その昔初心者狩りされて「スト2なんてニ度とやらない」と思ってたガキが、

オッサンになってホークで1勝するまでの話

 

第6話 デビュー戦

 

SFCのスト2を再開して4ヶ月、ホークの練習を始めて2ヶ月が経ちました。ぼくは、湧き上がる欲求抑え難く、とうとう対戦デビューを決意します。

 

【ステータス】

当時のぼくのホークができることは起き攻めくらいです。けどその起き攻めも精度は低く、当てタイフーンは下小Pからなら9割決まるけど、N小Pからは2~割です。トマホは出たり出なかったり。コンドルも出ないことがある。コンボの精度も低く、仮に決まっても決めた自分に驚く、そんなレベルです。もちろん地上戦はできません。投げ受け身はとれないし中段も見えない。識者からすれば「帰れ」って言われそうなレベルですが、そんな状態でデビューの日を迎えます。

 

100敗の誓い】

対戦デビューする際自分に誓ったのは、「100敗するまで辞めない」でした。100試合やれば1勝くらいできるだろうし、もし100戦して1勝もできないようなら向いてないんだから辞めてもいい。そう思ってました。

 

【何のために1勝したいのか】

「ゲーセンを楽しむため」です。1人プレイに限定して楽しむのも「アリ」だとは思いますが、対戦申し込まれてあたふたして逃げまどっていたら結局は「楽しめない」と思います。いざ対戦、となっても楽しめる。対応できる。そのためにはある程度実力が必要です。

自分が柔道始めたばかりの頃、乱取りで投げられてばかりで凹んでいたとき先輩が「楽しいと感じられるのは強くなってからの話だからな」と。弱いうちは全然楽しくない。結局、勝負の世界は、ある程度強くならないと楽しめないんです。おかげで柔道全然楽しくなかったけど()、スト2も同じです。勝つことがすべてとは決して思わないけれども、でもある程度戦える力量がないと楽しめない。そのためには経験を積む必要がある、そのための「100試合」なんです。そして、自分に実力がついたことの証明に「1勝」がほしいのです。

 

実は、競技性ゲームで「楽しむ」のに、「努力して強くなる」は必須ではないかもしれません。同レベル帯の人との対戦が成立するなら、それだけで「楽しさ」は生まれます。例え初心者でも、相手も初心者なら勝ったり負けたりで楽しい。自分も相手も黒帯なら、身につけた技の応酬ができて楽しい。しかし、自分の方が圧倒的にレベルが低かったりすると蹂躙されるだけで楽しくないだろうし、逆に自分の方が上すぎても退屈になる。だから、同じくらいのレベルの対戦相手がいる、というのは競技の楽しさの上で重要です。野球だって、草野球、少年野球、高校野球、PL学園、大学野球、地域リーグ、プロ、とレベルが分かれてるわけだし。しかし、ぼくがこれから足を踏み入れようとしているスト2界には、ぼくより強い人しかいません。同レベルの人ゼロ。だから、そこで楽しむためには、ぼくがそのレベルに追いつくしかないのです。

 

長くなりました。デビューです。

 

【秋葉原heyに降り立つ】

デビューの地は秋葉原、Hey。Xが10円で遊べると聞いて、「負け放題できるな」とここにしました。

Googlemapで店の位置を調べ入店。

実は一度N君と来たことあるんだけど(第2話)当時はゲーセンに興味なかったので、逆に3階に上がったときに「ここ一回来たことある!」と驚く始末。

とりあえずスト2探してうろうろしてたら店の一番奥にX台が!そそくさと近づくわたし。しかし!残念なことに10円台は電子マネー専用だったのです。わたしはあいにくその日自転車移動だったのでPASMOを忘れてきており、X台から退散。「たしかハイパーもあるはずだよな」と再度うろうろします。

すると少し離れた一角にハイパーを発見。しかも3セット!

プレイしてる人がいる!

恐る恐る近づくと、CPUサガットをものすごい勢いでボコボコにしてるベガがいます。しばらく見てると、今度はCPUに体をグイグイ押しつけている。これが、「時間を長引かせるためにわざと負けにいってる」ことに気づくまで、少し時間がかかりました。そして、「わざとラウンド落とす」という発想の恐ろしさに戦慄を覚えました。とんでもないところに来ちまった。画面上部のメッセージは「かかってこい!」。怖い。帰りたい。でもせっかく来たんだから、、とぼくは対面に座りました。初乱入です。

 

【デビュー戦】

vsベガ。

自分が座ってる椅子がやけにフワフワしてるように感じます。今考えると、緊張で浮わついていたんだと思います。

自キャラに(当然)ホークを選び、開幕。このとき意外なことに、「よーし!待ってました!」とやる気十分な感じではなく、あれよあれよと開幕まで流されてしまった、そんな感覚がありました。

