)ノ~~。
maison0163 at 20:58│コメント(0)│
July 13, 2007
今回の扉画像もまたまた熟女（爆）。ジュリア・ロバーツ。ぶはっ。…………………………
「第一印象で相手が分かる」と言いますが…
はい、分かるんです。当たるんです。なんとぉ〜っ！
ただ、これは厳密に言うと、本人が相手に対して無意識に第一印象に基づいてのアプローチをかけるので、その相互作用の結果、必然的に「当たる」んです。本人にとって「当たる」ワケなんです。決して「自分は人を見る目があるんだ！」というのじゃあ…ないんだなコレが(^_^;)。
そこには「予測の自己実現」と呼ばれる心理的メカニズムがあるんです。
例えば、Ａさんをアナタとします。で、Ｂさんを相手としましょう。
先ずは第一印象。
Ａ：「Ｂさんは気さくそうな人だな。」
と、見た目から判断したとします。これが第一段階。そう思うと、たとえ初対面だとしても、気軽に話しかけられますよね。次に第二段階。
Ａ：「自分も気さくにしよう。」
と、気さくで開放的な行動をＡさんはＢに対してとります。
第三段階。それを見たＢさんは、
Ｂ：「Ａさんは気さくな人だね。」
と思います。そう思うと、ＢさんもＡさんに対しての緊張がほぐれ、初対面だけども気さくに話しかけるのです。次に第四段階。
Ｂ：「それじゃあ、自分も気さくにしよう。」
初対面のＢさんから気さくに話しかけられたＡさんは、やっぱり！と思うことになります。
最終の第五段階。
Ａ：「Ｂさんは“予想したとおり”やはり気さくな人だ。私は予想が当たる！」
…この推移が「予測の自己実現」のメカニズムなんです(^-^)。
でもこれは、あくまでも自分で演出した結果であって、予想が当たったのではありません。そのように誘導したのです。
逆も同じ。第一印象が「イヤなやつ」となると、自らがそう対応するので、相手も嫌悪反応をしてしまい、「やっぱりイヤなやつ」となってしまう。“最初から嫌いな人”とは、実は自分が作り出しているんです。
相手がイヤな人。相手が変わってくれないかな〜と思う時、「先ずは自分が変わりなさい」と言われることってありません？実はこのメカニズムを踏まえた上でのアドバイスだったのです。
ひゃあ〜(￣○￣;)。
maison0163 at 17:17│コメント(0)│
July 12, 2007
今回の扉画像は熟女です（爆）。キャサリン・ゼタ・ジョーンズ。ぷっ。…………………………
子供を殴っている母親（いや決して拳で顔をぶん殴って、その子が“ぷぎゃ〜！”とか言いながら吹っ飛ぶってシーンじゃありませぬ）を見て、あの母親は暴力的な親だと決め付けることは出来ません…よね？虐待とかは別問題ですよん。
他人のことを、例えば「乱暴だ」とか「控え目だ」とか、性格を判断しがちです。では、どうやってこの性格判断をしているんでしょう？
心理学者のケリーは、ある人が○○○な性格であるかどうかの判断には、「共変の原理」という原因帰属方法を用いているとしています。要は、僕たちが日常に行っている推理方法のことを言っているんです。
共変の原理では、相手の性格（ある実体）が原因のもとであるとする時には、
相手の人（実体）
判断する人々
時
状況
の４つの条件を考えて、それがどのように変化するかを、
「弁別性」
「一貫性」
「合意性」
によって判断するとしています。先述の母親を例にしてみますと、
ａ「弁別性」
他の人と比較してみて、当人のみが乱暴であり、他の人は乱暴でないと区別できる場合、その人は乱暴である。
ｂ「一貫性」
いつも乱暴に振る舞っているし、子供にも友人にも、どんな場合でも状況でも、乱暴に振る舞っているという一貫性が見られる場合、その人は乱暴である。
ｃ「合意性」
自分だけでなく、友人や仲間にきいても“あの人は乱暴だ”という合意ができる場合、その人は乱暴である。
…これら３つの基準によって、その母親は乱暴な性格を持っていると判断されるのです。そして、これらの基準が満たされない場合は、その母親がその時子供を殴ったのは乱暴な性格だからではなく、何らかの事情があって殴ったのだろうと判断されるんです。
たまたま目にした行動だけでは相手の性格は分かりません。それを決め付けて見てしまう場合、それは相手に対しての「好き嫌いの感情」が先に立っているケースが考えられます。「好きや嫌いは先に来て、その理由は後から付いてくる」というワケです。まぁ、この話は後ほど♪。
〆。
maison0163 at 22:20│コメント(0)│
July 11, 2007
あいやぁ〜♪。今回の扉画像はユン・ソナ(^^)。…………………………
「皆さんのおかげです！」って言い方は、「私の実力の賜物です！」という言い方と比べると、明らかに前者の方が聞こえはいいですよね。
この「皆さんのおかげです」という言い方は「内的帰属」と呼ばれるもので（結果や成果が自分自身に帰属するという感じ方）、自己評価を高める「高揚的自己呈示」です。成功した際は自己評価を高める自己高揚的帰属の呈示がなされると、アメリカの対人心理学は教えています。以前にアメリカ人は私的自己意識が強いという話をしましたが、ここにも繋がりがあるのかもしれませんね。
ところが、これは日本人の場合となると変わってきます。外から自分がどう見えるかを意識している公的自己意識人間の多い日本人のケースでは、「外的帰属」が多く発せられます。自己誇示ってあまりしないんですよね。「皆さんのおかげです」とか、「運が良かった」とか、「努力したから」とは言っても、「私には能力があるんだ」とはあまり言わない…。自己高揚的呈示よりも「謙遜的自己呈示」「自己卑下的自己呈示」が多く見られるんです。
自分が集団（社会）から飛び抜けていないこと、皆と一緒であることを示したり、相手の心が傷つくのを和らげようとするワケです。
心理学者のマーカスとキタヤマは、このような日本人の自己に対する特性を欧米人と比べ、
「日本人は『相互依存的自己』を持ち、欧米人は『独立的自己』を持っている」
としています。社会・周囲が調和と協調、そして自己抑制を評価するからだというのが、自己卑下的自己呈示を行う理由だと言うのです。
「…日本人は、自分の成功は運に、失敗は努力不足に原因があると言い、友人の成功は努力に、失敗は不運に原因があると言う。」
ぶっちゃけ、相手がどう評価するかを予測して、よりよい印象を相手から得るために行うわけであって、決して本心だとは限らないんですよね。
おぉ怖っ。
maison0163 at 20:44│コメント(0)│
July 07, 2007
いや、別にグロ画像のカテゴリーを設けたワケじゃなくて、たまに集中掲載している“さいころじかる・らぼ”をまとめたカテゴリーを作っただけです。“psychology”カテ。
恐らくは最も見向きされていない内容なんですがね。まぁ、そこのところは何回か繰り返していますが、ここはあくまでもワタクシ“めぞん”のジコマンワールドブログですので悪しからず（核爆）。
最近は、書いていて一番飽きがくるカテになるんですが、思い付いたかのようにたまにやらかしています。
ヨロタム（“宜しく頼む”の略♪）。
(Θ_Θ)
…………………………
（追記）
2008年6月9日付けで、新たに「アカデミア（心理学）」を設けましたので、「psychology」のカテゴリーは消しました。
maison0163 at 20:01│コメント(0)│
May 28, 2007
Top画像は、今何かとやぁやぁ言われているキーラ・ナイトレイ♪。…………………………
１）自己呈示４分類
たまたま知り合った、ある社長さんとの話にて。「ウチの面接では、“これが自分だ！”という格好をしてもらって、会社に来てもらうんだ。」とその方は言っていたのですが、じゃあ「実は僕、女装に命をかけてます！」と言って、ゴスロリファッションで臨む人っているのかしらん？と邪な考えを持つめぞんですｗ。
それはともかく、普通は面接ってリクルートスーツで行きますよね？面接の際にハッパをかけられて、たとえカチンときたとしても、あまりギャアギャアと文句を言う人っていないでしょう。
これは相手に自分を合わせた「迎合的自己呈示」の典型例と言えます。自分にとって都合のよい印象を相手に持たせるために、自分の印象を操作して管理するという意味で「自己呈示」という言葉を心理学では用いています。これは日常生活においてもよくなされていることです。
この自己呈示なるもの、心理学者のテダスキーとノーマンは、大きく２×２の４分類で扱っています。
�）姫凖�自己呈示：
弁解や言い訳などで、自分が低く評価されることから逃れるための自己呈示。自分のせいにせず、他の理由で繕うことで、自分の印象（イメージ）が悪くなることを防ごうとするものです。
�⊆臘ヅ�自己呈示：
積極的に自分の望むイメージを相手に売り込む自己呈示。自己ＰＲや、自分の能力を相手に見せるといったものです。
そしてこの２つは、更にそれぞれ別の２種類に分割されます。
��戦術的自己呈示：
その場の比較的短時間での相手への呈示。
�だ鑪�的自己呈示：
長期にわたる関係の中での自己呈示。
例えば「能あるタカは爪を隠す」といった行為は、短期的には能力のなさを示しますが、長期的には相手から信頼を得るための戦略的自己呈示と言えるわけです（しかし昨今では、この態度ってあまり自分にメリットがなさげな風潮なんですがね）。
防衛的・戦術的自己呈示：
弁解、正当化、セルフハンディキャッピング、謝罪、向社会的行動
防衛的・戦略的自己呈示：
アルコール依存、薬物依存、恐怖症、心気症、ステューデント・アパシー
主張的・戦術的自己呈示：
取り入り、威嚇、自己ＰＲ、示範、哀願、称賛
主張的・戦略的自己呈示：
魅力、尊敬、威信、地位、信憑性、信頼性
（Tedeschi＆Norman 1985 “自己呈示行動の分類”）
２）「ゴマすりめ！」「と、とんでもありません…!!」
ところで、「主張的自己呈示」って、パッと見は「防衛的自己呈示」よりは前向きな印象があるように感じません？
例えば、「相手に取り入りたい（取り入り）」という心理は、相手から好意を持たせることで、自分にとって何かしらのメリットを求めるものです。ゴマすりや、相手の言うことに同意、同調したりするイエスマン振りは、実はこの心理が元。で、これが裏目に出ると、ゴマすりだのお調子者だのと軽視されたり、嫌われたりしてしまうわけです。自己ＰＲは自分の能力や業績を相手に提示して、自分の能力を見せる自己呈示です。これは相手がその能力を評価し、あるいは称賛し、尊敬することをもくろんだりするもの。ところがこれも、自惚れの強い自慢家だの、謙虚さに欠けるととられたりすると大失態。
人間関係は自己呈示の応報。自分をよく見せようとすれば、その下心がバレた時の逆効果もそれだけ大きくなっちゃうんです。
３）「目には目を」の心理
あのですね、自尊心を傷つけられて不愉快な思いになると、反発したくなる心理が働いたりします。平たく言えば「仕返し」をしたくなる。これ、「リベンジの自己呈示」と呼んだりします。突っ込んで言うと、自分はそんなに弱くないということを周囲に、特に相手に見せ、脅しをかけるという心理が働くということなんです。
心理学者のウォーケル、アーノルド、そしてハリソンらはこのことを実験で確認しています。実験は２人で行われまして…。
被験者は最初エッセイを書き、それを相手が評価するのですが、その評価は厳しく、エッセイの出来は悪いとされてしまいます。この時、被験者が不愉快な思いをしたと考えた上で、次の段階に移ります。
次は立場が逆転します。今度は被験者が相手に問題を出し、相手が間違えた場合、間違う度に罰として電気ショックを与えるという、どこぞのクイズバラエティー番組みたいな代物。この時与えるショックの強さは、10段階の中で被験者が自由に選んでよいとされます。この際、最初のエッセイの評価で、かなりキツい評価をした人と、中の上の評価をした人とを比べると、キツい評価をした人の方が強烈なショックを与えられていたわけです。
…で、この電気ショックを与えているのが自分だということが相手に分かっている場合、匿名にした方が強い攻撃を相手にしやすくなると思いきや、実は相手に自分が分かっていた時の方が強いショックを与えていたという結果が出ました。
まさしく報復…。「思い知らせたるっ！」という心理がかなり働いてしまったワケです。
ちなみにこれ、あくまでも「復讐」「仕返し」「あだ討ち」に関しての心理です。「匿名性」が人の攻撃性を高めるのは本当のところなんですがね。
おぉ怖っ！
maison0163 at 20:15│コメント(0)│
May 01, 2007
Top画はアジアンなBoA♪。…………………………
１）初頭効果
よい情報から先に入ってくれば印象は好くなりますし、悪い情報が先に来ると印象も好くないものになっちゃいますよね。まぁ至極当然。その第一印象って、かなり後まで尾を引いてしまうのもお馴染みの経験かとも思います。心理学者アッシュはこれを「初頭効果」と呼んでいます。
彼はこんな実験をしました：被験者に、ある人物の特徴を読み聞かせ、その人物についての印象を問いました。読み上げる性格特性のリストは２つ。
Ａ：知的ー勤勉ー衝動的ー批判的ー頑固ー嫉妬深い
Ｂ：嫉妬深いー頑固ー批判的ー衝動的ー勤勉ー知的
…この２つは全く同じ内容で、読み上げる順を変えただけです。よいとされる性格とよくないとされる性格、どちらが先に来るかの違いだけ。
で、性格の呈示が終わった後に、その人の性格について自由に書かせます。次に、寛大、賢い、社交的、人気のある…などの性格リストを渡して、その人がどんな性格をしていると思うかをチェックさせます。
結果は、Ａの人物はよい人で能力もある、多少の欠点のある人となり、全体としては好印象を持ったことを示したわけです。対して、Ｂの人物は欠点があって能力も発揮出来ない、悪印象の人となってしまったのでした。
これが「初頭効果」の成せる業です。人間関係はやはり最初が肝心というわけなのでした(Θ_Θ)。
２）たった一言で…！
しかし、よい条件を並べ立てても、たった一言のマイナスイメージの一言で、印象が決めつけられてしまうこともあるんですよね。あぁ〜困ったもんです。
心理学者ケリーの実験をここで見てみましょう。この実験は大学の心理学の授業で行われました。
…授業の開始時間が少し過ぎ、受講している学生が待っているところで心理学の助手が現れて、学生に言います。
「本日、先生は出張です。そこで今日は別の先生が授業をして下さいます。ところで、現在私たちの研究室では、先生が変わると授業がどう変わるかという研究を進めています。それでこの授業が終わりましたら、２〜３の質問について答えて下さい。」
「今日のＩ先生ですが、ここにＩ先生について、先生をよく知る方が書いた略歴があります。先生の来られる前に、これを読んでおいて下さい。」
…さて、次の２つの文章を読んでみて下さい。
ａ．Ｉ先生は、Ｔ大学の社会科学部の卒業です。
先生は、他の大学で三学期間、心理学を教えた経験がありますが、この大学で講師をするのは初めてです。
先生は26歳で経験が豊かです。そして結婚しています。
先生を知る人はどちらかというと、暖かくて、勤勉で批判力に優れ、現実的で、決断力があると言っています。
ｂ．Ｉ先生は、Ｔ大学の社会科学部の卒業です。
先生は、他の大学で三学期間、心理学を教えた経験がありますが、この大学で講師をするのは初めてです。
先生は26歳で経験が豊かです。そして結婚しています。
先生を知る人はどちらかというと、冷たくて、勤勉で批判力に優れ、現実的で、決断力があると言っています。
学生にはいずれかの略歴メモを読ませます。ところで、ａとｂの記述の違いにはお気づきですか？
「暖かくて」と「冷たくて」の違いです。
この性格の違いが、後の先生の印象にどんな影響があるかを見るための実験です。
結果は、「暖かくて」と性格呈示に書かれたメモを読んだ学生は、もう一方の学生よりも、Ｉ先生を「他人を配慮する、ざっくばらんで社交的、人気もあって気質もいい、ユーモアや人情のある人」だと言ってきました。
ところがもう一方の学生は、Ｉ先生を「ジコチューで杓子定規、社交性はなく不人気で、癇癪持ちでユーモアの欠片もない、無慈悲な人」という印象を持ったのです。
そして、授業中に発言する学生は、好印象を持った学生の56％、悪印象を持った学生の32％という差をも生みました。
この「暖かくて」と「冷たくて」の言葉がこうした特性を引き出したことを「中心的特性効果」と呼びます。
３）ウワサは怖いよ！
このケリーの実験は、実はもう一つのことも明らかにしています。それは、「第三者の情報が、いかに会った時の印象を規定しているか」ということです。 これは実は噂話の怖さを教えてくれます。
人の噂はその人への印象だけでなく、その人との実際の人間関係にまで大きな影響を及ぼしてしまう！
現実に当人の話を聞いたり、話をしたことよりも、事前に聞いた一言の方が、その人への評価に大きな影響を与えて印象付けてしまうのです。
実験で配布された「冷たい」というメモ書きは、「間接話法による印象形成」とも言えます。人伝えによる印象形成がいかに強力かが理解出来るでしょう。
どっちにせよ、人の性格は当人よりも第三者の言うことの方が信用されるという怖い性質があるのです。人の噂もナントカなんてことわざにありますが、現実はさらに根が深いということでしょうか…。
おぉ怖っ(゜益 ゜;)！
maison0163 at 00:04│コメント(0)│
April 04, 2007
熟女続きのTOP、今回はお馴染みジョディ・フォスター(｀∀´)y-~~~~。…………………………
「人間関係の中の自分」最終回は、こんなテーマでいきましょ♪。
１）言行“不”一致
言うこととやっていることがあまりにも違う人って…いるよね(-Д-;)。
ところで、自分の考えと全く逆の行動をとったりするのは何故？また、それを面白くない、不愉快だと感じたり、腹を立てるのはどうして？
腹が立つのは、「言行一致」と言う考え方が強いから。言うこととやることは別物と考えれば、「言行不一致」に腹を立てなくても済みます。
実際、日頃の態度から予想される行動と、実際の行動とが一致しないことって、結構多いものです。では、意見と行動とが違うのは何故か？このことについて、心理学者のフィシュバインとアイジェンは「合理的行動理論」なるものを提唱しました。行動を決定するのは、その人の「態度（意見）」だけではなく、他に「主観的規範」もあるからだ、としています。「主観的規範」とは、その人の周りにいる、その人にとって大切な人の意見のこと。主観的規範が強くなれば、態度とは正反対の行動もしてしまうのだ、と言うわけです。
要は、自分の意見や態度も、自分の大切な人や大好きな人の影響で、根底からひっくり返るのは、決して珍しいことじゃないと言うワケです。
２）計画的行動理論
ただ、「合理的行動理論」では説明つかないこともあります。
例えば、女性のダイエット。簡単に成功するものならば、巷にこれほどダイエットの話題があがることもない筈。当の女性は「痩せたいっ！」と言う欲求がある。周りの大切な人（例えば彼氏）も、彼女のダイエットには大賛成している。賛成だと言うことは「主観的規範」もプラスな筈。なのに、やらない。または途中で諦めてしまう。
アイジェンは、行動をすることを決定付けるのは、本人の欲求や態度と主観的規範だけではないと考えました。そして、もう一つの大きな要素として「統制の認知」なるものをプラスする必要がある、としました。
アイジェンは、この統制認知を加えた理論を「計画的行動理論」と呼んでいます。
小難しい物言いですが、要は何のことはありません。自分も自分の大切な人も望んでいたところで、自分にそれが出来ると言う統制感がないと無理と言うことです。始めても続けられない。「やっぱり無理だわ（統制不可能）」となり、そこでジ・エンド。
本人が出来ると思っているかどうかは、行動するうえでの大きな決め手になります。「これは自分に出来る！」と思わなければ行動は変えられないワケです。大多数のアルコール中毒やヘビー（チェーン）スモーカーが止められないのも、この「統制不可能」が大きな原因です（様々な依存症の根元には「統制不可能」があります。この統制不可能状態を引き起こすトリガーになるものは、また様々あるんですけどね…）。
アイジェンは更に、実際の行動を決めているもう一つの要因として、「習慣」をあげています。心理学者のウッテンブレイカーは、車のドライバーのシートベルト着用について調査しました。本人も周りの人もベルト着用はすべきだと思っていても、着用する習慣がある人は着用し、習慣がない人は着用しないことをハッキリさせました（しかし、何だか不毛な調査だなこりゃ…）。習慣も大事なキーになるのです。
