朝、子どもたちを地域のバスハイクに送り出し、家に残ったSueとKashaf、夫と私で太宰府に出かけた。最後の外出にふさわしく、しっとりとした平日の太宰府。
『宗教が違うから、手を合わせられないけど、他の人は嫌な気分にならない?』と聞いてくるので、合わせたい人が合わせて、合わせたくない人は合わせなくていいのよ、と答えた。神社というよりも観光名所的な側面が大きな場所だからね。
天満宮の中ではちょっと固い表情。強い信仰を持つ人にとっては、この場所は神妙にしていなければいけない場所。私たちの「観光名所」的な受け取り方は理解出来ないかも知れない。11歳の女の子、でも敬虔なイスラム教の信者。一日に5回すると言っていたお祈りは、どうも数が減り今はいつお祈りしているんだろうか…というところが子どもらしくて可愛いけれど、国では就寝中も数回起きてお祈りを欠かさないとの事。アッラーの神の御技について私に話してくれた時の彼女は本当にキラキラしていた。
橋のところで池の鯉にエサをやる頃にはすっかり表情もほぐれ、次に訪れた光明禅寺には私たち以外誰もいなかったせいか、リラックスしてその景色を楽しんでいた。納骨堂に興味がありそうだったので、意味を話すと、一瞬うぁっと遠ざかって行き、再び戻って来て「日本のお墓はみんなこうなの?」と言う。いろんなタイプがあるのよ…と説明をしてみたけど…不思議そうに何度も納骨堂を振り返る。

九州国立博物館へ行き、常設展示場を見る。いろいろな物を興味深げに見つめていたが、特に埴輪(はにわ)に興味津々。一階のアジア体験コーナーでは、Sueと二人各国のコスチュームを着て写真を撮ったり、着物の模様作りなど楽しんでいた。
帰りに参道の店で、夫が二人にお揃いのくまもんペンケースを買ってプレゼントした。二人とも「くまもん」が大好きだったので、大喜び。何度も"Thank you, Dad!!" そして「あぁ、パキスタンにもくまもんショップがあったらなぁ。。。」くまもん、世界進出。

帰り道に夫と連携を取って、彼女にこっそり浴衣セットを買ったり頼んでいたフォトブックを取りに行ったり…帰ってから私は英語のレッスン2コマ。夫はキッチンに立って夜のFarewell Partyの準備をしてくれている。奏とKashafは一緒に昼寝。

そして夕食。夫と私が腕によりをかけて、唐揚げ、サラダ、カレーチャーハン、スパゲティー、和え物、味噌汁、果物…たくさん食べてくれた。中でもやっぱり大好物のスパゲティーはたっぷり食べてくれた。滞在中に何度スパゲティーをしただろう。全部彼女のリクエストだったけど…その度に喜んでくれたっけ。

夕食後、フォトブックを渡す。子どもたちもそれぞれ思い思いに用意していた手紙や品物を手渡していた。Kashafは嬉しそうに一人一人からのお別れプレゼントを受け取っている。
そして、浴衣。「高いし…」と自分で買う事は諦めていた様だけど、太宰府で浴衣姿の人とすれ違う度"Beautiful..."と見とれていたので、プレゼントを開いた時の喜びようは大変なものだった。飛び跳ねて何度も"Thank you!!""Beautiful!"
早速全員浴衣と甚平に着替えて写真撮影。
そしてみんなで花火をしに近くの公園へ。帰って来てからは全員で夜遅くまでトランプ。最後にふさわしい、笑顔いっぱいの夜になった。


それでも、まだ私たちは誰も別れを実感していなかった。