開幕は静かでした。ベガは少し下がってジャブ、ミドルキック。「おお、これが地上戦というヤツか!」と感慨。自分も負けじと、うろうろしながら技を振り回し、相手を牽制している、つもりでした。

ホークの技が空振りしたところにダブルニーが飛んできてダウン。寝てるところを飛び込まれます。転ばされた時点でもうテンパってる自分。ベガのキックはめくりでした。もちろんガードできず、そこから5段コンボ食らってピヨります。もう一度コンボ食らって終了。

早い。早すぎる。負けるのが。

たぶんタイムは80は残ってたと思います。

しかも、何もさせてもらえない。

2ラウンド。

転びたくない。転ぶの怖い。

ぼくはキック間合いの外をうろうろし、見よう見真似の地上戦で大Kを振り回します。しかしやはりと言うか、空振ったところをホバーでダウン。

めくりにくる。

今度はリバサでトマホが出た!当然反対側にスカり、着地を中足からダブルニー。もう一回起き攻めされます。

今度はめくりをうまくガードできました。再び距離をとる相手ベガ。

ジャブで影縫いされる。こちらも取り返さないといけない。前に出る。しかし前歩きしたところをダブルニー食らって転ぶ。

相手のジャブ連打はこちらの後退を防ぐためというよりも、タメを気取られないためのものだったか。

今度はめくりではなく、「めくらない飛び込み」でした。見事に引っかかって負け。

ヤバイ。まだラウンドどころか、ダメージもとってない。

3ラウンド。そういえばハイパーは3本先取だった。ベガのカニに中足で対抗するがスカったところにダブルニー。めくりをなんとかガードでしのぐが、地上戦であっさり転がされるの繰り返し。ここでチャンス到来!ホントにバクチで出したトマホがまぐれ当たり。よーし起き攻めだ!飛び込むわたし。そこに待ち受けてたのはベガのスパコンでした

そうです。わたしは「スパコンゲージを見る」という基本を知らなかったのです。

 

試合は終わりました。

負けた。

しかも、何もできずに負けた。

もう少し何かできると思ってた。

ただサンドバックにされただけだ。

 

相手の安全飛び込みは凄かったです。ベガのジャンプはふんわりしてるというのにタイミング完ぺき。そうだよね、相手も練習してるんだよね、という至極当たり前のことに改めて気付かされます。ぼくがホークでN小Pタイフーン練習してるときに、相手はめくり起き攻めを練習してるんです、当たり前だけど。しかも、ぼくが引きこもって一人練習してた間、相手は実戦で鍛えていたのです。差はつくよな。でも、凹んでいる暇はありません。相手は強い。でも、この人たちといつか肩を並べるために、今日はやってきたのです。

対戦メッセージに「また戦おう!」と出ていました。それって「今日はもうやめとけよ」って意味だったかもしれない、というのに今考えが及んだんだけど、当時はそんなことわからない。ぼくは後ろに並んでる人がいないか確認しました。そして、もういっちょ100円を入れます。

 

第2戦。

ぼくは「とりあえずスパコンゲージ見よう」と誓いをたて、ガードを固めて様子見します。するとヘッドプレスを連発してくる。上昇中に返すなんてことのできないぼくはガードでしのぐ。打開策の見えないわたしは焦りが生じ、スカルダイバーをムリに返そうとして失敗死亡。やっぱりラウンドを落としてしまいます。

次。ヘッドプレス。スカルダイバーもガードで様子見。すると相手はデビルリバース。落とさなきゃと思って手を出して転ぶやっぱり終了。

3ラウンド目。劣勢のなか、とにかく攻めなきゃと思い無心で飛んだらスパコン。最初の誓いさえ守れない。

 

結局、5戦ほど戦ってもらったと思います。結果、1ラウンドも取れませんでした。パーフェクト負けも数回あった。最初は出してくれた「また戦おう!」メッセージは、次からは出してくれませんでした。

ぼくは5クレジット×3ラウンドの合計15ラウンド相手してもらったわけですが、毎回同じように負けました。転ばされるコンボ(ピヨ)→コンボ。ワンパターン。15ラウンドもやってもらったのに進歩がない。あまりにワンパターンな負け方で、「対戦してくれてる人、楽しめてるかな」と申し訳ない気持ちになるぐらいの負けっぷりでした。

ただ、一度だけ、相手を転ばせたときに飛び込んだらリバサでスパコン出されて「やべえ!やっぱゲージ見てねえ!」と負けを覚悟したんだけど、たまたまタイミング的にガードできて(安飛びを狙ったのではなくホントにたまたま)、深めに入ったところにガードタイフーンを決めることができました。実戦初のタイフーンです。

 

