その昔初心者狩りされて「スト2なんて二度とやらない」と思ってたガキが、
オッサンになってホークで1勝するまでの話

第1話

タイトルの通りです。中学生の頃スト2ターボで乱入されてボロ負けし、「二度と対戦なんてしない」と誓ってた人間がオッサンになって、何を思ったかスト2を始め(再開というレベルではない。ほとんどゼロからスタートした)、野試合で初勝利するまでの話をします。今回は第1話。
…正直この話、書くかどうかすごく悩みました。強豪プレイヤーによる、膨大な対戦経験に裏打ちされた攻略記事とかであれば、需要あるし、僕も読みたいし。でも、これから書く話は、ポンコツおじさんによる、どこかポイントのズレた、とりとめのない話でしかありません。こんな話、誰かの心に響くのか…。…けど、書くことにしました。というのは、スト2という「ほとんど過去のものになってしまっている」と言ってもよいオールドゲームがこれからも続いていくためには、新規の人間・初心者に来てもらうことが不可欠で、で、そのためには初心者の方へのヒントというか、支えというか、何かそういうものを書き残しておくときっと助けになるだろう、という思いからです。なので、これを読んでくれた方が、「40過ぎたオッサンでも1勝できたりするんだな、この程度の練習で」と思ってくれれば本稿の目論見は成功です(笑)

さて、スト2です。みなさんスト2と聞いて「ああ、例の対戦格闘ゲームね、道着ハチマキの人とか金髪黒マユゲとか手足伸びて火を吹くインド人とかいる、昔流行った、、」とお思いでしょうが、…正解です。「昔流行った」というのはまさにその通りで、ストリートファイターシリーズはすでにストリートファイターⅢとか4とか続編が出ていて、最新作はストⅤになります。けど、すでに「昔」のものとなっているスト2にも根強いファンがいて、対戦台を置いてあるゲーセンも(探せば)あるし、場所によっては対戦会なども行われています。対戦動画なんかもアップされています。ちなみに、「スト2」と言っていますが、現在行われているのはほぼスパ2Xかハイパーで、現在スト2対戦台としてゲーセンに置かれているのはほぼこの2種です。
ところで、古いゲームであるスト2に対して「なんだよ時代遅れかよw」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際は「修羅の国」としか言いようのない世界です。スト2歴20年以上という方がゴロゴロいるし、コマンド精度は高く他キャラの技まで知ってる前提、しかもそういう人たちが、今までの攻略に満足せず新戦術を模索しているような、そんな世界です。柔道で言うなら、5段以上の人が当たり前にいる、少なくとも全員黒帯以上、そんなところに白帯が足を踏み入れる…。勝てなくて当たり前です。てゆーか大ケガします。でも何でか、足を踏み入れることになってしまった…。その辺りの事情というか、動機というか、その辺のことをつらつらと書いていきたいと思います。主に思い出話です。

【中学生:スト2田舎に襲来】
中学生の頃の話。
僕の住んでたところは北海道北東部の半島に位置するS町というところで、…まあ一切悪気も悪意もないですしそれに自分の出身地なんでこう表現しても許されるだろうと思うんですけど、どう控えめに見ても「ド田舎」です。どれくらい田舎かというと、流氷が来ます。みなさん流氷見たことないでしょう。ぼくは乗ったことあります。当時の人口15000人ほど(ちなみに現在の人口をHPで見たら11000人でした)。周りは農家、僕の実家も酪農、サラリーマンと言えば農協の職員。そんなところへ、ブームとはおそろしいですね、スト2がやってきてしまうんです。たしか中1のときでした。それまでプラモとゲームしか置いてなかった町のふつうのおもちゃ屋さんに、スト2(初代)の筐体が入ります。おもちゃ屋さんも大変だったでしょう、筐体を置くためにスペースを空けたり。で、そこでスト2触ったのが最初です。
…すげえおもしろい。友達と対戦してやみくもに技だしてみたり、CPU戦やってみたり。波動が出ない、昇竜でない、レバー1回転ってどうやんの?っていう誰もが通る道を私も体験させていただきました。
このとき、高校生の兄ちゃん2人組もよく来てて、彼らはいち早くCPU戦をバルログまで進めていて「すげーな」と思いました。

【100円の重み】
けど、当時は1プレイ100円。中学生にとっては高い!続けられない!上手くなれば続けられるんだろうけど、練習するにもお金が必要だし。…ということで、筐体からは徐々に縁遠くなっていき、そしてSFC版が出たときに飛びつくことになります。