…………………………
勿論、言うこととやることが違う原因には他でも説明出来ます。「いつも立派なことを言うくせに、ありゃ何だい？」って思うことってありますが、じゃあ何故、そんな立派なことばかり言ったりするのか？これには「自己呈示」と言うことが絡んできます。
次のテーマ、「対人関係での自己アピール」にて進めていきましょか。
え？まだやる気かですって？だからこその自己満ワールド♪。
このクソスレを最後までお読みいただけている方がもしおられましたら、その方々には大変感謝しておりますので、また宜しくお願いいたします♪（調子ぶっこきまくり）。
参照：ナツメ社書籍
maison0163 at 18:39│コメント(0)│
April 03, 2007
今回のTOPは熟女（爆）のニコール・キッドマン。さまんさぁ〜(Θ_Θ)…………………………
１）成功に注目すると元気になれる！
物事が上手くいけば喜び、失敗したら悔やむ、出来たら失敗したことはすぐ忘れたいもの。
ところが、成功してもあまり喜ばないし、失敗したらそのことにずっと捕らわれる、大成功した暁には、その中にある些細な失敗をほじくりだして、「あぁ〜ダメだダメだ」と思う人もいます。失敗は勿論ダメ、成功してもやっぱりダメ、何もかもダメ。
これじゃ先に待っているものはウツ状態。ドツボ。メンタコ（何？）。
でも、こう言った心理状態になる人は、決して少なくないとのこと(・ω・;)。
これは「自己認知スタイル」の問題だ、と言っているのは心理学者のダレンバークとビジネスキー。このような人たちが持っている「抑うつ的自己意識スタイル」のため、自分の欠点や失敗、悪条件ばかりにしか意識を向けられないのだ、というワケです。
失敗に注目すると、その失敗が記憶に刷り込まれます。となると、否定的な自己評価になってしまいます。逆に、成功に注目すれば、その感動が記憶に残り、結果は肯定的な自己評価に結びつくのです。
どうせなら、元気になれる発想でいきたいものです。落ち込んで疲れるのは嫌(ノ_・。)。
２）人はその原因を考える（原因帰属について）
行き過ぎさえしなければ、自分がダメだったのだ、という考え方が全て悪いわけとは言えません。それが反省、自責の念を生じさせ、努力に結び付くのなら大いに結構（内的に原因を帰属させているパターン）。
ところが、失敗の原因を他人のせいにしたら（外的に原因を帰属させるパターン）？
こればっかりは自身の心の問題。そして、これはその後の対人行動のキーにもなり得るものです(б`・ω・)б。
この原因帰属理論を最初に打ち出したのは、心理学者ハイダー。彼は、「人は、人の行動を見た時、そこには原因があると知覚し、その原因を行為者当人か、環境かのいずれかに求める」としています。
行為者当人に基づく原因には「能力的原因」と「動機的原因」が、
環境に基づく原因には「課題の困難性」と「運」があるとしています。
何だかややこしい物言いですねコレ(^-^;)。
３）成功と失敗の原因帰属マトリックス
…で、こんな感じです。
一つは原因を「外的」つまり自分以外に帰属するか、「内的」つまり自分自身に帰属するかと言うこと。
もう一つは、原因を能力など「固定的要因」に帰するか、運のような「変動的要因」に帰するかです。
φ(．． ) …
1. 内的・固定的要因→ 能力（成功）・能力不足（失敗）
2. 内的・変動的要因→ 努力（成功）・努力不足（失敗）
3. 外的・固定的要因→ 課題（成功）・課題困難（失敗）
4. 外的・変動的要因→ 運（成功）・不運（失敗）
原因の帰属のさせ方が本人にとっても、周りの人にとっても重要なのは、同じ出来事でもその人の帰属の仕方で、その時感じる感情やその後の対応行動が全く異なるから。
同じ成功や失敗でも、プライドが傷付いたり、羞恥心が生じたり、またはその逆だったり。
では、この原因帰属を次のように見てみると？
…内的要因でも、能力は安定したものなので、そのまま努力し続ければいい。気分は不安定な要因なので、その時々の一定的な努力が必要となります。
…外的要因でも、例えば抱えた課題の難しさは、それを出す教師や上司のくせやかたよりがキーとなるので、それさえ掴めば安定要因として捉えられます。運となると不安定要因です。誰かからの予期せぬ援助を期待しているわけにもいきませんよね。自分自身で行動しなきゃなりません。
このように帰属要因が「統制出来るかどうか（統制可能性）」を考えに加えたのが、心理学者ワイナー。
要は、これらの要因を素直に捉えさえすれば…、
人は「できる！」と思った時、ポジティブになれる！ってことですp(^-^)q。
３）相手のことは性格のせい、自分のことは事情のせい
朝、遅刻してきた人がいたとしましょう。「夜遊びのしすぎだよ」とか、「あの人って時間にルーズなんだよね」と評判が悪くなりがちです。つまり、その人の性格（固定的要因）にしがちなんですよね。
ところが、自分が遅刻すると、「電車が遅れた」とか「急用があった」とか、やむを得ない事情（変動的要因）のせいにしがち。
この帰属傾向を「行為者ー観察者帰属バイアス」と言います。これが、同じことでも本人と周りの人とでは、見方や解釈・解決方法が全く逆になって、意見の違いや予測に違いを生み出す原因です。
誰かにすぐ、「あの人はそういう人なんだ」と言うレッテルをはりたがる傾向が、このバイアスなんです。
何でも性格のせいにしないでおきましょう♪。
４）成功は自分の力、失敗は他人のせい
…これ、最悪(゜益 ゜;)。
でも実際、こう思う人って少なくないですよね(´台｀;)。
身勝手な人の原因帰属の典型的な例です（がっでむしっと）。
これは「自己高揚帰属バイアス」と言われる代物が引き起こすこと。成功した時は自分の能力や努力と言った「内的要因」に帰属させ、失敗した時は他人や課題困難ぶり、不運のせいにしたがる心理の大元。ですが、確かに自尊心を高めたり守ったりするには好都合だったりします。これは欧米人によく見られるパターンと言われたりします。日本人にもいますけどね。
ちなみに日本人の場合、成功は運がよかったせい、失敗は自分の力不足と思う傾向が強いと言われています。これは「自己卑下的帰属バイアス」と呼ばれます。「この成功は皆のおかげだ！」と言うのも、実はこのバイアスのせいだと言うのです。このタイプの考え方をする人の方が受け入れられやすかったりします。
まぁ…、自己呈示のやり方にも色々あるわけでして。いやはや。
maison0163 at 23:55│コメント(0)│
April 02, 2007
今回の綺麗処トップ画はジェニファー・ロペス。って、濃いなぁ〜^^;。…………………………
「誰かの噂話」ってします？「あの人は〜なんだよ」みたいなネタでの会話です。これ、実は人の会話の中ではかなりの割合を占めてしまうことでして。で、誰かを話題（標的）にして話が進むわけです。たまには自分が話題にあがることだってあるでしょう。
自分がどんな話題にのぼっているのか、何の標的になっているのか、気になって仕方がない人っていますよね。自分は常に誰かから的にされている、また悪口を言われている、みたいな感じです。ぶっちゃけ、これって一種の自意識過剰。“批判の対象になっている”みたいなネガティブなもの以外にも、“皆からの注目の的になっている”というものもありますが、この自意識過剰な心理状態を、心理学では「自己標的バイアス」と呼んでいます。
このコーナーの�，砲董⊃翰�学者フェニングスタインが触れた「私的自己意識」と「公的自己意識」について話をしました。「私的自己意識」とは自分の心の内側、自分だけが意識できる自身の心理状態のことで、「公的自己意識」は外側から見た自分を意識している状態を言います。
この「公的自己意識」の高い人ほど、自己標的バイアスが強いワケです。
ちなみに、これをお読みの皆さんは、次のような状況ではどんな解釈をされます？自身に関係した解釈をしますか？そうでない解釈をしますか？
下のケースだと、どちらの解釈に近いです？
☆廊下を歩いていたら、向こうから来た顔見知りが、挨拶もしないでアナタの脇を通り過ぎて行った。
…あなたと会話をしたくなかったから。
…何か考えごとをしていて、あなたに気付かなかったから。
☆デートの相手が早々に帰ると言い出した。
…これ以上、あなたと一緒にいたくなかったから。
…相手の体調が悪いから。
☆あなたが新しい仕事に就いた直後、同僚が勤務時間を変更した。
…あなたと一緒に仕事をしたくないから。
…仕事のスケジュール上、変更した。
結論：…そう思い込んでいるのは自分だけ。
自分のことを自分が気にしているほど、人はあなたのことを気にしちゃあいない！
…ンなこと気にしていちゃ、ムダに疲れまっせ♪。
maison0163 at 00:52│コメント(0)│
March 20, 2007
今回のトップはキャメロン・ディアス(^^)/（余談）SOFTBANKの広告見たけど、あのひん曲がった鼻筋、何とも出来ないのかね？
…………………………
１）セルフ・モニタリング
久々にチェックシートでも出しましょか？
☆次の各項目について、自分にあてはまると思った場合、番号をチェックしてみて下さいな♪。
? 人の真似をするのは下手である。
? 自分があまり知らない話題でも、適当に話を合わせることが出来る。
? 人に好かれようとして何か行ったり、やったりしない。
? 人を楽しませようとして冗談を言ったり、演技をすることが出来る。
? 私は自分が本当に信じていることしか話せない。
? 私は状況と相手によって、振る舞いを変えることが出来る。
? ジェスチャーのようなゲームやアドリブは、苦手である。
? 私は外で見せている顔と心の内とが違うことがある。
? 人前に出ると気まずく感じ、思うように自分が出せない。
? 本当は嫌いな人でも、親しげに振る舞うことが出来る。
回答が終わりましたら、奇数番号のノーの数と偶数番号のイエスの数を加算してみて下さい。最高は10点、最低は０点です。
６点以上の人は「高モニター（協調派）」で、点数が高ければ高いほど高モニター性格です。
４点以下の人は「低モニター（個性派）」で、点数が低ければ低いほど低モニター性格です。
ところで「高モニター」の人と「低モニター」の人って？
例えば、酒を飲むと人が変わる方っていますよね。いつもはおとなしいのに、酒の席では言いたい放題やりたい放題、本性が出て大暴れまでも。しかし、普段は周りを気にしておとなしい…。これは相手や状況に合わせて自分の行動を適合させているからと言えます。それにより、人間関係をうまくやり、自分の立場をよくしようと言うわけです。
これって誰にでもあることですよね。自分と相手との関係や自分が置かれている状況を監視（モニター）しながら、人間関係を進めているのです。これを「セルフ・モニタリング」と呼びます。
ただ、人によってモニター情報重視の人と、モニター情報より自分のやりたいことを重視する人とがいます。これが「高モニター」の人（相手に合わせる人）と、「低モニター」の人（個性派な人）なんです。
このセルフ・モニタリング理論を提唱した心理学者スナイダーによると、日本社会は高モニタリング社会で、日本人は高モニターなんだそうです。「長いものにはまかれろ」なんて言いますしねぇ。
勿論、高モニターだろうと低モニターだろうと、過度になりすぎると周りとは上手くやれません。高モニター過ぎれば風見鶏扱い、低モニター過ぎれば融通が利かない頑固者となりますから。
何事もほどほどに、ってことで。
２）セルフ・プレゼンテーション
「セルフ・プレゼンテーション」とは「自己呈示（ていじ）」とも呼ばれまして、状況に合わせて自分を見せることです。映画なんかで、男性顔負けの敏腕且つ豪快な女性刑事が、パーティーなどでいきなり、優雅な女性らしさをみせている場面なんかはその典型例ですね（実際でも似たような場面を見たりするでしょう。刑事かどうかはともかく…^^;）。
対人場面で相手から高い評価や行為、報酬を得たいと言う思いから、それに見合った自分を相手に見せるわけです。ただ、その具体的なやり方には様々な「対人方略（ストラテージ）」があって、どんな自己呈示方略をとるかは、相手や状況の「モニタリング」で決められます。相手の好意を得ようとするなら、相手に合った対応をする、と言う具合です。
これを証明した実験がありまして…。
先ず、実験の３週間前に女子学生に性格テストを行います（「私は控え目なほうである」「私は独立的である」等々）。
実験当日、「この実験は、知らない２人がそれぞれの情報を元に印象を形成し、その後に実際に会って、その印象の正確さをみる研究だ」と言われます。そして、相手の男子学生のプロフィールを手渡されます。
『プリンストン大学学生、21才、身長183cm、趣味はドライブとスポーツ。只今恋人募集中、理想の女性は感情豊かで、控え目で、家庭的な人』
そして、この男子学生に対する第一印象と、デートしたいかどうかを訊かれます。次に、相手の男性に被験者の詳しい情報を伝えたいので、とアンケートを渡されます。
その中に、３週間前と同じ性格テストの項目が含まれています。後で３週間前の回答と実験の時の回答とを比較しました。
…何とまあ、人を小バカにした実験かと思いますが。
結果は…^^;。実験の時の方が、自分は控え目で家庭的だ、と答えていたわけです。あらま。
３）セルフ・ハンディキャッピング
これ、要は「失敗しても、自尊心が傷付いたり周囲の評価が下がらないように、あらかじめ自分にハンディキャップを与えておく行為」です。もっと言ってしまうと、言い訳や弁解をする行為のことなんです。「自己防衛の自己呈示」とも言います。
例えば試験に落ちるかもしれない時、落ちても自尊心が傷付かないように、最初にハンデを与えておきます（体調がよくない、昨日ミクシイをやりすぎた、etc.）。そうすると、ハンデがあったから失敗したのだと言えるので、実力がないことにならず、取り敢えず自尊心は守られるのです。
これには、周囲の自分への評価が下がるのを防ぐための言い訳や弁解と、実際に試験前に勉強せず別のことをしてしまうような、自分自身へのハンディキャップ行為の２つがあります。
バーグラスと言う心理学者が実験をしました。
「この実験は、代謝障害の薬が知的作業にどのような影響を及ぼすかをみる実験です。難しい問題なので、７割取れれば最高レベルです。」
こう言われた被験者は、第１回のテストを受けます。本当に難しい問題です。テストが終わるとすぐに採点され、成績が分かります。難しい問題だったのに６割以上正解だったのです。
２回目のテストの前に薬を飲みます。薬は２種類あり、知的作業を促進させる効果があるアクタビルと、知的作業を妨害する効果があるパンドクリンです。どちらを飲むかは被験者が決めます。
この時、第１回のテストで成績がよいと伝えられた人は、妨害剤を選んだと言うのです。
得られた自尊心または高い評価を、２回目で崩したくなかったのです。
妨害剤を飲めば、２回目の成績が悪くても、それは薬によるとされ、実力の評価は下がらないとなったわけでしょう。
人は自己防衛に余念がない…と言う結論になったのでした。
…いや、どうあがいてもねぇ、
見ている人は見ていますよ。下手に弁解や言い訳したところで、自尊心を守れただの、評価は下がらずにすむだのと思うのは自分自身だけでしょう。そんな似非安堵なんかしたって…意味ないし^^;。
やれやれ(´台｀;)。
maison0163 at 03:48│コメント(2)│
March 19, 2007
今回のトップはヒラリー・ダフ♪。…………………………
☆周りから“Yes”と言われたい！
「私は自分に自信がある。自己主張はちゃんとするんだ！」という人は、実は“周りからもそう見られたい”と言う思いがあるようです。それによって、自分の自信を確実たるものにしたいからと言われています。自分に自信がある、と言う同意（確証）を周りの人から得ようと積極的に働きかけます。例えば、そんな話をしたり、それらしく振る舞ったり、ブログなどにその手の雰囲気がたっぷりなものを書いたりとか。
反対に、「自分に自信がないおとなしい人間だ、控え目なのよ」と思う人は、周りから控え目だ、あまりしゃしゃらない、おとなしい人物だと言う同意（確証）を得る行動を積極的に行いがちだ、とも言われているようです。
こんな働きかけを「自己確証フィードバック行為」と言います。自己確証フィードバックを多く得ることで、自分は自分が思っているタイプの人間だということを確信し、自己を明確にしていくわけです。
こんな実験がありまして。心理学者のスワン、リード両名によるものです。
先ず、女子学生に自分が自己主張的か否かを判断してもらい、その後に社会的問題についてのアンケートに回答してもらいました。
次に、「この実験は男性と知り合いになる過程についての研究です。この後に隣の部屋にいる男性と会ってもらいますが、事前に相手に被験者がどんな人か知らせるため、今回答えたアンケートと性格についての質問をしますので、隣の部屋に行きます。」と伝えます。
この時、相手にあなたの性格について訊く時、どんな質問がいいかと女子学生に尋ねました。質問には自己主張的な性格の質問と控え目な性格の質問とがあります。
結果、自己主張的な人は自己主張的項目を、主張的でない人は控え目な性格の質問を相手にしてほしいと言うのです。つまり、最初から自分に合うような質問、自分の性格が確証出来るような質問をされたいのです。それも、人から“Yes”のフィードバックが欲しいからと言います。
…………………………
例えば、「自分の殻に閉じこもる」と言うのも、本人にとってはそんな自己概念を明確にすることで安心していたいのだ…と言うことなんでしょうか。と言うことは、考え方と行動で、周りからフィードバックを得られれば、あるいは「好きになれない自分を、好きになれる自分に」変えることも出来るわけで…。その途中に感じる“ストレス”にさえ対処出来ればね(^^)。
maison0163 at 23:54│コメント(0)│
March 12, 2007
前回が去年の7月11日付けでした。かなり間を空けましたが、懲りずに再開(((゜д゜;)))！ …だって、宙ぶらりんってイヤなんだもん。
せめて、TOP画像くらいは綺麗ドコでも使っておこう（第一号はミラ・ジョヴォヴィッチ♪）。
…………………………
１）自分は人より出来るんだ！
イチローさん。はい、メジャーリーグの方で、朝食はいつもカレーライスっていう…（違！）。いつぞやの彼の打率、３割５分は「すごい」。でもこれは３割５分がすごいのではなく、他選手と比べたらすごいってことですよね。テストで３割５分（35点）とすれば、間違い無く「赤点」です。それでも、例えばかなり正答率が低ければ（平均点が19〜25点だったら）、35点は「すごい」「よく出来た」となる筈では？
人って、「自分が出来るか出来ないか」と言うことは、「絶対評価」もするでしょうが、周りと比べて上か下かを見る「相対評価」をすることが多いんです。そうして自分の能力を判断する…こんな比較を「社会的比較」と呼んでいます。ぶっちゃけると対人的比較ってことです。
自信を得るには「確信」が欲しいところです。この確信（真実性）を求めるには２つのアプローチがあります（「物理的真実性」と「社会的真実性」）。
例えば、「僕（私）はスポーツが出来る」と言う自信を見てみると…
水泳で1000m泳ぐ、100mを９秒で走る、走り幅跳びで５m跳べる、と言った科学的測定・分析を行うことは「物理的真実性」に当たります。
ところが、案外これだけでは「自信を持つ」には心もとないワケでして。
そこで出てくるのが「社会的真実性」を求める態度です。要は、他の人より早く泳げる・早く走れる・遠く跳べると言う、周りとの比較なんです。
そもそも、数値なんかで表現出来ないのが、巷にはびこる社会基準。忍耐力、統率力、社交性等々は、人との比較による評価や、周りからの評価がベースにならざるを得ないわけでして…。
悲しいかな、他人と比べて一喜一憂するのが人の性（さが）なワケなんですな(+_+)。
２）心理学者モスとガーゲンの実験
「あなたは自分に自信がありますか？」…こう訊かれたら、「ある！」と胸張る人もいれば、「全然…」としょげる人もいるでしょう。ですが、こんな「自己評価」は一定したものではないですよね。自己評価が「社会的比較」によるものであれば、競り合いで負け続ければ、自尊心は傷付き、自己評価も下がります。逆だと自尊心は高まり、自己評価も上がります。
これをわざわざ実験で証明した学者が、アメリカのモスとガーゲンの両名。