ぼくのなかの神宮寺三郎が「タバコ すう」コマンドを勧めてきます。いたたまれなくなったぼくは、逃げるように喫煙室に退避しました。

 

【リュウ、DJと】

喫煙室から出て、なんとか勇気を出して再度ハイパー台へ。

さっきのベガさんもまだいたんだけど、「絶対勝てないマジ無理」と思い回避。この辺り、完全に負け犬の発想ですが、下手な自分に付き合わせる申し訳なさもあり。お隣のリュウに今度は挑みます。

こちらのリュウ、最初から舐めプ気味だったように感じました。波動打たない、小昇竜連発。そういうスタイルだったのかもしれないけど、「遊ばれてるな」と。そして、小昇竜連発に立中Pで反撃しようとして転ばされるオレ。舐めプに引っかかってしまう情けなさ。

負ける。

何度か挑むのですが、あっさり壁ぎわに追い詰められやられる。起き攻めの安飛び下中P→大足キャンセル波動でぐいぐい押されます。

たまにコンドルで転ばせてもリバサ真空でジ・エンド。やっぱりゲージ見えてません。転ばせたときに「千載一遇のチャンス!」ってテンション上がって視野が狭くなってるのでしょうか。

ゲージ貯まってないときにも安飛びするチャンスあったけど、安飛び失敗して昇竜食らう始末。

結局リュウとも5戦やって全敗。

一度だけ、地上戦で押されてるときに中P押したらなぜか投げが出て(偶然だし、ゴチャってるときに中P押す意味がわからないのだけれど)、たまたま逆方向に投げたのでポジション入れ替わりリュウが壁ぎわ。そこから下小Pタイフーンが決まって、1ラウンドだけとることができました。すげえ嬉しかった。

でもそれだけ。あとは全部ストレート負け。

 

恥知らずのぼくはさらに隣のDJにも挑みます。こちらもまったく同じでした。転ばされてめくられて負け。スパコンに飛び込んで負け。もうこの辺になると負けたことしか覚えてません。

 

【喫煙室で一人反省会】

全部で15戦ほどしかしてないのですが、ぼくの意欲はもうゼロでした。ぺちゃんこ。けどぼくは、反省がてら、この日の対戦メモをつけることにしました。下記、そのメモのコピペです。

 

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hey初参戦。

ベガ、リュウ、DJ1勝もできず。

全体として、

不用意にもらいすぎ

見てから技を出せてない

相手が何するかわかってない

めくりに対処できない

舐めプされる

の状態。

あとPASMOあればエックスできた。

 

禁止事項

スパコンへの起き攻め

お願い前飛び

間合いを考えてないところ

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原文ママです。

正直、反省・分析としては一歩も二歩も足りないと思います。浅いし、気づきが足りない。

ダメなポイントはたくさんあったのですが、一番ダメだったのは、

 

■転びすぎ

 

です。

そして、なぜ転んでるのかというと、

 

■届かない距離で大PKを振り回してる

 

からです。

自分が振り回してたのは立中P、下中P、立大P、立大K。しかも、相手が怖くて踏み込めてないから、届かない間合いで振ってます。この辺りの技のチョイス、今考えるとホントに「わかってない」なんですけど、この日はブンブン振り回してました。そして、それらを空振りした戻りに、ホバーとかスラとか足払いを食らってる。だから転ぶ。だから起き攻めされる。

地上戦でやっちゃいけないこと。ぼくはこの日それをひとつ学びました。けど、まだ地上戦、全然つかんでません。

 

【楽しかったこと】

全負けしましたが、ポジティブな発見もひとつありました。それは、

 

■タイフーン決まると楽しい

 

です。

タイフーンが決まった瞬間はすげえ楽しい。だから、今後も対戦挑んで負け続けるにしても、タイフーンをモチベーションに挑めばいいのではないか。何の楽しみもなく負けるのはつらいでしょうから。そして、この「楽しい」瞬間を1回、2回と増やしていけば、勝ちに近づいていくのではないか。そんなことを考えました。

 

【帰宅後】

家に帰った後、アゴと首がすごく張っているのに気付きました。わたしは、家に帰るまでずっと、歯をくいしばっていたのです!

そしてそれは、頭では「まわりは強いのだから胸を借りるつもりでいこう。経験を積ませてもらえてありがたい」とか謙虚なことを考えてるつもりでも、奥底で「自分なら勝てるんじゃないか」とか甘いこと考えてた証左でもあります。どこかで勝てると思ってた、だから悔しい、歯ぎしりする。体は正直です。わたしはどこかで「自分は特別」と考えていたわけです。自分の甘さを突きつけられた気がしました。そして、「40過ぎてこういうことに気付かされる機会、そうそうないだろうな」とも感じました。

 

結局、首は翌日筋肉痛になります()

 

次回、泥沼にはまります。