【SFC版スト2】
SFC版が発売されると即購入しました。ソフトは確か1万円くらいしましたが、でもこれで何度でもコンティニューできる!ということでパッドの左下が効かなくなるくらい遊び倒しました。まあ「遊び倒した」といっても、全キャラ触って、必殺技の出し方くらいはわかる、というレベル。当然パッドでのプレイです。
友人宅で対戦もやりました。でも友人対戦は、「戦って楽しい人と、そうでない人がいる」という事実も突き付けてくれます。「戦って楽しくない人」というのは、「小足連打から投げ」ハメしかしない人。彼らの「勝てば官軍!」的思想(実際そう言いながらハメを仕掛けてきた)にどうしてもなじめず…。そのうち僕はザンギを使うようになります。理由は「明らかに弱いとされていた」から。でも僕は、当時のマル勝ファミコン(もう『マル勝スーパーファミコン』になってたかな?摩陀羅が好きだった)に「大足だしてる間にレバー一回点させればジャンプしないでスクリュー出せる」と書いてあったので家で2P側の十字キーを足で押さえてガード状態にし延々と十字キーを回して練習して。そのうちコツをつかみます(自分はパッドでもスクリューが出せた)。大足スクリューができるようになるとそのうち立ちスクリューもできるようになり。で、友人対戦で、開幕から1歩前進→スクリューとかめくり中足スクリューとかやって周りを驚かせてました(当時「スクリューがだせるだけでスゴイ」という風潮があった)。けど、相手からしたら「ザンギなんかに負けて腹立つ」「そもそも負けるのつまんない」だったのかもしれません。
友人の家でSFCスト2対戦ブームは徐々に下火になっていきます。そのなかで、M君だけはザンギ対策に本腰をいれ、本田で「大百裂→飛んだら連打やめてごっつぁんで落とす」という単純な戦法で来たんだけど、これをどうしても崩せなくて完敗してました。でもまあ、負けても楽しかった。

【ダッシュ登場】
で、貧乏な中学生がコスパに優れるSFC版をやってた頃、例のおもちゃ屋にダッシュが導入されます。しかしこのとき「四天王が使える」ということに魅力を感じたものの、ほとんど触らず。理由はやっぱり「100円は高い」から。たまに触ってもSFCの十字キーと筐体のレバーでは全然感覚が異なるので、イマイチ楽しめず。「ゲーセンにも十字キーあればいいのにな」とか不遜なことを思ったりしてました。また、上記の高校生の兄ちゃん2人組とも顔見知りになって、対戦もしてもらってたのですが、あっさり100円飲まれて、、「楽しくないな」と思いました。そのうちターボ筐体も入りましたが、同様の理由であまり触らず。

【SFC版ターボ】
SFC版ターボも発売とほぼ同時に買った気がします。新技の増えたキャラ達を、コンティニュー回数気にせずいくらでも使い倒せる!ということで、一通り全キャラで遊んでみるものの、周りではスト2ブームはほぼ去っており、家でCPU相手に延々と戦ってました。たまにマニアックな友人と対戦して遊ぶくらい。当時本当に好きだったキャラはリュウで、ストイックなキャラクター、(派手なケンに比べて)地味だけど渋いリュウをかっこいいと思ってたので、リュウでCPUレベル8をクリアすることを目標に遊んでました。
ザンギも好きでした。ハイスピードダブラリの下半身無敵!お手軽!…そう、自分は安易なプレイヤーです(笑)。でも、お手軽に強くなった(ように思えた)ターボザンギが、僕は大好きでした。後にスーパーに触ったときに、「なんでハイスピードがないんだよ!」と思った記憶があります。

【見知らぬ人との対戦、ケンに負ける】
さて。狩られた話です。
ターボの頃、対戦筐体で、一度見知らぬ人に乱入されて対戦したことがあります。あれはたしか網走市のゲーセンだったと思います。どういう経緯で網走にいたのかは覚えてないのですが、、僕にとって網走は「都会」でした。今調べたら網走市の人口は約4万人なので田舎もいいとこなのですが、当時の僕、「町」のさらに下の「字」に住んでる僕にとって、「市」は「都会」です。網走にはゲーセンあったし(上述のように、僕の町はおもちゃ屋が筐体置いてるだけ)。そんな網走のゲーセンで、ターボを一人用でプレイしていた(たぶん暇つぶしをしていたんだと思います)とき、乱入されました。
自分の町でも(筐体で)対戦したことはありましたが、相手は例の高校生の顔見知り兄ちゃんだったので、見知らぬ人との対戦は初めてです。怖いなー、やだなー、十字キーじゃないから技でないしなー、、とか思っていたら始まりました。相手はケン。こちらはよく覚えてないのですが、たぶんリュウだったと思います。
…ボロ負けしました。展開はよく覚えてないです。たしか1本目、大大大昇竜でピヨって負け、2本目はコンボを怖がってしゃがみガードで固まってるところを投げられるという最高に恥ずかしい負け方をして終了しました。僕はマッハの速度で席を立ち、ゲーセンを後にしたように思います。
自分の100円があっさり飲まれた。
自分のペースで遊ぼうと思ってたのに、蹂躙された。
十字キーじゃないから技がでなかった。
くやしい。
「二度と対戦なんかしない」そう思いました。ここで「くそう!負けてたまるかよ!」とスト2道に入る道もあったかもしれませんが、このとき僕は完全に心が折れ、対戦が一発でイヤになりました。特に「ビビってるところを投げられる」とか最悪です。今思い出しても恥ずかしいしくやしい。
僕の野試合の経験は、だからこれ1回です。で、これを克服するっていうのが40オヤジの奇行(スト2で1勝目指す)の遠因なんじゃないかと思ってここに記した次第です。

…差し当たり、初心者狩りされるまでの話は以上です。次回は、「40になってスト2始める話」をします。