実験は至って簡単です。誰もいない部屋で、被験者の学生が一人で、自己評価を含むアンケートに回答するんです。前半終了後、もう一人の被験者が入室し、テーブルの反対側に座り、やはりアンケートに回答し始めるんです。後から入って来た人物を見ると、キチッとした身なりをしていまして。筆記具を出したアタッシュケースには、ややこしそうな数学や哲学の本が見えます。彼は用紙を受け取ると、テキパキと答え出す…。かなり「優秀」に見えるんです。そのうち、当の学生は後半のアンケートを受け取ります。実は前半のアンケートと同じ自己評価の質問が入っていて…。
実験終了。
見事に後半での自己評価は下がっていたんです。
逆に、同じ状況・条件下で、今度はだらしなく、ボケェとしていて、頭をボリボリ掻きながら答える被験者を目の前にした学生の後半での自己評価は…
見事に上がっていました。
「人のプライドや自尊心は、結局は他人との比較から出来ている。」…実験の結果がこれです。
ただ個人差はあるでしょうがね。これを「いや、そんなことはない！」と否定する方もいるでしょう。あくまでも一般論の話なのでご了承をばm(_ _)m。
３）安心の条件
人と自分を比べたがるのは「対人比較欲求」と言って、程度の差はあれど、皆が持っているものでして。
では何故比べたがるのか？「自身が快適な暮らしをおくるため、自己評価を明確にした上で、それを安定させたいがため」…と言っているのは心理学者のフェスティンガー。その自己評価を安定させるためには、自分の位置がよく分かる、自分と同じくらいの位置にいる人と、比較をすることなんだそうでして。
確かに、学生は友達と、リーマンさんは同僚と、主婦は近所の主婦仲間と比べたりするのが多いかも。自分のレベルが周りと同じだと安心するわけです。「社会的真実性」が確保されるんですね。サポートも得られるんだと感じるとのこと。
なので、逆に自分と同じレベルの人が周りにいないと、比較したい相手が不在なため、社会的真実性やサポートが得にくい。イコール、不安定な心理になるワケなんですなぁ。
女子校でこれを調べたのが心理学者のムーサとローチの両名。それによると、自分がとびぬけて美人と思っている女子高生（←ブッ潰す ※個人的主観）は、心理的に実は不安定でいると言うんです。
自分が絶世の美少女と思い込む、トチ狂女子高生（←言い過ぎ ※個人的主観）は、自分と比較出来るような美人が周りにいないので（←この鬼畜、どうにかせぇや！ ※またも個人的主観）、日常では社会的真実性やサポートが得られずに不安定でいるそうな(｀∀´)y-~~~~。
で、フツーな女の子は、仲間を持つ強みから、心理的には安定しているんだそうです。やっぱりフツーがいいよ、フツーがね。一流気取りのエリート、セレブなんてゴー・トゥ・ヘル♪（←醜い妬み的主観）。
４）向上心のある時とない時では…
最後に…
「社会的比較理論」では、意見や考え等を人と比較する場合、自分と類似した考えの人を選ぶとしています。それによって、「社会的真実性」とサポートも得られるため、自分の意見に確信や安心が得られるからだと言うんです。
では能力の場合は？ だいたいは同じことが言えるんですが、能力では優劣がありますよね？自尊心に大きな影響を与えるので、ちょっと異なる心理があると言われています。個人個人の性格や、その時の心理状態で、自分より少し上の、または下の人を比較する対象に選ぶとしています。
ここでは社会的比較欲求の３タイプを見てみましょう。
� 嵶犹�志向の社会的比較」
これは、考えや価値観の安定感が欲しい場合。「社会的真実性」を確保し、同類からのサポートを求めているので、自分と同じレベルを求めます。
�◆峺�上志向の社会的比較」
自信のある時がこれに当たります。向上心にみなぎっていて、自己成長や自己表現のための比較対象が欲しいので、自分より上と比べたりします。自分より少し上の人を目標にして踏ん張り、追い付き追い越し、自分の能力を高めようとするワケです。「自己高揚の社会的比較」とも呼ばれているんです。
��「下向志向の社会的比較」
逆にスランプな場合は？圧倒的な勝利で自信をつけたい、優越感を持ちたい、安心したいわけです。なので、自分より下と比較しようとするんです。自分より出来ない人、外見の悪い人、貧しい人等と比べ、それよりはましだと安心したい心理が働きます。よって、「自己防衛のための社会的比較」と表現出来ます。
自信や自尊心の状態で、比較の対象は変わるんです。
…………………………
こうやって見ると、自信なんて結局は、他人と比較して得られる「砂上の楼閣」みたいなもののように思えます。
ですから…
自分に自信がないからと言って自己卑下する方は、そんなに自分を責める必要はないんです。自信なんて結局は、そんなものなのだから。心の持ち様一つ。
根拠のない「お山の大将」よりはマシかもよ。
ま、日常生活に支障をきたさない程度の自信は、あるに越したことはないでしょうけどね(・ω・)/。
今回はこれにて〆♪。
maison0163 at 00:28│コメント(0)│
July 11, 2006
前回は「私的自己意識」と「公的自己意識」についての話をしました。で、今回は「イヤな自分としっかり向き合うことは実は難しい」という話から。いや、前々回の話のアンチものではないですよ。一応…。
…………………………
1）理想と現実〜好意的評価と否定的評価
僕は前の職場（総合衣料スーパー）にいた時、よく「◎◎◎が◆◆◆円と大変お買い得になっておりま〜す！」といった類いの言葉をエンドレステープに吹き込んで店内に流していました。実は自分の声をひっきりなしに聞き続けることに慣れるまで、かなり嫌な気分を味わった記憶があります。録音した自分の声を聞くといたたまれない気持ちになりません？また、カメラを向けられたりすると「やめてよ」って気持ちになったりとかは？皆ではないでしょうが、このように感じる人って少なくはないでしょうね。注意が自分に向いて、改めて自分自身を見ると、色々といたらないところに目がいってしまうもの。これって、いつもは意識していない「自己意識」が呼び起こされ、現実の自分の姿を突きつけられるからだとのことです。
「理想とする自分の姿」っていうのは誰しも持っているものです。見た目はこうだ、声はこうだ、服装はこうだ…みたいなイメージですね。でも実際の自分と理想のイメージっていうものには大概ギャップがあります。そのギャップを知ると「自己評価」が下がり、不快な感じ絵お抱いてしまうというのです。
心理学者のギボス、そしてウィックランドはこのことをある実験で証明しました。
第一印象の実験であるとされて、先ず知らない女性に自分の声を伝えるという目的で男性は自分の声を録音します。次に初対面ということで、顔や容姿だけを一瞬だけですが互いに見ます。ちなみに女性は美人です。次にその女性から、声から判断した自分の第一印象を伝えられます。その内容は、
『彼の声から判断してきっと楽しくやれそう。ぜひお会いしたいわ。』
というものと、
『彼の声から判断して楽しくやれる自信はないわ。あまり会いたくないわ。』
というものの2パターン。前者は「好意的評価」、後者は「否定的評価」です。
その後、実験の作業として、録音したものの内容の分析をするのですが、この時、録音したテープが2台あり、自分の声のテープ、他人の声のテープ、どちらをやってもよいとされます。
この実験で調べられたことは、この時男性がどちらのテープを聞こうとするかということなのです。
結果、好意的評価を受けた男性は自分の声のテープを長く聞き、一方、否定的評価を受けた男性は、自分の声をあまり聞こうとしませんでした。
現実の自分と理想の自分とのギャップが小さければ、自己評価が高揚することで快感を得、逆にギャップが大きいと自己評価は低下し、不快感を得るわけです。自分の声を聞こうとしなかったということから、人は不快感から逃げ出そうとするという結論を出したわけです。
…まあ、自分の声を聞くといたたまれない気持ちになるというのは、単に「照れ」だという場合もありますけどね。
2）正直に行動するか、周りに合わせるか？
「私的自己意識」が高い時と「公的自己意識」が高い時とでは、人のとる行動は異なってきます。前者が高い時だと、自分の考え、気持ち、態度に注意が向きます。なので、自分の信念や価値観に基づいて行動します。後者が高いと、人の目が気になるので、いつもよりもより他人の期待に応えようという風に行動します。
前回の「さいころじかる・らぼ」で話した「フェニングスタインの自己意識性格テスト」で見たマルの数で、こうした行動パターンが読めるということになりますか…。
これを実験で証明したのが心理学者のフローミング。
先ず大学生に体罰のアンケートを行います。「自分は体罰は反対だが、他の多くの人は体罰に賛成している」と思っている学生のみを被験者にします。その被験者が教師役となり、生徒に記憶学習をさせ、生徒が誤る度に電気ショックを与え（どこぞのバラエティー番組のベタ企画みたいやね♪）、学習に与える罰の効果を調べました。
電気ショックは間違う度に与えなければならないのですが、その強度は1から10までのボタンのどれでも自分で決めていいことになっています。生徒役は20問間違えます（この役ヤダなあ！）。そしてその都度電気ショックが与えられます（普通にヤダ！）。
ただ、この実験では2つの細工がされています。一つの条件ではボタンの方に小さな鏡が置かれたのです。教師役の人には電気ショックのボタンを押そうとする度に、その鏡に自分の顔が映し出されます。もう一つの条件は、被験者の教師としての能力を評価する観察者役の人がそばに立っています。
この実験の結果とはどういうものだったのか？
鏡を見て私的自己意識を高めた人は、自分の信念「体罰は良くない」というものに従い、弱めの電気ショックを送りました。一方、観察者に見られている人は、他の人は体罰に賛成していると思っているので、見られていると周囲に合わせてしまう…即ち、強い電気ショックを与えたというのです。
要は、人って世間体に弱いということなんですねえ…。
次は「自信」についてがテーマです。
ではでは〆！
June 28, 2006
このシリーズ、出直しです。てか、こういう話題の方がまだカタッ苦しくないかなと思いまして。で、テーマにあわせて、かなり癖のある人間関係の真っ只中にいるこの人がテーマ画像♪。
…………………………
１）自分を見ている自分の視線
ところで下に10個の項目があるのですが、自分に当てはまると思うものはいくつありますか？マル印をつけてみて下さいな♪。
１）自分のしたことについて反省することが多い。
２）人が自分をどう思っているのか気になる。
３）自分の気持ちに注意を向けていることが多い。
４）人によい印象を与えているかが気になる。
５）いつも自分のことを理解しようと努力している。
６）人に自分をどう見せるか関心がある。
７）いつも自分が何をしたいのかを考えている。
８）自分の外見が気になる。
９）自分自身の感情の変化に敏感である。
10）自分の髪型や服装にはいつも気にかけている。
これ、「Fenigsteinの自己意識性格テスト」と言います。さてさて、マルの数を見る前に「自己意識状態」というものについて少し触れてみます。
「ああ、あの時彼（彼女）からイヤな人って思われなかったかなぁ〜。」
「あ〜っ、イライラする！頭にくる！オカシクなりそうだ！」
「あのプレゼント、失敗したかもしれない。」
これらの思いに共通する点って何でしょう？ネガティブ？それもあります。もう一つ、それは「自分で自分の心の内を考えている」状態にあることです。他にも例えば、カメラを向けられるとつい髪に手を当てたくなったり、自分の容姿のことが気になったりする時ってあるでしょう？自分は周りから見るとどんな風に見えるのだろう？と自分の姿を考えたりします。これも「自分に対して意識が働いている」パターンです。こうした状態を「自己意識状態」といいます。
普通は人って外の世界に意識が集中しているものです。通常、自己意識状態に人はないものです。何かをやっている時、そのことに集中していてあまり自分のことって意識しませんよね？これが普通の意識状態で「外部意識状態」といいます。ところがいざヘマをやらかすと、「自分は何故こんなに下手なんだろう」と自分の内側に目が向くわけです。
自分に目が向いた自己意識状態になるとマイナス思考になりがちなのです。たいていの人はあまりいい気分ではいられません。居心地の悪い心理状態となります。ですが気を取り直し、作業なり何なりに向かうと目は再び外側に向かいます。そうして通常の外部意識状態となるわけです。
ただ人によっては、やたら自分のことを意識しているタイプの人と、殆ど自分には目が向かず外に集中しているタイプの人がいます。心理学者のフェニングスタインはこうした自己への注視を各々の人の性格として捉え、自己意識の特性を分類するテストを考案しました。それが冒頭の「自己意識性格テスト」なワケです。
このテストで点数の高かった人は、頻繁に自分のことを注視している人で、自己意識が高い傾向を持っているとなります。
では、先程のテストでつけて頂いたマルの数を数えてみて下さい。
１〜10のうち、マルの数が
３以下の人：自己意識が弱い人
４〜６の人：自己意識が強い人
７以上の人：自己意識がとても強い人
となります。
で、ですね、１〜10のうち奇数項目が「私的自己意識項目」、偶数項目が「公的自己意識項目」となるのですが、
奇数項目でマルの数が
１以下の人：私的自己意識が弱い人〜
２〜３の人：私的自己意識が強い人
３以上の人：私的自己意識がとても強い人
偶数項目でマルの数が
１以下の人：公的自己意識が弱い人
２〜３の人：公的自己意識が強い人
３以上の人：公的自己意識がとても強い人
…という具合になります。如何でした？
２）額にＥの字を書くだけで性格が分かる？
ところで「私的自己意識」と「外部自己意識」という言葉を出しましたが、これって何々でしょう？
「あ〜、ムカつくっ！」と思うのは自分の感情を意識している私的自己意識状態にあるわけです。自分の考え、好み、欲求、希望などもそうです。自分の心の内のことで、他の誰にも分からない、自分だけが意識できる自分の心理状態です。
もう一つが公的自己意識状態。自分が周りの人からどう見られているか、という外側から見た自分を意識している状態です。例えば大きな姿見に自分を映した時、ビデオモニターに自分が映し出された時など、何かしら恥ずかしい気持ちになる人は少なくありません。こうした、外から見た自分を注視している状態がそうです。
ハスという心理学者が面白い実験をしています。これで、カメラが自分に向けられると人は公的自己意識状態が高まることを証明しました。実験内容は被験者に一言、こう指示しただけです。
「あなたの額に利き手でアルファベットの大文字のＥという字を書いて下さい。」
その時、テレビカメラを用意し、その様子をビデオに収録すると伝えるのです。
額のＥという字には二通りの書き方があるのですが…想像つきます？
自分の頭の中から見て正字のＥと、外の人から見て正字のＥです。もし人が、他の人が自分をどう見るかという公的自己意識状態が高い状態にあると、外から見て正字のＥを書きます。
この実験、アメリカ人学生と日本人学生とを対象に行われたのですが、テレビカメラを向けない時に同じような指示を出すと、アメリカ人学生は自分の頭から見て正字のＥを書く人が多かったのです。つまりは、外の人から見ると、鏡に映って逆になったＥになるわけです。それだけカメラを向けられている場合は、見られている自分への意識が強かったということになります。
ところが、
日本人の学生は、カメラがあろうとなかろうと、約半数の人が外から見て正字のＥを書いたといいます。この実験では「日本人は人からどう見えるかを意識し過ぎ」となるワケでして…。
ちなみに僕はアメリカ人学生と同じパターンでした。
ハイ、それだけエゴイストってことでございますが何か？
いや、いるだろうよ、俺と同じパターンの人ってさぁ（笑）？
…………………………
次回は自己意識と自己評価、行動について触れてみたいと思います。
ではでは♪
April 19, 2006
面白いのがあったので紹介します。
…………………………
「あなたは誰？」と訊かれたら何て答えます？
何でもいいので20個、思いつくままに書き出してみて下さい。
「私は…」「私のことを…」「仲間は自分に…」と書き出しは自由。思いつくままに書いてみて下さい。所要時間は10〜15分程度でお願いします。
…ある一人の学生さんの例です。
1. 男
2. 学生
3. のんきもの
4. 田舎生まれ
5. 女にもてる
6. 風邪をひいている
7. 単位が欲しい
8. 合わせる
9. ラーメン好き
10. 背が欲しい
11. 目が細い
12. 好きな子にはもてない
13. 統計は嫌い
14. ドイツ語好き
15. カレー大好き
16. ほどほど
17. 4月1日生まれ
18. 気が多い
19. デジタル人間
20. 21歳
これですが、繰り返し出てくる似た内容は、その人の心がそのことによって占有されていることを示唆しているんです。
上の例だと、「女の子にもてる」「好きな子にはもてない」「気が多い」という異性関係の内容が3回出てきています。この男子学生にとって関心の強いことは異性関係であって、特に「好きな子にもてない」ことがキーになるように思われます。また、「目が細い」「背が欲しい」という身体的不満も出て来ています。また、「単位が欲しい」「統計は嫌い」「ドイツ語好き」と、学生生活も関心のある領域になっているようです。
さて、
書かれた内容をグループ分けしてみて下さい。このことは自己理解に役立つことになると思います。例えばこんなグループ分けはどうでしょう？
1. 社会的区分： 男、学生、地方出身…
2. 個人的社会関係： 4月1日生まれ、野球部、仲良し3人組…
3. 他者の評価の目： まじめと言われる、人気者、嫌われ者…
4. 身体特徴： 背が低い、高齢…
5. 趣味や関心事： 猫好き、楽天ファン…
6. 能力?技能： ラーメン早食い、英検2級…
7. 性格特徴： のんきもの、ものぐさ、陽気、心配性…
8. 願望： 単位が欲しい、好きな子にもてない…
9. その他： 風邪をひいている、これからバイトに行く…
次に、書かれた事が本人にとって好ましいことであるかどうかを見て下さい。
A. 肯定的（positive）： まじめ、陽気…
B. 中性的（neutral）： 男、日本人、学生、21歳…
C. 否定的（negative）： ものぐさ、陰気、もてない…
もしも分けにくい項目があれば、それが自分にとってどういう意味合いがあるかを考えて判断してみて下さい。例えば、21歳というのは一般には中性的な事実と考えることが出来ますか？本人としては、21歳になってしまった、嫌だなと感じているのなら、それは否定的なカテゴリーに含めてもいいでしょう。まだまだこれからだという希望や抱負で21歳を捉えているのなら、肯定的に含めていいでしょう。
…………………………
これは“Who am I?”test、 “Who are you?”test、または「20答法」と呼ばれる心理アセスメント（心理査定）の一ツールです。自分がどういう人かについて、20個の表記をして、その全体から自分の心理動向を理解するというのが目的です。それらを上記のように二通りに分類してみます。
否定的に捉えているものがあれば、どうしたら肯定的になるのか、この記述を言い換えるとしたらどういう表現になるのか、そういう風に見直す機会にもなるでしょう。
（「自己理解ワークブック」福島脩美 著 〜金子書房）
maison0163 at 19:38│コメント(0)│
January 16, 2006
どうもおひさしブリジット・バルドー（ｂｙ山○邦○…ブリジット・バルドーをご存知の方、いいお歳ですな♪）…あ、コケた。え、えっと、今年最初の「さいころじかる・らぼ」です。２００６年最初のテーマは、のっけからなんですが、「フェチ」のお話です。…………………………
１）フェティシズムって何？
「フェチ」って、実は男性にかなり多い…というか、本来の意味での「フェチ」って女性には殆どいないんですよ。知ってました？「フェチ」…フェティシズム（fetishism）の対象となるものをフェティッシュと言います。これ、元々は「対象物」という意味でして。人の体の或る箇所、または物に異常に執着し、強い性的興奮を起こす、そしてこれが半年以上続いて、日常生活を送ることに支障を来たす状態になったものを、精神医学的に「フェティシズム」とされるんです。このフェティシズムという言葉、日本語にすると、「節片淫乱症」「物・性愛」「拝物愛」「節片嗜愛」「呪物崇拝」「崇物症」「異物崇拝症」とまぁ、色々に訳されています。「〜が好き」というぐらいでも「〜フェチ」なんて言いますよね？これ、精神医学的定義と世間での定義とにズレが出来ているんです。
