ここ最近何回か行ってる美容室。美容師さんが見習い的な若手(っぽい人)を含めて15人くらいいる。シャンプーの席とカットの席は少し離れているのだが、シャンプー担当の若手がお客さんの髪を洗いながらもカットしてる先輩の手つきをチラ見したりしていて、まあ要は技術を盗もうとしているのだろう、この広くはない空間に向上心とか野心とか上昇志向が渦巻いているのだろうなと思うと、見てて微笑ましい。
さて、ぼくは店長に髪を切ってもらっている。店長は忙しそうだ。あちこちに顔を出して、ぼくの髪を切ってる最中にもよく離席する。だからといって悪印象はない。こちらも別に誰かを独占していないと機嫌が悪くなる年でもなければ(当たり前だ)同性愛のケもないし、店長の物腰態度も礼を逸してない。むしろ好印象だ。ややチャラ男風で40人学級だったら絶対友達にならなかった(入れてもらえなかった)タイプであろうが、自分のような何歳になっても浪人生風のムサいおっさん相手でも丁寧に対応してくれる(仕事だから当たり前っちゃー当たり前だけど)。で、その店長が、あちこち顔を出すついでに、放置されているタオルを畳み直したり、ドライヤーのコードの乱れを直したりしている。だからといって、神経質な空気を発したり、「ちゃんとやっとけよ!」と若手に苛立ったりする風でもなく、ごく自然にやってる。

こういうところ、若手は見てくれているのかなー。
店長が店長であるゆえんって、こういうところにあるんじゃないかなー。

若手はきっと「自分に技術さえあれば、、、」と考えているのだろうと思う。自分に足りないのは技術と知名度。それさえあれば上に行ける、と(上がどこなのかは人によってちがうかもしれんけど。その店のトップなのか、独立して自前の店を持つことなのか、)。気持ちは分からんでもない。自分もそうだったから。でも、技術とか知名度とかのもっと手前のところに、気づかなければいけないところがあるじゃないかなーと、最近のぼくは思うんだよね。
仮に技術とか知名度とかでお客さんがついてきたとして、その先どうなるんだろう。「技術」とか「知名度」で寄ってきたお客さんは、他に「より上の技術の人」とか「より知名度の高い人」が出てきたら、そっちに流れるよ。まあもしそうなったら、今度は自分をより向上させていけばいい、より上の技術で、より知名度高く、って考えるんだろうけど、でもそれって「ずうっと勝ち続ける」ってことだよ。若いころって変な自信があるから、勝ちゃいーんだろ勝ちゃ、って安易な結論に達しがちで、それでつらくない人はいいけど(勝ち続けられる人とか)、でもしんどい道だよ、もう少し角度を変えたところに答えはないか?あるいは自分のすぐそばに、すぐできそうなところに、答えはないか?って言いたい。
でも、若い人にこのことを言っても、たぶん響かない。「は?何言ってるの」って言われるのがオチだと思う。だって、自分の若いころもそうだったもん。操作方法とか手順とかはともかく、「こころざし」みたいなものを教えるには、当人のなかに「気づきの種」みたいなものが芽生えていないと、伝わらない。「わかんねーヤツはわかんねーよ」「自分で気づけ」って言われちゃうのはそのせい。気づきを手助けするアイテムがあったらほしい。てゆーか若いころの自分に持ってってやりたい。