その昔初心者狩りされて「スト2なんてニ度とやらない」と思ってたガキが、
オッサンになってホークで1勝するまでの話

第2話 40オヤジ、ボタン離しスクリューに感動

前回は、中学生のぼくが乱入されてボコられて「スト2なんてニ度とやらない」と思うまでの話でした。今回は、40過ぎたぼくがスト2で遊ぶようになるまでの話。

【ゲーセンを楽しめてうらやましいと思った話】
さて、ぼくは2019年1月ごろにSFC版スト2ターボで遊ぶようになるのですが、その話をする前に、そこから5・6年前の1エピソードを。というのも、この5・6年前の体験が現在の自分に少なからず影響していると思われるからです。
で、5・6年前の話。当時仕事仲間にN君という人物がいて、彼が「ガロスペやりたい」としきりにつぶやいていて。何でも彼はその昔ガロスペをやっていたのだが、最近ガロスペ熱が再開し、NEOGEOも買ったそうで。で、当時仕事場が秋葉原にあったので、仕事帰りに対戦しに行くから一緒についてきてくれ、と。というわけでN君は、ぼくと、そしてもうひとりOさんを連れて、秋葉原のとあるゲーセンに向かいます。当時はわからなかったのですが、今思い出すとその場所は対戦の聖地Heyでした。
…ここで読者のみなさんは「ああ、このN君という人がこの話のキーマンなのかな」とお思いになられるかもしれませんが、実はこの話でぼくに感銘を与えるのは、付き添いの付き添いであるOさんの方です。
N君はガロスペ台を見つけるとさっそく対戦に入りました。相手不知火舞の龍炎舞を山田十兵衛の煎餅手裏剣でしのぐ、という展開。…ぼくはN君の対戦をしばらく見学した後、手持ち無沙汰になりました。何十年振りかでゲーセン来てはみたけれど置いてあるゲームにどれも馴染みがないし、対戦なんてもっての他だし、、、。…ふと気づくと、Oさんの姿が見えない。どこ行ったのかな、、と探すと、Oさんはヴァンパイアの台の前に座ってました。使用キャラは赤ずきんちゃんみたいな幼女で、CPU戦を延々と続けている。負けない。うまい。彼がある程度やり込んでいることはすぐにわかります。そのうち誰かが乱入してきたらしく、しかし突然の乱入に取り乱すことなくそれをあしらうOさん。
見ていてうらやましくなりました。付き添いの付き添いで来ただけのゲーセンで、楽しんでる。対戦も含めて対応できる。Oさんのことはふだんメガドライブの話しかしないおっさんだとしか思ってなかったのですが、対戦格闘に対応できる懐の深さというか、対応力というか、経験値というか、基礎教養として「格ゲー」を備えている地力というか、、、とにかく「ゲーセンを楽しめる」Oさんに憧れを抱きまして。ぼくは全然ゲーセンを楽しめてない。でもOさんは楽しめてる。話は脱線しますが、カラオケで絶対歌わない人っているじゃないですか。頑なに拒否する人。アレたぶん、周囲も、そして本人も楽しくないと思うんですよ。歌った方が絶対楽しい。もちろんカラオケって「空気読むゲーム」の部分があるから、「下手でもいいから歌え」「何でもいいから歌え」ってわけにはいかないかもしれない。特に気を遣う人にとっては。ヒラメちゃん級の歌唱力の人もいるかもしれないし。でも、ある程度場の雰囲気に沿った選曲なら、そんなにうまくなくても「歌う」方が楽しめる。選曲だってメンツ次第でマニアックなの選んでもいいわけだし。でもぼくはゲーセンに対して、「カラオケを拒否する人」みたいな状態になってたわけで、それをこの日反省して。。。
この話はこれで終わりです。非常にたいしたことないエピソードです。この日からぼくはゲーセンに通うようになりましたとかそういうのではないです。でも、心のどこかに「ゲーセンを楽しめるようになりたいな」という思いが芽生えました。ゲーセン文化となじめるようになりたい。片隅でそう思いながら、しかし特に何も起きず、2019年になります。

【SFC版スト2を再開】
突如として話は現代。
2019年、何の因果か我が家にSFCが導入され、いくつかのソフトで遊んでいたのですがそのなかにスト2ターボがあり、少し触ってみることに。
やっぱ楽しいわ。
CPU戦楽しい。
約20年振りに触ったスト2は、やはり楽しかった。主にザンギを使って、ハイスピード→スクリューなんてお手軽プレイで遊んでました。
そんな中、中学生の頃と決定的に違うのはやはりインターネット。ネットでザンギエフ関連の記事を読んで、そこで「ボタン離しスクリュー」と出会うことになります。

【40オヤジ、ボタン離しスクリューに感動】
ネットで得たザンギ知識で当初ぼくを驚かせたものが2つあります。
ひとつは、「下小Kからスクリューするのは素人」。技の戻りの関係から、立小Kからスクリューするのがセオリー、とある。それに対して、ぼくはまさしく下小Kからスクリューするタイプの人間だったので、気付きを与えられるとともに癖の矯正の必要性に駆られます。
そしてもうひとつが「ボタン離しスクリュー」。
「ボタン離しスクリュー」とは、スト2の必殺技が「ボタンを押したときだけでなく、ボタンを離したときにも入力を受け付ける」という仕様を利用したもの。通常のボタン押してスクリューだと、相手が昇竜拳を出しているときにはスクリューが出ず通常技が出て、そこを昇竜拳で斬られます。しかし、ボタンを押しっぱなしにした状態でレバー1回転させ、ガード方向にレバー入れながらボタンを離せば、相手が昇竜以外の行動ならスクリューで吸い込み、昇竜だしてたとしても通常技が暴発しないので相手の昇竜をガード→反撃可能、というもの。つまり、