では先ず、精神医学的な意味合いでのフェティシズムを見てみましょう。
フェティシズムは「性的倒錯」または「性欲異常」の一つとして考えられています。性欲は食欲なんかと一緒に、命や種の保存に必要不可欠な欲求ですよね。身体と密接な関連を持つ最も基本的な欲動の一つです。これが平均よりも著しく逸脱した状態のことを性的倒錯と呼びます。
ここで昨年長々とやらかした「フロイト・ワールド」を振り返ってみましょう。…人間の性欲は、実は自然的本能とはかけ離れたものになっています。セックスと生殖とは必然的な繋がりを持っていないわけです。口唇期に始まり、肛門期、男根期、潜伏期、そして性器期と、性欲が最終的に異性との性器の結合を目指した性器性欲へ正常なルートを通って到達すればいいのですが、そうでない場合もありえます。どこかの段階で止まってしまったり、ある段階で性欲を満たすことが出来ず、他のものに対象が移ったりしてしまうケースが「性的倒錯」を招いてしまうと言うのです。幼児性欲がうまく性器性欲へ移行していかなかった時、異性との性器の結合以外での行為で性的快感を得るようになるのだ、というのがフロイトの理論です。
こうした性的倒錯の方々は、その性欲の発達が正常なルートをたどらなかったのだ、とフロイトは言います。しかしいわゆる正常なセックスですら、人間の場合は生殖とは結び付いていません。子供を生むためだけにセックスをする人はごく一部でしょう。人間のセックスは生物的な行為でなく、一つの、大きな意味合いでの「文化」となっているわけです。文化だからこそ、様々なバリエーションがあるのだとフロイトは気付いた次第です。
２）性的倒錯って何？
次は性的倒錯の分析です。
性的倒錯は「量的な倒錯（性欲亢進と性欲減退）」と「質的な倒錯」に大別されます。この「質的な倒錯」は更に、「性対象に対する倒錯（同性愛、フェティシズム、小児愛、死体嗜愛など）」と「性目標に対する倒錯（露出症、窃視症、フェティシズム、サディズム、マゾヒズム）」に分類されます。フェティシズムにおいては、性器そのものよりも、手や足、耳などの身体の一部や、下着、靴といった身につけるものなどが性欲対象となります。窃視症の人は、セックスそのものよりも、覗き見ることで興奮を得ますし、露出症の人は自分の性器を露出することから興奮を得ます。また自分のセックスを人に見せることで快感を得る人や、糞便を見て性的に興奮する人、死体を見て性的快感を得る人もいます。ちなみにフェティシズムは異性愛者に見られますが、同性愛者にも見られます。この場合、同性の代償として考えられるものがフェティッシュとなることが多いようです。
では、このフェティシズムなるものは百害あって一利無しのものか？いえいえ。適度なフェティシズム的傾向は、恋愛や正常な性行為には必要なものです。しかしこうした傾向と、性的倒錯としてのフェティシズムとには違いがあります。適度なフェティシズム的傾向は、究極的には全体としての相手となる人物が対象です。しかし性的倒錯としてのフェティシズムは、身体の一部や物品それ自体に固着して性欲を感じ、性的満足を得るのです。ですからフェティッシュさえあれば、全体としての対象は不要なわけです。セックスさえ不要となる場合さえあります。むしろセックスそのものでは性的満足を得られないか、得られても快感の度合いが極めて低くなってしまいます。つまりフェティシズムとは、性対象に対する倒錯であり、性目標に関する倒錯でもあるのです。
ちなみにフェティシズムという性的倒錯それ自体は罪にはなりません。ブルマーやセーラー服などの制服や下着なんかを売っているブルセラショップなる店を利用すること自体も、まさかそれだけで罪となることはないでしょう。ですが、下着泥棒を初めとした、フェティシズムに基づいた窃盗や強盗、果ては殺人となると話は勿論別となります。余談なんですが、こうした犯行で逮捕・裁判となった場合、判決に「治療」というものが特別遵守事項として付加されることがあります。この治療には薬物治療があります。まるでバイアグラとは相対するものがあります（性欲亢進剤があれば、減退剤があってもいいでしょう）。「サイプロテロンアセテート」というもので、これを連用すると１〜２週間で性欲、性交能力が著しく低下ないし消失してしまうというんです。この薬を断つと、比較的早急にこれらの能力が元に戻るともいいます。市販名は「アンドロクール」という薬です。
しかし、性欲そのものを押さえ込むだけでは不十分でしょう。精神療法との併用は不可欠です。
３）何故「フェチ」は男性ばかりに？
ところで、現代のフェティシズムが性的な欲情だけでは捉えられなくなってきています。男性は興奮したい時だけでなく、安心感を得たい時にもフェティシズム的傾向になると言うんですよ。例えば下着フェチの人は、集めた下着を見ているだけで興奮もしますが、一方で心が落ち着いたりすることもあるらしいですね。まるでおじいちゃんの盆栽いじりみたいです。いじったり眺めたりして安心するというケースと似ています。興奮と安心という両極に位置する心情を求めているのです。
では何故、こうしたフェティシズムが男性にしか見られないのでしょう？例えば、女性でもブランド品を集めている人っていますよね？泉ピ○子なんて自称「シャネラー（シャネルフェチ）」「キティラー（キティちゃんフェチ）」ですし。でもこれは、「他人に見せびらかせてやりたい」というはっきりした目標があります。それに対して、車だの切手だの特撮ものフィギュアだの、はたから見ると価値があるのかないのか、「？」なものをひたすら集め、整理し分類することで満足するコレクターというのは、女性よりも男性に圧倒的に多いです。こうしたコレクションは、自分一人が満足すればよく、自己完結しています。実はこの点がフェティシズムと類似しているんです（コレクターの方々からカミソリでも郵送されてきそうですが…不快になられたらごめんなさいね。ちなみに当方もそういう意味では「フェチ」持ちですから♪）。
要は、フェティシズムにせよコレクションにせよ、「世界を自分の好みの視点から見たい」「自分一人だけの世界を持ちたい、そういう世界に浸りたい」という欲望心理がバックグラウンドとして存在するわけです。他人からの意見や視点、価値観なんて関係ないわけで、自分を中心とした自分だけの世界を作りたいということです。そして、同じ嗜好の人がいたら仲良くなりたい、そして自分の世界を更に充実したものにしていきたい、そういうわけなのです。
では何故、男性にはこうした想いが強いのでしょう？それは男性の潜在意識の中に「ただ生きているだけでは存在価値がない」という心理が潜んでいることが原因だという意見があります。
女性は子供を産む生き物です。そのため、それだけで世界での存在価値があるわけです。子供を作り、育て、次の世代へと種を伝えていくという使命ですね。この使命が男性にはありません。明確な存在価値がないのは誰にとっても不安なことです。ですから宿命的に何かにこだわってしまう…。その方が生きることが楽でいられるからなんです。そういう見方をすれば、性的であろうとなかろうと、フェティシズム的傾向は…、いやこの場合では敢えて「フェチ」と言い換えましょうか、「フェチ」的傾向は男性の方が圧倒的に高いんです。
「フェチ」は「自分の架空の世界を持ちたい」という欲求の表れです。つまりそれだけ「フェチ」度が強いほど、現実生活がうまくいっていない証となるわけです。心のどこかに何かしらの欲求不満（現実の生活のことであったり、幼少の記憶であったり、心の奥に抑圧しているものであったり…）があり、それが強いものであればあるほど、「フェチ」やコレクション、又は無用なこだわりに現れてくるということなのです。
…………………………
…こう言いましても、では全てのコレクターやこだわりを持つ人に対して、「それは欲求不満が潜在意識の中にあるからだ！」とやるのは聊か乱暴な気もします。では京○○樹の特撮オタぶりも、彼の心のどこかに鬱屈したものがあるからだと断言してもはばからないことになってしまいます（鬱屈しているの？ねえ、どおなの？）。今回の話はあくまでも「一般論」です。
どこまでがノーマルで、どこからがアブノーマルか、この線引きはやはり、日常生活に支障を来たしているか否か、というところで出来ているのでしょうね。しかしアブノーマルに入っている当人の方々は、生活に支障を来たしているとは思っていないでしょうし。
確かに、こうした「フェチ」も一つの「文化」であり、だからこそ様々なバリエーションもある…。そう結論付けた方が一番妥当かと思われます。
ではでは♪
※ちなみに、女性のフェチ犯罪ってのもあります。有名処は阿部定事件ですね。ただし、女性のフェチ的傾向がある犯罪というのは、その根源が男性とは異なり、専ら怒りとか怨恨の情がベースになっているので、そこのところはお間違えのないように。
maison0163 at 15:48│コメント(1)│
December 29, 2005
今年最期、もとい、最後の「さいころじかる・らぼ」です。…………………………
いよいよ大詰め。彼らとの「向き合い方」です。一つ忘れないで欲しいのですが、彼らのことを見下すような態度はとらないで下さい。同情や哀れみもいけません。僕たちと同じ一人の「人」ですから。
そして、以下のことは介護をするケアワーカーの方たちにも共通する部分があるかと思います。
６）ナルシシスティック・ソサエティ
ところで、こうした「困ったちゃん」が増えてしまった背景は何でしょう？やはり社会的なものでしょうか。ナルシシズムを肥大化させる要素が今の社会には豊富なのでしょう。
人間は３歳くらいまでの時期に、赤ん坊の原始的・幻想的な自己愛状態から一度脱却して、現実と繋がった人間になる必要があると言います。これを「第一次去勢」と呼びます。現代ではこの「第一次去勢」を行うことを、教育上よくないのでは？とされ、子供本位の子育てをすることが一般的になっています。こうして多くの子供が第一次去勢を通らずに成長してきているわけです。そこで誇大な自己像、全能で完璧な自己像を捨てきれないまま成長してきているので、現実世界での挫折をうまく受け止められず、様々な問題を引き起こしているのだという意見があります。
また、現在は現実が虚像化した時代だとも言われています。最近のＰＣの普及率も典型的要因の一つでしょう。このＰＣ、またテレビ等の発達は、現実の世界とバーチャルな世界との境を曖昧にしました。現実世界の煩わしい対人関係を避け、テレビやゲーム、インターネット等の虚像世界にエスケープし、ナルシシズムの崩壊を自ら拒む人たちが増えています。そして、彼らにとってバーチャル・イメージの力は肥大し、自分の現実が空しく無意味なものになってしまう。その中で精神のバランスを欠いてしまうと言うんです。
もっと身近なところに視点を移しましょう。今の子供とその親との関係が、昔と現在とでは変わってしまっています。親の子供に対する過保護、または虐待というものが今では顕著ですよね。確かに昔も厳しい親というものはいました。ですが、今では子供の叱り方を知らない親、愛し方さえ知らないという親が多くなったというのです。これは極めて異常な事態です。
例えば、こうしたナルシシズム、人格障害、神経症や精神疾患、引きこもりや自殺行為、犯罪といった行動（「社会的不適応」と呼びます）を起こす主な原因として挙げられているものが、「機能不全家庭」と幼少時代の「外傷体験」です。
「機能不全家庭」とは、子供が育つ環境として必要なだけの機能を果たさない家庭のことを言います。親がアルコール依存症だったり、浮気を繰り返して家にろくに帰ってもこなかったり、自分の神経症的な心理のため子供に当たりちらしたり、冷酷な態度で接したり、矛盾を強要したり等々。この場合はたいがい子供の親に原因があります。そんな家庭の中では、子供は子供らしく振舞えません。そのため子供らしい気持ちや感情、考えや思いを抑圧するハメとなってしまいます。このような子供が「アダルト・チルドレン」と言われるのです。そして抑圧された子供らしさは、大人になった時の「インナー・チャイルド」となってしまうわけです。
「外傷体験」は、親による子供への虐待行為により、子供が心身に様々な傷を負ってしまうという体験のことです。この「外傷体験」が原因で引き起こされるものには、「ＰＴＳＤ」、ある特定の「恐怖症」(「単一恐怖」)、「身体表現性障害」といった神経症、今お話ししている「人格障害」、「解離性障害（解離性ヒステリーと呼ばれていた）」や「解離性同一性障害（いわゆる多重人格）」などがあります。
子供を甘やかす親の場合、親自身が子供の頃に抑圧された「甘えたい」という気持ちが表面化しているということもあるそうです。何か子供が辛い経験をすると、そういう親はその子から件の辛い経験を忘れさせようとしてしまいます（何か物を買い与える、どこかへ遊びに連れて行く）。ただ、このこと自体は時には気分転換を図るのにはいいでしょう。ですが、それ「のみ」ということが問題なのです。また、子供と一緒に、その子供の辛い経験を話し合うことを避けたがる親がいます。そういった親の心では、自分の子供に対して「かわいそう」という同情の気持ちを持っています。同情しながら、親は「かわいそうな」子供に接していきます。それが辛い思い出、経験を子供の心の内に抑圧させてしまい、そのことから何も学ばせないという状態を作ってしまう…。抑圧された辛いものはそのまま消えず、結果何かにつけてすぐに落ち込んだり、ヤケになったりする子供が出来てしまいます。挫折しやすくなるわけです。我慢できなくなり、「キレやすい」子供がそこに残ってしまうのです…。
７）コミュニケーション
ここから紹介する事柄は、例えば介護職に就いている方々が、サービス利用者の方と接する際にも活きる共通部分があります。ですが決して、これをお読みの方に素人カウンセリングをお薦めするものではありません。対話の相手を理解するために役立つであろう態度をご紹介致します。
…と言いつつ、僕にとってもこれは課題の一つなんですけども。
� Х皇阿梁崚戞�
どんな人との対話にも不可欠なこと、基本中の基本、それは「傾聴する」態度です。「なんだ」と思われた方もおられるかと思いますが、実際そうなんです。これがないがしろにされることって実は少なくありません。とにかく先ずは聞くことが第一。相手の話を遮ったり、相手の沈黙にしびれを切らしたりせず、親身になって話を聞くことです。傾聴の態度には、話を聞く側の自己顕示欲を抑えることも大切です。
�◆ФΥ兇梁崚戞�
「共感」がどういうものかは以前の話に任せるとしまして、一つ留意すべき点があります。共感性に欠ける人たちが増えてきた原因は、その人たちが共感されてこなかったから、共感することが出来ないということかもしれません。
「共感すること」イコール「相手の言うことにすべて同意する」ということではないことを忘れてはいけません。何故なら、ナルシシズムに陥ってしまった自己中心的な人たちの多くは、事実を歪めて認識しています。彼らの話す対人関係（親子同士、職場間）等をそのまま丸呑みにするわけにはいかないのです。彼らの話を鵜呑み丸呑みにし、それに同調するような言葉を下手に口にすると、彼らの肥大化したナルシシズムは更に肥大し、彼らの問題が更に悪化してしまいます。
この場合の「共感」は、全ての人に対する「共感」と変わりはありません。ただ彼らの認識している現実を脇によけておいて下さい。そして、彼らの心の内に潜む感情の渦を理解し、その感情に共感を示してください。
「悲しい…」「辛い…」「裏切られた…」「寂しい…」「誰も自分のほうを振り向いてくれない…」、こうした彼らの想いを受け止め、理解することです。「何甘えてるんだ！辛いのは、寂しいのはお前だけじゃないんだ！」という理屈は通用しません。通用するのなら、それは相手が病的ナルシシズムの弊害を被っていないことになります。病的なナルシシズムにはそのようなものは効きません。
決して「同情」はしないで下さい。「共感」して下さい。
��：「転移」「逆転移」という現象を知る〜
「転移」「逆転移」とは何でしょう？これ、精神分析療法中に起こる現象です。ですが一般的にも十分あり得ることです。一般に「転移」とは、
Ａ：幼児期に抑圧された感情が現れる
Ｂ：様々な人間関係の中で繰り返し現れる
Ｃ：古い対象（父母）と新しい対象（上司、教師、医療担当者等）とが混同される
と言われています。平たく言うとこういうことです。本来ある人物に向けられるべき無意識的感情が、それとは別の人物に向けられることです。例えば、精神分析治療にて、被分析者が若い女性で、分析者が年配の男性である場合、被分析者が父親に対して抱いていた好意（或いは敵意）を分析家に向けることがあります。また、被分析者が男性で、分析者が女性だった場合、被分析者が昔の恋人に対して抱いていた感情を分析者に向けることがあります。これが「転移」というものです。この転移感情が行為や愛情の場合には「陽性転移」、憎悪や敵意の場合は「陰性転移」と呼びます。
しかし、自己愛性人格障害を抱える人の場合には、少し質の異なる転移があることをコフートは発見しました。それは「鏡映転移」と「理想化転移」というものです。「鏡映転移」とは、自己の全能感、誇大感を「母親の目の輝き」をもって映し出して欲しいという幼児の基本的な欲求が再活性化し、治療者に転移されるものです。そして「理想化転移」とは、両親を理想化した全能の存在として体験し、その理想化された親と融合し、同化したいという欲求が再活性化し、治療者に転移されるものを言います。
この転移現象は治療に利用されます。ですが、それは専門家のすることです。それでもなお、僕たちが頭に入れておいたほうがいいものが一つあります。それが「逆転移」です。これは例えば、分析者が治療中に被分析者に触発され、別の人物に向けられるべき感情（愛情や敵意）を被分析者に向けてしまうことです。このため、治療者（分析家）と患者（被分析者）との愛なんてものが生まれることもあるのですから。
ナルシシストや人格障害の方と対話をしている際に、こうした逆転移感情が発生することがあります。この感情に対する反応によっては、彼らとの関係はこじれたり、完全に切れてしまったりすることもあります。こうした転移・逆転移の感情に対しては、慎重且つ冷静に見据えなければなりません。不要な衝突や感情的対立を避けなくてはならないのです。自分の感情をコントロール出来ない時は、一度対話を止めて間をおくほうが無難というものです。
�ぁЮ賁膕箸僚�けが必要な場合があることをわきまえる〜
問題を抱えた人たちの中には、専門家の助けやアドバイスが不可欠である方が少なくないと思われます。そういった時に、「私こそが、この人のことを一番よく解っているのだ」という変なこだわりが出て、専門家に相談することをためらっていると、大きなトラブルになることがあります。特に相手が抑鬱状態であったり、妄想や幻聴、幻覚などの症状を引き起こしているときには要注意です。
自分自身が独りよがりにならず、一人で背負い込まないことです。
その方を囲む周りの人たちとの「チームワーク」こそが大事なのですから。
…………………………
…小難しい話でしたが、如何でしたでしょうか？
「ナルシシズム」については今回で最終回と致します。長々とお読み頂いた方には大変感謝いたします。そして、ここまで来るにあたり（『ナルシシズム� 戮�らフロイト分析学を経て、そして今回の『ナルシシズム�ァ挧�）、色々なものを参考にさせて頂きました。このことにつきましても重ねて御礼申し上げます。
ではでは♪
maison0163 at 22:29│コメント(0)│
December 22, 2005
立て続けに来ちゃった、うふ♪（殴）さて、一気にケリをつけますか！…ところで心理学とか言いながら、だんだん精神医学的な話になってきているなコレ。
…………………………
例えば家族（息子さんや娘さん、奥さんやご主人）にナルシシズムに陥ってしまっている人がいたら？親戚にそんな方がいるとしたら？また好きになった相手や結婚した相手がナルシシストだと後で分かったら？彼らとの接触を避けられない、またはどうしても避けたくないとしたら？
そのためには再度ナルシシズムというものが何なのか知る必要があります。相手のことを知らなくては、それにどう対応していいのかも分かりません。
…それに、ナルシシストの方々だって、好きでそうなったわけでもないでしょうからね。重病化して苦しんでいる方々（抑鬱状態に陥ったり）もいらっしゃる筈。それに、何故ナルシシストに至ったかを振り返ると、そういう風に追いやる状況があったわけです。彼らもナルシシズムの確固たる被害者なのです。
ここはナルシシスト叩きではなく、アプローチの仕方を見ていこうかと思います。
１）ナルシシズム論の発展
� Д優奪韻猟蟲繊�
ポール・ネッケという精神分析学者によると、「自分の姿や自分の肉体にのみ愛や性欲を感じる」という性倒錯を「ナルシシズム」と命名しました。実はこのポール・ネッケこそが「ナルシシズム」の発見者なのです。フロイトではありません。
�◆Д侫蹈ぅ箸猟蟲繊�
次いでフロイトは、もう少し広い意味を持たせ、「自分自身を、自分の身体を、愛の対象とする」ものを「ナルシシズム」と定義し、人間のリビドーの発達段階（性的発達段階）は、自体愛→自己愛→対象愛という順序で進むものと考えました。エーリッヒ・フロムは、「ナルシシズム」はフロイトの発見（フロイトによるナルシシズムの解釈内容）のうち、最も実り豊かで大きな影響を与えたものの一つであると評価しています。しかしフロイトのナルシシズム論は、彼の「神経症は自己保存欲動と性の欲動（２つのリビドー）との葛藤によって生じる」という理論をかなり複雑なものとしてしまい、彼自身も満足していなかったようです。しかし性欲論から始まった彼の研究の後半は、人間の全能感の問題、素ちナルシシズムの研究に費やされました。適応機制についての研究もこれに絡んできます（例えば適応機制の一つ、『反動形成』からもナルシシズムを説明することが出来ます）。
フロイトのナルシシズム論によれば、人を愛する成長した人間になるための第一歩は、「私を愛すること」、素ち自分自身を愛するナルシシズムなのだと言います。そのナルシシズムは「ダメな私を愛する」ことではなく、「何でも出来る世界一の自分を愛する」ことで経験されるわけです。しかしそのような自己愛は長続きしません。自己愛の傷付きを経験し、その中から自分の周囲の対象を愛するという「対象愛」が生まれてくると唱えています。これが「一次的ナルシシズム」です。
ちなみに「二次的ナルシシズム」についてフロイトは、自らの著書「ナルシシズム入門」の中でこう書いています。かなりムズイですよん♪。
《…例えばパラフレニア（精神分裂病）患者は誇大妄想と、外界の人物や事物からの関心の離反を特徴としており、自己のリビドーを外界から撤収している。誇大妄想は対象リビドーの犠牲によって生じるものであり、外界から撤収されたリビドーは自我に供給され、ナルシシズム的態度になる（二次的なナルシシズム）。また、同様なナルシシズム的態度は原始人（…不適切な表現ですが、彼の生きていた時代背景をご考慮下さい〜帝国主義全盛期）や児童にも見られる。このように、自我リビドーと対象リビドーには一つの対立があり、一方が余計に使われれば、それだけ他方が減ってゆく。後者の発展段階が恋着であり、その逆が偏執病者の世界没落の空想である。そして、自我に固有のリビドー（自我リビドー）と、対象に付加されるリビドー（対象リビドー）を区別することは、性欲動と自我欲動とを互いに区別するという仮説（リビドー理論）に基づいている。
（中略、と言うか、かなり略！！）
《…自我の発達は一次的ナルシシズムから距離をとることによって成り立ち、このナルシシズムを再び獲得しようと激しい努力を生み出し、自我理想を形成する。つまり、リビドーを自我理想に、理想の実現によって得られる満足感に移動させるのである。同時に、自我は対象割当のリビドーを送り出してきたものであり、自我はこのような割当と自我理想のために貧困になるのだが、対象満足や理想実現によって再び豊富になる。自我感情の一部は一次的なものであり、小児ナルシシズムの名残だが、第二の部分は経験によって裏書きされた全能性（自我理想の実現）に由来し、第三の部分は対象リビドーの満足に由来している。また、性的理想は自我理想に対して補助関係にあり、自我に理想をして欠けている長所を所有する者は愛されやすい。自我理想の実現が困難な人は、性的理想によって自我感情を高めようとするのである。最後に、自我理想は社会的な部分を有しており、家族や階級、国民の共有の理想でもある。この理想が実現されないと、罪責の意識が生じるのだが、それは元来、両親の愛を失うことへの不安から、後に不特定多数者への罪責感になったのだ。》
…（＞Д＜；）！？
ナルシシストは罪責感を感じないと言われています。しかし、それはひょっとしたら「感じない」のではなく、無意識の中に罪責感を抱え、それが抑圧されているということなのか？その罪責感が顕在意識に上がってきた時、自身の置かれた状況、そしてそうなるに至った原因を掘り返すことが、彼らのこれまで保ってきた自我の崩壊を呼び込むのか？
フロイトはナルシシズムについて、精神病・幼児のナルシシズムの研究から入り、その全能感と幼児性の克服こそ、自我の成熟の道であると主張しました。フロイトの理論に従えば、精神病は病的なナルシシズムへの退行と説明されます。
��：フェダーンのナルシシズム論〜
フロイトの弟子であったフェダーンは、
「人間にはその精神生活を安全に、しかも楽しく営む上で、必要不可欠な健康なナルシシズムというものがある。この健康なナルシシズムの満足は、あらゆる精神活動のエネルギーである。」
と主張しています。フロイトは、「病的な自己愛や、幼児的な自己愛のみをナルシシズムとみなしている」と批判しました。彼の理論によれば、精神病は健康な自己愛の欠如であるとしているのです。
…こうなってくると、ナルシシズムの解釈が入り乱れてきています。ナルシシズムと自己愛とは、ナルシシズムが本来の「神経症的心理」の意味合いを含めれば、両者は似て全く非なるものと捉えたほうがいいでしょう。
２）ハインツ・コフートの理論
最近になり、アメリカの精神医学者コフート（１９１３〜１９８１）が、フロイトやフェダーンのナルシシズム論を統合する形で新しいナルシシズム論を提出し、「自己心理学」を確立しました。コフートの理論では、フロイトの考えた一次的ナルシシズム期のエゴを「誇大自己」と呼び、この誇大自己が機能する自己へと成長していく過程を体系化しています。このコフートの理論が現在において注目されているのです。
コフートは、自己の発達を３つの時期に分けて考えます。第一は「断片的自己期」と呼ばれる、誕生から６〜８ヶ月の時期。第二は「凝集自己期」と呼ばれる、１〜５歳までの時期。第三は成人に至るまでの「機能的自己期」です。その断片的自己期に、未熟な自己は３つの要求を持っているとしています。
� Ъ�己を誇示し、見せびらかしたいという欲求〜
母親がこのような欲求を受け止め、その表情の中に映し出してやり、「○○ちゃんは立派な子よ」といった賞賛を送ることによって、子供は満足し、自己を欲表現するようになります。しかし、もし実感が得られないと、自分を見せびらかしたり、自慢したり、大ぼらをふくような、自己顕示的な人物になると言います。
�◆�理想的な存在である父親と融合したいと思う欲求〜
この時期に父親が理想的な父親としての役割を果たし得ないと、自分の一生を通して導く理想が持てないばかりか、この父に代わる対象（スター、英雄、或いは教祖）に心酔するような人物になると言います。
��：同じような人間と交わり、同化したいという分身欲求〜
これに失敗すると、人との関わりがうまく出来ず、孤独と疎外感を感じる人物になると言います。
コフートのナルシシズム論の特徴は、未熟な乳児期の一次的ナルシシズムから、健康で十分発達した自己愛へと成長すると考え、病的なナルシシズムと健康な自己愛という、対立する概念を自己の成熟という視点で統合した点にあります。未熟な自己が満たされない時に、一次的ナルシシズムは未発達なままに留まると考えている点です。コフートの理論では、フロイトの考えた二次的ナルシシズムというものは、自己愛の発達が不全で、未だに幼児期の一次的ナルシシズムに留まっているか、健全な自己愛を発達させながら、その一方で退行して一次的ナルシシズムの段階に逆戻りしたケースであると考えているわけです。
３）自己愛型人格障害
現代は、コフートがその治療法を確立した「自己愛型人格障害（narcissistic personality disorder）」と呼ばれるような人格傾向を持った人たちが非常に増えてきたと言われています。「ジコチュー」な子供が多くなったという話を聞いたことはあると思います。子供だけではありません。学校における学級崩壊だけでもありません。会社も、大人の社会までもが崩壊する時がもうそこまで迫ってきているのです！
そのような問題を抱えた人たちは皆、等身大の自己像を手に入れることが出来ずに、コフートのナルシシズム論で言うところの「誇大自己」を手放すことが出来ずにいる人たちと言えます。しかしそれは何故？
先ず、幼児期に悲惨な自己愛の傷付きがあり、しかもそれを克服するために必要な、理想的な親のイメージや、自分の誇大自己を鏡のように映し出してくれる保護者を持つことが出来なかったりした時に、子供たちはその自己愛の傷付きを補償する形で、空想的な誇大自己を肥大させるケースがあります。もう一つはこの逆のパターンです。幼い時からあまりにも大事に育てられたために、赤ん坊の頃の幻想的な自己愛が、危機にさらされることなく成長し、自己愛型人格障害と呼ばれるような人格を形成する場合です。
４）ＤＳＭ−�犬砲茲觴�己愛型人格障害の診断基準
※ＤＳＭ（Diagnostic Statistical Manual）−�犬箸蓮◆嵜巴播�計便覧第４版」のことで、アメリカ精神医学会によって作成された、精神障害の診断基準の示されたマニュアルのことです。
誇大性（空想または行動における）、賞賛されたいという欲求、共感の欠如の広範な様式で、成人期早期に始まり、様々な状況でこの人格障害は明らかになります。それらは以下のうち５つ（またはそれ以上）で示されます。
� Ъ�己の重要性に関する誇大な感覚（例：業績や才能を誇張する、十分な業績が無いにもかかわらず、優れていると認められることを期待する）
�◆Ц造蠅覆だ�功、権力、才気、美しさ、或いは理想的な愛の空想にとらわれている
��：自分が「特別」であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人たちに（または施設で）しか理解されない、また関係あるべきだ、と信じている
�ぁР畩蠅幣淹燭魑瓩瓩�
�ァ�特権意識、つまり特別有利な取り計らい、または自分の期待に自動的に従うことを理由なく期待する
�Α�対人関係で、相手を不当に利用する、つまり自分自身の目的を達成するために他人を利用する
�АФΥ兇侶臟 �他人の気持ち及び欲求を認識しようとしない、またはそれに気付こうとしない
�─Г靴个靴仟梢佑房仕覆垢襦△泙燭和梢佑�自分に嫉妬していると思い込む
��：尊大で傲慢な行動、または態度
５）ＤＳＭ−�犬砲茲覿�界性人格障害の診断基準
「自己愛型人格障害」とコフートが名付けたものと、ほぼ同様の特徴を持つ人々を研究していた精神医学者カーンバーグが名付けた「境界性人格障害（borderline personality disorder）」というものがあります。２つとも、自己愛の傷付きや発達不良、もしくは内的な発達を遂げた状態であると考えられていることから、境界性人格障害もナルシシズムの障害と考えることが出来ます。コフートもカーンバーグも、自己愛型人格障害は境界性人格障害の軽症であるものと理解したのです。
そこで次に、境界性人格障害の特徴をＤＳＭ−�犬凌巴粘霆爐魄焚爾傍�します。
境界性人格障害は、対人関係、自己像、感情の不安定及び著しい衝動性の広範な様式で成人期早期に始まり、様々な状況で明らかになります。以下のうち５つ（またはそれ以上）で示されます。
� Ц充造法△泙燭倭杼�の中で見捨てられることを避けようとする気違いじみた努力
�◆�理想化とこきおろしの両極端を揺れ動くことによって特徴付けられる、不安定で激しい対人関係様式
��：同一性障害：著名で持続的な不安定な自己像または自己感
�ぁЪ�己を傷付ける可能性のある衝動性で、少なくとも２つの領域にわたるもの（例：浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、無茶食い）
�ァЪ�殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し
�ΑЦ加�な気分反応性による感情不安定性（例：通常は２、３時間持続し、２、３日以上持続することは稀な、エピソード的に起こる強い不快気分、いらいら、または不安）
�А�慢性的な空虚感
�─�不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難（例：しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す）
��：一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤な解離性障害
これらの診断基準は、普通の人が読んでも「自分も当てはまる」と感じるかと思います。ですが、このような傾向が強く、社会生活を送ることが困難な人に対して、精神科医が判定を下すものです。素人が「あの人は…」などと診断まがいのことをすべきではありません。
自己愛型人格障害は、そうした人々の中の誇大な自己像が問題ですが、境界性人格障害は「見捨てられ不安」が問題だと言われています。
…………………………
ナルシシズムが病的な形として現れるケースをお話ししてきました。では、後編ではいよいよナルシシストとの向き合い方に話題をシフトしていきます。
では♪
maison0163 at 15:41│コメント(0)│
December 21, 2005
「えせ」アカデミア再開♪。「何度でも蘇るさ！」（ｂｙ ム○カ）
…………………………
１）４つのナルシシズム
最初に２回、「ナルシシズム」について触れてみました。アルベール・カミュの作品「転落」の主人公クラマンスは、最終的に自分に潜むナルシシズムの心を認めました。しかし現実では、ナルシシストの人たちは、よほど自分が酷い状況にでもならない限り、自らのナルシシズムを認めようとはしません。そもそもナルシシストであることを否定しがちです。
クラマンスの耳に聞こえる、心の底から湧き出る皮肉めいた笑い声。これは心に潜む超自我（ｓｕｐｅｒ ｅｇｏ）が自らを非難する声なのか、幻聴という一種の神経症としての症状なのか、あるいは統合失調症（以前の呼び名は精神分裂病）の一級症状に当たる「自分の行為を非難する幻聴（クルト・シュナイダーによる）」なのか？とにかく、こういう症状が出たということは、彼のナルシシズムはかなり酷い病的症状に陥っている証明になります。彼の陥っているナルシシズムは「神経症的心理としての『ナルシシズム』」に当たるでしょう。
このナルシシズムというものには、大まかに４つのタイプに分けられます。この４つを一緒くたにして「ナルシシズム」と呼んでいるため、それがどういうものなのかが日常では区別が付かなくなっています。
� А崋�己愛」として、自分自身を大切にすること
�◆А崋�尊心（プライド）」の代わりとしての使い方
��：神経症的心理としての「ナルシシズム」
�ぁЮ鎖席�析や心理学で使われる発達段階としての「自己性愛」
「一次的ナルシシズム」といって、誰もが乳児の頃にあったもの、つまり自分と自分以外のものとの区別が付かないために、リビドーを自分にしか向けられない時期のことが�い謀�たります。「二次的ナルシシズム」となると、�い任呂覆���の範疇に入ってきます。そして大体、問題視されているのが��のナルシシズムです。で、ここから抜け出すには「素直になること」しかないのだ、という話を初回にしたわけです。この「素直になる」ためには、時には人（分析家なりカウンセラーなり）の助けが必要となってくるのです。
では、この「素直になる」ことについて、初回に取り上げたハビエル・ガラルダ氏の見解を見てみましょう。ただ、この見解をストレートに進めると、些か偏った解釈と思われる部分があるので、その部分については余談ですが、本来の意味合いをお話ししつつ進めていきます。
２）超自我の声
「…内面からの『声』、良心の声に忠実であれ」とガラルダ氏は話しています。彼は良心という言葉を次のように解釈しています。
「自分の具体的な行いの善悪を、絶対的な、最終的な形で感じさせてくれる、奥深い自分の、声に出さぬ声」
この良心の声なるもの、この理解には問題があり、それは「偽物」の声も良心の声として聞こえてくることなのだと彼は唱えています。この偽りの声というものについて、いくつか例が出ているのですが、ここでは「超自我の声」というものについて触れてみます。この超自我がどういうものか改めて言いますと、内面化された外の声とでも言うべきものです。外にいる、或いは、既にもういない人の目が自身の中に入って、自分のものになってしまって、内から自分の行いを無意識的にチェックするスーパーエゴなのであって、自分の自由を束縛するブレーキのようなものです。
「あれをしてはいけない」というような超自我の働きかけは、無意識の自分によって行われる裁きであり、それに対して反逆をしたとしても、捕まえられない抽象的な相手との無駄な闘いとなってしまい、完全な勝利は得られません。しかし諦めないでなるべく「良心」を中心にして生きることによって、出来るだけ超自我から開放されるように努力することをガラルダ氏は非常に有意義な努力であると言うのです。
「super ego は暗い罪悪感と古い自己嫌悪の原因である。従って、厳しいながらも明るい平和の源である良心を活かすことが出来るのが心の平和への道であると思う。」
しかし、「良心」というのは一体何でしょう？人間は社会を作り、それにそって生きている動物です。その人間の根底には「他人を愛したい」「他人に愛されたい」という気持ちがあります。「他を愛したい」という本当の自分により、その愛の具体的な道を示して、なおかつその道を示して、なおかつその道を歩きたい気持ちを起こさせるものが良心というのです。「他人への愛」という能動的な動機を起こさせるものが良心であれば、逆に「他人からの愛」という受動的動機に偏った状態というものは良心ではない、有害だとなります。クラマンスのとった行動というのは「他人への愛」に基づいたものではありませんでした。「他人からの愛」を求めてのものだったのです。
うっかりして一万円札を落とした人がいるとしましょう。他に見た人はいなかったけれども、それを見たある人は、丁寧にその人に返したとします。では何故その人は、その一万円札をわざわざ返したのでしょう？良心がとがめたのかもしれません。しかし同時に、或いはひょっとしたら良心の代わりに、小さい時に両親か教師に聞いた言葉が自分の中に残っていて、いやでもその一万円札を返すことしか出来なかったのかもしれません。前者は良心の声であり、後者が超自我の声というのです。
良心と超自我との違い（ガラルダ氏による）は後に触れることにします。
「他人を愛したい」「他人から愛されたい」という両面のバランスのとれた望みを持っていることは至って普通です。このバランスを保つ憧れを抱いているうちは問題はありません。しかし、「愛『されたい』」という片方の望みだけに異常な重みがかけられることにより、バランスが崩れ、そこに強烈な超自我が生まれると、それは生まれるだけに留まらず、次第に頑強に増幅されることになるでしょう。
そうした恐怖感、強迫観念の入り混じった、ナルシシスト的な原動力に基づいて生きることは、なんと落ち着かず空しいものとなることでしょう。
そのような超自我のみを恐れている人にとっては、弾劾された上に仲間外れにされるという最大の不幸が待っています。だから、周囲の人に肯定されるためなら何でもするという誘惑にいつも負けてしまうことになってしまいます。それは自分の行動を皆の価値判断に合わせるように、「内の警察」とでもいうべき超自我が、おとなしい勢いでもって常に圧力をかけ続けているからです。
３）ego ideal（理想的な自我）
この”ego ideal”というのは超自我のもう一つの名前です。この「理想」なるもの、良心は自分の生き方が「愛」に合っている時に、自分が理想的であることを感じさせてくれるものなのですが、超自我の場合は、自分の行いが人から認められる時に、自分が理想的な自我になることを感じさせてくれるのだと、ガラルダ氏は言います。