スクリューを返す手段を無効にするテクニック

というわけです。
…イヤ、これはすごいことなんです。伝わらないかもしれないですが、これはすごいことなんです。だってザンギって勝つ手段、スクリューしかないじゃないですか。他キャラより優れている点がスクリューしかない。けど相手だって、そこに狙いを合わせて昇竜で対応しようとする。スクリューを対処されたらザンギは為す術ありません。でも、ボタン離しならそれをも無効化できる…。
おじさん大変感動しまして。思いついたヤツ天才。さっそく練習に移りました。立小Kからぐるっと回して、その間に小P押しておいて、離す。立小Kの有利フレームが長くてタイミングが難しいのと、小K押し→小Kのモーション中にすぐさま小P押しってところが意外と難しく、なかなか成功しなかったのですが、発動したときは大変感動しました。もちろん相手はCPUですが。
…この辺りから、スト2がすごくおもしろくなってきます。家に帰って毎日1時間ほどCPU戦やる日々。徐々に上達(と言ってよいかはわからないですが)していく実感があり、しばらくするとCPUのレベル8をクリアできるようになります。パッドで。

【閑話休題:筆者のゲームの腕前】
筆者は別段ゲームは上手くありません。ロックマン2はクリアできなかったし、忍者龍剣伝も無理。魔界村はレッドアリーマーを画面スクロールで消して進むんだけど、1面ボスにやっぱり負ける。そんなレベルです。シューティングも苦手。RPGは好きで、ウィザードリィとかを地道にマップ埋めて、すぐ宿屋に戻って、、なんてのは好きなのですが、アクションはちょっと、、。おそらく有野課長と同じくらいの腕前ではないかと思います。

【近所のゲーセンでホークを触る】
さて。家スト2でそこそこ練習を積んでたある日。
本所吾妻橋に小さなゲーセンがあり、そこにふらっと入ってみると、エミュレータ基盤って言うんですかね、1000in1みたいなゲームのひとつにスパ2Xがありまして。リーガルなのかイリーガルなのかよくわからないのでゲーセンの名前は出しませんが、とにかくそこにスパ2Xがありました。で、遊んでみることに。当然1人プレイです。そして、そこは対戦台ではない(一応レバー2本あるので隣り合わせに座ることは可能だが、対戦筐体ではない)ので、乱入される心配はない。
使用キャラはホークにしました。
というのも、昔高校生のころSFC版スパ2でホークをちょっと触ったことがあったのと、スーパー以降のザンギをどうしても「ハイスピードがない=弱くなった」としか思えない(←ザンギ使いの方からするとものすごく安易な感想ですみません、、)こともあって、ホークに。
話違うんですけどこの手の1000in1タイプのゲームって、ゲーム選ぶ前に100円入れちゃダメなのね。クレジットとして認識してくれない。僕も最初メニュー画面の状態で100円入れて、呑まれて、店員さん呼ぶのもめんどくさかったのでお布施として差し出しました(笑)。
さて、「ゲーセンデビューしたいなー」とうっすら考えるようになっていたおじさんの、初プレイです。

・・・トマホ出ねえ。昇竜コマンドってこんなむずかしかったっけ?

・・・そして、

・・・タイフーン出ねえ。

密着させて1回転させると、ようやくタイフーンは出ました。けど、流れの中で、…スパ2Xなんて最初の相手はほぼ棒立ちなのに、流れの中からタイフーン出せない。
なぜだ。



CPU3人目の相手にあっさり負けて、僕のスパ2X初プレイは終了しました。もちろん2回転なんて出せるはずもなく。
・・実はこのときの「タイフーン出ない」問題の原因は「間合い」でした。わたしはまだ、「タイフーンの間合いはスクリューよりせまい、それも相当せまい」ということをわかっていなかったのです。
わたしは次のクレジットを入れませんでした。あきらめたわけではありません。「もっと練習する必要があるな」と思いました。そして、帰る前に、「1時間フリープレイ500円」というコースがあることを確認し、店を出ました。
…数日後。
わたしはSFC版スーパーストリートファイター2を中古で買いました。ホークを使うためです。なぜかこの辺りから、「自キャラはホークで!」と考えるようになっていました。
続いて、アスキーのファイティングスティックを秋葉原の某スーパーポテトで購入、十字キーを卒業します。…実は、カプコンのCPSファイターも購入したのですが、残念なことにスタートボタンが効かず、はじめは我慢して使用しコンティニューの際はパッドに差し替えてスタートボタン押す、、なんてことをやっていたのですが(アホですね)、あまりに非効率なのでやめました。
アスキーファイティングスティックは、レバーのガイドが四角なところが大変残念なのですが、SFCコントローラーでこれ以上のものは望めません。(今も使っています)

こうしてわたしは、新たなコントローラーで、SFC版スーパーをプレイしていくことになります。
今日はこの辺で。
次回第3話は、ホークを使っていく上での苦労をお話していこうかなと思います。