「…例えば、あるナルシストの若者の日々の生活を想像しよう。彼は先生方と話している時には、自分のベストなポーズという仮面を被ってみせるので、その『学生らしい』態度を見る先生方は、学問的な微笑みを浮かべながら彼を認めてくれる。それから先輩たちに酒を飲みに連れて行ってもらっている間は、またその状況に合うようなベストな仮面を被ってみる。それで、その男っぽい後輩らしい仮面を見る渋い先輩たちは、気取った微笑みを浮かべながら、寛大に認めてくれるのである。喫茶店で女の子たちと喋っている彼は、迷わずに用意している他の面を被るが、その紳士的で優しい仮面を見る彼女らも、幸せそうな微笑みで彼を認めるのである。そして、家に帰って親と話している間は、彼がまた自動的に取り出したしかるべき仮面に、両親は落ち着いた満足の微笑みをもって、彼を認めてくれるというわけである。
…それではスーパーエゴはその間は一体何をしているかというと、やはり、適当な状態に適当な仮面を次々に出すように、無意識的な焦りで中からはっぱをかけているわけである。
…ところが、その恐怖感に悩まされている側の若者は、一生懸命に集めた評判がただ単なる空しい錯覚であったことがわかるけれども、その束縛からどうしても解放されないのである。」
超自我が示す理想はとてもはっきりしてはいますが、その理想に達する方法を超自我は教えてはくれません。ひたすらその理想の姿に「あるべきだ！」という超自我に翻弄されてしまうわけです。この理想と、理想に届かない自分の行いとの間に生まれるギャップはさらに緊張状態を生み出します。この緊張から抜け出そうとあがいているうちに様々な神経症や、または鬱病のような精神疾患を抱えてしまうのです。
そうした緊張状態から抜け出すには、両親を中心とした生き方を送るということのみしか方法がないとガラルダ氏は唱えているわけです。
…余談ですが、ガラルダ氏は上のナルシシストの学生の例にて、「仮面」を次から次へと付け替えていく様を憂いていますが、この仮面は心理学用語（ユングが用いた）で「ペルソナ」と呼びます。ユングによると、自分自身とペルソナとの関係がこの学生の例だと「うまくいっている」ということになります。ですが例えば、教師を職業にしている人が、自宅に帰ってからも教師のような態度をとってしまい、立場上の人格と本来の自分とを混同してしまうことを「うまくいっていない」としています。そういう人に対してユングは「夢分析」なるものを薦めているのですが、同じ一つの状態に対しての見解も、人によってこうも変わるというのは面白いものです。
４）良心と超自我の違い
フロイトの提唱した超自我。これをガラルダ氏は２つにぱっくりと分けています。この方、元々イエズス会の神父ということで、「愛」という概念を些か宗教的なニュアンスで語っていますが、それでも十分納得は出来るのでは？と思う内容ではあります。ただ、「神に祈りその心を〜」といった内容のものはここでは避けておきます。今以上にかなり話が長くなるうえ、分析的な見方から離れてしまうので。
ではフロイトの「超自我」が、「超自我」とそこから分岐した「良心」の２つに分けられた様子を見てみましょう。
先ず一つは、超自我の発想は「愛されたい、受け入れてもらいたい」ということですが、良心の発想は「愛したい、愛されたい、人を受け入れたい、人に受け入れてもらいたい」というバランスのとれたものだということです。つまり、超自我のハーモニーというものが、「自分の行い」と「人の目」の２者によるものだということです。しかし良心のハーモニーは、「自分の行い」が「愛」と一致する時のそれということです。
もう一つは、罪悪感の種類についてです。超自我の罪悪感はどちらかというと「内向的」ですが、良心の罪悪感は「外向的」というのです。例えば、友人を裏切ったある人が、その後超自我による罪悪感を抱え込んだとします。その内容は、
「私はその友人に捨てられるだろう。しかも私の裏切り行為を知っている仲間にも悪く言われるだろう。私は評判を失うだろう。私が謝らないと仲間外れになってしまうだろう〜」
といった意味で、内向的な罪悪感となってしまうのです。一方、良心を中心に生きる人は、
「友人が傷付いた。かわいそうだ。謝ってみよう。そうすれば自分は許してもらえなくても、せめて友人は少しは気が楽になるだろう〜」
というように悩むでしょう。これはいわゆる外向的な罪悪感となります。
言い換えると、超自我によって内向的なナルシシズムが強められるわけです。超自我の要点だと「私はその人を助けた」ことですが、良心の望みは「その人が助かる」という目的となるわけです。
…ところで、こうして見ていると、「内向的」ということは「外向的」ということに劣っているようなイメージが出てきているのですが、実際はそうではないんです。ガラルダ氏の見解は「内向的」と「外向的」の本来の意味を誤って捉えているようです。
これはユングの用いた「人のタイプ分け」に用いられた用語です。例えば、共通の知人や映画について話し合ったりしているのに、目の付け所がまったく違っているような相手っていませんか？映画を観て、そのストーリーや舞台、更には登場人物のファッションなどに注目する人と、そのようなことには殆ど関心もなく、専らその映画を観ている間に、自分の中に湧いて来る感情や感覚、考えに注目する人がいます。
このような場合、前者を「外向的」な人、後者を「内向的」な人ということが出来ます。また、別の例を挙げると、周りの人の趣味や流行に敏感に反応し影響される人は外向的な人、そういうことには殆ど関心を持たず、マイペースに自分の趣味を追及する人は内向的な人です。
ユングは、心のエネルギーが外界（自分の外側にある世界）の現実に向いていて、物や事柄、外見に興味や関心が向きやすく、そのような外界から影響を受けやすい人を外向的な人としています。反対に、心のエネルギーが自分自身の内面に向かっていて、自分の内面の状況や感覚から影響を受けやすい人を内向的な人として、タイプ分けをしています。
５）「他者高揚」的心理を見抜ければ…
良心と超自我との区別への糸口は、以上のように述べられています。ですが、じゃあそれに対してどうしたらよいのか？となると、彼の意見はかなり理解し辛い内容の話となり、その中にも「神に祈る」というフレーズがちらほらと出てきます。僕からすると、ちょっと現実的ではないなと思われました。神に対する信仰心が人の心を救うということは、あながち嘘ではないとは思いますが、ここではその話からは離れます。
これに対して僕は以前にお話しした「ナルシシズム�◆А愨昭垤睛函戮妨�られる自己満足」を引き合いに出したいと思います。つまり、自分の行動が果たして本当に相手の立場にたってのものなのか、それとも単に自分の自尊心を守り、満足するためのものなのか、その違いではないでしょうか。相手に対して共感して行動するのか、同情して行動するのか、その違いです。
心からの優しさ（ガラルダ氏の言うところの『愛』）で行動したのではなく、自尊心を守り、満足させるがために行動したのだとなると、それは実は相手に対する侮辱であり、相手を見下しているにしか過ぎません。自分が相手より優位に立ちたいだけなのです。
しかし、ガラルダ氏が悪者呼ばわりしている超自我ですが、この超自我がどのようにして形成されるかは覚えてられますでしょうか？「フロイト・ワールド�АД侫蹈ぅ伴阿海海蹐旅渋ぁ廚鬚�読み頂けたら幸いです。超自我は、オイディプス・コンプレックスを形成する時期での、親からの叱責や躾といった影響によって内在化され、学校の教師による教育などを通して強化されていくものです。ですが、この親からの影響や教育がもし偏ったものだとしたら？
親や教師といえども所詮は人間です。全知全能の神ではありません。人間である以上、物や事柄に対しての一人一人の見方や捉え方は異なっています。善悪の判断でさえ異なってしまうケースもあるでしょう。また親自身に、例えば他人に対する不信感や、何かしらの劣等感などが潜んでいたら？抑圧してきたものに振り回されている方や、自分を守ることばかりの心の適応機制を働かせ続けて生きてきた方が親や教師だとしたら？それこそ親や教師がナルシシストであったら？超自我の形もそのために自然と歪んだものになって当然でしょう。
こうなると自分一人の力で、奥底の自分に語りかけて「良心の声」を聞こうとすることは最早不可能です。カウンセラーやセラピストの力が必要となってきます。ただ、完全なナルシシストとなってしまった方は、この他人による自身の心への立ち入りを拒否する傾向があります。ナルシシストの親は、子供が成長段階で精神的に苦しんだり、或いは異常を来したりしても、たいていは無関心です。更に、子供がカウンセラーやセラピスト、精神科医にかかろうとすると、それを妨害（！）する傾向すらあるのです。
ナルシシストが、自分自身がよほど酷い状況（例えば重度の抑鬱状態）にならない限り、自らがナルシシストだということに気付くことはありません。カウンセリングや心理療法により、ナルシシズムにとりつかれていることが暴かれるのです。
…………………………
ではナルシシストとどう関係を築けばいいのでしょうか？いっそのこと、その人を避けて生活するか、全く縁を切りますか？しかし例えば、結婚した相方が実はナルシシストだったとしたら？家族の中にナルシシストがいたら？どうにもこうにも避けることの出来ない場合はどうしたらいいのか？ナルシシストと呼ばれる人たちも、そうなった原因を見ていくと、彼らもナルシシズムという心理の被害者なのです。
次回はそれについてをテーマにしたいと思います。
ではでは♪
maison0163 at 11:25│コメント(0)│
December 11, 2005
さて、ざっとフロイトの精神分析学を見てきました。結構面白いと思われた方、核爆的に退屈だと思われた方、パックリと２分されたのではないでしょうか？また、「何かにつけて性欲、性欲と言うが、性欲だけで全てを説明できるのか？」と疑問をもたれた方もおられるかと思います。実際、後世の学者たちの間でも論点は様々です。例えば「新フロイト派（Neo Freudian）と呼ばれる人たちは、「フロイトは社会が人間の心に与える影響を軽視している」と批判しています。カレン・ホーナイ（１８８５〜１９５２）は、「女性のペニス羨望説にはどうしても納得出来ない。フロイトの理論は生物学的だ」と批判し、対人関係や文化的な原因の重要性を強調しました。エーリッヒ・フロム（１９００〜１９８０）は、フロイトの提唱したオイディプス・コンプレックスを否定はしないものの、「それは父親の具現する家父長的、権威主義的な秩序に対する息子の反抗である」と唱えました。ヴィルヘルム・ライヒ（１８９７〜１９５７）は、社会が人間の性欲を抑圧することが全ての心の病の原因だと主張し、上の２名とは逆の立場に立って、精神分析とマルクス主義とを合体させ、性欲を抑圧しない理想社会の建設を唱えました（…こいつはＥＤとは全く無縁のハーレム羨望主義者と勝手に見ておこうｗｉｔｈ無知なる者による軽蔑の眼差し←をひ）。また、自らの理論こそフロイトの理論を忠実に継承したものだと主張し、かなり難解な説を唱えたジャック・ラカンも、フロイトの影響を受けた一人です。
カレン・ホーナイだの、ジャック・ラカンだの、「そいつら誰？」と思われた方へ。なあに、僕も知りません（核爆）！だって、フロイトがどうたらこうたらということを知り出して初めて彼らの名前を知った程度ですし。はい、これが「えせ」アカデミック・ブログたる所以でございますが、何か（開き直って更に核爆）？
ところで、全てが全てを性欲とリンクさせがちと思われるフロイトの理論の中で、少し趣の異なるものがあります。「愛」と「憎しみ」についての理論です。
フロイト自身の著作からの引用を含めて進めていきます。今回はかなりムズイ内容ですので、ご了承を。
…………………………
１）「欲動とその運命」（１９１５）より
これ、フロイトの中期における著作です。この中でフロイトは「愛」と「憎しみ」という概念についてうんちく（！）を唱えています。
ところで、おさらいみたいな感じですが、「欲動」というものをフロイト自身はこの著作の中で定義しています。
《…次に心的な生を『生物学的な観点』から考察してみると、『欲動』は精神的なものと身体的なものの境界概念と考えられる。これは体内から発して精神に到達する刺激の心的代表であり、精神的なものが身体的なものと結びついているために、精神的なものに要求される仕事の大きさの尺度とみられる。》
…何のこっちゃ？？？日本語で言ってくれ！！！…何とも理解し難い抽象ぶりなんでしょう。要は、人間は心の中に湧き上がる願望、欲求、感情に基づいて悩み、考え、行動するのだということです。イド（エス）から湧き上がってくるこれらに基づいて行動するといっても、現実はそう簡単にいきません。色々な制約がありますよね。快感原則に従うだけではなく、現実原則をもきちんと配慮されなくてはいけないわけです。特に「性の欲動」について見てみたら、はっきり分かると思います。口唇期から始まり、性器期に至る性の欲求の流れは既に見てきた通りです。これらが各々の目標を実行し、そこで「はい、おしまい♪」となるかというと違いますよね。性欲はいつでも充足できるわけではありません。子供がオナニーをしているところを大人が見たら、止めますよね（「どんどんやれ！」と言う方っておられるのかいな？）。大人の性欲が常に満たされるものではないというところは…言うがもがなです。
こうした性の欲動は、その目標が実現出来なくてその形を変える様子を「欲動の運命」として４つのパターンにして挙げています。
「対立物への逆転」
「自己自身への方向転換」
「抑圧」
「昇華」
「抑圧」と「昇華」については前回にした話に譲るとしまして、他の２つについて見てみましょう。
フロイトはこれらについて、例として「サディズムとマゾヒズム」、「窃視症と露出症」を挙げて説明しています。この際、「発展のそれぞれの時点において、欲動の動きと同時にその対立物が観察されるという事実」がその特徴的性格だとしています。このことをオイケン・ブロイラーの用いた言葉を借りて「アンビヴァレンツ」と呼びました。「アンビヴァレンツ」とは日本語で「両価性」と言います。「反対する２つの気持ちが同時に湧き上がってしまい決められない」状態のことです。「自分自身が意識上の偽りの自分と、心の奥底に『抑圧』した現実の自分という、矛盾し合う２つに別れてしまう状態」を指す「葛藤」と似た状態ですね。
で、フロイトはこの感情のアンビヴァレンツを説明する際に用いた概念が、「愛と憎しみ」なのです。
２）一次的ナルシシズム
《…愛と憎しみの対立は、我々の欲動図式に当てはまらないという意味で、特に興味深いものである。この両方の『感情対』と性生活の極めて密接な関係を疑うことは出来ないが、他の部分欲動と同じように、愛が性欲の特別な部分欲動であると考えるには、当然ながら反感を覚える。愛するということは、性的な感情の全体の表現であると考えたいのである。しかしこれでは我々の問題は解決されないのであり、この性的な感情と内容的に反対である憎しみをどのように理解すべきか、戸惑わざるを得ない。》
…なんだ、フロイト自身もよく分かっていないんじゃないの、とやってしまうと終わりなので…。ちなみに部分欲動とは、例えば口唇期における口や唇を源泉とした性欲動、肛門期における肛門を源泉とした性欲動というように、ばらばらで統合されていない欲動のことを言います。愛は、こうした部分欲動が後になって統合され、性器期に至る性欲とは異なり、最初から全体的なものなのだと言うわけです。
ですが、生まれてすぐに、言い換えれば先天的に愛と言うものを持ち合わせているわけではないでしょう。何らかの成長を遂げて、愛というものに至る筈です。では、どのようにして愛は発達していくのでしょう？
《…心の原初的な状況においては、自我は欲動によって備給されており、その欲動を部分的には自ら満足させることが出来る。この状況は『ナルシシズム』と呼ばれるもので、このような欲動の満たし方を『自体愛的』と呼ぶ。その時点で外界は（一般的な意味で）関心によって備給されていない。外界は満足を得るという目的では変わりがないのである。この時期にあっては、自我／主体は快を感じるものと一致しており、外界は快とは無縁なもの（あるいはいずれは刺激の源泉として、不快をもたらすもの）と一致している。ここでは仮に、快の源泉に対する自我の関係を『愛』と定義しておく。すると、自我が自らだけを愛し、世界に対しては無関心である状況は、『愛すること』についての最初の対立関係（注：愛・憎しみ 対 無関心）を説明するものとなる。》
「『愛すること』についての最初の対立関係」とは何かと言いますと、これまた難解な図式をフロイトは提示していまして、こういうものです。ちなみに、（ａ）は「愛についての対立関係」、（ｂ）は「心的な生の対極性」、（ｃ）は「その特性」を各々表していますが…ヨクワカラン（涙）。
� 複瓠法岼Αα�しみ 対 無関心」〜（ｂ）「主体（自我）− 対象」〜（ｃ）「現実的な対極性」
同じように、次のような図式も出しています。
�◆複瓠法岼Α‖弌〜�しみ」〜（ｂ）「快 − 不快」〜（ｃ）「経済論的な対極性」
��（ａ）「愛すること 対 愛されること」〜（ｂ）「能動−受動」〜（ｃ）「生物学的な対極性」
まあ、��については何となくイメージが浮かんでこないでもないですが、�△忙蠅辰討蓮屐�？？」です。そもそも（ｂ）に当たる「心的な生の対極性」とは一体何じゃい？」という感じです。「生の欲動（エロス）」と「死の欲動（タナトス）」のことかと思いきや、この論文が出された頃には、まだフロイト自身にもそういう概念が頭にはなかったんでしょ？ とかくフロイトはこうした「対立関係」とか「対極」といったものを無理矢理に（！？）設定して論述していく方法がお好きだったようなんですが…。
それはさておき、と言いますか、吹っ飛ばして（！）、この説明の言いたいことは、心の原初的な状況はナルシシズムであり、それが愛の原型となる、ということでしょうか。愛の起源とナルシシズムとは切っても切れない関係にあると言うんですね。こんな公式（？）になるのでしょう。
「ナルシシズム（自我の自らに対する愛）＝愛の原型」
これが「一次的ナルシシズム」の内容です。
心の原初的状態である一時的ナルシシズムの時期は、しばらくは安定して続きます。小児もこれを維持しようとします（無意識的にでしょうね、勿論）。ですが、自我だけでは結局、「快」は保てないわけです。体（心？）の内部から不愉快な刺激がやって来ますし、外にも快をもたらすものがあるということに少しずつ気付いていく流れをとります。この内部からやってくる不愉快とは、例えばオイディプス・コンプレックスにおける、男の子が持つ父親に対しての敵意と母親に対しての性的な愛情との葛藤、女の子における母親への憎悪や幻滅、そこから生まれる父親への愛情との葛藤がそれに当たります。この場合、自我は現実を認識しようとせず、それどころかナルシシズムを保とうとするわけです。
《…自我は自体愛的に存在している限りは、外界を必要としないが、自己保存欲動の様々な経験に基づいて、外界から対象を獲得するようになる。そしてしばらくの間は、内的な欲動の刺激を不快なものとして感じざるを得なくなるのである。快感原則の支配の下に、自我は更に新たな発展を遂げる。自我は、提供された対象が快感の源泉である限りにおいて、自らの自我の内部に取り入れ、自らの内部に『取り込み』を行う（フィレンツィの表現による）。他方では、自らの内部で不快の原因となるものは外界に追い出してしまう。
《…このようにして自我は、適切な客観的な特長によって、内的なものと外的なものを区別していた最初の現実自我から、快という特性を最高の基準とする純化された『快感自我』に変化する。この快感自我にとっては外界は、自我が同化した快の部分と、見知らぬものであるその他の部分に分割される。快感自我は本来の自我からその一部を分離し、それを外界に投げ出し、『敵対的なもの』として感じる。このような再配置が行われた後、次の二つの極性が再び一致する。
《自我／主体：これは快の部分と一致する
外界：これは不快の部分（以前は無関心だった部分）と一致する。》
要はこういうことです。
� Ш能蕕離淵襯轡轡坤爐了�期は、自我は自らを愛する「快」の状態にあり、大して外界には全く無関心です。
�◆Г靴�し、外界にも快の源泉が現われ、大して自我の中に不快と感じるものが生じてきます。
��：すると、外界にある快の源泉を自我に取り込み、自我内部にある不快の原因を「投影」という適応規制のもとに外へ閉め出してしまいます。
�ぁГ修靴萄討咫⊆�我は「快」を含むもの、そして外界は「不快」なものという図式が出来上がります。
こうして、ナルシシズムは維持されるというのです。
３）「愛と憎しみ」の位置付け
この次の段階が、愛と憎しみが対立するという関係を形成する場面になります。「対象」という概念の登場です。自我と対象との関係が成立して初めて、愛は憎しみと対立するものになります。そして、愛は愛らしくなっていくのです。
《…一次ナルシシズムの段階において対象が登場すると、愛の第二の対立関係である『憎しみ』が形成されるようになる
（中略）
《…純粋なナルシシズム的な段階が解消されて対象段階に進むと、快と不快は、対象と自我の関係を意味するようになる。対象が次の感覚の源泉となると、運動傾向が生じ、対象を自我に近付け、自我に同化しようとする。これが快をもたらす対象の発散する『魅力』であり、その場合は我々は対象を『愛する』という。これとは逆に、対象が不快な感覚の源泉である場合には、この対象を自我の間の距離を確保し、更に対象を遠ざけようとする傾向が働く。これは本来は刺激を送り込む外界からの逃走の試みであったものを、自我と対象の間で反復するものである。この場合は自我は対象に対する『反発』を感じ、対象を憎む。この種の憎しみは、対象に対する攻撃傾向や、対象を抹殺しようとする意図にまで高まることがある。
（中略）
《…こうして『愛する』という表現は、対象に対する自我の純粋な快の関係の領域に限定されるようになり、最後には狭義の性的な対象や、昇華された性欲動の必要性を満足させる対象に固定されるようになる。》
とどのつまりは、自我の外側にある「外界の対象」に対し、快を感じるものには愛を、不快を感じるものには憎しみを抱くようになる、ということですね。長々しく書かれていますが、要はそういうこと♪。
「愛：快をもたらす対象を自我に近付けようとする傾向」
「憎しみ：不快をもたらす対象を自我から遠ざけようとする傾向」
この段階での、自我が快をもたらす対象を近付け、不快をもたらす対象を遠ざけようとするところは、その以前の段階で快の源泉を自我に取り込み、不快の原因を投影する様子と似ています。ですがこの段階では、自我は外界と内界、自我と対象の区別をしっかりと認識しています。そして愛と憎しみは、自我と対象の関係のありかたを意味するようになるのです。
ところで、ここで言う快だの不快だの、これは何でしょう？…となりますと、例えばこうです。赤ん坊にとっての「快−不快」は先ず生理的なものでしょう。「お腹が空いた」「お尻が濡れて気持ちが悪い」「暑い」「寒い」といった不快、そして「お腹がいっぱいで満足」「すっきり排泄して、お尻もきれいで気持ちいい」「ちょうどいい暖かさで快適」といった快がそうでしょう。そして、小児性欲における「快−不快」もこれに当たります。ただし性欲と生理的欲求は、ごく初めの頃には区別することは難しいものです。
さて、ここはやはり「性欲帝王」たるフロイト、この「愛・憎しみ」という概念を性欲の発達とやはりリンクさせて論じています。
《…愛は、自我が『器官快感』を獲得することによって、欲動の刺激の一部を自体愛的に満足させることが出来ることに由来する。愛は根元的にナルシシズム的なものであるが、その後は拡張された自我の中に同化された対象にも適用されるようになる。そして愛は、快感の源泉としての対象を求める自我の運動を表現するものである。愛はその後の性欲動の活動と密接に結びついていて、性欲動の統合が完了すると、性的な営みの全体と一致するようになる。愛の前段階は、性欲動が複雑な発展を遂げる間に、仮の性的な目標として登場する。こうした性的な目標の最初のものとして、『体内化』や『貧食』がある。これらも一種の愛であり、対象が自己と分離して存在する状態を解消しようとするものであるため、アンビヴァレンツなものと呼ぶことが出来る。前性器的な肛門サディズム期の性体制の段階では、対象を求める営みは支配衝動として現われる。この衝動にとっては、対象が破壊されようと、抹消されようと、問題はないのである。この前段階で、このような形態にある愛は、対象との関係においては憎しみと区別することが出来ない。性器体制が確立された後に初めて、愛が憎しみの対立物になるのである。》
＊ここで「体内化」や「貧食」についての説明はカットさせて下さい（スマヌ！資料が見当たらないのさ…）。で、「肛門サディズム期」なるもの、小児性欲における「肛門期」のことです。この時期は、自我が形成されて自他の区別が付くようになる時期で、自分を守るためにサディスティックになる傾向があるため、こう呼ばれます。
さて、愛・憎しみと、性欲動の発達は密接に関連しています。前性器体制では、愛はまだ不完全で、「食べてしまう」（口唇期）とか、「支配する」（肛門期）といった形をとり、憎しみと区別が付きません。つまりアンビヴァレンツ（両価性）…反対する２つの気持ちが同時に湧き上がり決められない、あいまいな状態なわけです。性器体制になって初めて、愛は憎しみの対立物になり、性欲の目指すところと愛の目指すものが一致するようになるというわけです。
まとめるとこんな感じです。
� ОΔ竜�源はナルシシズムと密接な関係にある。
�◆ОΑα�しみは自我と対象との関係のあり方である。
��：前性器体制には、愛と憎しみは区別の付かないアンビヴァレンツの状態にある。そして、性器体制（性器期）において、愛は性的な営みの全体と一致するようになる。
…なんだ、結局は「性欲」じゃん。
ちなみにここでは「二次的ナルシシズム」については触れられていません。今後は最初の頃のテーマであった「ナルシシズム」をもう少し絞り込んでみたいなと思います。ぶっちゃけ、はた迷惑なナルシシスト諸君のことについて、一体全体どんな心理構造をしているのか？そこから抜け出るにはどうしたらいいのか？そういうところをほじくり返してみたいんですよね。出来る範囲でね。
このナルシシズム、病的に行き着くところまで行くと、ちと弱ったことになってしまうんです。
ではまた次の機会に♪
maison0163 at 18:35│コメント(0)│
December 08, 2005
今回のテーマは「適応機制」です。フロイトの後期の研究テーマであり、そして現在の精神分析学でも用いられているものです。ですので、フロイトがどうのこうのと言うよりも、今現在の話題として捉えて下さい。…………………………
１）適応機制（adjustment mechanism）とは？
自我（エゴ）は、三君に仕える従僕のようなものだと言われることがあります。三君、つまり３人の主人とは、外界・超自我（スーパーエゴ）・イドのことです。自我はこの三者から絶えず脅かされながら生きているわけです。自我は、先ず外界に適応するために外界からの脅威に応えなければなりません。また自我は、「こういう人間になりなさい」「あれをしてはいけない」といった類いの超自我の命令にも従わなくてはなりません。その一方で自我は、快感原則に従ってひたすら欲動を満たそうとするイドの力を必死でコントロールしなくてはいけません。さもないと、反社会的な行動に走る危険性があるからです。
とどのつまり、人は様々な欲求（欲動）を持つのですが、常に満たされるとは限らず、むしろ制限があったり壁があったりで、目的の行動がとれないことが多いわけです。欲求の満たされない状態を「欲求不満（frustration）」といい、人はこの状態になった時、その自我は自分の身を守るため、本来の欲求や目標を放棄したり、または置き換えたりなどの操作をして、不快な緊張感を解消しようと努力するわけです。この時の自我の働きを「適応機制」と言います。欲求が阻止された時、不満や不安から自分を守るためにとられる自我の働きです。「防衛機制（defense mechanism）」とも言います。自我による無意識的、非合理的な解決方法でもあります。この分類は学説により色々ありますが（逃避的な機制、自己防衛的な機制、攻撃的な機制に大別することもあります）、主なものを以下に紹介しましょう。
２）適応機制「抑圧」
最も基本的で重要なメカニズムは、先にお話ししました「抑圧」です。自分にとって都合の悪い欲求や感情を自我の中には入れようとせず、無意識のうちにイドの中へ放り込んでしまうこと、そのようにして一時的に安定感を得ようとする機制です。両親や尊敬する人に対する敵意のように、社会的・道徳的に許されないような場合に抑圧されやすいのです。抑圧は無意識的に行われるもので、意識的に抑える場合は「禁止」又は「抑制」と言って区別しています。フロイトによると、抑圧されたものは神経症や夢という形で必ず戻ってこようとします。
３）適応機制「否認」
現実を直視しない、認めないことです。自分がある事実を正しく知覚していたとしても、それを認めようとしない、しかもこれは知らないのではなく、知っているにもかかわらず認めないという機制です。これはしばしば、事実を過小評価するという形で現れます。例えば、敵と戦う時に、実際は敵の方がずっと強かったとしましょう。自分はその事実を知っているのですが、それを認めてしまったら怖くてとても戦う気が起きません。そこで「敵は大したことはない。絶対に勝てる！」と思い込むわけです。このメカニズムはまた、欲求不満を起こさせるような状況を避けるために、外部からの要求や指示を無視して、自分の安定を得ようとする機制であり、「拒否」とも呼ばれます。強情を張る、すねるといった傾向です。
４）適応機制「分離」
ある考えや行動と、それと結びついている自分の感情とを切り離してしまう機制です。自分が体験した辛いことを話すときには、誰でも「思い出したくない」という嫌な感情が伴いますね。この２つを切り離してしまうと、まるで他人事のように冷静に話せるようになります。自分のことを感情を込めず淡々と語る人には、このメカニズムが働いていると考えられるのです。
５）適応機制「反動形成」
ある欲求を抑圧してしまったために、その反動として全く正反対のことをすること、つまり、知られたくない欲求や感情と反対の行動をとることで、本当の自分に目を覆ったり他人に隠そうとする機制です。気弱な人が強がりを示したり、嫌いな人に猫撫で声でお世辞を使ったりするのがそれです。自分が切実に求めているものに対して、殊更に無関心を装ったり、わざと避けようとする傾向もこれに当たります。また、何でも自分で出来るからと言って、他人の援助を全部拒否したり、何かにつけて他人の世話をやきたがるような時もこれに当たります。自分の無意識的感情をいつも表に出していたら社会生活は送れないので、このメカニズムは社会的には「礼儀」「エチケット」として捉えられるとも言えましょう。そしてこのケースでは、情緒的に安定して自立出来ている人と、そうでない人を見分けるのは難しいですが、何事も主張しすぎる時は、このメカニズムが働いていると考えてもいいでしょう。
６）適応機制「投影」「投射」
これも説明致しましたが、つまりは、自分の欲求や感情を自分で認めることが出来ない時、他人の中にそれがあるように考えてしまうことです。自分が意識しないで嫌っている人について、「あの人は私を嫌っている」と言ったり、出世欲の強い人が一生懸命働く人を見て「あの人は出世したいからだ」などと思うことです。「自分は訓練したいと思っているのに、周りの人が協力的でない」と言うような言い方をする時は、このメカニズムが働いているのです。
７）適応機制「同一化（視）」
他人が持っている優れた能力や実績を、自分のものであるかのように見なしたり感じたりする機制です。優れている他人と同じような行動をすることも含まれます。スポーツ選手や有名アーティストの熱狂的なファンなどが典型例です。恐怖の対象となっている親や幽霊の真似をする場合には、特に「攻撃者との同一視」と言う呼び方があります。子供によく見られるもので、自分が恐怖の対象（攻撃者）と同じになることで、攻撃されないようにするという心理的メカニズムが作用しています。
この機制には良い面と悪い面の２つがはっきりしています。良い面は、このメカニズムが社会的適応、特に教育にとって非常に重要です。人間は、自分が望ましいと思う人の態度や行動を自分に取り入れることによって、社会的に成長していくものであるからです。悪い面は、例えば親が「学歴に対する劣等感」を持っている場合、自分の子供が高学歴を持つことで解消しようとするケースがあります。高学歴を持った子供と自分自身を「同一視」することで、「劣等感」から逃れようとするのです。このようなケースでは、子供に猛勉強を強制するようになります。子供自身の将来のためではなく、あくまでも親の劣等感の解消のためですので、子供も反感を持ちやすく、様々な問題が生じやすくなってきます。
８）適応機制「合理化」
自分の行動や失敗を、自分以外のところに原因があるとして、都合のよい理由をつけて自分の立場を正当化する機制です。試験の成績が悪かったのは、問題が難しすぎたからだと言うように自己弁護の形で使われます。自分自身が受け入れたくない現実（失敗や欠点）を、受け入れられる形に無理矢理変形しようとすると考えてもいいかと思われます。疲れていたり、精神的に余裕のない時には、誰にでも見られる行動です。
９）適応機制「逃避」「孤立」
不快な場面、緊張する場面から逃げ出してしまうことによって、消極的に自己の安定を求める機制です。単純に場面から逃げ出したり、避けて接触しないようにすること、空想の世界へ逃げ出すこと（白昼夢・白日夢）、身体的な病気になることで解決困難な場面から逃げ出すこと（疾病への逃避）などがあります。人間関係の失敗を恐れて仲間に入らない、学校へ行きたくない子供が朝、腹痛になったりすることなどがこれに当たります。
１０）適応機制「退行」
欲求不満になった時、これまで成長してきた流れとは逆の方向に戻って未熟な行動をとるもので、忍耐力や抑制力がなくなったり、おねしょをしたり、甘えたいという気持ちが強くなります。すぐ泣くとか大声でわめくなどがあります。
１１）適応機制「固着」
欲求が阻止されてもなお、同じ目標に向かって繰り返し同じ行動がとられる機制です。困難な課題を解決するためには、ある程度必要なことではありますが、明らかに不可能なものについてこれがなされると、不適応行動となってしまいます。大学受験のため浪人する学生や、不適応行動のケースですとズバリ一言、ストーキングもこの部類に入ります。
１２）適応機制「代償」
本来の目標物が得られないとき、代わりの目標物に欲求を移して目標を達成し、緊張を解消する機制です。とても気に入って欲しくてたまらないものが高すぎて買えない時、安い値段の方で我慢するというように、日常生活ではよく用いられ、しかも欲求不満に適応する最も自然な形として行われています。
１３）適応機制「補償」
ある劣等感情を優越感情に変えようとする機制で。前向きな姿勢であれば、その人の望ましい価値が最大限に発揮されます。ですが、過度になったり極端になると、偏った人格を形成したり、反社会的な行動に陥ることもあります。身体にハンディキャップを持ち、それに悩む子供が勉強では他の子には負けないと努力するケースは、明らかに前向きですし建設的です。しかし、容姿に自信のない人が奇抜な服装やアクセで人目を引こうとするケースは、正直前向きとは言えませんね。そんなネガティブな場合を「過補償」又は「過剰補償」と言います。
１４）適応機制「注意獲得」
自分の存在と価値を他人に認めさせたいため、他人と異なった行動をとる機制です。わざと奇抜な格好をしたり、非行に走ることなどがあります。
１５）適応機制「攻撃」
これは嫌ですよぉ〜。ですが自然な心のメカニズムではあるんです。妨害になっていると思われる人や状況に反抗や攻撃を示すことで、一時的に緊張を解消しようとする機制です。妨害物に対する攻撃が困難な場合には、妨害物とは直接関係のない人や物を攻撃する、いわゆる八つ当たりが行われます。腹立ち紛れにドアを手荒く閉じたり、癇癪、喧嘩、弱い者苛めなどがあります。また、年齢が進むとそのような行動だけでなく、皮肉を言う、軽蔑する、言われたことに従わないなどというような間接的表現をとるようになります。八つ当たりみたいなケースは、「置き換え」という名の機制でもあります。
１６）適応機制「昇華」
性欲や攻撃欲など、そのままの形では社会的制約を受けるものを、芸術や文学、スポーツなど社会的に承認される行動に振り替える機制です。失恋の悲しみを芸術や仕事に向けて大成しようと努力をしたり、障害を克服して社会的に成功したと言われる人たちの行動がこれに当たります。欲求不満にあった時の行動としては、最も望ましいものとされています。
しかし、その本人が乗り越えねばならない苦痛は計り知れないものがあります。「昇華」は簡単に実現するものではなく、挫折した場合、病的な状況に陥りやすいと言えます。成功した一部の人を除けば、他の適応機制の方へ流されていくと考えても過言ではないでしょう。
こうしたメカニズムを用いて、自我は身を守っています。繰り返しになりますが、自我には生物学的な存在の根拠が無く、常に不安定な状態にあります。又、自我には外界・超自我・イドに常に脅かされています。ですが、自我が無ければ人間は生きてはいけないため、何としても防衛する必要があったのです。
又、こうしたメカニズムは無意識的に、しかし時には意識的に、たびたび繰り返されることにより、その人のとる行動様式が決まり、いつの間にかその人の性格の一部となることもあります。例えば、不快なことや困難な場面を避けようとする逃避的な機制をとりやすい人は、失敗が怖くて思い切った行動がとれない、批判されることや傷つけられるのが嫌で、人間関係が消極的になってしまうなど、気が弱いとか臆病と言われる正確になりやすいのです。
自我が上手く防衛出来ず、自我そのものの存在が揺らいだ時、人間は何とか自我を立て直そうとします。しかし自力で出来ない時、つまり心が病んだ時には、臨床心理学者や精神科医の元を訪れ、自我の立て直しを手伝ってもらうのです。
本能が壊れてしまった人間は、そうやって生き延びてきたのです。
…………………………
大変お疲れ様でした♪。一応、「フロイト・ワールド」はここで終わりとなります。後は、これまでに挙げてきたことを基にして、プラスアルファで話をしていこうかと思います。ではでは、この手のお話は「ナルシシズム��」からスタートします。
ここまでお付き合い頂いた方、本当に有難うございます！！
maison0163 at 21:57│コメント(0)│
December 07, 2005
いらっしゃいまし♪
性欲にまつわる話にはいい加減うんざりしてきたアナタへ♪。ここからは少しカラーが変わりますので。小さいお子さんと一緒にこのブログをご覧のお母様、「有害ブログ」のレッテルは外して下さいね（…いや、そんな奇特な方おられるのかな？）。
…………………………
１）心的構造論の修正
心は「意識」、「前意識」、「無意識」の３つから成立しているというのがフロイトの初期の「心的構造論」の中身です。「フロイト〜�◆廚瞭睛討箸�ぶりますが、もう一回触れておきましょ♪。意識とは、自分で意識している部分で、これまで人が「これが自分の心だ」と考えていた部分でもあります。前意識、これは普段は無意識の中にありますが、注意を向けると意識に上がってくる部分のことです。何かを度忘れしたとしましょう。思い出したときは意識の中にありますが、思い出さない間、その事柄のある場所が前意識というわけです。それに対して、無意識というのは、自分で意識出来ない自分の知らない部分です。その中身は「抑圧されたもの」です。意識化されないのに、なぜ無意識が存在すると分かるのか？それは「日常生活における間違い」や「夢」、「神経症の症状」などに形を変えて現れるため、それらから間接的に無意識が存在すると考えられるのです。無意識が存在すると考えないと、説明のつかないことが多いのです。
ですが、やがてフロイトは考えを変え、心は「自我」、「超自我」、「イド」から成り立つと考えるようになりました。しかし意識が自我に、前意識が超自我に、無意識がイドに相当するというわけではありません。また、心が自我、超自我、イドの３つの部分にきれいに分かれているわけでもありません。
…何のこっちゃ？ ということで続けます。
２）「自我（エゴ）」って何？
「自我」とは、「私が『これが私だ』と思っているもの」で、人間が社会の中で生きていくために必要不可欠な心の主体です。動物には自我はないと考えられます。「動物にも心がある」というものはあくまでもアナロジー（類推）で、人間が心を動物に投影しているに過ぎません。人間以外の動物は本能の導きに従って生きていけるため、自我は必要ありません。これに対して、人間は本能が壊れてしまったため、そのままでは自然の中で生きていけなくなりました。そこで自然との隙間を埋めて生きていくために、本能の代理として心を生み出し、さらに自我を作り上げたのです。
生まれたばかりの乳児に自我はありません。生まれつき備わっているものではないのです。自我と他人との区別が付くようになって初めて、「これが私」という自我が形成されます。成長すると共に自我は変化していきますが、いつの年齢においてもその時「自分」だといえるものには違いありません。
自我は一見全て意識的のようですが、その多くは無意識的です。心の病のメカニズムで言うと、自我は「抑圧」という無意識的な働きをします。また自我は全能感に浸っています。「自分は何でも出来る」と思い込んでいるわけです。そして次第に、自分は決して全能ではないことに気付いていきます。ちなみに前回話しました快感原則と現実原則の関連性から見ると、自我は最初はひたすら快感原則に従いますが、成長するにつれて現実原則に従うようになります。
３）「超自我（スーパーエゴ）」って何？
「超自我」とは自我にとって「理想」であると同時に「禁止するもの」です。自我の内部にあって自我を監視しているもの、簡単に言うと「心の中の『良心の声』」となります。超自我は、オイディプス・コンプレックス（女児だとエレクトラ・コンプレックス）を形成・克服する男根期の親の影響によって内在化され、しつけ、親からの叱責、教育などを通して強化されていくものです。
自我は絶えず「こうなりたい」「こうしたい」という願望を抱いています。これに対して「こうあるべき」とその理想を提供したり、「〜してはいけない」と禁止したりするものが超自我です。超自我は、自我が従わないと自我を厳しく罰するので、その結果罪悪感や劣等感が生じるのです。
超自我には無意識的な部分もありますが、その大半は意識的です。たとえば勉強しなくてはいけない時に、ついテレビを見てしまったとします。また盗みを働くなど法に背く行為をしたとします。その時に覚えるやましさや罪悪感は超自我によるもので、ちゃんと意識されています。もし人間に超自我がなかったとすると、犯罪を犯しても罪悪感はゼロ、また向上心もゼロ、よって社会は成立しないことになります。また、超自我と自我は、互いに相対する２つのものと表現するよりは、超自我は自我の一部だと考えたほうが妥当でしょう。しかし、２つのものとして扱う意見もあります。
４）「イド（エス）」って何？
「イド（Ｉｄ：ラテン語）」と英語圏では呼ばれています。ドイツ語では「エス（Ｅｓ）」と呼び、「それ」という意味です。自分の心でありながら「それ」と呼ぶのです。自我から見たら、イドは「外にある何か」なのです。ですが外側から見れば、イドも自分の心の内部です。イドとは、無意識の中にあるあらゆる欲動を含むもので、ひたすら欲動を満足させようとする、まさしく「欲動の貯蔵庫」と表現出来ます。その内部は混沌としています。心を動かしているエネルギーは全てイドの中から湧き出していて、自我はイドからそのエネルギーを供給されているのです。
「『私は生きている』と言う表現は条件付きでしか正しくない。正しくは『人間はエス（イド）によって生かされている』のである。」（Ｗ．Ｇ．グロデック）
イドは全て無意識の中にあります。また、快感原則と現実原則の関連で言うと、イドはひたすら快感原則に従います。自我としてはイドを野放しにしておくわけにはいきません。イドをコントロールしないといけないのです。
そこで自我とイドとの関係が問題になってきます。
５）暴れ馬のイドと騎手の自我
「イドと自我の関係は、暴れ馬とそれをコントロールする騎手の関係に似ている。ただ、騎手は自力で馬をコントロールするが、自我は隠れた力でイドをコントロールする。騎手は馬から落ちたくなければ、そばしば馬の行こうとすうｒ方向に進むしかない。同様に、自我もイドの意思をまるでそれが自分の意思であるかのように実行に移すことがある。」
フロイトはこのように自我とイドとの関連性を記しています。心を動かすエネルギーの全てを生み出すイドは無秩序で混沌としており、社会のルールなどお構いなしで、ひたすら快感原則に従います。そのため自我がイドをコントロールしないと、人間は社会生活を営むことが出来ません。欲動を満たすことしか考えずに自由に動き回るイドに対し、自我は無意識的に、社会に適応した方法でイドの欲動を満たそうと、イドをコントロールするわけです。しかしイドの力が強すぎて、自我がコントロール出来ない時もあります。そんな時はイドの力のまま自我が動いてしまうのです。
しかし、自我とイドはまったく別物というわけでも、真っ向から対立しているというわけでもないのです。
６）自我はイドの一部
比喩的に言うと、自我はイドというドロドロの海の中で、ドロドロが固まって出来た島のようなものです。そう考えると、ある意味自我はイドの一部で、自我とイドの中身は本質的には変わらないことになります。フロイトによると、自我は自分と他人との区別が付くようになる乳児期に、イドの中で生まれて分化したと言うのです。
そして自我がイドの一部を取り込んで大きくなることもあれば、自我の一部がイドに取り込まれて、自我全体が小さくなることもあります。
例えば、「こういう部分は自分ではない」「こういう性格は私ではない」というように、自分が認める自我の範囲を狭くしていくということは、自我の中身をどんどんイドの中に放り込んでいくことになります。こうなると自我はどんどん小さくなり、自我それ自体の統一性は保たれても、「自分は何者？」というような不安定な状態に陥ります。
また逆に、「こういう面も自分」「ああいう点も私」というように、自我の幅を大きくしていくことは、イドから多くのものを取り込むことになります。自我が大きくなるとそれだけ安定はします。ただし、自我内部の統一性が失われ、自己矛盾を来たすことになってしまいます。
こうして、自我は安定をはかろうと自我自身を変化させることがあります。何を自我に取り込み、何をイドの中に放つかは、自我自身が決めます。しかしこの選択は全く無意識的に行われるのです。
ちなみにこの自我なんですが、普通の場合だと１人に１つです。しかし中には、イドというドロドロの海の中に浮いている自我という島が、それ自体の他にもう１つ島が出来たりすることがあります。もう１つで収まらず、複数の島が出来るケースもあります。複数の島（自我）を持つ人が「多重人格者」となるわけです。自我とは人格なのです。そうやって出来た複数の自我が、精神療法などによって１つに合体することもあります。これを「多重人格の統合」と呼びます。
…………………………
これがフロイトによる「心的構造論」の大まかなところです。
この自我なるもの、元々かなり不安定なものです。
動物は本能を持っていて、それに従っていれば生きていけるので、自我を持っていません。大して人間は本能が壊れて正常に機能しないので、生きていくために自我を持つようになったわけです。なので、自我は本能（イコール自然）に根ざしてはいません。自我は、その存在の生物学的根拠を持たない、いわば砂上の楼閣のようなものなのです。
そこで自我には、自分の身を守るための様々な手段を持っています。「フロイト・ワールド」最終回（…になるのかな？）では、この「自我の防衛機制（防衛メカニズム）」についてのお話です。
ではでは♪
性欲にまつわる話にはいい加減うんざりしてきたアナタへ♪。ここからは少しカラーが変わりますので。小さいお子さんと一緒にこのブログをご覧のお母様、「有害ブログ」のレッテルは外して下さいね（…いや、そんな奇特な方おられるのかな？）。
…………………………
１）心的構造論の修正
心は「意識」、「前意識」、「無意識」の３つから成立しているというのがフロイトの初期の「心的構造論」の中身です。「フロイト〜�◆廚瞭睛討箸�ぶりますが、もう一回触れておきましょ♪。意識とは、自分で意識している部分で、これまで人が「これが自分の心だ」と考えていた部分でもあります。前意識、これは普段は無意識の中にありますが、注意を向けると意識に上がってくる部分のことです。何かを度忘れしたとしましょう。思い出したときは意識の中にありますが、思い出さない間、その事柄のある場所が前意識というわけです。それに対して、無意識というのは、自分で意識出来ない自分の知らない部分です。その中身は「抑圧されたもの」です。意識化されないのに、なぜ無意識が存在すると分かるのか？それは「日常生活における間違い」や「夢」、「神経症の症状」などに形を変えて現れるため、それらから間接的に無意識が存在すると考えられるのです。無意識が存在すると考えないと、説明のつかないことが多いのです。
ですが、やがてフロイトは考えを変え、心は「自我」、「超自我」、「イド」から成り立つと考えるようになりました。しかし意識が自我に、前意識が超自我に、無意識がイドに相当するというわけではありません。また、心が自我、超自我、イドの３つの部分にきれいに分かれているわけでもありません。
…何のこっちゃ？ ということで続けます。
２）「自我（エゴ）」って何？
「自我」とは、「私が『これが私だ』と思っているもの」で、人間が社会の中で生きていくために必要不可欠な心の主体です。動物には自我はないと考えられます。「動物にも心がある」というものはあくまでもアナロジー（類推）で、人間が心を動物に投影しているに過ぎません。人間以外の動物は本能の導きに従って生きていけるため、自我は必要ありません。これに対して、人間は本能が壊れてしまったため、そのままでは自然の中で生きていけなくなりました。そこで自然との隙間を埋めて生きていくために、本能の代理として心を生み出し、さらに自我を作り上げたのです。
生まれたばかりの乳児に自我はありません。生まれつき備わっているものではないのです。自我と他人との区別が付くようになって初めて、「これが私」という自我が形成されます。成長すると共に自我は変化していきますが、いつの年齢においてもその時「自分」だといえるものには違いありません。
自我は一見全て意識的のようですが、その多くは無意識的です。心の病のメカニズムで言うと、自我は「抑圧」という無意識的な働きをします。また自我は全能感に浸っています。「自分は何でも出来る」と思い込んでいるわけです。そして次第に、自分は決して全能ではないことに気付いていきます。ちなみに前回話しました快感原則と現実原則の関連性から見ると、自我は最初はひたすら快感原則に従いますが、成長するにつれて現実原則に従うようになります。
３）「超自我（スーパーエゴ）」って何？
「超自我」とは自我にとって「理想」であると同時に「禁止するもの」です。自我の内部にあって自我を監視しているもの、簡単に言うと「心の中の『良心の声』」となります。超自我は、オイディプス・コンプレックス（女児だとエレクトラ・コンプレックス）を形成・克服する男根期の親の影響によって内在化され、しつけ、親からの叱責、教育などを通して強化されていくものです。
自我は絶えず「こうなりたい」「こうしたい」という願望を抱いています。これに対して「こうあるべき」とその理想を提供したり、「〜してはいけない」と禁止したりするものが超自我です。超自我は、自我が従わないと自我を厳しく罰するので、その結果罪悪感や劣等感が生じるのです。
超自我には無意識的な部分もありますが、その大半は意識的です。たとえば勉強しなくてはいけない時に、ついテレビを見てしまったとします。また盗みを働くなど法に背く行為をしたとします。その時に覚えるやましさや罪悪感は超自我によるもので、ちゃんと意識されています。もし人間に超自我がなかったとすると、犯罪を犯しても罪悪感はゼロ、また向上心もゼロ、よって社会は成立しないことになります。また、超自我と自我は、互いに相対する２つのものと表現するよりは、超自我は自我の一部だと考えたほうが妥当でしょう。しかし、２つのものとして扱う意見もあります。
４）「イド（エス）」って何？
「イド（Ｉｄ：ラテン語）」と英語圏では呼ばれています。ドイツ語では「エス（Ｅｓ）」と呼び、「それ」という意味です。自分の心でありながら「それ」と呼ぶのです。自我から見たら、イドは「外にある何か」なのです。ですが外側から見れば、イドも自分の心の内部です。イドとは、無意識の中にあるあらゆる欲動を含むもので、ひたすら欲動を満足させようとする、まさしく「欲動の貯蔵庫」と表現出来ます。その内部は混沌としています。心を動かしているエネルギーは全てイドの中から湧き出していて、自我はイドからそのエネルギーを供給されているのです。
「『私は生きている』と言う表現は条件付きでしか正しくない。正しくは『人間はエス（イド）によって生かされている』のである。」（Ｗ．Ｇ．グロデック）
イドは全て無意識の中にあります。また、快感原則と現実原則の関連で言うと、イドはひたすら快感原則に従います。自我としてはイドを野放しにしておくわけにはいきません。イドをコントロールしないといけないのです。
そこで自我とイドとの関係が問題になってきます。
５）暴れ馬のイドと騎手の自我
「イドと自我の関係は、暴れ馬とそれをコントロールする騎手の関係に似ている。ただ、騎手は自力で馬をコントロールするが、自我は隠れた力でイドをコントロールする。騎手は馬から落ちたくなければ、そばしば馬の行こうとすうｒ方向に進むしかない。同様に、自我もイドの意思をまるでそれが自分の意思であるかのように実行に移すことがある。」
フロイトはこのように自我とイドとの関連性を記しています。心を動かすエネルギーの全てを生み出すイドは無秩序で混沌としており、社会のルールなどお構いなしで、ひたすら快感原則に従います。そのため自我がイドをコントロールしないと、人間は社会生活を営むことが出来ません。欲動を満たすことしか考えずに自由に動き回るイドに対し、自我は無意識的に、社会に適応した方法でイドの欲動を満たそうと、イドをコントロールするわけです。しかしイドの力が強すぎて、自我がコントロール出来ない時もあります。そんな時はイドの力のまま自我が動いてしまうのです。
しかし、自我とイドはまったく別物というわけでも、真っ向から対立しているというわけでもないのです。
６）自我はイドの一部
比喩的に言うと、自我はイドというドロドロの海の中で、ドロドロが固まって出来た島のようなものです。そう考えると、ある意味自我はイドの一部で、自我とイドの中身は本質的には変わらないことになります。フロイトによると、自我は自分と他人との区別が付くようになる乳児期に、イドの中で生まれて分化したと言うのです。
そして自我がイドの一部を取り込んで大きくなることもあれば、自我の一部がイドに取り込まれて、自我全体が小さくなることもあります。
例えば、「こういう部分は自分ではない」「こういう性格は私ではない」というように、自分が認める自我の範囲を狭くしていくということは、自我の中身をどんどんイドの中に放り込んでいくことになります。こうなると自我はどんどん小さくなり、自我それ自体の統一性は保たれても、「自分は何者？」というような不安定な状態に陥ります。
また逆に、「こういう面も自分」「ああいう点も私」というように、自我の幅を大きくしていくことは、イドから多くのものを取り込むことになります。自我が大きくなるとそれだけ安定はします。ただし、自我内部の統一性が失われ、自己矛盾を来たすことになってしまいます。
こうして、自我は安定をはかろうと自我自身を変化させることがあります。何を自我に取り込み、何をイドの中に放つかは、自我自身が決めます。しかしこの選択は全く無意識的に行われるのです。
ちなみにこの自我なんですが、普通の場合だと１人に１つです。しかし中には、イドというドロドロの海の中に浮いている自我という島が、それ自体の他にもう１つ島が出来たりすることがあります。もう１つで収まらず、複数の島が出来るケースもあります。複数の島（自我）を持つ人が「多重人格者」となるわけです。自我とは人格なのです。そうやって出来た複数の自我が、精神療法などによって１つに合体することもあります。これを「多重人格の統合」と呼びます。
…………………………
これがフロイトによる「心的構造論」の大まかなところです。
この自我なるもの、元々かなり不安定なものです。
動物は本能を持っていて、それに従っていれば生きていけるので、自我を持っていません。大して人間は本能が壊れて正常に機能しないので、生きていくために自我を持つようになったわけです。なので、自我は本能（イコール自然）に根ざしてはいません。自我は、その存在の生物学的根拠を持たない、いわば砂上の楼閣のようなものなのです。
そこで自我には、自分の身を守るための様々な手段を持っています。「フロイト・ワールド」最終回（…になるのかな？）では、この「自我の防衛機制（防衛メカニズム）」についてのお話です。
ではでは♪
maison0163 at 01:04│コメント(0)│
December 02, 2005
このシリーズ、初めて以来ず〜っとフロイトだのナルシシズムだのとやってましたので、今回は小ネタでいこうかと思います。息抜きにでもどうぞ♪
僕の友人にもいるんですよ。日頃おとなしい、というか落ち着いているんですが、車に乗っていざハンドルを握るようになると、ガラリと荒っぽくなっちゃうヤツ。で、自分の前をのんびり走っている車なんかを見ると、「早くどけよ！」とか「うざってえ〜っ！」なんて口にしたりして、交通量が少ない時なんて、アクセルをゲシゲシに踏み込んじゃったりとか。まるで性格がガラリと豹変しちゃったかのようでして。
交通心理学っていう心理学があるそうです。交通に関する人間の心理を対象にしている分野とのこと。それによりますと、この「性格が変わる」様子というのは、実は「性格が変わってしまう」というのではないというんです。「性格が出て来ている」というんですな。元々その人に備わっている、というより、その人の中に隠れていた性格が、車に乗ることで表に出て来るというのが本当のところなんです。つまり、その人の本性が出て来ているわけですね。
しかし、車に乗ると本性が出て来るって…、やはり気が大きくなるってことですよね。
車って「人の能力を拡張する機械」というんです。走り、強靭さ、大きさ…、こうしたいわば肉体的能力を車は飛躍的にアップさせてくれるんです。そういう機械と一体になれるのですから、自分が強くなったと感じても無理はありません。そのため、弱い自分の時には押し込められていた乱暴な性格が、表に出て来てしまうということです。
となりますと、別に車に限らず、例えばミルコ・クロコップみたいな強靭な肉体を手に入れられたら、同じように性格も変わるんでしょうね。パリス・ヒルトンみたいなボディを手に入れられたら、同じようにエロエロしくな…いや、あの、その…。
ちなみに僕がハンドルを握ったら…ええ、その、…ないしょ ＾＾♪
僕の友人にもいるんですよ。日頃おとなしい、というか落ち着いているんですが、車に乗っていざハンドルを握るようになると、ガラリと荒っぽくなっちゃうヤツ。で、自分の前をのんびり走っている車なんかを見ると、「早くどけよ！」とか「うざってえ〜っ！」なんて口にしたりして、交通量が少ない時なんて、アクセルをゲシゲシに踏み込んじゃったりとか。まるで性格がガラリと豹変しちゃったかのようでして。
交通心理学っていう心理学があるそうです。交通に関する人間の心理を対象にしている分野とのこと。それによりますと、この「性格が変わる」様子というのは、実は「性格が変わってしまう」というのではないというんです。「性格が出て来ている」というんですな。元々その人に備わっている、というより、その人の中に隠れていた性格が、車に乗ることで表に出て来るというのが本当のところなんです。つまり、その人の本性が出て来ているわけですね。
しかし、車に乗ると本性が出て来るって…、やはり気が大きくなるってことですよね。
車って「人の能力を拡張する機械」というんです。走り、強靭さ、大きさ…、こうしたいわば肉体的能力を車は飛躍的にアップさせてくれるんです。そういう機械と一体になれるのですから、自分が強くなったと感じても無理はありません。そのため、弱い自分の時には押し込められていた乱暴な性格が、表に出て来てしまうということです。
となりますと、別に車に限らず、例えばミルコ・クロコップみたいな強靭な肉体を手に入れられたら、同じように性格も変わるんでしょうね。パリス・ヒルトンみたいなボディを手に入れられたら、同じようにエロエロしくな…いや、あの、その…。
ちなみに僕がハンドルを握ったら…ええ、その、…ないしょ ＾＾♪
maison0163 at 21:22│コメント(0)│
